参考文献の書き方|引用の作法と代表的な書式
出典を示す目的は、①他人の成果を明示する ②読み手が検証できるようにする ③自分の議論の根拠を示すの3つです。引用にはそのまま使う直接引用と要約して使う間接引用があり、どちらも出典が必要です。本文中では著者名と年、必要ならページを示し、末尾の文献リストに詳細を記載します。書式は分野によって違うので、指定があればそれに従い、なければ一つの方式を選んで最後まで統一してください。…
「参考文献はどう書けばいいですか」——大学で最も多い質問のひとつです。
そして、最も減点されやすい部分でもあります。内容が良くても、出典の書き方が不十分だと評価が下がる。場合によっては、不正行為として扱われることもあります。
難しく感じる理由は、書式が一つに決まっていないことにあります。分野によって、大学によって、科目によって形式が違う。だから「正解」を探しても見つかりません。
この記事では、なぜ出典が必要か、引用の2つの方法、本文での示し方、文献リストの書き方、資料の種類ごとの記載、そして書式が分からないときの対処を整理します。
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1 / 701なぜ出典が必要か
3つの理由があります。
出典を示す最大の理由は、どこまでが他人の考えで、どこからが自分の考えかを区別することです。これがないと、他人の成果を自分のものとして扱うことになります。
二つ目が検証可能性です。読み手が元の資料にあたって確認できる状態にすることで、議論が成立します。
三つ目が根拠の提示です。「専門家の○○によればこうである」と示せば、自分の主張に裏づけができます。出典は、レポートを弱くするのではなく強くするものです。
出典を示す習慣は、学年が上がるほど重要になります。卒業論文では、参考文献の扱いが評価の一部として明確に見られます。1年生のうちに身につけておいてください。
出典を示すことは、先行する研究への敬意を示す行為でもあります。学術的な議論は、他者の成果の上に積み上げられています。自分の議論がどこに位置づくかを示す意味もあります。
02出典が必要な場面
迷ったら示してください。
出典が必要なのは、他人の文章・考え・データを使うすべての場合です。そのまま引用したときだけでなく、要約したときも必要です。
誤解が多いのが「自分の言葉に書き換えれば出典は不要」という考えです。これは間違いで、考えの出所が他人なら出典が必要です。
一般的に知られた事実(誰でも知っている歴史的事実など)には不要とされますが、判断に迷ったら示してください。示しすぎて問題になることはありません。
判断に迷ったときは、示す方を選んでください。示しすぎて問題になることはなく、示さなかったことだけが問題になります。
一般的に知られた事実かどうかの判断は、分野によって変わります。自分の分野で常識とされることでも、他分野では説明が必要なことがあります。迷ったら示してください。
示すべきか迷った経験は、記録しておくと次に活かせます。
03引用の2つの方法
直接引用と間接引用です。
| 方法 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 直接引用 | 原文をそのまま使う | 必要 |
| 間接引用 | 要約・言い換えて使う | 必要 |
引用には2つの方法があります。原文をそのまま使う直接引用と、内容を要約して自分の言葉で書く間接引用です。
どちらも出典が必要です。間接引用だからといって省略することはできません。
使い分けの目安は、言葉そのものが重要なら直接引用、内容だけ伝えればよいなら間接引用です。定義や特徴的な表現は直接、議論の要旨は間接で示すことが多くなります。
どちらの方法を使うかは、文章の流れでも決まります。原文の表現が議論に必要なら直接、内容だけでよいなら間接です。
引用の方法を意識して使い分けると、文章にめりはりが出ます。すべてを直接引用にすると読みにくく、すべてを間接引用にすると原文の力が伝わりません。
どちらの方法でも、出典が必要という点は変わりません。
04直接引用の書き方
原文を変えずに示します。
直接引用では、引用部分がどこからどこまでかを明示します。短い引用はかぎ括弧で囲み、長い引用は改行して字下げするのが一般的です。
重要なのが、原文を変えないことです。表記を変えたり、一部の言葉を入れ替えたりしてはいけません。
途中を省略する場合は、省略したことを示す記号を使います。分野によって記号が異なるので、教科書や論文の例を確認してください。
直接引用を多用すると、自分の文章が少なくなります。本当に必要な箇所に絞ってください。
引用した部分と自分の文章の境目が曖昧だと、どこまでが引用か分かりません。記号で明確に区切ってください。
引用の前後には、なぜその引用が必要かを示す文を置いてください。唐突に引用が現れると、議論とのつながりが分かりません。
05間接引用の書き方
要約しても出典は必要です。
間接引用は、他人の考えを自分の言葉で要約して示す方法です。レポートでは、こちらの方が多く使われます。
注意点は、原文をわずかに変えただけでは間接引用になりません。語順を入れ替えたり、一部の語を類語に置き換えたりしただけでは、実質的に直接引用と同じです。
また、どこまでが引用の範囲かを明確にしてください。「○○(2020)は、〜と述べている」という形にすれば、範囲が分かります。
間接引用でまとめる作業は、内容の理解が前提になります。理解できていないと、正確に要約できません。
要約するときは、元の主張を歪めないよう注意してください。都合よく解釈すると、誤った引用になります。
要約の精度は、レポートの質にも関わります。正確にまとめられていれば、理解の深さも伝わります。
06本文での示し方
2つの方式があります。
本文中で出典を示す方式には、大きく2つあります。著者名と年を括弧で示す方式と、注番号を付けて脚注や文末に詳細を書く方式です。
どちらを使うかは分野によって慣習が異なります。指定がある場合はそれに従い、なければ自分の分野で一般的な方を選んでください。
- 直接引用の場合は、ページ番号も示すのが原則です。読み手が該当箇所を確認できるようにするためです。
- 本文での示し方を統一しておくと、読み手が混乱しません。途中で方式を変えないでください。
- 脚注を使う方式では、注番号の付け方にも規則があります。文の途中か末尾か、書式によって異なります。
- 本文での示し方は、分野の論文を見ると実例が分かります。教科書の記述も参考になります。
07文献リストの役割
末尾にまとめて記載します。
文献リストは、レポートの末尾にまとめて記載します。本文中の略記だけでは資料を特定できないため、詳細をここに書きます。
原則として、本文で言及した資料だけを載せます。読んだけれど使わなかった資料は、「参考文献」に含めない方式が一般的です(分野によって扱いが異なります)。
逆に、本文で使ったのにリストにないのは不備です。書き終えたら、本文とリストを照合してください。
文献リストは、レポートの信頼性を示す部分でもあります。どれだけの資料にあたったかが見えます。
リストの分量は、レポートの規模に応じて変わります。2000字のレポートで20点の文献を挙げるのは不自然ですし、逆に1点だけでは根拠が薄いと判断されます。
08記載する基本項目
資料を特定できる情報です。
文献リストに記載する目的は、読み手がその資料を探せるようにすることです。そのために必要な情報が、上の項目です。
書式が分からなくても、この情報が揃っていれば資料は特定できます。順序や句読点の使い方は書式によって違いますが、項目自体は共通しています。
逆に、項目が欠けていると資料を特定できません。著者名だけ、書名だけでは不十分です。
項目が揃っているかは、書き終えてから確認してください。一つでも欠けると、資料を特定できなくなります。
発行年が分からない資料もあります。その場合の表記方法も、書式によって定められています。
項目が揃っていれば、書式が多少違っても資料は特定できます。
09書籍の書き方
基本の形です。
書籍の場合、著者名・発行年・書名・出版社が基本項目です。順序は書式によって変わりますが、この4つは共通します。
書名は、表紙ではなく奥付(本の最後にある発行情報)で確認するのが確実です。表紙とサブタイトルの扱いが異なることがあります。
版が複数ある場合は、使用した版を記載してください。版によって内容が異なることがあるためです。
同じ著者の複数の著作を引用する場合は、区別できる形で記載してください。年が同じなら記号を添える方式もあります。
書籍の情報は、図書館のデータベースでも確認できます。手元に本がなくても調べられます。
10論文の書き方
掲載誌の情報が加わります。
論文の場合、書籍の項目に加えて掲載誌名・巻号・ページが必要です。これがないと、どの雑誌のどこに載っているか分かりません。
論文名と掲載誌名は、記号で区別するのが一般的です(論文名をかぎ括弧、誌名を二重かぎ括弧にするなど)。方式は書式によります。
電子で入手した論文にも、元の掲載情報があることがほとんどです。データベースの画面に表示されているので、そこから転記してください。
論文は、書籍より新しい議論を扱っていることが多いものです。最新の研究に触れたいときは、論文を探してください。
論文を探すときは、図書館のデータベースが使えます。学内からアクセスできるものが多いので、一度使い方を確認しておいてください。
論文の情報は、掲載誌のウェブサイトでも確認できます。紙で読んだ場合も、書誌情報を調べられます。
11ウェブサイトの書き方
閲覧日が必要です。
ウェブサイトを参照した場合、閲覧日を記載するのが特徴です。内容が変更・削除されることがあるため、いつ時点の情報かを示す必要があります。
注意したいのが、発信者が明確な資料を選ぶことです。誰が書いたか分からないサイトは、根拠として弱くなります。
公的機関や学術機関の情報は比較的信頼できますが、まず書籍や論文を探すのが基本です。ウェブサイトだけを根拠にしたレポートは、評価が低くなりがちです。
ウェブサイトの情報は、変更や削除の可能性があります。重要な資料は、内容を控えておくと安心です。
サイトの構成が変わって、参照した情報が見つからなくなることもあります。だからこそ閲覧日が必要になります。
12統計・公的資料
作成機関を明記します。
統計や公的資料を使う場合、作成機関と対象年が特に重要です。同じ調査でも年によって結果が違うため、いつのデータかが分からないと検証できません。
数値を引用するときは、元の資料にあたってください。二次的に紹介された数値をそのまま使うと、誤りが混入することがあります。
やむを得ず二次資料から引く場合は、そのことを明記します。「○○(2020)が引用する△△の調査によれば」という形です。
統計は、調査の方法によって数値が変わります。何をどう調べた数字かも確認してください。
公的な統計は、定期的に更新されます。最新のものを使うか、特定の年次を使うかを意識してください。
13翻訳書・共著
追加の情報が必要です。
翻訳書の場合、訳者名を記載します。原著の情報も併記する方式が一般的です。
共著の場合、著者が多いときの省略の規則が書式ごとに決まっています。「3名までは全員、4名以上は最初の1名と『ほか』」といった形です。
論文集に収録された章を引用する場合は、その章のタイトルと、収録書籍の情報の両方が必要です。
翻訳書を引用する場合、訳語が翻訳者の解釈を含むことがあります。重要な概念は原著も確認できると理想的です。
14授業資料の扱い
担当教員に確認してください。
授業の配布資料を引用してよいかは、科目によって扱いが異なります。公開されていない資料なので、読み手が検証できないという問題があります。
望ましいのは、資料が参照している元の文献にあたることです。配布資料に出典が書かれていれば、そちらを引用してください。
判断に迷う場合は、担当教員に確認してください。「授業資料を引用してよいか」という質問は自然なものです。
- 配布資料に出典が書かれていない場合は、担当教員に元の文献を尋ねることもできます。
- 授業資料を引用する場合でも、出典の記載は必要です。引用してよいかと、出典が必要かは別の問題です。
- 資料の扱いに迷ったら、使わないという選択もあります。
15並べる順序
規則に従って並べます。
文献リストの並べ方にも規則があります。著者名順か本文での引用順が一般的です。
どちらにするかは書式によりますが、一つの方式で統一してください。混在していると、読み手が探せません。
- 和文と欧文の文献が混在する場合、分けて並べる方式もあります。これも書式の指定に従ってください。
- 並べ方が決まっていると、追加するときも迷いません。最初に規則を決めてください。
- 文献が多い場合は、並べる作業にも時間がかかります。書きながら少しずつ整理しておくと楽です。
16書式が分からないとき
確認する順序があります。
- 1課題の指示
- 2シラバス
- 3担当教員に質問
- 4その分野の論文を見る
- 5図書館で相談
書式が分からないときは、この順序で確認してください。課題の指示とシラバスに書かれていることが多くあります。
指定がない場合は、その分野の論文を見るのが有効です。教科書の参考文献一覧も参考になります。分野で一般的な形式が分かります。
それでも分からなければ、担当教員に聞くか図書館で相談してください。「どの書式で書けばよいか」という質問は、誰にとっても自然なものです。
書式の資料は図書館にあります。分野ごとの手引きが用意されていることも多いので、一度探してみてください。
分野の論文を見る方法は、書式を知る最も実用的な手段です。実際に使われている形が分かります。
書式を一度覚えておくと、その後のレポートでも使えます。最初に時間をかける価値があります。
17統一することの重要性
形式より一貫性です。
書式に唯一の正解はありませんが、一貫していることは必ず求められます。文献ごとに形式が違うと、不注意な印象を与えます。
最初に一つの方式を決めて、最後まで同じ形で書いてください。記号の使い方、項目の順序——すべて揃えます。
- 迷ったときは、「読み手がこの資料を探せるか」を基準にしてください。それが出典の目的です。
- 統一されているかは、リストを通して読むと確認できます。形が違う行があれば目に留まります。
- 統一の作業は、書き終えた後にまとめて行うと効率的です。書きながら整えると、内容に集中できません。
18文献の管理方法
読むときに記録します。
文献情報は、読むときに記録しておくのが鉄則です。後からまとめて探すと、どの本のどこだったか分からなくなります。
特にページ番号は、その場で控えてください。引用した箇所を後から探すのは、非常に時間がかかります。
図書館の本は返却してしまうと確認できません。奥付を撮影しておくと、後から情報を確認できます。図書館の使い方は大学図書館の使い方|貸出・取り寄せ・学習スペースの活用で扱っています。
- 文献の情報は、表計算などで一覧にしておくと管理しやすくなります。卒業論文まで使えます。
- 記録する項目は、最初に決めておいてください。後から追加すると、以前の分を調べ直すことになります。
- 管理の方法は、自分が続けられるものを選んでください。凝った仕組みより、簡単で続くものが有効です。
19よくある不備
提出前に確認してください。
最も多い不備が、本文とリストの不一致です。書き終えたら、必ず照合してください。
そして最も重大なのが、間接引用に出典がないことです。自分の言葉に書き換えたから不要だと思い込むと、不正行為として扱われる可能性があります。
提出前の確認は5分で済みます。この5分を惜しまないでください。詳しくは引用と剽窃(コピペ)の境界線|処分されないためのルールでも扱っています。
不備の多くは、確認すれば防げるものです。時間をかけて書いた内容を、確認漏れで損なわないでください。
照合の作業は、印刷して行うと見落としが減ります。画面上では確認しにくいものです。
不備を防ぐには、確認する項目を決めておくことが有効です。
20相談できる窓口
聞けば教えてもらえます。
書式について最も詳しいのは、図書館です。各分野の書式の資料を持っていることが多く、具体的に教えてもらえます。
科目ごとの指定は、担当教員に確認してください。判断に迷う資料の扱いも相談できます。
ゼミに所属しているなら、指導教員に分野の慣習を聞くのが確実です。卒業論文でも同じ書式を使うことになります。
相談するときは、実際に引用したい資料を持っていくと具体的に教えてもらえます。
相談の機会は、学期の早い段階に使ってください。
21よくある質問
自分の言葉に書き換えれば出典は不要ですか?
必要です。考えの出所が他人なら、要約しても出典が必要です。これは最も多い誤解で、出典を示さないと不正行為として扱われる可能性があります。直接引用でも間接引用でも、出典は必須です。
書式が分かりません。
①課題の指示 ②シラバス ③担当教員に質問 ④その分野の論文を見る ⑤図書館で相談、の順で確認してください。書式は分野や科目によって違うため、唯一の正解はありません。指定がなければ一つの方式を選び、最後まで統一してください。
何を記載すればいいですか?
著者名・発行年・タイトル・出版社(論文なら掲載誌名・巻号・ページ)が基本です。目的は読み手がその資料を探せるようにすることなので、この情報が揃っていれば特定できます。
ウェブサイトはどう書きますか?
発信者、ページのタイトル、サイト名、所在を示す情報に加えて、閲覧日を記載します。内容が変更・削除されることがあるためです。ただし、まず書籍や論文を探すのが基本で、ウェブサイトだけを根拠にしたレポートは評価が低くなりがちです。
授業の配布資料は引用できますか?
科目によって扱いが異なります。公開されていない資料なので、読み手が検証できないという問題があります。望ましいのは、資料が参照している元の文献にあたることです。判断に迷う場合は担当教員に確認してください。
読んだけれど使わなかった資料も載せますか?
原則として、本文で言及した資料だけを載せます(分野によって扱いが異なります)。逆に、本文で使ったのにリストにないのは不備なので、書き終えたら本文とリストを照合してください。
ページ番号は必要ですか?
直接引用の場合は原則として必要です。読み手が該当箇所を確認できるようにするためです。間接引用でも、特定の箇所を参照した場合はページを示すのが丁寧です。
統計の数値はどう引用しますか?
作成機関と対象年を明記してください。同じ調査でも年によって結果が違うためです。数値は元の資料にあたって確認し、やむを得ず二次資料から引く場合は「○○が引用する△△の調査によれば」とその旨を明記します。
文献情報を後からまとめようとすると大変です。
読むときに記録するのが鉄則です。特にページ番号はその場で控えてください。図書館の本は返却すると確認できないので、奥付を撮影しておくと後から情報を確認できます。
書式が完璧でないと減点されますか?
書式の細部より、出典を示すこと自体が重要です。ただし一貫性は必ず求められるので、一つの方式を選んで最後まで統一してください。迷ったら「読み手がこの資料を探せるか」を基準に判断してください。
22まとめ|示すこと自体が最も重要
出典の目的は3つ。他人の成果を明示する、読み手が検証できるようにする、自分の議論の根拠を示す。出典はレポートを弱くするのではなく強くします。
要約しても出典は必要です。自分の言葉に書き換えたから不要、という考えは誤りです。考えの出所が他人なら、必ず示してください。
記載するのは、資料を特定できる情報。著者名・発行年・タイトル・出版社。論文なら掲載誌名と巻号、ページも必要です。
書式に唯一の正解はありませんが、一貫性は必ず求められます。一つの方式を選び、最後まで同じ形で書いてください。
最後に。文献情報は、読むときに記録してください。後からまとめて探すと時間がかかります。そして提出前に、本文とリストの照合を。
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