バイト・お金 更新 2026.09.11 この記事にはPRを含みます

雇用契約書と労働条件通知書|もらえない場合どうする

結論

労働条件通知書は、雇う側が労働条件を示すための書面で、一定の項目は書面などで示すことが法律で求められています。雇用契約書は、双方が合意したことを示す書面で、二つを一つにまとめた様式もよく使われます。契約自体は口頭でも成立しますが、書面での条件の明示が不要になるわけではありません。署名の前に面接で聞いた条件と照らし合わせ、控えを受け取ってください。「辞めたら〇万円」などの違約…

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23章見出し
CCampi編集部(執筆)・公開 2026.09.11
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「雇用契約書」「労働条件通知書」「誓約書」「身元保証書」——バイトを始めるとき、いろいろな書類を渡されて戸惑ったことはありませんか。

反対に、「書類は何ももらっていない」という人もいます。「アルバイトだからそんなものか」と思って、そのまま働き始めてしまうケースも少なくありません。

書類の名前や形は職場によってさまざまですが、それぞれに意味があり、署名する前に確認すべきことがあります。そして、もらえない場合にどう頼めばよいか、書かれていてはいけない内容は何かも、知っておくと自分を守れます。

この記事では、書類の種類と違い、署名する前の確認ポイント、もらえないときの頼み方と相談先を整理します。明示されるべき労働条件の項目そのものについては、アルバイトにも労働条件の明示がある|確認すべき項目で詳しく扱っています。

この記事について:本記事は一般的な情報の整理であり、個別の状況に対する法的な助言ではありません。書類の名称や様式は職場によって異なります。労働条件の明示などの制度は法改正によって変わることがあります。必ず厚生労働省の最新情報をご確認ください。書類の内容に疑問がある場合は、署名する前に大学や公的な相談窓口にご相談ください。

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バイトで受け取る…労働条件通知書とは雇用契約書とは二つの書類の違い兼用の書類この記事

この記事の流れ

雇用契約書と労働条件通知書

労働条件通知書は、雇う側が労働条件を示すための書面で、一定の項目は書面などで示すことが法律で求められています。

1
労働条件通知書労働条件を示す
2
雇用契約書双方の合意を示す
3
誓約書職場の決まりを守ることを約束する
4
身元保証書保証人が責任を負うことを約束する

バイトで受け取る書類の種類

書類ごとに、役割が違います。

バイトを始めるときに渡される書類には、雇う側から働く人に条件を示すもの、働く人が内容を確認して署名するもの、税金の計算のために記入するものなど、役割の違う書類が混ざっています。

1
根拠労働基準法の労働条件の明示
2
書かれる内容契約期間・就業場所・業務・勤務時間・賃金・退職など
3
署名働く人の署名は必須ではない
4
交付働く人に渡される

労働条件通知書とは

雇う側が、働く条件を示すための書面です。

労働条件通知書は、雇う側が、労働基準法に基づいて労働条件を働く人に示すための書面です。契約の期間、働く場所や仕事の内容、勤務時間、賃金、退職に関することなど、書面などで示すべきとされている項目が書かれます。

1
役割双方が合意した内容を確認する
2
署名双方が署名や記名押印をすることが多い
3
部数2部作り、双方が1部ずつ持つのが一般的
4
作成の義務契約書そのものの作成は法律で必須とはされていない

雇用契約書とは

働く人と雇う側が、条件に合意したことを示す書面です。

雇用契約書は、働く人と雇う側が、労働条件について合意したことを示すための書面です。双方が署名や記名押印をし、同じものを2部作って1部ずつ持つ形が一般的です。

1
目的条件を知らせる
2
署名働く人の署名は必須ではない
3
法律上の位置づけ一定の項目の書面での明示が求められている
4
持つ人働く人に交付

二つの書類の違い

比べると、役割の違いがわかります。

簡単にまとめると、労働条件通知書は「こういう条件で働いてもらいます」と知らせる書面、雇用契約書は「この条件で働くことに双方が合意しました」と確認する書面です。

1
労働条件通知書兼雇用契約書条件の明示と合意の確認を一枚で
2
雇用契約書(労働条件明示書)契約書の中に明示すべき項目を含む
3
アルバイト雇用契約書名前は契約書でも条件が詳しく書かれている

兼用の書類

一枚で二つの役割を持つ書類もあります。

多くの職場では、「労働条件通知書兼雇用契約書」のように、条件を示す書面と合意を確認する書面を一枚にまとめた様式を使っています。

1
書類ごとに、役割が違います。バイトで受け取る書類の種類
2
雇う側が、働く条件を示すための書面です。労働条件通知書とは
3
働く人と雇う側が、条件に合意したことを示す書面です。雇用契約書とは
4
比べると、役割の違いがわかります。二つの書類の違い

まとめ

この記事の要点

雇用契約書は、双方が合意したことを示す書面で、二つを一つにまとめた様式もよく使われます。契約自体は口頭でも成立しますが、書面での条件の明示が不要になるわけではありません。

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01バイトで受け取る書類の種類

書類ごとに、役割が違います。

書類 主な役割 誰が作るか
労働条件通知書 労働条件を示す 雇う側
雇用契約書 双方の合意を示す 雇う側が作り、双方が署名など
誓約書 職場の決まりを守ることを約束する 働く人が署名
身元保証書 保証人が責任を負うことを約束する 保証人が署名
扶養控除等申告書 源泉徴収の計算に使う 働く人が記入

バイトを始めるときに渡される書類には、雇う側から働く人に条件を示すもの、働く人が内容を確認して署名するもの、税金の計算のために記入するものなど、役割の違う書類が混ざっています。

名前や形は職場によって違うので、「この書類は何のためのものか」を確認しながら目を通すことが大切です。わからない書類があれば、署名や提出の前に「これはどういう書類ですか」と聞いてかまいません。

02労働条件通知書とは

雇う側が、働く条件を示すための書面です。

1根拠労働基準法の労働条件の明示
2書かれる内容契約期間・就業場所・業務・勤務時間・賃金・退職など
3署名働く人の署名は必須ではない
4交付働く人に渡される
5様式厚生労働省がモデルの様式を示している

労働条件通知書は、雇う側が、労働基準法に基づいて労働条件を働く人に示すための書面です。契約の期間、働く場所や仕事の内容、勤務時間、賃金、退職に関することなど、書面などで示すべきとされている項目が書かれます。

通知書は「知らせる」ための書面なので、働く人の署名は必須ではありません。厚生労働省が、アルバイトなど雇用形態ごとのモデルの様式を示しているので、受け取った書類に必要な項目がそろっているかを比べる目安にもなります。

03雇用契約書とは

働く人と雇う側が、条件に合意したことを示す書面です。

1役割双方が合意した内容を確認する
2署名双方が署名や記名押印をすることが多い
3部数2部作り、双方が1部ずつ持つのが一般的
4作成の義務契約書そのものの作成は法律で必須とはされていない

雇用契約書は、働く人と雇う側が、労働条件について合意したことを示すための書面です。双方が署名や記名押印をし、同じものを2部作って1部ずつ持つ形が一般的です。

雇用契約書という形の書面を作ることそのものは、法律で必須とはされていません。ただし、それとは別に、一定の労働条件を書面などで示すことは求められています。そのため、雇用契約書を作らない職場でも、労働条件通知書などで条件が示されている必要があります。

04二つの書類の違い

比べると、役割の違いがわかります。

項目 労働条件通知書 雇用契約書
目的 条件を知らせる 合意を確認する
署名 働く人の署名は必須ではない 双方が署名などをすることが多い
法律上の位置づけ 一定の項目の書面での明示が求められている 作成そのものは必須ではない
持つ人 働く人に交付 双方が1部ずつ

簡単にまとめると、労働条件通知書は「こういう条件で働いてもらいます」と知らせる書面、雇用契約書は「この条件で働くことに双方が合意しました」と確認する書面です。

働く人にとって大切なのは、書類の名前ではなく、「自分の労働条件が書面で示されているか」「その内容に納得しているか」の二点です。どちらの書類を受け取っても、中身を確認することを忘れないでください。

05兼用の書類

一枚で二つの役割を持つ書類もあります。

1労働条件通知書兼雇用契約書条件の明示と合意の確認を一枚で
2雇用契約書(労働条件明示書)契約書の中に明示すべき項目を含む
3アルバイト雇用契約書名前は契約書でも条件が詳しく書かれている

多くの職場では、「労働条件通知書兼雇用契約書」のように、条件を示す書面と合意を確認する書面を一枚にまとめた様式を使っています。この場合、明示すべき項目が書かれていれば、条件の明示と合意の確認を一度に行うことができます。

受け取った書類が一枚だけでも、それが兼用の書類であれば問題ありません。書類の名前にとらわれず、中に必要な項目がそろっているかを確認してください。

06書類がなくても契約は成立するか

契約は成立しますが、それで十分というわけではありません。

1契約の成立働くことと賃金を払うことの合意で成立する
2口頭の合意口頭でも契約は成立し得る
3条件の明示一定の項目は書面などで示す必要がある
4書類がないと条件をめぐるトラブルの確認が難しくなる

労働契約は、働く人が雇う側のもとで働き、雇う側が賃金を支払うことについて、双方が合意すれば成立するとされています。そのため、書類がなくても、口頭の合意で契約自体は成立し得ます。

ただし、契約が成立しているからといって、書面での労働条件の明示が不要になるわけではありません。書類がないまま働いていると、時給や勤務時間などの条件をめぐって食い違いが起きたときに、確認する手段がなくなります。書類を受け取っていない場合は、早めに頼んでください。

07署名する前に確認すること

その場で急いで署名しないでください。

1時給面接で聞いた額と同じか・研修期間の扱い
2勤務時間・曜日希望と大きく違わないか
3仕事の内容・場所聞いていた内容と同じか
4契約の期間期間の定めの有無・更新
5交通費・手当支給の条件
6退職の手続き申し出の時期
7気になる条項違約金・罰金などがないか

雇用契約書に署名するときは、その場で急かされても、内容を読んでから署名してください。「みんな署名しているから」「形式的なものだから」と言われても、自分が合意する内容を確認するのは当然のことです。

面接で聞いた条件と違う点や、わからない表現があれば、署名する前に質問します。持ち帰って確認したい場合は、「一度持ち帰って内容を確認してもよろしいですか」と頼んでもかまいません。面接で確認しておくべき項目は、バイト面接で必ず確認しておくこと|聞かないと後で困るで扱っています。

08控えを受け取る

署名した書類の控えは、必ず手元に残します。

12部作られている1部を自分で保管
21部しかない「控えをいただけますか」と頼む
3控えをもらえない写真を撮らせてもらう・コピーを頼む
4電子で署名したデータを保存する

雇用契約書に署名したら、自分用の控えを必ず受け取ってください。署名した書類がすべて職場に回収されてしまうと、自分がどんな条件に合意したのかを後から確認できなくなります。

1部しか作られていない場合は、「控えをいただけますか」「コピーをいただけますか」と頼みましょう。電子の契約で署名した場合も、データをダウンロードして保存しておくと安心です。

09書かれていてはいけない内容

次のような内容は、法律で禁止されています。

内容の例 考え方
「途中で辞めたら違約金〇万円」 違約金を決めておくことは禁止されている
「遅刻1回につき罰金〇円」 損害賠償額をあらかじめ決めることは禁止されている
「給料の一部を強制的に積み立てる」 強制的な貯金は禁止されている
「ミスの損害は全額自己負担」 当然に全額負担とは限らない

労働基準法では、労働契約を守らなかった場合の違約金を決めておくことや、損害賠償の額をあらかじめ決めておくことを禁止しています。「途中で辞めたら〇万円」「遅刻したら罰金〇円」といった条項は、この禁止に触れる可能性があります。

また、給料の一部を働く人の意思に反して強制的に積み立てさせることも禁止されています。こうした内容が書かれた書類に署名を求められた場合は、署名する前に、大学の学生課や総合労働相談コーナーに相談してください。仮に署名してしまっていても、あきらめずに相談しましょう。

10誓約書を求められたら

内容を読み、範囲が広すぎないかを確認します。

1秘密を守る業務で知った情報の扱い
2SNSに投稿しない職場や客の情報
3職場の決まりを守る就業規則などの内容
4損害を賠償する金額が決められていないか
5辞めた後の制限範囲や期間が広すぎないか

業務で知った秘密を守る、SNSに職場や客の情報を投稿しない、といった誓約書は、多くの職場で求められるもので、内容が妥当であれば署名して問題ありません。職場の決まりを守ることは、働くうえで当然のことでもあります。

ただし、損害賠償の金額があらかじめ決められている、辞めた後も長期間にわたって同業のバイトを禁止する、といった範囲の広い内容が含まれている場合は、署名する前に内容の意味を確認し、疑問があれば相談してください。

11身元保証書を求められたら

保証人になる人にも関わる書類です。

1何を保証するのか保証人の責任の範囲
2保証の期間いつまで責任を負うか
3上限の金額責任の限度額が書かれているか
4保証人になる人の同意家族などに内容を説明する

身元保証書は、働く人が職場に損害を与えた場合などに、保証人が一定の責任を負うことを約束する書類です。アルバイトでも、職場によっては家族などを保証人とする身元保証書の提出を求められることがあります。

身元保証については、保証の期間などについて法律上の定めがあり、また個人が保証人になる場合は責任の限度額を定める必要があるなど、ルールがあります。保証人になる家族にも関わることなので、内容をよく読み、疑問があれば提出する前に確認してください。

12提出を求められる書類

働き始めるときに、自分から提出する書類もあります。

1履歴書応募・採用の判断
2給料の振込先給料の支払い
3マイナンバー税金の手続き
4扶養控除等申告書源泉徴収の計算
5緊急連絡先勤務中の事故などのとき
6在学を確認する書類職場によって求められることも

働き始めるときには、給料の振込先の口座、マイナンバー、扶養控除等申告書など、給料の支払いや税金の手続きのための書類の提出を求められます。

個人情報を提出するので、何のために使われるのかがわからない場合は、確認してから提出してください。提出した書類の内容に変更があった場合(住所や口座が変わったなど)は、職場に伝える必要があります。

13マイナンバーの提出

税金の手続きのために、提出を求められます。

1使われる目的源泉徴収票などの税金の手続き
2提出の方法職場が決めた方法で
3本人確認番号の確認と身元の確認が行われる
4注意点目的以外に使われないこと

給料を支払う職場は、源泉徴収票などの税金の手続きのために、働く人のマイナンバーを取得します。そのため、アルバイトでも提出を求められることがあります。

マイナンバーは、法律で定められた目的以外に使うことが制限されている大切な情報です。提出の方法は職場の指示に従い、メッセージアプリで写真を送るよう求められるなど、管理の方法に不安がある場合は、ほかの提出方法がないか確認してください。

14扶養控除等申告書

源泉徴収の計算に使う書類です。

1役割給料から差し引く所得税の計算に使う
2提出先主な給料を受け取る一つの職場
3掛け持ちの場合二つ以上の職場に提出することはできない
4提出しない場合差し引かれる所得税の額が変わる

扶養控除等申告書は、給料から差し引く所得税の計算に使われる書類です。提出するかどうかで、毎月の給料から差し引かれる所得税の額が変わります。

この申告書は、主な給料を受け取る一つの職場にしか提出できません。バイトを掛け持ちしている場合は、どちらの職場に提出するかを考える必要があります。税金の扱いは制度が変わることもあるので、詳しくは国税庁の情報を確認し、わからない点は職場の担当者に質問してください。

1518歳未満の場合

年齢によって、追加の手続きがあります。

1成年年齢18歳
218歳未満の契約親権者などの同意が必要とされる
3親権者が代わりに契約本人に代わって労働契約を結ぶことはできない
4年齢を確認する書類職場に備え付けが求められている
5働ける時間深夜などに制限がある

成年年齢は18歳です。大学生の多くは18歳以上なので、自分の判断で契約を結ぶことができます。一方、18歳未満の場合は、契約に親権者などの同意が必要とされ、職場は年齢を確認する書類を備えておく必要があります。

また、18歳未満の人については、深夜の時間帯に働くことなどに法律上の制限があります。入学直後で18歳の誕生日を迎えていない人は、応募の際に年齢を正しく伝え、手続きを確認してください。

16もらえないときの頼み方

まずは丁寧に、記録の残る形でお願いします。

11. 口頭で頼む「労働条件を書面で確認させていただけますか」
22. 時期を確認する「いつ頃いただけますか」
33. 記録の残る形で頼むメールやメッセージでお願いする
44. 相談する大学の学生課・総合労働相談コーナー

書類をもらっていない場合、単に渡し忘れていることもあるので、まずは口頭で「労働条件を書面で確認させていただけますか」と店長にお願いしてください。「後で渡す」と言われたら、「いつ頃いただけますか」と時期を確認しておきます。

口頭で頼んでも書類をもらえない場合は、メールやメッセージなど、記録の残る形で改めてお願いしてください。いつ、誰に、どう頼んだかの記録は、後で相談するときの材料になります。

17お願いの文例

責める形ではなく、確認のお願いとして伝えます。

場面 文例
対面 「お忙しいところすみません。時給や勤務時間などの条件を、書面で確認させていただくことはできますか」
メッセージ 「お疲れさまです。〇〇です。働く条件を確認したく、労働条件が書かれた書面をいただけないでしょうか。よろしくお願いいたします」
控えがほしい 「先日署名した契約書の控えをいただけますか」
再度のお願い 「以前お願いした書面の件ですが、いつ頃いただけそうでしょうか」

書類をお願いするとき、「法律で決まっているはずです」と強く伝えると、相手が身構えてしまうことがあります。まずは「条件を確認したいので」という自分の希望として、丁寧にお願いするのが話を進めやすい方法です。

再度お願いする場合も、前回お願いしたことに触れつつ、いつ頃もらえそうかを確認する形で伝えましょう。

18それでももらえないとき

一人で抱えず、職場の外に相談します。

状況 相談先
何度頼んでももらえない 大学の学生課・総合労働相談コーナー
「アルバイトには出さない」と言われた 総合労働相談コーナー・労働基準監督署
チェーン店で店長が対応しない 会社の本部の窓口
条件に不安がある 働き始める前に相談

何度お願いしても書類をもらえない場合や、「アルバイトには出していない」と言われた場合は、大学の学生課や、総合労働相談コーナーに相談してください。チェーン店であれば、会社の本部の窓口に問い合わせる方法もあります。

労働基準法に違反する事実がある場合、働く人は労働基準監督署に申告することができます。相談するときは、お願いした日時や方法の記録、面接で聞いた条件のメモ、シフト表、給与明細などを用意しておくとよいでしょう。

19書類と実際が違うとき

書類をもとに、確認と相談をします。

1時給が書類より低い給与明細と書類を持って確認
2書類にない費用を引かれた内訳を確認し、相談
3仕事の内容が大きく違う店長に確認
4勤務時間が大幅に長い記録して相談

実際の条件が書類と違う場合は、書類と給与明細などを用意し、「書類では〇〇となっていますが、実際は△△になっているようです。確認していただけますか」と、確認の形で伝えてください。

明示された労働条件が事実と違う場合には、働く人は労働契約をすぐに解除できるという定めもあります。どう対応すべきか迷ったら、書類を持って相談窓口で確認しましょう。給料が支払われない場合は、給料が支払われないとき|記録の残し方と相談先で対応を扱っています。

20書類の保管

働いている間も、辞めた後も保管します。

保管するもの 理由
労働条件通知書・雇用契約書の控え 条件の確認
誓約書の控え 何を約束したかの確認
給与明細 条件どおりに支払われているか
源泉徴収票 税金の手続き
シフト表・勤務の記録 働いた時間の確認

受け取った書類は、一つのファイルにまとめて保管してください。写真やスキャンでデータとしても残しておくと、紛失したときも安心です。

辞めた後に、最後の給料の額や、条件をめぐるトラブルについて確認が必要になることもあります。辞めてすぐに捨てず、しばらくは保管しておきましょう。

21相談できる窓口

書類や条件のことは、公的な窓口で相談できます。

1書類をもらえない大学の学生課・総合労働相談コーナー
2違約金や罰金の条項がある大学の学生課・総合労働相談コーナー
3条件が書類と違う総合労働相談コーナー・労働基準監督署
4税金や扶養のこと職場の担当者・税務署
5書類の意味がわからない大学のキャリアセンター・学生課

総合労働相談コーナーは、各都道府県の労働局や労働基準監督署などに設けられている公的な相談窓口で、アルバイトでも無料で相談できます。場所や受付の時間は、厚生労働省の案内で確認してください。

書類の内容に不安がある場合は、署名する前に相談するのが最も確実です。「こんなことを聞いていいのか」と遠慮する必要はありません。

22よくある質問

労働条件通知書と雇用契約書は、どちらをもらえばいいですか?

名前にかかわらず、自分の労働条件が書面で示されていることが大切です。労働条件通知書は条件を知らせる書面、雇用契約書は合意を確認する書面で、二つをまとめた「労働条件通知書兼雇用契約書」を使う職場も多くあります。受け取った書類に、契約期間、就業場所と業務、勤務時間、賃金、退職などの項目がそろっているかを確認してください。

書類がないまま働いていますが、契約は無効ですか?

労働契約は、働くことと賃金を支払うことについての合意で成立するとされているので、書類がなくても契約自体は成立し得ます。ただし、一定の労働条件は書面などで示す必要があります。条件をめぐるトラブルを防ぐためにも、早めに書面をお願いしてください。

雇用契約書は必ず作らなければいけないものですか?

雇用契約書という形の書面の作成そのものは、法律で必須とはされていません。一方で、一定の労働条件を書面などで示すことは求められています。そのため、契約書がない職場でも、労働条件通知書などで条件が示されている必要があります。

署名した契約書の控えがもらえません。

「控えをいただけますか」「コピーをいただけますか」とお願いしてください。署名した書類がすべて職場に回収されると、自分が合意した条件を後で確認できなくなります。応じてもらえない場合は、写真を撮らせてもらうよう頼むか、大学の学生課などに相談してください。

「途中で辞めたら罰金」と書かれた契約書に署名を求められました。

労働基準法では、違約金や損害賠償の額をあらかじめ決めておくことを禁止しています。署名する前に、大学の学生課や総合労働相談コーナーに相談してください。すでに署名してしまっている場合でも、あきらめずに相談しましょう。

誓約書には署名しないといけませんか?

秘密を守る、職場や客の情報をSNSに投稿しないといった妥当な内容であれば、署名して問題ないことが多いでしょう。ただし、損害賠償の金額が決められている、辞めた後の制限が広すぎるなど、気になる内容がある場合は、署名する前に意味を確認し、疑問があれば相談してください。

アルバイトでもマイナンバーを出す必要がありますか?

給料を支払う職場は、源泉徴収票などの税金の手続きのためにマイナンバーを取得するため、アルバイトでも提出を求められることがあります。提出の方法は職場の指示に従い、管理の方法に不安がある場合は、ほかの提出方法がないか確認してください。

扶養控除等申告書は、掛け持ちの両方に出していいですか?

扶養控除等申告書は、主な給料を受け取る一つの職場にしか提出できません。掛け持ちをしている場合は、どちらの職場に提出するかを考える必要があります。税金の扱いは制度が変わることもあるので、国税庁の情報を確認し、わからない点は職場の担当者に質問してください。

書類を頼んだら、嫌な顔をされました。

労働条件を書面で確認することは、働く人にとって当然のことです。「条件を確認したいので」と丁寧にお願いし、それでも応じてもらえない場合は、メールなど記録の残る形で改めてお願いしてください。対応してもらえなければ、大学の学生課や総合労働相談コーナーに相談できます。

書類の内容が難しくてわかりません。

わからないまま署名しないでください。職場の担当者に「この部分はどういう意味ですか」と質問するか、持ち帰って大学のキャリアセンターや学生課に相談してください。明示される労働条件の項目については、労働条件の明示の記事でも詳しく扱っています。

23まとめ|名前より中身、署名の前に確認し、控えを残す

労働条件通知書は条件を知らせる書面、雇用契約書は合意を確認する書面です。二つをまとめた様式も多く、大切なのは、自分の労働条件が書面で示されていることです。

契約は口頭でも成立し得ますが、一定の労働条件は書面などで示す必要があります。書類がないまま働いている場合は、早めにお願いしてください。

署名の前に、面接で聞いた条件と照らし合わせ、わからない点は質問しましょう。署名したら、控えを必ず受け取ってください。

「辞めたら〇万円」「遅刻したら罰金」など、違約金や損害賠償額をあらかじめ決める内容は、法律で禁止されています。こうした書類への署名を求められたら、署名する前に相談してください。

最後に。書類をもらえないときは、記録の残る形でお願いし、それでも応じてもらえなければ、大学の学生課や総合労働相談コーナーへ。受け取った書類は、辞めた後もしばらく保管しておきましょう。

この記事について:本記事は一般的な情報の整理であり、個別の状況に対する法的な助言・税務上の助言ではありません。労働条件の明示、違約金・損害賠償額の予定の禁止、強制貯金の禁止、未成年者の労働契約、身元保証、マイナンバーの取扱い、扶養控除等申告書などの制度は変更されることがあります。必ず厚生労働省・国税庁など公的機関の最新の情報をご確認ください。書類の内容や労働条件をめぐるトラブルについては、在籍する大学の学生課・キャリアセンター、総合労働相談コーナー、労働基準監督署などにご相談ください。