建設・ゼネコン業界の調べ方|一次情報の集め方
建設業界を調べるなら「会社の施工の実績」「受注や着工に関する統計」「実際に見に行く」の3つから始めてください。会社が手がけた建物や構造物は実績のページで一覧になっていることがあり、街で実際に見られます。受注してからつくる業界のため、受注の状況が先の動きを示す手がかりになります。建設業の制度や統計は国土交通省などの公的機関から公表されています。
建設業界は、完成したものが街の中にあります。
会社が手がけた建物や構造物は実際に見に行けます。これは大きな強みです。
そして受注してからつくる業界です。受注の状況が先の動きを示します。
この記事では、この業界の情報源と、その使い方を整理します。
この記事を7枚で
1 / 7第1部 この業界で使える情報源
第2部 会社が出す資料
第3部 公的機関と業界団体
第4部 調べたことの扱い方
第1部 この業界で使える情報源
01この業界で使える情報源
まずこの3つから始めてください。
建設業界の3つの情報源。
完成したものが街の中にあります
手がけた建物や構造物を実際に見に行けるのは、この業界の強みです。
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02施工の実績を見る
この業界ならではの資料です。
実績のページが具体的です
会社のサイトに手がけた案件の一覧があることがあります。写真が載っていることもあります。
建築と土木の比重を見てください
建物が中心の会社と、道路や橋などが中心の会社があります。実績を見ると分かります。
手がけた地域を見てください
全国で仕事をしているか、特定の地域に強いか——会社の足場が見えます。
技術に関する紹介を読んでください
研究の施設を持ち、技術を公表している会社があります。会社の考え方を知る材料になります。
知っている建物が出てくることがあります
自分が見たことのある建物を手がけていたら、それが志望動機の入り口になります。
案件の話は公表された範囲で扱ってください
工事に関わることは公表されていないこともあります。公表された情報の範囲で話してください。
03受注や着工に関する統計
先の動きを見る材料です。
受注してからつくる業界です
注文を受けてから設計し、建てます。受注の状況が先の仕事の量を示します。
公的機関が統計を公表しています
受注や着工に関する統計が所管する省庁から公表されています。
公共と民間の内訳を見てください
官公庁からの仕事か、民間からの仕事か——会社によって比重が違います。
会社の資料でも受注の状況が分かります
抱えている仕事の量が示されることがあります。先の見通しを知る材料になります。
期間の長さを意識してください
大きな工事は受注から完成まで時間がかかります。いまの受注が結果に表れるのは先になります。
統計は更新されます
いつの統計かを必ず確認してください。古い数字を面接で話すと、かえって印象が悪くなります。
04公的機関と業界団体
制度に関わる情報が多い分野です。
建設業には許可の仕組みがあります
工事を請け負うための制度上の仕組みがあります。内容は所管する省庁で公表されています。
資格の情報は実施する機関で確認してください
この業界の資格には実務の経験が条件になるものがあります。要件は実施する機関が公表しています。
働き方に関する決まりが見直されてきました
労働時間に関する決まりがこの業界にも適用されています。制度は公的機関で確認してください。
専門の工事の団体を見てください
設備、電気、内装——専門の工事を担う会社の団体があります。名簿から会社が探せます。
団体が分野の取り組みを公表しています
働き方や技術に関する業界としての取り組みが紹介されていることがあります。
団体名は自分で確認してください
団体の名称や公表している資料は変わることがあります。検索して最新のものを確認してください。
05実際に見に行く
この業界の強みです。
街を歩くと現場があります
工事中の現場には表示が出ています。施工する会社の名前が分かります。
知らない会社が見つかります
表示には専門の工事の会社の名前が出ていることもあります。会社探しの手がかりになります。
完成した建物を見に行ってください
実績のページで見た建物を実際に見ると、印象が変わります。写真では分からないことがあります。
現場の見学を受け入れている会社があります
申し込みの方法は会社のサイトで確認してください。実施していない場合もあります。
技術研究の施設を公開している会社があります
どんな研究をしているかを見せていることがあります。
見たことを記録してください
何を見て、何を感じたか。自分の目で見たことは誰も否定できない材料です。
現場に立ち入らないでください
工事の現場は関係者以外が入れない場所です。外から見るにとどめてください。
第2部 会社が出す資料
06会社が出している資料
会社自身が出したものが、いちばん確かな材料です。
| 資料 | 分かること |
|---|---|
| 有価証券報告書 | 事業の内容、セグメント、従業員の状況、事業等のリスク |
| 決算説明資料 | その期に何が起きたか、会社がどう説明しているか |
| 中期経営計画 | これから何をしようとしているか |
| 統合報告書・サステナビリティ報告 | 会社が大事にしていること、取り組み |
| 会社のサイト | 事業の紹介、拠点の一覧、沿革 |
| 採用ページ | 職種、募集要項、働く人の紹介 |
上場している会社は資料が多くなります
有価証券報告書は公的な仕組みで公表されています。誰でも読めます。
施工の実績のページを見てください
どんな建物や構造物を手がけたかが一覧になっていることがあります。
上場していない会社はどう調べるか
会社のサイト、採用ページ、業界団体の名簿、公的機関の公表資料。使える材料はあります。
就活サイトの情報は二次の情報です
まとめられた情報は分かりやすい代わりに、古かったり要約で落ちていたりします。元の資料にあたってください。
07有価証券報告書のどこを読むか
全部読む必要はありません。
まず「事業の内容」と「セグメント情報」を読んでください
この2つでその会社が何をしているかの輪郭が分かります。
受注の状況に関する記述を見てください
この業界は受注してからつくります。先の仕事の量が示されることがあります。
「事業等のリスク」は志望動機の材料になります
会社自身が何を不確実だと考えているかが書かれています。面接で話すときの材料になります。
数字を暗記する必要はありません
覚えるのではなく、構造を理解するために読んでください。
08中期経営計画と決算説明資料
これからの方向が書かれています。
「なぜこの会社か」の材料になります
同じ業界の2社の計画を並べると、力を入れている領域の違いが見えます。
力を入れる分野が書かれます
建築か土木か、国内か海外か——会社の向かう先が分かります。
言葉をそのまま使わないでください
計画に書かれた言葉をなぞるだけでは読んだことの証明にしかなりません。自分がどう思ったかまで用意してください。
公開されていない会社もあります
その場合は会社のサイトや採用ページから読み取ってください。
09採用ページと会社のサイト
見落とされがちですが、情報が詰まっています。
拠点の一覧は必ず見てください
勤務地の記載を読むときの前提になります。
現場の職種の紹介を読んでください
施工管理の仕事は紹介を読まないと想像しにくいものです。
働く人の紹介は職種ごとに読んでください
同じ会社でも職種によって仕事が違います。複数の職種の紹介を読むと像が立ちます。
募集要項の読み方は別記事で
条件の確認については募集要項の読み方|見落としやすい項目を確認するで扱っています。
第3部 公的機関と業界団体
10公的機関が出している情報
業界全体の輪郭は、ここで分かります。
制度のことは必ず公的機関で確認してください
制度は改正されることがあります。まとめ記事ではなく、一次の情報で確認するのが確実です。
建設に関する統計と制度があります
受注や着工に関する統計、建設業の制度は所管する省庁から公表されています。
白書は業界の全体像をつかむのに向きます
分野ごとの整理と、いま何が課題とされているかが書かれています。
読むのが大変なら要約から
公的機関が概要版を出していることがあります。そこから入ってください。
11業界団体の資料
その業界の内側からの整理です。
会員の名簿は会社を探すのに使えます
知らない会社を見つけるいちばん確実な方法です。専門の分野ほど有効です。
総合と専門で団体が分かれます
総合的に請け負う会社の団体と、専門の工事の団体があります。
用語の解説から読むと早いことがあります
業界の言葉が分からないと資料が読めません。用語の解説があれば先に読んでください。
誰が出した資料かを意識してください
団体が出すものには、その業界にとっての見え方が反映されます。公的機関の資料と両方を見ると偏りが減ります。
12資料の探し方
探し方を覚えると早くなります。
会社のサイトの投資家向けページを見てください
上場している会社では、決算や計画の資料がまとめて置かれています。
専門の工事の会社は団体の名簿から探せます
設備、電気、内装——専門の工事を担う会社があります。
大学の図書館も使えます
業界に関する書籍や、有料の情報源が使える場合があります。司書に聞いてください。
分からないときはキャリアセンターへ
調べ方そのものを相談できる相手です。
132社を並べて読む
1社だけ読んでも、違いは見えません。
同じ業界の同じような規模の会社で比べてください
前提が違いすぎると比べても意味がありません。
同じ種類の会社どうしで比べてください
総合的に請け負う会社と専門の工事の会社では前提が違います。
違いが「なぜこの会社か」の答えになります
「A社は○○に力を入れ、B社は△△に力を入れている」——この形で言えると具体になります。
表にして並べてください
頭の中で比べると印象で判断してしまいます。項目を決めて書き出してください。
第4部 調べたことの扱い方
14一次の情報と二次の情報
この区別を持っておいてください。
二次の情報が悪いわけではありません
全体をつかむにはまとめられた情報が役に立ちます。ただし、そこで止めないでください。
案件の話は公表されたものを使ってください
受注した工事は会社が公表することがあります。その範囲で扱ってください。
出どころを確認する癖をつけてください
読んだ内容がどこから来たものか。元の資料にあたれるかを確認してください。
人から聞いた話はその人の経験です
貴重な情報ですが、会社全体の話とは限りません。複数の人に聞くと偏りが減ります。
古い情報に注意してください
いつの情報かを必ず確認してください。制度も会社の状況も変わります。
15調べたことを記録する
あとで使える形にしてください。
自分が何を思ったかを書いてください
資料の内容だけ写しても、面接では使えません。読んで何を感じたかが材料になります。
建築と土木で記録を分けてください
手がけるものも現場も違います。分けて整理すると使いやすくなります。
分からなかったことを残してください
調べても分からなかったことが、説明会で聞くべきことになります。
会社ごとに同じ項目を埋めてください
項目をそろえると違いがはっきりします。
16調べたことをどう使うか
調べて終わりにしないでください。
資料の言葉をなぞらないでください
書かれていることを言うだけでは、読んだことの証明にしかなりません。
それを読んで自分が何を考えたかまで言えると、話が変わります。
実際に見た建物の話ができます
完成したものは街の中にあります。見に行けるのがこの業界の強みです。
知らない会社を見つける道具でもあります
業界団体の名簿や取引先の一覧から、選択肢が広がります。
調べすぎて動けなくならないでください
ある程度調べたら、説明会に行く、人に聞く。動いたほうが分かることもあります。
17やらない方がいいこと
調べ方でとくに起きやすい失敗です。
| やりがちなこと | なぜ問題か |
|---|---|
| 実績のページを見ない | 会社の得意な領域が分かる資料 |
| 建築と土木を分けずに調べる | 手がけるものも現場も違う |
| 総合的に請け負う会社しか見ない | 専門の工事の会社という選択肢を落とす |
| 受注に関する情報を見ない | 先の動きを示す手がかり |
| 「昔はこうだった」で語る | 働き方に関する決まりが見直されてきた |
| 現場に立ち入る | 関係者以外が入れない場所 |
街の現場の表示を見てください
施工する会社の名前が分かります。会社探しの手がかりになります。
調べ方そのものを相談できます
大学のキャリアセンターや図書館の司書は、探し方を教えてくれる相手です。
18よくある質問
何から調べ始めればいいですか?
会社の施工の実績、受注や着工に関する統計、実際に見に行くことの3つです。会社が手がけた建物や構造物は実績のページで一覧になっていることがあり、街で実際に見られます。
施工の実績では何が分かりますか?
どんな建物や構造物を手がけたか、建築と土木のどちらに強いか、どの地域で仕事をしているか、海外の実績があるかが分かります。写真が載っていることもあります。自分が見たことのある建物を手がけていたら、それが志望動機の入り口になります。
受注に関する情報はなぜ重要ですか?
この業界は注文を受けてから設計し建てるため、受注の状況が先の仕事の量を示します。受注や着工に関する統計が所管する省庁から公表されており、会社の資料でも抱えている仕事の量が示されることがあります。
公共と民間の内訳はどう見ればいいですか?
官公庁からの仕事か民間からの仕事かで、会社によって比重が違います。統計にも内訳があり、会社の資料でも分かることがあります。仕事の取り方が変わるため、会社の性質を知る材料になります。
制度について調べるときは?
工事を請け負うための制度上の仕組みがあり、内容は所管する省庁で公表されています。労働時間に関する決まりもこの業界に適用されています。制度は改正されることがあるため、一次の情報で確認してください。
資格について調べるときは?
この業界の資格には実務の経験が条件になるものがあります。要件は実施する機関が公表しており、制度は改正されることがあるため一次の情報で確認してください。
専門の工事の会社はどう探せばいいですか?
設備、電気、内装など専門の工事の団体があり、名簿から会社が探せます。街の工事中の現場の表示に専門の工事の会社の名前が出ていることもあり、会社探しの手がかりになります。
現場は見に行っていいですか?
工事の現場は関係者以外が入れない場所です。外から見るにとどめてください。現場の見学を受け入れている会社もあるので、申し込みの方法は会社のサイトで確認してください。実施していない場合もあります。
技術について調べたいときは?
研究の施設を持ち、技術を公表している会社があります。施設を公開していることもあります。会社の考え方を知る材料になります。
建築と土木は同じように調べていいですか?
手がけるものも現場も違います。建物が中心の会社と道路や橋などが中心の会社があり、実績を見ると比重が分かります。記録も分けて整理すると使いやすくなります。
「昔は休みが少ない業界だった」という話は?
働き方に関する決まりが見直されてきました。団体が業界としての取り組みを公表していることもあります。いまの制度と、いまの会社の取り組みで判断してください。
調べたことをどう使えばいいですか?
実際に見た建物の話ができるのがこの業界の強みです。実績のページで見た建物を実際に見ると印象が変わります。何を見て何を感じたかを記録しておいてください。
19まとめ|実績・受注・現物の3つから
建設業界を調べるなら、会社の施工の実績、受注や着工に関する統計、実際に見に行くことの3つから始めてください。
- 実績のページが具体的です。建築と土木の比重、手がけた地域が分かります。
- 受注してからつくる業界です。受注の状況が先の仕事の量を示します。
- 完成したものは街の中にあります。実際に見に行けるのが強みです。
- 現場の表示から会社が分かります。専門の工事の会社を見つける手がかりです。
- 現場には立ち入らないでください。関係者以外が入れない場所です。
最後に。挙げた情報源は調べる手がかりであり、内容を保証するものではありません。制度や統計は更新されるため、公的機関や発行元の最新の情報でご確認ください。
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