深夜のバイトのルール|時間帯と割増の考え方
労働基準法でいう深夜は、午後10時から午前5時までです。この時間帯に働いた分には、通常の賃金の25%以上の割増を支払う必要があり、アルバイトにも適用されます。時間外労働と重なれば50%以上、法定休日の労働と重なれば60%以上の割増になります。18歳未満の人は、一部の例外を除いて深夜に働くことが原則として禁止されています。「深夜手当込み」の時給表示や、深夜の時間が正しく記録さ…
「深夜のバイトは時給が高い」——コンビニ、居酒屋、カラオケ、ホテル、倉庫。夜の求人を見ると、昼より高い時給が並んでいます。
その理由の一つが、深夜の時間帯に働いた分には、割増の賃金を支払うことが法律で定められているからです。
ただし、「深夜」とは何時から何時までか、割増はどのくらいか、残業と重なったらどうなるか、そして年齢によって深夜に働けない人がいることを正しく知っている学生は多くありません。
この記事では、深夜労働の法律上のルール、割増の計算の考え方、給与明細での確認方法、そして学生が深夜に働くときの注意点を整理します。
この記事を7枚で
1 / 701「深夜」は何時から何時まで
労働基準法では、時間帯が決まっています。
労働基準法でいう深夜の時間帯は、午後10時から午前5時までです。この時間帯に実際に働いた分が、深夜の割増賃金の対象になります。
求人に書かれている「夜勤」「ナイト」といった言葉は、職場ごとの呼び方で、深夜の時間帯とぴったり一致するとは限りません。たとえば「夕方5時から10時まで」の勤務は、夜のシフトでも深夜の割増の対象にはなりません。割増の対象になるかどうかは、午後10時から午前5時の間に働いたかどうかで判断されます。
日付をまたいで働く場合も、午後10時から翌日の午前5時までの時間は、続けて深夜の時間帯として扱われます。勤務の開始が前日で終わりが翌日になっても、深夜にあたる時間を合計して考えてください。
02深夜の割増賃金
深夜に働いた分には、25%以上の割増が必要です。
深夜の時間帯に働いた場合、雇う側は、通常の賃金に25%以上を上乗せした割増賃金を支払わなければなりません。時給で働いている場合は、深夜の時間帯の1時間あたり、通常の時給の1.25倍以上の賃金になるということです。
25%は法律で定められた最低限の割増率で、職場によってはこれを上回る割増を定めている場合もあります。自分の職場の割増率は、労働条件の書面で確認してください。
03アルバイトにも適用される
雇用形態に関係なく、深夜の割増は支払われます。
深夜の割増賃金は、正社員だけでなく、アルバイトやパート、学生のアルバイト、単発や短期の仕事、派遣で働く人など、雇われて働くすべての人に適用されます。
「アルバイトだから深夜手当はない」「最初から時給に含まれている」と説明されることもありますが、深夜の割増が支払われていることを、給与明細などで確認できる必要があります。雇用契約ではなく業務委託として働く場合は扱いが変わりますが、実態が雇用であれば労働者として扱われることもあります。
深夜の割増は、職場の就業規則に書かれているかどうかにかかわらず、法律で支払いが求められているものです。「うちは深夜手当の制度がない」という説明は、割増を支払わない理由になりません。
04時間外・休日と重なる場合
割増は、重なるほど大きくなります。
深夜の時間帯の労働が、法定の労働時間を超える時間外労働と重なった場合は、深夜の25%と時間外の25%を合わせて、50%以上の割増になります。法定休日の労働と重なった場合は、休日の35%と深夜の25%を合わせて、60%以上の割増になります。
学生のアルバイトで時間外労働になる場面は多くありませんが、長時間のシフトで法定の労働時間を超えて深夜まで働いた場合などは、割増が重なる可能性があります。時間外労働の考え方は、残業を頼まれたときの考え方|断っていい場合で扱っています。
05割増の計算の考え方
深夜の時間だけを取り出して計算します。
- 1その日の勤務時間を確認する
- 2午後10時〜午前5時に働いた時間を数える(休憩を除く)
- 3深夜以外の時間 × 通常の時給
- 4深夜の時間 × 通常の時給 × 1.25以上
- 53と4を合計する
深夜の割増を確認するときは、その日の勤務時間のうち、午後10時から午前5時の間に実際に働いた時間だけを取り出して計算します。深夜の時間帯に休憩を取った場合は、その休憩の時間は働いた時間に含めません。
深夜以外の時間は通常の時給で、深夜の時間は通常の時給の1.25倍以上で計算し、合計したものが、その日の賃金の目安になります。深夜の時間の数え方は、次の例で確認してみましょう。
06シフト別の計算の例
どの時間が割増の対象になるかを整理します。
| シフトの例 | 深夜の割増の対象になる時間 |
|---|---|
| 17:00〜22:00 | なし |
| 18:00〜23:00 | 22:00〜23:00の1時間 |
| 22:00〜翌3:00 | 5時間すべて(休憩があればその分を除く) |
| 翌3:00〜9:00 | 3:00〜5:00の2時間 |
| 20:00〜翌6:00(休憩1時間を深夜に取得) | 22:00〜5:00の7時間から休憩1時間を除いた6時間 |
たとえば、午後6時から11時までのシフトでは、午後10時から11時までの1時間が深夜の割増の対象になります。午後5時から10時までのシフトであれば、深夜の時間帯に働いていないので、割増の対象にはなりません。
夜通しのシフトで深夜の時間帯に休憩を取った場合は、午後10時から午前5時までの7時間から、休憩の時間を除いた時間が割増の対象です。自分のシフトで何時間が深夜にあたるのかを、一度書き出してみるとわかりやすくなります。
自分のシフトで深夜にあたる時間を把握しておくと、給与明細の確認がぐっと楽になります。シフト表を受け取ったら、午後10時以降の時間に印をつけておくとよいでしょう。
07「深夜手当込み」の時給
表示の意味を、きちんと確認します。
求人に「22時以降は時給〇〇円」と書かれている場合、その金額が、通常の時給の1.25倍以上になっているかを確認してください。昼の時給と比べて、割増の分がきちんと上乗せされているかがポイントです。
「深夜手当込み」「夜勤時給一律」といった表示の場合は、基本の時給と深夜の割増の部分が区別されているか、割増を除いた基本の時給がいくらなのかを確認しましょう。区別がはっきりしない場合は、応募の段階や採用時に質問してください。
08深夜の割増と最低賃金
割増分を除いた時給で、最低賃金と比べます。
最低賃金と比べるときは、深夜の割増分を除いた基本の時給で比べます。深夜の割増を含めた時給が最低賃金を上回っていても、割増を除いた基本の時給が最低賃金を下回っていれば、最低賃金を満たしていないことになります。
「深夜手当込み」の表示で、基本の時給と割増が区別されていない場合は、この点の確認が特に大切です。最低賃金の考え方は、最低賃金とは?自分の時給が適正か確認する方法で詳しく扱っています。
0918歳未満の深夜労働
18歳未満の人は、原則として深夜に働けません。
労働基準法では、満18歳未満の人を、原則として午後10時から午前5時までの深夜の時間帯に働かせてはならないと定めています。一部の例外はありますが、学生のアルバイトの多くの場面では、18歳未満の人は深夜に働けないと考えてください。
大学1年生の中には、入学時点で18歳の誕生日を迎えていない人もいます。深夜のシフトを希望する場合は、自分の年齢を正しく伝え、18歳になるまでは深夜の時間帯に入らないようにしてください。職場から入るよう求められた場合も、年齢を伝えて断りましょう。
10深夜の休憩・仮眠
休憩と仮眠の扱いを確認しておきます。
| ケース | 考え方 |
|---|---|
| 自由に過ごせる休憩 | 労働時間に含まれない |
| 電話や来客に対応しながらの休憩 | 労働時間にあたり得る |
| 仮眠中も呼ばれたら対応が必要 | 労働時間にあたり得る |
| 休憩が取れない | 休憩についての法令上の定め |
深夜の長時間のシフトでは、休憩や仮眠の時間が設けられることがあります。仕事から完全に離れて自由に過ごせる休憩は労働時間に含まれませんが、電話や来客があれば対応しなければならない休憩や、呼ばれたらすぐに対応する必要がある仮眠は、労働時間にあたり得ます。
深夜に一人や少人数で勤務していると、休憩中も客が来れば対応しなければならず、実際には休めていないこともあります。休憩の考え方は、休憩は取れる?勤務時間と休憩のルールを確認するで扱っています。
11深夜に働く人の健康診断
深夜の勤務が多い人には、健康への配慮の決まりがあります。
深夜の時間帯の業務に常時従事する人については、労働安全衛生法に基づき、定期的に健康診断を行うことが事業者に求められています。アルバイトであっても、働き方によっては対象になることがあります。
対象になるかどうかにかかわらず、深夜の勤務は体への負担が大きい働き方です。眠れない、疲れが取れない、食欲がないといった変化が続く場合は、深夜のシフトを減らすことを考え、必要に応じて医療機関や大学の保健管理センターに相談してください。
12深夜のバイトが多い職種
職種によって、深夜の仕事の中身が違います。
深夜のバイトが多いのは、24時間営業や夜遅くまで営業する店舗、夜間も稼働する物流の拠点などです。同じ深夜の仕事でも、コンビニでは品出しや清掃、居酒屋では酔った客への対応、倉庫では体力を使う作業、と中身が大きく違います。
職種ごとの深夜の働き方については、コンビニバイトの仕事内容|覚えることと時間帯の違いやカラオケ店のバイト|仕事内容と深夜勤務の注意、ホテル・旅館のバイト|フロントと裏方の違いの記事も参考にしてください。
同じ職種でも、店舗の立地によって深夜の客層や忙しさは大きく変わります。駅前や繁華街の店舗と住宅街の店舗とでは、深夜の対応の負担がまったく違うこともあります。
13深夜に働く利点
学生にとっての利点もあります。
深夜の割増があるため、同じ時間働いても、昼の勤務より多くの収入を得られます。短い時間や少ない回数で目標の金額に届きやすく、授業と重なりにくいのも、学生にとっての利点です。
職種によっては、深夜は客が少なく、品出しや清掃などの作業を落ち着いて進められることもあります。ただし、こうした利点は、次に紹介する注意点と合わせて考える必要があります。
また、深夜に働くことで昼間の時間が空き、授業や課題、就職活動の予定を組みやすくなる人もいます。自分の生活のリズムに合うかどうかを、実際に数回試してから判断するのもよいでしょう。
14学生が深夜に働くときの注意
時給の高さだけで選ばないでください。
深夜の勤務は、時給が高い一方で、生活リズムや授業、帰り道の安全、体調など、学生生活に影響しやすい働き方です。時給の高さだけで決めず、自分の生活に無理なく組み込めるかを考えてください。
特に、翌日に朝の授業がある日の深夜の勤務は、授業に出られない、出ても集中できない、といった影響が出やすくなります。学期中は深夜の回数を絞り、長期休みに増やすなど、時期によって使い分けるのも一つの方法です。
15生活リズムと授業
回数と組み合わせ方で、影響を小さくします。
深夜の勤務の後は、昼間に寝ても疲れが取れにくく、生活リズムが崩れやすくなります。翌日に朝の授業がない日を選ぶ、週に何回までと上限を決める、勤務明けに寝る時間を確保する、といった工夫で、影響を小さくしてください。
眠れない日が続く、授業中に強い眠気がある、といった変化が出てきたら、深夜のシフトを減らすことを考えましょう。単位を落としてしまっては、収入が増えても本末転倒です。
16帰り道と勤務中の安全
移動の手段と、勤務中の安全を先に確認します。
深夜の勤務では、終電の後や始発の前に移動することになる場合があります。応募する前に、勤務の後にどうやって帰るのか、自転車や徒歩の場合は安全な経路があるのかを確認してください。
勤務中は、酔った客や不審な人への対応が必要になることもあります。自分で何とかしようとせず、責任者に連絡すること、身の危険を感じたら自分の安全を最優先にすることを覚えておいてください。トラブル時の連絡先は、初日に必ず確認しておきましょう。
帰り道が不安な場合は、家族や友人に帰宅の時間を伝えておく、明るい大通りを選ぶなど、自分でできる備えもしておきましょう。
17一人勤務の不安
体制は、応募の前に確認しておきます。
深夜は客が少ないため、少人数、あるいは一人で勤務する職場もあります。一人で勤務すると、トラブルの対応や判断を一人で抱えることになり、休憩も取りにくくなります。
面接では、「一人になる時間帯はありますか」「いつから一人で入ることになりますか」「トラブルのときは誰に連絡しますか」を確認してください。不安を感じる体制であれば、ほかの時間帯や別の職場を検討することも大切です。
一人で勤務している間に体調が悪くなった場合も、我慢せずに責任者に連絡してください。一人だからといって、無理に勤務を続ける必要はありません。
18給与明細での確認
深夜の時間と割増が、正しく反映されているかを見ます。
給与明細を受け取ったら、深夜の労働時間と、深夜の割増の金額が記載されているかを確認してください。自分でも、何時から何時まで働いたかを記録しておき、深夜にあたる時間が正しく数えられているかを照らし合わせます。
明細に深夜の割増の項目が見当たらない場合は、時給にどう含まれているのかを職場に確認しましょう。給料の確認については、バイトの給料日と支払いの仕組み|締め日・振込・手渡しでも扱っています。
19割増が支払われていないとき
記録を持って、確認と相談をします。
深夜に働いたのに割増が支払われていない場合は、勤務の記録、給与明細、労働条件の書面をそろえ、職場に「深夜の割増が反映されているか確認していただけますか」と確認してください。
確認しても支払われない場合は、労働基準監督署や総合労働相談コーナーに相談できます。未払いの割増賃金は、支払われるべき賃金です。賃金の請求には時効があるので、早めに動きましょう。未払いへの対応は給料が支払われないとき|記録の残し方と相談先で詳しく扱っています。
20相談できる窓口
深夜労働の問題も、公的な窓口で相談できます。
| 困りごと | 相談先 |
|---|---|
| 深夜の割増が支払われない | 労働基準監督署・総合労働相談コーナー |
| 18歳未満なのに深夜に入るよう言われる | 労働基準監督署・大学の学生課 |
| 勤務中のトラブル・危険 | 責任者・会社の窓口・警察 |
| 体調が悪い | 医療機関・大学の保健管理センター |
総合労働相談コーナーは、各都道府県の労働局や労働基準監督署などに設けられている公的な相談窓口で、アルバイトでも無料で相談できます。場所や受付の時間は、厚生労働省の案内で確認してください。
深夜の勤務中に身の危険を感じた場合は、責任者への連絡とあわせて、ためらわず警察に連絡してください。
21よくある質問
深夜手当は何時から付きますか?
労働基準法でいう深夜は、午後10時から午前5時までです。この時間帯に実際に働いた分が、深夜の割増賃金の対象になります。求人の「夜勤」という言葉とは必ずしも一致しないので、実際に働く時刻で確認してください。
深夜の割増はどのくらいですか?
通常の賃金の25%以上です。時給で働いている場合、深夜の時間帯は通常の時給の1.25倍以上になります。時間外労働と重なれば50%以上、法定休日の労働と重なれば60%以上になります。職場によっては、法律を上回る割増を定めていることもあります。
アルバイトにも深夜手当は付きますか?
付きます。深夜の割増賃金は、アルバイト、パート、学生のアルバイト、単発の仕事、派遣など、雇われて働くすべての人に適用されます。給与明細で、深夜の労働時間と割増が反映されているかを確認してください。
18歳ですが、深夜に働けますか?
満18歳以上であれば、深夜の時間帯に働くことができます。18歳未満の人は、一部の例外を除いて、原則として深夜に働くことが禁止されています。大学1年生で18歳の誕生日を迎えていない場合は、誕生日を迎えるまで深夜のシフトに入らないようにしてください。
「深夜手当込みの時給」と言われました。問題ありませんか?
基本の時給と深夜の割増の部分が区別され、割増を除いた基本の時給が最低賃金以上であり、深夜の時間帯の賃金が通常の時給の1.25倍以上になっているかを確認してください。区別がはっきりしない場合は、職場に説明を求めましょう。
午後6時から11時のシフトでは、何時間分に割増が付きますか?
午後10時から11時までの1時間が深夜の割増の対象です。午後6時から10時までの4時間は、通常の時給で計算されます。深夜の時間帯に休憩を取った場合は、その時間は除きます。
深夜の休憩中も客が来たら対応しています。
電話や来客に対応しなければならない休憩は、仕事から離れて自由に過ごせる時間とはいえず、労働時間にあたり得ます。休憩が実際には取れていない場合は、その時間を記録し、職場に確認してください。改善しない場合は、総合労働相談コーナーに相談できます。
深夜の割増が給与明細に書かれていません。
まず、時給にどう含まれているのかを職場に確認してください。自分の勤務の記録と照らし合わせ、深夜の割増が支払われていない場合は、労働基準監督署や総合労働相談コーナーに相談できます。賃金の請求には時効があるので、早めに動きましょう。
学生が深夜のバイトをするのはよくないですか?
深夜の勤務自体に問題があるわけではありませんが、生活リズム、翌日の授業、帰り道の安全、体調への影響が出やすい働き方です。翌日に朝の授業がない日を選ぶ、週の回数を決める、帰り方を確認するなど、自分の生活に無理なく組み込めるかを考えて選んでください。
深夜に一人で勤務するのが不安です。
面接や勤務開始前に、一人になる時間帯があるか、いつから一人で入るのか、トラブルのときに誰に連絡するのかを確認してください。不安を感じる体制なら、責任者に相談するか、ほかの時間帯や別の職場を検討しましょう。身の危険を感じたら、自分の安全を最優先にしてください。
22まとめ|午後10時〜午前5時は25%以上、時給の高さと生活のバランスを
労働基準法でいう深夜は、午後10時から午前5時までです。この時間帯に働いた分には、通常の賃金の25%以上の割増が支払われる必要があり、アルバイトにも適用されます。
時間外労働と重なれば50%以上、法定休日の労働と重なれば60%以上。深夜の時間だけを取り出して、何時間分に割増が付くのかを確認しましょう。
「深夜手当込み」の時給は、基本の時給と割増の区別を確認してください。最低賃金と比べるのは、割増を除いた基本の時給です。
18歳未満の人は、一部の例外を除いて深夜に働くことが原則として禁止されています。大学1年生で18歳になっていない人は注意してください。
最後に。時給の高さだけで選ばず、生活リズム、授業、帰り道の安全、一人勤務の体制を考えて選んでください。割増が支払われていない場合は、記録を持って相談しましょう。