小売・流通業界の調べ方|一次情報の集め方
小売業界を調べるなら「店に行く」「会社が公表する月ごとの状況」「業態ごとの業界団体」の3つから始めてください。売場も品揃えも公開されているため、自分の目で見たことが最も強い材料になります。多くの会社が月ごとの売上の状況を公表しており、動きが見えます。業界団体は大型の店、百貨店、フランチャイズなど業態ごとにあります。
小売業界は、店に行けば調べられる業界です。
売場も品揃えも公開されています。自分の目で見たことが最も強い材料になります。
そして多くの会社が月ごとの売上の状況を公表しています。動きが見えます。
この記事では、この業界の情報源と、その使い方を整理します。
この記事を7枚で
1 / 7第1部 この業界で使える情報源
第2部 会社が出す資料
第3部 公的機関と業界団体
第4部 調べたことの扱い方
第1部 この業界で使える情報源
01この業界で使える情報源
まずこの3つから始めてください。
小売・流通業界の3つの情報源。
自分の目で見られる業界です
売場も品揃えも公開されています。この強みを使ってください。
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02店に行って見る
この業界の強みです。
同じ会社の2店舗を見てください
立地が違えば品揃えも売場も変わります。その違いに気づくと仕事が見えてきます。
競合の店も見てください
同じ業態の2社を並べると、何を大事にしている会社かがはっきりします。
自社で企画した商品を見てください
その会社が企画した商品がどれだけあるか。商品開発への踏み込み方が分かります。
時期を変えて行ってください
売場は季節や行事で変わります。何度か行くと変化が見えます。
通信販売のサイトも見てください
店舗とインターネットをどうつないでいるか——会社によって考え方が違います。
見たことを具体に記録してください
「行きました」ではなく、何を見て何を考えたか。これが材料になります。
03会社が公表する月ごとの状況
この業界ならではの資料です。
多くの会社が月ごとに公表しています
決算を待たずに直近の動きが分かります。他の業界にはあまりない特徴です。
既存の店の動きを見てください
新しく出した店を除いたもとからある店の動きが示されることがあります。
会社の説明も読んでください
天候や行事など、何が影響したと会社が見ているかが書かれることがあります。
時期を追って見てください
数か月分を並べると、動きの傾向が見えます。
数字を断定的に語らないでください
公表された数字はその会社のその期間のものです。一般化しないでください。
決算説明資料も合わせて読んでください
より詳しい説明が資料に載っていることがあります。
04公的機関と業界団体
業界全体の動きが分かります。
商業に関する統計があります
販売の動きに関する統計が産業を所管する省庁から公表されています。
家計の統計も使えます
家庭が何にお金を使っているかの統計があります。消費の動きを知る材料になります。
業態ごとに団体があります
大型の店、百貨店、フランチャイズ——業態ごとに統計が公表されています。
会員の一覧から会社が探せます
知らない会社が一覧から見つかることがあります。
通信販売に関する統計もあります
インターネットでの販売について統計が公表されていることがあります。
統計は更新されます
いつの統計かを必ず確認してください。古い数字を面接で話すと、かえって印象が悪くなります。
05会社の資料の読みどころ
店を見たあとに読んでください。
店舗の一覧で足場が分かります
どの地域に店が集まっているか。転勤の範囲を考える材料にもなります。
業態の一覧を見てください
一つの会社が複数の業態を持っていることがあります。それぞれ客層も売場も違います。
中期経営計画に出店の方針が書かれます
どこに出し、どこを見直すか——会社の向かう先が分かります。
自社で企画した商品の紹介を見てください
どのくらい持っているか。商品開発にどこまで踏み込んでいるかが分かります。
採用ページで本部の仕事を確認してください
仕入れ、商品開発、売場の設計、物流、システム——店舗以外の職種があります。
グループの構成も見てください
業態ごとに別の会社として運営されていることがあります。
第2部 会社が出す資料
06会社が出している資料
会社自身が出したものが、いちばん確かな材料です。
| 資料 | 分かること |
|---|---|
| 有価証券報告書 | 事業の内容、セグメント、従業員の状況、事業等のリスク |
| 決算説明資料 | その期に何が起きたか、会社がどう説明しているか |
| 中期経営計画 | これから何をしようとしているか |
| 統合報告書・サステナビリティ報告 | 会社が大事にしていること、取り組み |
| 会社のサイト | 事業の紹介、拠点の一覧、沿革 |
| 採用ページ | 職種、募集要項、働く人の紹介 |
上場している会社は資料が多くなります
有価証券報告書は公的な仕組みで公表されています。誰でも読めます。
店舗の一覧を見てください
どの地域にどれだけ店があるか。その会社の足場が分かります。
上場していない会社はどう調べるか
会社のサイト、採用ページ、業界団体の名簿、公的機関の公表資料。使える材料はあります。
就活サイトの情報は二次の情報です
まとめられた情報は分かりやすい代わりに、古かったり要約で落ちていたりします。元の資料にあたってください。
07有価証券報告書のどこを読むか
全部読む必要はありません。
まず「事業の内容」と「セグメント情報」を読んでください
この2つでその会社が何をしているかの輪郭が分かります。
業態ごとの情報を見てください
複数の業態を持つ会社では、どの業態が大きいかが分かります。
「事業等のリスク」は志望動機の材料になります
会社自身が何を不確実だと考えているかが書かれています。面接で話すときの材料になります。
数字を暗記する必要はありません
覚えるのではなく、構造を理解するために読んでください。
08中期経営計画と決算説明資料
これからの方向が書かれています。
「なぜこの会社か」の材料になります
同じ業界の2社の計画を並べると、力を入れている領域の違いが見えます。
出店の方針が書かれます
店を増やす計画と、閉じる計画。両方を読むと会社の状況がつかめます。
言葉をそのまま使わないでください
計画に書かれた言葉をなぞるだけでは読んだことの証明にしかなりません。自分がどう思ったかまで用意してください。
公開されていない会社もあります
その場合は会社のサイトや採用ページから読み取ってください。
09採用ページと会社のサイト
見落とされがちですが、情報が詰まっています。
拠点の一覧は必ず見てください
勤務地の記載を読むときの前提になります。
店舗と本部の両方の紹介を読んでください
仕事がまったく違います。両方読むと像が立ちます。
働く人の紹介は職種ごとに読んでください
同じ会社でも職種によって仕事が違います。複数の職種の紹介を読むと像が立ちます。
募集要項の読み方は別記事で
条件の確認については募集要項の読み方|見落としやすい項目を確認するで扱っています。
第3部 公的機関と業界団体
10公的機関が出している情報
業界全体の輪郭は、ここで分かります。
制度のことは必ず公的機関で確認してください
制度は改正されることがあります。まとめ記事ではなく、一次の情報で確認するのが確実です。
商業や消費に関する統計があります
販売や家計に関する統計が公的機関から公表されています。
白書は業界の全体像をつかむのに向きます
分野ごとの整理と、いま何が課題とされているかが書かれています。
読むのが大変なら要約から
公的機関が概要版を出していることがあります。そこから入ってください。
11業界団体の資料
その業界の内側からの整理です。
会員の名簿は会社を探すのに使えます
知らない会社を見つけるいちばん確実な方法です。専門の分野ほど有効です。
業態ごとに団体があります
大型の店、百貨店、フランチャイズ——業態ごとに別の団体があります。
用語の解説から読むと早いことがあります
業界の言葉が分からないと資料が読めません。用語の解説があれば先に読んでください。
誰が出した資料かを意識してください
団体が出すものには、その業界にとっての見え方が反映されます。公的機関の資料と両方を見ると偏りが減ります。
12資料の探し方
探し方を覚えると早くなります。
会社のサイトの投資家向けページを見てください
上場している会社では、決算や計画の資料がまとめて置かれています。
店の表示から会社が分かります
店頭や商品の表示に会社名が書かれています。
大学の図書館も使えます
業界に関する書籍や、有料の情報源が使える場合があります。司書に聞いてください。
分からないときはキャリアセンターへ
調べ方そのものを相談できる相手です。
132社を並べて読む
1社だけ読んでも、違いは見えません。
同じ業界の同じような規模の会社で比べてください
前提が違いすぎると比べても意味がありません。
同じ業態どうしで比べてください
業態が違うと客層も売場も違います。同じ業態にそろえてください。
違いが「なぜこの会社か」の答えになります
「A社は○○に力を入れ、B社は△△に力を入れている」——この形で言えると具体になります。
表にして並べてください
頭の中で比べると印象で判断してしまいます。項目を決めて書き出してください。
第4部 調べたことの扱い方
14一次の情報と二次の情報
この区別を持っておいてください。
二次の情報が悪いわけではありません
全体をつかむにはまとめられた情報が役に立ちます。ただし、そこで止めないでください。
売場の印象は自分の観察にすぎません
見たことは材料になりますが、統計と合わせて考えてください。
出どころを確認する癖をつけてください
読んだ内容がどこから来たものか。元の資料にあたれるかを確認してください。
人から聞いた話はその人の経験です
貴重な情報ですが、会社全体の話とは限りません。複数の人に聞くと偏りが減ります。
古い情報に注意してください
いつの情報かを必ず確認してください。制度も会社の状況も変わります。
15調べたことを記録する
あとで使える形にしてください。
自分が何を思ったかを書いてください
資料の内容だけ写しても、面接では使えません。読んで何を感じたかが材料になります。
業態ごとに記録を分けてください
大型の店、専門の店、通信販売——業態ごとに整理すると使いやすくなります。
分からなかったことを残してください
調べても分からなかったことが、説明会で聞くべきことになります。
会社ごとに同じ項目を埋めてください
項目をそろえると違いがはっきりします。
16調べたことをどう使うか
調べて終わりにしないでください。
資料の言葉をなぞらないでください
書かれていることを言うだけでは、読んだことの証明にしかなりません。
それを読んで自分が何を考えたかまで言えると、話が変わります。
店で見たことを具体に書いてください
「行きました」ではなく、何を見て何を考えたか。
知らない会社を見つける道具でもあります
業界団体の名簿や取引先の一覧から、選択肢が広がります。
調べすぎて動けなくならないでください
ある程度調べたら、説明会に行く、人に聞く。動いたほうが分かることもあります。
17やらない方がいいこと
調べ方でとくに起きやすい失敗です。
資料より先に売場を見てください
順番が逆だと、読んでいる内容が頭に入りません。
調べ方そのものを相談できます
大学のキャリアセンターや図書館の司書は、探し方を教えてくれる相手です。
18よくある質問
何から調べ始めればいいですか?
店に行くこと、会社が公表する月ごとの状況、業態ごとの業界団体の3つです。売場も品揃えも公開されているので、自分の目で見たことが最も強い材料になります。
店では何を見ればいいですか?
売場のつくり、品揃え、自社で企画した商品、案内の出し方、立地と周りの店、働いている人の動きです。同じ会社の2店舗を見ると立地による違いが分かり、競合の店も見ると何を大事にしている会社かがはっきりします。
月ごとの状況とは何ですか?
多くの会社が月ごとの売上の状況を公表しており、決算を待たずに直近の動きが分かります。新しく出した店を除いた既存の店の動きが示されることもあり、天候や行事など何が影響したかの説明が添えられることもあります。
数字はどう扱えばいいですか?
公表された数字はその会社のその期間のものです。一般化せず、断定的に語らないでください。数か月分を並べると動きの傾向が見えます。公的機関の統計と合わせて考えると偏りが減ります。
公的機関ではどんな統計が得られますか?
商業や販売に関する統計が産業を所管する省庁から、家計の支出に関する統計が統計を所管する機関から公表されています。インターネットでの販売についての統計もあります。いつの統計かは必ず確認してください。
業界団体はどう使えばいいですか?
大型の店、百貨店、フランチャイズなど業態ごとに団体があり、それぞれ統計を公表しています。会員の一覧から知らない会社が見つかることもあります。
会社の資料はどこを読めばいいですか?
店舗の一覧、業態の一覧、セグメント情報、中期経営計画、自社で企画した商品の紹介、採用ページです。店舗の一覧でどの地域に強いかが分かり、転勤の範囲を考える材料にもなります。
自社で企画した商品はなぜ見るのですか?
どのくらい持っているかで、商品開発にどこまで踏み込んでいるかが分かります。売れるものを仕入れるだけの会社と、自分たちでつくる会社では仕事の幅が違います。店頭で実際に見られます。
本部の仕事はどう調べますか?
採用ページの職種の紹介を読んでください。仕入れ、商品開発、売場の設計、物流、システム、管理部門があります。店舗だけを見ると、この選択肢を落とします。
通信販売はどう調べますか?
会社の通信販売のサイトを見て、店舗とインターネットをどうつないでいるかを確認してください。会社によって考え方が違います。通信販売に関する統計も公表されています。
2社を比べるときは何を見ればいいですか?
店の売場、店舗の一覧、業態の一覧、セグメント情報、中期経営計画、採用ページです。業態が違うと客層も売場も違うので、同じ業態にそろえてください。
調べたことをどう使えばいいですか?
「行きました」ではなく、何を見て何を考えたかを具体に書いてください。「A社は○○が目立ち、B社は△△が目立った」という形で言えると、志望動機の材料になります。
19まとめ|店・月ごとの状況・団体の3つから
小売業界を調べるなら、店に行くこと、会社が公表する月ごとの状況、業態ごとの業界団体の3つから始めてください。
- 自分の目で見られる業界です。この強みを使ってください。
- 同じ会社の2店舗と、競合の店を見てください。違いに気づくと仕事が見えます。
- 月ごとの状況を公表している会社が多くあります。直近の動きが分かります。
- 業態ごとに団体と統計があります。会員の一覧から会社も探せます。
- 「行きました」ではなく、何を見て何を考えたか。ここが材料になります。
最後に。挙げた情報源は調べる手がかりであり、内容を保証するものではありません。制度や統計は更新されるため、公的機関や発行元の最新の情報でご確認ください。
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