留学前にやっておく英語の準備|出発までの3ヶ月
渡航前に絶対にやるべきは2つだけです。①自己紹介を作って暗記する ②聞き返し・質問の表現を口に出せるようにする。この2つができていないと、到着直後の数日が沈黙で消えます。逆にできていれば、初日から会話に入れる。余裕があれば、③日常の場面表現 ④リスニングの量 ⑤話す練習の順で足してください。やらなくていいのは、単語帳の総ざらいと難しい文法の完璧化——これらは現地で必要になっ…
留学の準備というと、学校選び、ビザ、航空券、荷物——手続きのことばかりに目が行きます。そして英語そのものの準備は、いちばん後回しにされます。
「現地に行けば嫌でも話すことになるから」——そう考えるのは自然です。しかし、これが最も費用対効果を下げる判断になります。
理由は単純です。現地でしかできないのは「使うこと」だけだから。単語を覚えるのも文法を確認するのも、日本のほうが安く、速く、効率的にできます。それを現地でやるのは、高い費用を払って基礎練習をしているのと同じです。
この記事では、出発までの3ヶ月で何をやるべきかを、優先順位をつけて整理します。時間がない人向けの圧縮版と、やらなくていいことも書きます。
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1 / 701なぜ渡航前の準備が効くのか
理由は3つあります。
① 現地の時間は高い。渡航費、授業料、滞在費。1日あたりのコストがかかっています。その時間で単語を覚えるのは、明らかに非効率です。
② 立ち上げの数日が消える。到着後の数日は移動・手続き・生活の立ち上げに使われます。短期留学なら、実質日数はさらに短い。準備なしで行くと、慣れる前に終わります。
③ 使う材料がないと、使いようがない。これが本質です。留学で伸びるのは「使う力」であり、語彙や文法という「材料」は環境だけでは増えません。材料を持って行った人だけが、それを使える形に変えられます。
| 日本でできること | 現地でしかできないこと | |
|---|---|---|
| 語彙を覚える | できる(効率的) | — |
| 文法を理解する | できる(効率的) | — |
| 音声を聞く | できる | — |
| 発音を練習する | できる | — |
| 実際に使って通じる経験 | 限定的 | できる |
| 間違いをその場で直される | 限定的 | できる |
| 生活の中で使う | できない | できる |
| 予想外の会話 | できない | できる |
この表の上半分を日本で済ませ、下半分に現地の時間を使う。これが最も合理的な配分です。
02準備しないと何が起きるか
具体的に想像してみてください。準備せずに到着した場合の最初の3日間です。
| 場面 | 準備なしの場合 | 準備ありの場合 |
|---|---|---|
| 空港・入国 | 質問が聞き取れず固まる | 想定問答で対応できる |
| 滞在先で挨拶 | 名前を言うだけで終わる | 自己紹介ができる |
| レベル分けテスト | 話せず、実力より低く出る | 持っている力を出せる |
| 初日のクラス | 自己紹介で詰まる | スムーズに入れる |
| クラスメイトとの会話 | 話しかけられても返せない | 会話が続く |
| 買い物 | 指差しで済ませる | 短くても英語で頼める |
| わからないとき | 黙る | 聞き返せる |
問題は、最初の数日の印象がその後を左右することです。
初日に自己紹介で詰まると、「話せない人」として扱われます。すると話しかけられる回数が減り、会話の機会も減る。悪循環が始まります。
逆に、初日に落ち着いて自己紹介できると、「話せる人」として輪に入れます。会話が生まれ、練習の機会が増える。
実力の差ではなく、準備の差でこの分岐が起きます。そして数週間の留学では、この最初の分岐が結果をほぼ決めてしまいます。
03優先順位を先に決める
時間は限られています。全部やろうとすると、何も終わりません。
優先順位を明示します。
| 順 | やること | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | 自己紹介を作って暗記 | 到着後に何十回も使う |
| 2 | 聞き返し・質問の表現 | これがないと会話が止まる |
| 3 | 場面別の表現(買い物・移動・体調) | 生活が回る |
| 4 | リスニングの量を増やす | 耳を慣らす |
| 5 | 話す練習(オンライン英会話など) | 抵抗を先に減らす |
| 6 | 語彙を増やす(使う範囲で) | 材料を補充 |
| 7 | 文法の確認(基本のみ) | 崩れやすい部分だけ |
1と2は必須です。ここだけでも1週間で終わります。時間がない人は、これだけでもやってください。
3以降は、時間がある分だけ足していくという考え方で構いません。
順番が重要な理由は、効果が出るまでの時間が違うからです。自己紹介の暗記は数日で効果が出ますが、語彙を増やす効果が出るには数ヶ月かかります。短期間なら、即効性のあるものから手をつけるべきです。
04最優先①自己紹介を作る
最も投資対効果が高い準備です。理由は、使う回数が圧倒的に多いから。
到着後、次のような場面で自己紹介をします。
- 滞在先の人に:初日
- 学校の受付・スタッフに:初日
- クラスで全員の前で:初日
- クラスメイト一人ひとりに:何度も
- 講師に:コマが変わるたび
- 新しく来た学生に:滞在中ずっと
- アクティビティや外出先で
短期間でも何十回します。ここで毎回詰まるのと、毎回スムーズに話せるのとでは、過ごし方がまったく変わります。
作り方を示します。3つの長さを用意してください。
| 長さ | 内容 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 10秒版 | 名前、国、学生であること | すれ違いざま、簡単な挨拶 |
| 30秒版 | 上記+専攻、滞在期間、留学の目的 | 最も使う |
| 1分版 | 上記+趣味、日本のこと、質問を返す | クラスでの自己紹介 |
作るときのポイントを挙げます。
① 簡単な文にする。難しい構文を使わないでください。短い文を並べるほうが、詰まりません。
② 自分の言葉にする。例文をそのまま覚えるのではなく、自分の状況に合わせて書き換える。そうしないと、少し違う質問をされた瞬間に崩れます。
③ 質問を1つ用意する。自己紹介の最後に、相手への質問を添えてください。会話が続きます。「あなたはどこから来たのですか」「ここに来てどれくらいですか」——このひと言があるだけで、印象が変わります。
④ 声に出して覚える。読んで覚えるのではなく、口に出して覚える。実際に使うのは口です。20回ほど声に出せば、詰まらなくなります。
⑤ 想定質問への答えも用意する。「なぜここを選んだの」「日本のどこ出身」「何を勉強しているの」——よく聞かれることには、答えを準備しておいてください。
05最優先②聞き返しの表現
2つ目の必須項目。これがないと、会話が一度止まったら終わります。
実際に起きることを想像してください。相手が何か言った。聞き取れなかった。——このとき、どうするか。
準備していないと、笑ってごまかすか、黙ります。そして会話が終わる。相手も気まずくなり、次から話しかけにくくなる。
聞き返せれば、会話は続きます。そして、もう一度聞けば理解できることが多い。
用意すべき表現の種類を挙げます。それぞれ1〜2個ずつ、確実に口から出るようにしてください。
特に重要なのが「言い方を尋ねる」表現です。
これが使えると、会話そのものが学習になります。言いたいことがあるが単語がわからない——そこで「これは英語で何と言いますか」と聞ける。その場で覚えた単語は、強く定着します。
もうひとつ、相槌も軽視しないでください。無言で聞いていると、相手は「伝わっていない」と感じます。短い相槌が入るだけで、会話のテンポが変わります。
これらは全部で10個程度です。1週間あれば覚えられます。そして、留学中ずっと使い続けます。
06場面別の表現を用意する
3番目の優先項目です。生活に必要な場面に絞って準備してください。
| 場面 | 用意すること | 優先度 |
|---|---|---|
| 入国審査 | 滞在目的、期間、滞在先の説明 | 高 |
| 買い物 | 値段を聞く、支払い、袋の要否 | 高 |
| 飲食店 | 注文、持ち帰り、会計 | 高 |
| 移動 | 道を尋ねる、乗り物の乗り方 | 高 |
| 体調不良 | 症状を伝える、薬を頼む | 高 |
| 学校 | クラス変更の相談、質問 | 中 |
| 滞在先 | 設備の使い方、要望を伝える | 中 |
| 雑談 | 天気、週末の予定、出身地の話 | 中 |
「体調不良」を高優先にしている理由を説明します。
体調を崩したとき、症状を伝えられないと適切な対応を受けられません。しかも、そういうときほど余裕がない。事前に用意しておく価値が高い場面です。
頭が痛い、お腹が痛い、熱がある、喉が痛い、いつから、どれくらい——基本的な表現だけでも押さえておいてください。
「入国審査」も準備しておくと安心です。緊張する場面ですし、ここでうまく答えられないと、最初から気持ちが折れます。滞在目的、期間、滞在先——聞かれることはだいたい決まっています。
07語彙は「使う範囲」に絞る
語彙について、はっきり書きます。単語帳を最初から最後まで覚える必要はありません。
理由は2つ。
① 時間が足りない。3ヶ月で数千語を覚えるのは現実的ではありませんし、覚えても使わなければ忘れます。
② 使う語彙は限られている。日常会話で使われる語は、思ったより狭い範囲です。難しい単語より、簡単な語を使いこなすほうが実用的です。
| 優先して覚える | 後回しでいい |
|---|---|
| 身の回りのもの(食べ物、日用品、体の部位) | 抽象的な概念語 |
| よく使う動詞(15〜20語を使いこなす) | 難しい類義語 |
| 自分の専攻・趣味の語 | 専門外の分野の語 |
| 数字・時間・曜日 | — |
| 感情・状態を表す形容詞 | 細かいニュアンスの違い |
| — | 試験用の難単語 |
「よく使う動詞を使いこなす」が特に効きます。
基本的な動詞は、組み合わせ次第で非常に広い意味を表せます。難しい単語を1つ覚えるより、簡単な動詞の使い方を広げるほうが、話せる範囲が増えます。
そして、自分の専攻と趣味の語彙は必ず用意してください。自己紹介で必ず話す内容だからです。「経済学を勉強しています」「サッカーをしています」——ここが言えないと、会話が止まります。
数字も軽視しないでください。値段、時間、日付。聞き取れないと生活で困ります。そして、意外に苦手な人が多い領域です。
08文法は完璧を目指さない
文法についても、はっきり書きます。完璧を目指す必要はありません。
理由は、会話では文法の細かい正確さが必須ではないからです。時制が多少ずれても、冠詞が抜けても、伝わります。
それより問題なのは、正しく話そうとして口が止まることです。完璧な文を作ろうとして黙るくらいなら、多少崩れても話すほうがいい。
ただし、押さえておくと会話が回りやすい基本はあります。
- 時制の基本:過去・現在・未来を言い分ける
- 疑問文の作り方:質問できないと会話が一方通行
- 否定の作り方:「できない」「持っていない」を言う
- 助動詞の基本:依頼、許可、可能を表す
- 比較の基本:「もっと」「いちばん」
- 接続の言葉:文をつなぐ
特に「疑問文の作り方」は重要です。質問できないと、会話が一方通行になります。聞かれたことに答えるだけでは、続きません。
逆に、細かい文法事項に時間を使わないでください。仮定法の複雑な形、時制の一致の例外——これらは会話ではほとんど問題になりません。
優先すべきは「使える形で持っていること」です。知識として知っていても、口から出なければ意味がない。基本の形を、声に出して練習してください。
09リスニングの始め方
リスニングは時間がかかる領域です。だからこそ、早く始めるほど効きます。
始め方のポイントを挙げます。
「7〜8割わかる素材から」が重要です。まったくわからない素材を聞き続けても、音として流れるだけで効果が薄い。
逆に、ほぼわかる素材だと負荷が足りません。「少し難しいが、追える」くらいが適切です。
「同じ素材を繰り返す」のも効果的です。1回目で6割、2回目で8割、3回目でほぼ全部——この過程で音と意味が結びつきます。新しい素材を次々に聞くより、定着します。
スクリプトの確認を必ずしてください。聞き取れなかった箇所を目で見ると、「知っている単語なのに聞き取れなかった」ことに気づきます。それが自分の課題です。
そして、会話形式の素材を選んでください。ニュースや講義より、日常会話のほうが留学で使う場面に近い。
10発音は「通じる」ラインでいい
発音を気にする人は多いですが、目標を正しく設定してください。
目指すべきは「ネイティブのような発音」ではなく「通じる発音」です。
アクセントの位置が最も実用的です。位置がずれると、正しい音でも通じないことがあります。逆に、多少音が崩れてもアクセントが合っていれば通じやすい。
「速く話そうとしない」のも重要です。速く話すと崩れて通じません。ゆっくりはっきり話すほうが、結果的にスムーズです。
そして、発音の完璧さを理由に話さないのは本末転倒です。通じればいい——この割り切りが、話す量を確保します。
11話す練習をどう確保するか
準備で最も難しいのが「話す練習」です。日本にいると、相手がいません。
現実的な選択肢を挙げます。
| 方法 | 特徴 | 費用 |
|---|---|---|
| オンライン英会話 | 相手がいる。最も効率的 | かかる |
| 大学の国際交流の場 | 留学生と話せる | 無料のことが多い |
| 言語交換 | 相手も日本語を学びたい人 | 無料 |
| 独り言で話す | 相手はいないが口は動く | 無料 |
| 音読・シャドーイング | 発話の基礎練習 | 無料 |
| 録音して聞き返す | 自分の課題が見える | 無料 |
オンライン英会話が最も効率的です。相手がいて、間違いを直してもらえる。渡航前の数ヶ月だけでも、効果は大きい。
大学の国際交流の場は見落とされがちです。留学生と交流できる仕組みを持つ大学は多く、無料で話す機会が得られます。しかも、同世代の学生と話せる。窓口に聞いてみてください。
「独り言」も馬鹿にできません。今日あったことを英語で言ってみる、目に入ったものを描写してみる。相手はいませんが、口は動きます。そして「言えない」ことに気づけます。
重要なのは、渡航前に「英語で口を動かす」経験を持っておくことです。日本で一度もやったことがない状態で現地に行くと、抵抗が消えるまでに数日かかります。その数日が、短期留学では大きい。
12練習方法の使い分け
練習法はいろいろありますが、目的が違います。使い分けてください。
| 方法 | 効くもの | やり方 |
|---|---|---|
| 音読 | 発音、リズム、口の慣れ | スクリプトを見ながら声に出す |
| シャドーイング | 聞き取りと発話の連携 | 音声を追いかけて同時に言う |
| 暗唱 | 表現の定着 | 短い文を覚えて言えるように |
| 瞬間的な英作文 | 反応速度 | 日本語を見てすぐ英語にする |
| 独り言 | 自由な発話 | 自分の言葉で話してみる |
| ディクテーション | 細かい聞き取り | 聞いて書き取る |
渡航前に特に効くのは「瞬間的な英作文」です。日本語の文を見て、すぐ英語にする。反応速度の練習になります。
会話で困るのは、知識がないことより、出てくるのが遅いことです。この練習は、そこに直接効きます。
シャドーイングも有効ですが、難しすぎる素材でやらないでください。追いつけない素材でやっても効果が薄い。意味がわかる素材で行ってください。
そして、全部やろうとしないこと。1〜2種類に絞って続けるほうが、いろいろ手を出して続かないより効果があります。
133ヶ月のスケジュール
3ヶ月ある場合の配分を示します。1日30分〜1時間を想定しています。
| 時期 | 主な内容 | 目標 |
|---|---|---|
| 3ヶ月前(1〜2週目) | リスニングを習慣化。基本文法の確認 | 毎日聞く習慣を作る |
| 3ヶ月前(3〜4週目) | よく使う動詞・身の回りの語彙 | 使う範囲の語彙を固める |
| 2ヶ月前 | 話す練習を開始(オンライン英会話など) | 口を動かすことに慣れる |
| 2ヶ月前 | 瞬間的な英作文 | 反応速度を上げる |
| 1ヶ月前 | 自己紹介を作って暗記 | 詰まらずに話せる |
| 1ヶ月前 | 聞き返し・質問の表現 | 口から自然に出る |
| 2週間前 | 場面別の表現(買い物・移動・体調) | 生活が回る準備 |
| 1週間前 | 到着直後の想定問答。復習 | 不安を減らす |
注目してほしいのが、自己紹介と聞き返しを「1ヶ月前」に置いていることです。
理由は、直前に覚えたほうが忘れないから。3ヶ月前に覚えても、使わなければ薄れます。渡航直前に集中して仕上げるのが効率的です。
逆に、リスニングと話す練習は早く始めるべきです。効果が出るまでに時間がかかるためです。
141ヶ月しかない場合
時間がない場合の圧縮版です。優先順位に従って削ります。
1週間しかない場合は、さらに絞ってください。
- 自己紹介(30秒版)を暗記する:これだけは必ず
- 聞き返しの表現を3つ覚える:もう一度/ゆっくり/意味は
- 入国審査の想定問答:目的・期間・滞在先
- 体調不良の表現:数個でいい
これなら数時間で終わります。そして、やるとやらないでは大違いです。
「準備する時間がなかった」という人ほど、この最小限だけでもやってください。費用をかけて行くのですから、数時間の投資は確実に回収できます。
15やらなくていいこと
限られた時間を守るため、やらなくていいことも明示します。
「教材を何冊も買わない」は、意外に大事です。
準備を始めると、不安から教材を買い集めがちです。しかし、複数を並行すると、どれも中途半端になります。1冊を3周するほうが定着します。
また、試験対策は目的が違います。スコアが必要なら別途やるべきですが、「留学の準備」としては優先度が低い。会話に直結しないためです。
16到着直後に使う表現
渡航直前に確認しておきたい、到着直後の場面を挙げます。
滞在先の住所と学校名は、紙に印刷して持っていってください。入国審査で聞かれることがありますし、口頭で伝えるのが難しい場合もあります。見せれば済みます。
同様に、緊急連絡先も紙で持ってください。スマホが使えない状況を想定しておく必要があります。
滞在先での最初の会話は、その後の関係を左右します。自己紹介と、簡単なお礼の言葉を用意しておくと、印象がまったく違います。
17学校の初日に必要なこと
学校の初日も、準備しておくと落ち着いて臨めます。
レベル分けテストの「話す部分」は、多くの人が実力を出せずに終わります。緊張と、話し慣れていないことが原因です。
準備しておけば、持っている力を出せます。そして、適切なクラスに入れる。実力より低いクラスに入ると、時間を無駄にします。
ただし、前述したとおり低いクラスが必ずしも悪いわけではありません。発言しやすいクラスから始めて、早く上げるという考え方もあります。合わないと感じたら学校に相談してください。
クラスメイトへの質問を2〜3個用意しておくのも有効です。「どこから来たの」「どれくらいいるの」「何を勉強しているの」——この3つがあれば、会話が始まります。
18続かないときの対処
準備が続かないのは、よくあることです。対処法を挙げます。
「ゼロにしない」ことが最も重要です。1日10分でも続けるほうが、週末に2時間まとめてやるより効きます。
語学は頻度が効く領域です。毎日触れることで、間隔が空いて忘れるのを防げます。
「オンライン英会話で強制力を作る」のも実務的です。予約を入れておけば、その時間は必ず英語を話します。自分の意志だけに頼らない仕組みを作る。
そして、渡航日を意識してください。「あと30日で現地に行く」——この事実は、強い動機になります。カレンダーに書いておくと効果的です。
19準備の成果を測る
準備の効果を確認する方法を挙げます。感覚ではなく事実で確認してください。
自己紹介の録音が最も手軽で効果的です。準備を始めた日と、渡航前日に録音して聞き比べる。詰まる回数と所要時間で、変化が明確にわかります。
そして、この録音は現地でも使えます。渡航初日、1ヶ月後、帰国前に同じことをすれば、留学中の変化も測れます。
準備の段階から記録を残しておくと、「渡航前→留学中→帰国後」の一連の変化が見えます。これは就活で語る材料にもなります。
20よくある質問
渡航前の英語準備は本当に必要ですか?
必要です。現地でしかできないのは「使うこと」だけで、単語を覚えるのも文法を確認するのも日本のほうが安く効率的にできます。それを現地でやるのは、高い費用を払って基礎練習をしているのと同じです。また留学で伸びるのは「使う力」なので、使う材料がなければ使いようがありません。
時間がありません。最低限何をすべきですか?
2つです。①自己紹介を作って暗記する ②聞き返し・質問の表現を口に出せるようにする。この2つだけなら1週間、最低限に絞れば数時間で終わります。この2つができていないと到着直後の数日が沈黙で消え、「話せない人」として扱われて会話の機会が減る悪循環になります。
なぜ自己紹介が最優先なのですか?
使う回数が圧倒的に多いからです。滞在先、学校の受付、クラス全体、クラスメイト一人ひとり、講師、新しく来た学生——短期間でも何十回します。ここで毎回詰まるのと毎回スムーズに話せるのとでは、過ごし方がまったく変わります。10秒版・30秒版・1分版の3つを用意してください。
聞き返しの表現はなぜ重要ですか?
これがないと、聞き取れなかった瞬間に会話が終わるからです。準備していないと笑ってごまかすか黙ることになり、相手も次から話しかけにくくなります。聞き返せれば会話は続きますし、もう一度聞けば理解できることが多い。特に「これは英語で何と言いますか」が使えると、会話そのものが学習になります。
単語帳は全部覚えるべきですか?
その必要はありません。3ヶ月で数千語は現実的でなく、覚えても使わなければ忘れます。優先すべきは身の回りのもの、よく使う動詞(15〜20語を使いこなす)、自分の専攻と趣味の語、数字・時間・曜日です。難しい単語を1つ覚えるより、簡単な動詞の使い方を広げるほうが話せる範囲が増えます。
文法はどこまでやるべきですか?
完璧を目指す必要はありません。会話では時制が多少ずれても冠詞が抜けても伝わります。それより問題なのは、正しく話そうとして口が止まることです。押さえるべきは時制の基本、疑問文の作り方、否定、助動詞、比較程度。特に疑問文は、質問できないと会話が一方通行になるので重要です。
発音は練習すべきですか?
「ネイティブのような発音」ではなく「通じる発音」を目指してください。最も実用的なのは単語のアクセントの位置で、位置がずれると正しい音でも通じないことがあります。また速く話そうとしないでください。速く話すと崩れて通じません。ゆっくりはっきりのほうが結果的にスムーズです。
日本で話す練習はどうすればいいですか?
オンライン英会話が最も効率的ですが、大学の国際交流の場も見落とさないでください。留学生と交流できる仕組みを持つ大学は多く、無料で同世代と話せます。費用をかけたくないなら「独り言」も有効です。今日あったことを英語で言ってみるだけでも、口が動き「言えない」ことに気づけます。
やらなくていいことはありますか?
単語帳の総ざらい、難しい文法の完璧化、試験対策(スコアが必要な場合を除く)、発音の完璧化、長文読解、そして教材を何冊も買うことです。特に教材は、不安から買い集めがちですが、複数を並行するとどれも中途半端になります。1冊を3周するほうが定着します。
準備が続きません。
1日10分に減らしてでもゼロにしないでください。語学は頻度が効くので、毎日10分のほうが週末に2時間まとめるより効きます。何をやるか迷うなら優先順位の1〜2だけに絞る。教材が難しいならレベルを下げる。一人で続かないならオンライン英会話の予約で強制力を作る。そして渡航日をカレンダーに書いてください。
21まとめ|材料を持って行く
渡航前に絶対にやるべきは2つ。①自己紹介を作って暗記する ②聞き返し・質問の表現を口に出せるようにする。
この2つができていないと、到着直後の数日が沈黙で消えます。そして「話せない人」として扱われ、会話の機会が減る。実力の差ではなく、準備の差でこの分岐が起きます。
余裕があれば、③場面別の表現 ④リスニングの量 ⑤話す練習の順に足してください。
逆に、単語帳の総ざらいと難しい文法の完璧化は不要です。時間がかかるうえ、会話では使いません。教材も1冊を繰り返すほうが定着します。
基本の考え方は「日本でできることは日本で済ませ、現地の時間は使うことに充てる」。単語も文法もリスニングも日本でできます。現地でしかできないのは、実際に使って通じる経験だけです。
時間がないなら、数時間でもいい。自己紹介と聞き返しの表現だけでも、確実に回収できます。