書店・図書館のバイト|仕事内容と実際の忙しさ
書店も図書館も「本を扱う体を使う仕事」です。段ボールに詰まった本は重く、棚への出し入れで立ったりかがんだりを繰り返します。勤務中に本を読む時間はありません。書店はレジ・入荷・返品・問い合わせが中心で、雑誌の発売日や新学期の前後に忙しくなります。図書館はカウンター・配架・書架の整理が中心で、募集は大学図書館の学生スタッフや、自治体・運営を受託した会社を通じて行われることがあり…
書店や図書館のバイトは「本が好きだから」という理由で選ばれやすい仕事です。
静かで落ち着いた場所、本に囲まれた環境——そんなイメージを持って応募する人が多い一方で、実際には「本は重い」「読む時間はない」「思ったより動く」という声もよく聞かれます。
また、書店と図書館では、仕事の性質が大きく違います。書店は本を「売る」場所、図書館は本を「貸す・管理する」場所です。
この記事では、それぞれの仕事の中身、実際の忙しさ、そして働き方の違いを整理します。
この記事を7枚で
1 / 701書店と図書館の違い
同じ「本の仕事」でも、目的が違います。
| 項目 | 書店 | 図書館 |
|---|---|---|
| 目的 | 本を売る | 本を貸す・保存する |
| 中心の作業 | レジ・入荷・返品 | 貸出返却・配架 |
| お金 | 扱う | 基本的に扱わない |
| 本の入れ替わり | 速い | ゆるやか |
| 募集の出方 | 店舗が直接募集 | 大学・自治体・受託会社など |
| 静かさ | 店による | 静かな環境 |
書店は商売の場です。新しい本が次々に入荷し、売れなかった本は返品されるため、本の入れ替わりが速く、そのための作業が仕事の多くを占めます。レジでお金を扱い、客からの問い合わせにも応じます。
図書館は、本を貸し出し、返ってきた本を元の場所に戻し、蔵書を保存・管理する場所です。お金のやり取りはほとんどなく、利用者が本を探しやすいように棚を整えることが大切な仕事になります。どちらが合うかは、「売る場の活気」と「整える作業の落ち着き」のどちらを好むかで考えてみてください。
02書店の仕事の全体像
レジ以外の作業が多くあります。
書店のアルバイトは、レジに立つ時間と、売場で本を扱う時間を行き来することが多くあります。客が少ない時間帯は品出しや返品の作業を進め、レジが混んだら応援に入る、という動き方が一般的です。
雑誌の付録を本誌に挟んで、ひもやテープでまとめる作業は、書店ならではの仕事です。付録の多い雑誌の発売日には、この作業だけでかなりの時間を使うこともあります。
03入荷と品出し
朝の時間帯に多くの作業が集中します。
- 1届いた箱を開ける
- 2伝票と本を照らし合わせる
- 3ジャンルや棚ごとに分ける
- 4売場に運ぶ
- 5決められた場所に並べる
- 6空いた箱を片付ける
本や雑誌は、開店前や午前中に届くことが多く、朝の時間帯は入荷の作業で忙しくなります。開店までに新刊や雑誌を売場に並べ終える必要があるため、早朝の勤務では時間との勝負になることもあります。
品出しでは、どの本をどの棚に置くかを覚える必要があります。最初はジャンルの区分がわからず時間がかかりますが、店の棚の配置を覚えるにつれて速くなります。迷った本は、自分の判断で適当な棚に置かず、担当者に確認してください。
04返品の作業
書店の仕事で、意外と多くの時間を使う作業です。
書店では、一定の期間に売れなかった本を出版社などに返品できる仕組みが一般的です。そのため、新しい本を並べるのと同じくらい、売場から本を抜いて箱に詰める作業が発生します。
本を詰めた段ボールは非常に重くなります。持ち上げるときは腰を曲げず、膝を曲げて体に近づけて持ってください。重すぎる場合は台車を使うか、周りに声をかけることが大切です。
05レジとカバー掛け
書店のレジには、独特の作業があります。
紙のカバーを本に掛ける作業は、書店のレジならではのものです。本の大きさによってカバーの折り方が違い、最初はうまく掛けられず時間がかかります。混雑時に客を待たせないよう、手が空いた時間に練習しておくとよいでしょう。
カバーを掛けるかどうかは、会計のときに客に確認するのが一般的です。店によっては、あらかじめ大きさごとに折っておいたカバーを用意しておくこともあります。
06本の問い合わせ
「この本はありますか」への対応です。
| 場面 | 対応 |
|---|---|
| 書名がわかる | 検索の端末で在庫と場所を調べる |
| 書名があいまい | 著者・内容・表紙の特徴を聞く |
| 在庫がない | 取り寄せができるか案内 |
| 棚にあるはずなのに見つからない | 近くの棚や入荷前の箱も確認 |
| わからない | 担当者に引き継ぐ |
客から「テレビで紹介されていた本」「青い表紙の本」のように、あいまいな情報で尋ねられることもあります。そうした場合は、いつ頃の話か、どんな内容か、著者の名前を覚えていないかなど、手がかりを聞き出しながら調べます。
検索の端末で「在庫あり」と表示されていても、実際には棚にない、ということも起こります。別の場所に置かれている、入荷したばかりでまだ箱の中にある、などの可能性があるので、見つからない場合は先輩に相談してください。
07書店の忙しい時期
忙しさに波があります。
「書店は静かで暇そう」というイメージを持つ人もいますが、発売日や繁忙期は忙しくなります。特に人気の漫画の新刊の発売日などは、開店直後からレジに列ができることもあります。
駅前や商業施設の中の書店と、郊外の書店とでは、忙しい時間帯も違います。応募を考えている店に、働きたい時間帯に客として行ってみると、実際の忙しさを確かめられます。
08万引きへの対応
自分で追いかけたり捕まえたりしないでください。
書店は、万引きの被害が問題になりやすい業種の一つとされています。しかし、アルバイトが一人で客を追いかけたり、声をかけて引き止めたりすると、トラブルやけがにつながる危険があります。
対応の方法は店ごとに決まっていることが多いので、最初に確認しておいてください。不審に感じたことは責任者に伝え、判断は任せるのが基本です。
09図書館の仕事の全体像
「本を元の場所に戻す」ことが仕事の中心です。
図書館のアルバイトで最も多い作業は、返却された本を棚に戻す配架と、棚の本を正しい順番に整える作業です。利用者が本を見つけられるかどうかは、本が正しい場所にあるかで決まるため、地味ながら大切な仕事です。
新しく受け入れた本に、分類のラベルやバーコード、保護用のフィルムを貼る作業を担当することもあります。細かい手作業で、丁寧さが求められます。
10配架と書架の整理
分類の番号の順番を覚えることから始まります。
多くの図書館では、本の内容ごとに分類の番号が決まっており、背表紙のラベルに記されています。配架では、この番号と著者の記号などを読み取り、決められた順番どおりに棚に戻します。
一冊でも違う場所に戻すと、その本は利用者にとって「ないもの」と同じになってしまいます。最初は時間がかかっても、ラベルを一つずつ確認しながら正確に戻すことを優先してください。慣れてくると、ラベルを見ただけで棚の位置がわかるようになります。
11カウンターの業務
利用者と接する窓口の仕事です。
カウンターでは、貸出と返却の手続きのほか、利用者から本の場所や使い方について質問を受けます。基本的な案内はアルバイトが行いますが、専門的な調べものの相談は、司書などの職員が対応することが多くあります。
図書館では、誰がどんな本を借りたかという情報を守ることが大切にされています。利用者の貸出の記録について、ほかの人に話したり、問い合わせに答えたりしないでください。
返却された本に破れや汚れ、書き込みがないかを確認することも、カウンターの大切な作業です。気づいた点があれば、自分で判断せず職員に伝えてください。利用者への確認が必要な場合も、職員が対応します。
12図書館で働く形
図書館は、運営の形によって募集の出方が違います。
公立の図書館では、自治体が直接職員を募集する場合と、運営を任された会社がスタッフを募集する場合があります。どちらの形かによって、応募の方法や勤務の条件、契約の期間が変わります。
自治体の非常勤の職員として募集される場合は、募集の時期が年度の変わり目などに限られることがあります。図書館で働きたい場合は、住んでいる地域や通える範囲の自治体の募集情報を、定期的に確認してください。
13大学図書館の学生スタッフ
大学生にとって、最も始めやすい図書館の仕事です。
大学図書館では、カウンターや配架の作業を学生スタッフが担当していることがあります。学内の掲示やポータルで募集が告知されることが多く、年度の初めに募集されることもあります。
図書館の仕組みに詳しくなると、自分がレポートや卒業論文のために資料を探すときにも役立ちます。ただし、募集の人数は限られるため、見つけたら早めに応募することをおすすめします。
14司書の資格は必要か
アルバイトの多くでは必須ではありません。
配架やカウンターの補助といったアルバイトの募集では、司書の資格がなくても応募できることが多くあります。一方で、利用者の調べものを手伝う専門的な業務や、司書として採用される募集では、資格が条件になっていることがあります。
大学で司書の資格を取るための科目を履修している人にとっては、図書館のアルバイトは実際の現場を知る機会になります。資格の取得の方法については、大学の担当窓口や文部科学省の情報を確認してください。
15本は重い
「本の仕事」は、体を使う仕事です。
本は一冊ずつなら軽くても、まとまると非常に重くなります。書店の入荷や返品の箱、図書館で返却された本を運ぶ台車など、重い物を扱う場面は少なくありません。
棚の一番下の段に本を戻すときは、しゃがむ動作を繰り返すため、足腰に負担がかかります。持ち上げるときは膝を曲げて体に近づける、重い箱は台車を使う、踏み台に乗るときは足元を確認する、といった基本を守ってください。
16本を読む時間はあるか
勤務中に本を読む時間はありません。
「本が好きだから、本に囲まれて過ごしたい」という動機で応募する人は多いものの、勤務中は本を「物」として扱う時間がほとんどです。内容を読む時間はなく、表紙や背表紙、ラベルを見て、分けて、運んで、並べる作業が続きます。
それでも、どんな本が新しく出ているか、どんな本がよく売れているか、よく借りられているかを肌で感じられるのは、本好きにとって楽しい面です。「読む」ことではなく「本の流れに関わる」ことを楽しめるかどうかが、続けられるかの分かれ目になります。
17シフトと時間帯
営業時間によって、入れる時間帯が変わります。
書店は夜まで営業している店が多く、授業の後の時間帯や週末に入りやすい職場です。一方、早朝の入荷作業の時間帯に人手を必要とする店もあります。
公立の図書館は日中の開館が中心で、平日の日中に入れる人が求められやすい傾向があります。大学図書館は、授業期間中は夜まで開館していることもあり、学生スタッフが夕方以降を担当する場合もあります。
書店の早朝の勤務は、開店前に作業を終える必要があるため、限られた時間で集中して動くことになります。一方、開店後の時間帯は客の対応と作業を並行する必要があり、忙しさの質が違います。自分に合う時間帯を考えて選んでください。
18時給と待遇
条件は書面で確認してください。
書店や図書館のバイトは、人気の割に時給が高くない場合もあります。落ち着いた環境や本に関わる仕事であることを重視するかどうかで、判断が分かれるところです。
書店によっては、従業員が本を割引で買える制度があることもあり、本をよく買う人にとっては利点になります。図書館の非常勤の職員の場合は、年度ごとに契約が更新される形が多いので、更新の条件を確認してください。最低賃金は地域ごとに定められ、改定されるので、最新の金額は厚生労働省の情報を確認してください。
19大変と言われる理由
理由を分けて見てください。
静かで楽そう、というイメージとの差が、大変さを強く感じさせる原因になりがちです。重い物を運ぶ、しゃがんで立つを繰り返す、といった体の負担は、事前に知っておくと心構えができます。
古い本や倉庫にしまわれた資料を扱う作業では、ほこりが舞うこともあります。ほこりで体調が悪くなりやすい人は、作業の内容を事前に確認しておくと安心です。
20良い点
本に関わる仕事ならではの利点があります。
毎日多くの本に触れるうちに、どんな本が出ていて、どんな本が読まれているのかがわかるようになります。自分では手に取らなかったジャンルの本に興味を持つきっかけになった、という声もあります。
図書館で働くと、資料の探し方や、分類の仕組みに詳しくなります。大学でのレポートや論文の資料集めに、そのまま役立つ知識です。
21向いている人
「本が好き」だけでなく、作業との相性が大切です。
書店は、レジや問い合わせなど客と接する場面が多く、忙しい時間帯もあります。図書館は、静かな環境で黙々と作業する時間が長い傾向があります。人と接するのが好きなら書店、落ち着いて作業したいなら図書館、と考えるのも一つの目安です。
反対に、「勤務中に本を読みたい」「好きなジャンルの棚だけを担当したい」という期待が強い場合は、実際の仕事との差にがっかりするかもしれません。
22募集内容で確認する点
応募前にここを読んでください。
図書館の募集は、運営の形によって、応募先が自治体なのか、運営を受託した会社なのかが変わります。募集要項に書かれている雇用主と、契約の期間を必ず確認してください。
書店の募集では、「品出し中心」「レジ中心」と担当が書かれていることもあります。本を運ぶ作業に不安がある場合はレジ中心の募集を、人と話すのが苦手な場合は品出しや返品の比重が高い募集を選ぶと、働き始めてからのずれが小さくなります。
23学業との両立
職場の種類で、両立のしやすさが違います。
新学期の前後は、書店では参考書や教科書の販売で忙しくなる時期であり、大学でも履修登録やガイダンスが重なる時期です。両方の予定がぶつからないよう、早めにシフトの希望を伝えてください。
試験期間に勤務を減らしたい場合も、早めに伝えておくと調整してもらいやすくなります。
24応募前の最終確認
この6点を確認してください。
特に「体の負担」は、イメージとの差が出やすい項目です。本を運ぶ作業がどのくらいあるか、面接で確認しておくと安心です。
25よくある質問
書店のバイトは楽ですか?
静かで楽そうというイメージとは違う面があります。本の詰まった箱を運ぶ、しゃがんで棚に本を並べる、返品の箱を詰めるなど、体を使う作業が多くあります。雑誌の発売日や新学期の前後は忙しくなります。一方で、作業の手順は決まっており、慣れれば落ち着いてこなせるようになります。
勤務中に本を読めますか?
読めないと考えておいてください。勤務中は、本を分けて、運んで、並べる作業が中心で、内容を読む時間はありません。ただし、どんな本が新しく出ているか、どんな本がよく売れているかを肌で感じられるのは、本好きにとって楽しい面です。
図書館のバイトに司書の資格は必要ですか?
配架やカウンターの補助、大学図書館の学生スタッフなどでは、資格がなくても応募できることが多くあります。一方、専門的な調べものの支援や、司書として採用される募集では、資格が条件になることがあります。募集要項で確認してください。
図書館のバイトはどう探せばいいですか?
大学生なら、まず自分の大学の図書館の学生スタッフの募集を確認してください。公立の図書館は、自治体が直接募集する場合と、運営を受託した会社が募集する場合があります。自治体の募集は時期が限られることもあるので、通える範囲の自治体の募集情報を定期的に確認しましょう。
カバー掛けが難しそうです。
最初はうまくできず時間がかかるのが普通です。文庫・新書・単行本など、本の大きさによって折り方が違います。手が空いた時間に練習させてもらうと、混雑時にも慌てずに対応できるようになります。
本の場所を覚えられるか不安です。
最初から全部を覚える必要はありません。書店ならジャンルごとの棚の配置、図書館なら分類の番号の順番を、少しずつ覚えていきます。迷った本は、自分の判断で適当な場所に置かず、担当者に確認してください。慣れると、表紙やラベルを見ただけで場所がわかるようになります。
重い物を運ぶことはありますか?
あります。書店では入荷や返品の段ボール、図書館では返却された本を積んだ台車などです。持ち上げるときは膝を曲げて体に近づける、重すぎる箱は台車を使う、周りに声をかける、といった基本を守ってください。腰に不安がある場合は、作業の内容を事前に確認しておくと安心です。
万引きを見つけたらどうすればいいですか?
自分で追いかけたり、引き止めたりしないでください。トラブルやけがにつながる危険があります。不審に感じたことは責任者に伝え、判断は任せるのが基本です。対応の方法は店ごとに決まっていることが多いので、最初に確認しておいてください。
書店と図書館、どちらが向いていますか?
人と接するのが好きで、活気のある場所で働きたいなら書店、静かな環境で黙々と作業したいなら図書館が合いやすい傾向があります。書店はレジや問い合わせ、発売日の忙しさがあり、図書館は配架や書架の整理を静かに続ける時間が長くなります。
本好きでなくても働けますか?
働けます。実際の仕事は、本を分けて、運んで、並べる作業が中心なので、整理整頓が好きな人や、細かい確認が得意な人にも向いています。むしろ、本の内容に気を取られずに作業に集中できる、という面もあります。
26まとめ|本を「読む」仕事ではなく、「扱う」仕事
書店も図書館も、本を扱う体を使う仕事です。本の詰まった箱は重く、棚への出し入れでしゃがんで立つを繰り返します。勤務中に本を読む時間はありません。
書店は「売る」場所です。レジ、入荷、返品、問い合わせが中心で、雑誌の発売日や新学期の前後に忙しくなります。万引きを見つけても、自分で追いかけないでください。
図書館は「貸す・整える」場所です。カウンターと配架、書架の整理が中心で、本を正しい場所に戻すことが何より大切です。利用者の貸出の記録は、ほかの人に話さないでください。
図書館で働く形はさまざまです。大学生なら、まず自分の大学の図書館の学生スタッフの募集を確認してください。公立の図書館は、自治体や運営を受託した会社が募集しています。
最後に。「本を読みたい」ではなく「本の流れに関わりたい」と思えるなら、書店や図書館のバイトは楽しめる仕事になります。