成績評価に納得できないとき|成績確認・異議申立ての手順
まず確認すべきは自分の大学に制度があるか、期限はいつまでかです。期限は成績発表から1〜2週間程度と非常に短いことが多く、気づいたときには過ぎているのが最大の失敗要因です。申し立てが想定されているのは①評価の記載や集計に誤りがある疑い ②受験・提出したのに未受験・未提出とされている ③シラバスの評価方法と明らかに異なるといった事実に関わる場合。一方、「思ったより低い」「単位が…
成績表を見て、手が止まる。「この評価はおかしいのでは」。
試験もレポートも手応えがあったのに、返ってきた評価が予想と大きく違う。そんなとき、どうすればいいのか分からず、そのまま飲み込んでしまう学生は少なくありません。
実は、多くの大学には成績に関する確認・異議申立ての制度があります。制度として用意されている以上、使うことは何ら問題のある行為ではありません。
この記事では、制度の概要、申し立てられる場合とそうでない場合、手順と書き方、そして結果が変わらなかったときの考え方までを整理します。
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1 / 701どんな制度か
成績を確認してもらう仕組みです。
多くの大学には、成績評価について確認や問い合わせができる制度があります。
名称は大学によってさまざまです。「成績確認制度」「成績問い合わせ」「異議申立て」——呼び方は違っても、趣旨は共通しています。
ただし、制度がない大学・学部もあります。まずは在籍する大学に制度があるかを確認してください。
制度の性格として押さえておきたいのが、これは「評価を上げてもらう仕組み」ではないという点です。あくまで、評価に誤りがないかを確認してもらう仕組みです。この前提を取り違えると、申請の内容も的外れなものになり、受理されないか、受理されても確認の対象になりません。
なお、制度がない大学・学部もあります。その場合でも、教務課に問い合わせること自体は可能です。正式な異議申立ての仕組みがなくても、明らかな記載の誤りであれば、事務手続きとして訂正されることがあります。まずは窓口に事情を伝えてください。
確認の依頼は、正当な手続きの一つです。
02なぜ制度があるのか
誤りが起こり得るからです。
- 成績評価は人が行う作業である以上、誤りが起こる可能性があります。
- 答案が何百枚とある科目で、集計や転記の過程で誤りが生じることは、制度上想定されています。
- そのため、学生が確認を求められる仕組みが用意されています。制度を使うことは、想定された行動です。
また、学生側の記録と大学側の記録が食い違うことも現実に起こります。オンライン提出でシステムの不具合があった、提出先を取り違えていた、メールが届いていなかった——こうした事態は、確認しなければ分かりません。制度は、その確認の場を保証するものです。
なお、誤りが見つかる確率が高いわけではありません。大学側も確認の体制を取っており、大半の評価は適正に処理されています。制度は「よくある誤りを拾う」ためではなく、「万が一に備える」ために存在します。過度な期待はせず、しかし疑問があるなら確認する——この距離感が適切です。
03期限が最重要
ここで多くの人が失敗します。
この制度で最も重要なのが、期限です。成績発表から1〜2週間程度と短く設定されていることが一般的です。
期限を過ぎると、どれほど正当な理由があっても受け付けられないのが通常です。
したがって、成績が発表されたらすぐに確認する習慣が必要です。発表の時期を把握しておいてください。
なお、期限は大学の年間行事予定や成績発表の案内に記載されていることが一般的です。学期末が近づいたら、成績発表日とあわせて確認期間も把握しておいてください。長期休暇と重なることが多く、帰省していて掲示を見なかったという事態が起こりがちです。ポータルは休暇中も確認してください。
期限の短さには理由があります。成績が確定すると、次学期の履修登録、進級判定、卒業判定といった手続きが連動して動き出すためです。後から成績が変わると、これらすべてに影響します。だからこそ、確認の期間は短く区切られています。学生側にとっては厳しい設計ですが、仕組み上そうなっています。
04対象になる場合
事実に関わる疑問です。
制度が想定しているのは、事実に関わる疑問です。
たとえば、試験を受けたのに未受験とされている、提出したレポートが未提出として処理されているといったケースです。
また、シラバスに示された評価方法と明らかに異なる方法で評価されている場合も、確認の対象になり得ます。
これらに共通するのは、「事実がどうだったか」を確かめれば白黒がつくという点です。逆に言えば、確かめようのない主観は対象になりません。自分の疑問がどちらなのかを、申請前に一度整理してください。
なお、複数の科目で同時に疑問がある場合は、科目ごとに申請するのが通常です。まとめて一件として扱われるわけではありません。それぞれ根拠を整理してください。
05対象にならない場合
これは受け付けられません。
一方で、受け付けられない理由も明確です。
「思ったより低い」「単位が必要だから上げてほしい」——これらは事実の誤りを指摘するものではありません。
また、評価基準そのものへの不満も対象外です。基準は担当教員が定めるものであり、事前にシラバスで示されています。
なお、対象外だからといって何も相談できないわけではありません。「どこが足りなかったのか知りたい」という問い合わせであれば、受け付けられることがあります。評価の変更を求めるのではなく、説明を求めるという形です。
なお、評価基準そのものが不当だと感じる場合は、別の相談経路があります。授業アンケートや学生からの意見を受け付ける窓口です。成績の確認制度とは目的が違うため、混同しないでください。
06まず自分で確認する
申し立てる前にやることがあります。
申し立てる前に、自分の側で確認できることを確認してください。
意外に多いのが、科目の取り違えです。似た名前の科目を見間違えているケースがあります。
また、提出したつもりで完了していなかったということもあります。システムの提出履歴を確認してください。
また、出席要件を満たしていなかったことに後から気づくケースもあります。シラバスに「◯回以上の出席」と記載されている場合、それを下回れば評価の対象外となります。自分の出席回数を数えてから動いてください。
この段階で自分の勘違いだと分かることは、決して少なくありません。それは悪いことではなく、むしろ申請前に気づけた方が良い結果です。恥ずかしいことでもありません。
07シラバスと照合する
根拠の中心になります。
申し立ての根拠として最も強いのが、シラバスの記載との不一致です。
シラバスは、大学が公式に示すその科目の評価方法の説明です。そこに書かれた方法と明らかに異なる評価がなされているなら、確認を求める根拠になります。
ただし、授業中に変更が告知されている場合もあります。その告知を聞き逃していないか、あわせて確認してください。
なお、シラバスは学期途中で改訂されることがあります。現在表示されているものが、履修時点のものと同じとは限りません。手元に保存していた版があれば、それも確認材料になります。
08根拠を整理する
あるものを集めてください。
申し立てには、根拠となる資料が必要です。記憶だけでは確認が難しくなります。
最も有力なのが、提出の記録です。システムの提出履歴や、受付を知らせるメールが残っていれば示せます。
返却された課題に点数が記載されている場合も、集計と照合する根拠になります。
なお、根拠がまったくない場合は、申請しても確認が難しくなります。「提出したはずだが記録がない」という状態では、大学側も照合のしようがありません。だからこそ、日頃から記録を残す意味があります。
なお、根拠資料は原本ではなく写しで足りることがほとんどです。ただし提出方法は大学の指定に従ってください。原本の提出を求められた場合は、手元にも記録を残しておいてください。
09手続きの流れ
大まかな流れです。
- 1制度と期限を確認
- 2自分で確認できることを確認
- 3根拠を整理
- 4所定の様式で申請
- 5審査・回答を待つ
- 流れはおおむねこの5段階です。具体的な手続きは大学の規程によります。
- 重要なのは、①と②を飛ばさないことです。期限を確認せずに動くと間に合いません。
- また、自分の勘違いだった場合は、申請前に気づける方が双方にとって良い結果です。
なお、手続きの詳細は大学によって大きく異なります。ここに示したのは一般的な流れであり、実際の手順は必ず在籍する大学の案内で確認してください。
この5段階のうち、学生が主体的に動けるのは①から④までです。
10様式と提出先
大学が定めています。
申請の様式と提出先は、大学が定めています。独自の形式で提出しても受理されないことがあります。
所定の用紙がある場合は、教務課の窓口やポータルで入手できます。
窓口提出の場合は、受付時間にも注意してください。期限日の夕方に行ったら閉まっていた、ということが起こり得ます。
なお、締切間際は窓口が混雑することがあります。余裕を持って提出してください。不備があった場合に修正する時間も必要です。
なお、提出後に受付の控えをもらえる場合は、必ず受け取ってください。申請したこと自体の記録になります。
11書き方の基本
事実と根拠で構成します。
申請書に書くべきは、事実と根拠です。
「納得できません」「おかしいと思います」といった主観の表明は、確認の材料になりません。
「◯月◯日にシステムで提出した記録がありますが、未提出として処理されています」——このように具体的に書いてください。
また、文面は短くて構いません。長く書けば伝わるというものではなく、むしろ論点がぼやけます。何が事実で、何を根拠にそう言えるのか——この2点が明確なら十分です。
なお、書式が指定されている場合はそれに従ってください。自由記述欄の文字数に制限があることもあります。限られた字数で伝えるには、やはり事実と根拠に絞るのが最も効率的です。
12記載する内容
この要素を入れてください。
記載すべき要素はこの5つです。所定の様式があれば、それに沿って記入します。
疑問の内容は、具体的に書いてください。「評価が低い」ではなく「未提出として処理されている」といった形です。
求めることは「確認していただきたい」という依頼です。「単位をください」は求める内容として適切ではありません。
なお、根拠資料を添付できる場合は添付してください。スクリーンショットやメールの写しがあれば、確認が早く進みます。
なお、複数の疑問がある場合は箇条書きにすると読みやすくなります。文章を続けるより、論点が明確になります。
13やってはいけない書き方
これは避けてください。
最も避けるべきなのが、教員への非難です。制度の趣旨から外れ、確認の材料にもなりません。
また、「卒業に必要なので」といった事情を訴えるのも適切ではありません。事情は評価の根拠になりません。
そして、推測を事実のように書かないでください。「おそらく紛失された」ではなく「提出した記録がある」と書きます。
なお、感情的になるのは自然なことです。納得できない評価を前にすれば、誰でも動揺します。だからこそ、書いた直後に提出せず、一晩おいてから読み返すことをおすすめします。冷静なときに読むと、書き直したい箇所が見つかります。
読み手に伝わる文面かどうかを、提出前に一度確かめてください。
14教員に直接聞く場合
制度の確認が先です。
担当教員に直接問い合わせる前に、大学の制度を確認してください。窓口を経由することが定められている場合があります。
連絡する場合は、大学から付与されたメールアドレスを使ってください。本人確認の観点からも確実です。
文面は、事実中心で丁寧に。「確認をお願いできますでしょうか」という依頼の形が基本です。
なお、教員にも回答の都合があります。成績発表直後は問い合わせが集中する時期でもあり、返信に時間がかかることがあります。数日待ってから、必要なら窓口に相談してください。
15審査の流れ
時間がかかることがあります。
申請が受理されると、担当教員に照会がなされるのが一般的です。
そこで記録や答案が照合され、誤りがあれば訂正されます。
回答までに数週間かかることもあります。次学期の履修登録に影響する場合は、その旨を窓口に伝えておいてください。
なお、審査の過程は公開されないことが一般的です。誰がどう判断したかの詳細まで知ることはできません。通知される結果を受け取る形になります。
なお、結果を待つ間も次の学期の準備は進めてください。評価が変わらなかった場合に備えて、再履修を含めた計画を立てておくと、結果が出てから慌てずに済みます。
16結果の通知
3つのパターンがあります。
- 結果は、おおむねこの3パターンです。
- 誤りが確認されれば訂正されます。この場合、成績表も更新されます。
- 一方、評価は適正と判断されることも当然あります。その場合、評価の根拠が説明されることがあります。
なお、訂正された場合はGPAも再計算されます。成績証明書の記載も更新されるため、証明書を発行する予定がある場合は、結果が出てから取得してください。
いずれの結果でも、通知は正式なものとして扱われます。
17変わらなかったとき
受け止めて次に進んでください。
評価が変わらないことは、珍しくありません。制度は「必ず変わる」ものではなく「確認する」ものです。
結果が出たら、示された説明を理解することに意味があります。何が足りなかったかが分かれば、次に活かせます。
そして、同じ内容で繰り返し申し立てるのは避けてください。制度の趣旨から外れます。
なお、評価が変わらなかったこと自体は、制度が機能しなかったことを意味しません。確認した結果、誤りがなかったというのも一つの答えです。少なくとも、疑問を抱えたまま次に進むよりは良い状態です。
なお、単位が必要な必修科目であれば、再履修の計画が優先されます。次年度の開講時期と時間割を確認し、確実に取り切れる形で組んでください。GPAの回復方法はGPAの上げ方|成績評価の仕組みから逆算する方法で扱っています。
18不利益はあるか
制度として用意されています。
「申し立てると心証が悪くなるのでは」と心配する人がいます。ただ、制度として用意されている以上、使うことは想定された行動です。
ただし、非難の文面で送る、繰り返し要求するといった行為は別です。制度に沿った形で行ってください。
不安がある場合は、教員に直接ではなく窓口を経由する方法もあります。窓口に相談してください。
なお、評価が下がる可能性を心配する人もいます。確認の結果として集計の誤りが見つかり、評価が下方に訂正されることは理屈のうえでは起こり得ます。ただし、これは本来の評価に是正されるということであり、確認を避ける理由にはなりません。
なお、制度を使ったことが成績や記録に残るわけではありません。通常の事務手続きとして処理されます。
19同じことを繰り返さない
予防できることがあります。
- 最も効果的なのが、提出の記録を残すことです。受付画面の保存やメールの保管で、後から証明できます。
- 提出物の控えを手元に残すことも有効です。ファイルを削除しないでください。
- そして、疑問は学期中に確認してください。成績が出てからでは、できることが限られます。
なお、記録は学期が終わっても消さないでください。成績発表は学期終了後です。提出から数か月経ってから必要になることがあります。
また、返却された課題やテストは学期を通じて保管しておいてください。点数が記載されているものは、集計を照合する際の根拠になります。返却されたその日に捨ててしまうと、後から何も示せません。
20相談できる窓口
一人で判断しないでください。
制度の有無、期限、手続きは教務課で確認できます。まずここに相談してください。
学部ごとに独自の制度がある場合は、学部事務室が窓口になります。
どう対応すべきか迷う場合は、アドバイザー教員に相談する方法もあります。GPAへの影響が気になる場合はGPAとは?計算方法と大学生活で効いてくる場面もあわせて確認してください。
なお、窓口に相談すること自体は申し立てではありません。「こういう状況なのですが、制度の対象になりますか」という確認から始めて構いません。相談したうえで、申請するかを判断してください。
21よくある質問
成績に納得できないとき、どうすればいいですか?
まず在籍する大学に成績確認や異議申立ての制度があるか、期限はいつまでかを確認してください。期限は成績発表から1〜2週間程度と短いことが多く、過ぎると受け付けられないのが通常です。
どんな場合に申し立てられますか?
事実に関わる疑問です。受験したのに未受験とされている、提出した記録があるのに未提出とされている、シラバスの評価方法と明らかに異なる——といったケースが想定されています。
「思ったより低い」では申し立てられませんか?
対象になりません。主観であり、事実の誤りを指摘するものではないためです。単位が必要だから、頑張ったから、友人より低いから——これらも同様に対象外です。
期限を過ぎてしまいました。
受け付けられないのが通常です。ただし大学によって扱いが異なる可能性があるため、教務課に確認してください。次からは成績発表後すぐに確認する習慣をつけてください。
申請書には何を書けばいいですか?
科目名と担当教員、学籍番号と氏名、疑問の内容、根拠、確認の依頼です。事実と根拠で構成し、感情や不満は書かないでください。「◯月◯日に提出した記録がある」といった具体的な記述が有効です。
教員に直接聞いてもいいですか?
大学の制度を先に確認してください。窓口を経由することが定められている場合があります。連絡する場合は大学のメールアドレスを使い、事実中心で丁寧な文面にしてください。
申し立てると不利になりませんか?
制度として用意されている以上、使うことは想定された行動です。ただし非難の文面で送る、繰り返し要求するといった行為は別です。不安があれば教員に直接ではなく窓口を経由する方法もあります。
どれくらいで結果が出ますか?
大学によりますが、数週間かかることもあります。次学期の履修登録に影響する場合は、その旨を窓口に伝えておいてください。
評価が変わらなかったらどうすればいいですか?
示された説明を理解し、次に活かしてください。制度は「必ず変わる」ものではなく「確認する」ものです。単位が必要な科目なら、再履修の計画に切り替えてください。同じ内容での繰り返しの申し立ては避けてください。
同じことを防ぐにはどうすればいいですか?
提出の記録を残すことです。受付画面の保存やメールの保管で、後から証明できます。提出物の控えも手元に残し、返却された課題も保管してください。疑問は成績発表後ではなく学期中に確認してください。
22まとめ|期限内に、事実と根拠で
まず制度と期限を確認してください。成績発表から1〜2週間程度と短く、過ぎると受け付けられないのが通常です。
対象は事実に関わる疑問です。未受験・未提出とされている、シラバスの評価方法と明らかに異なる——こうしたケースが想定されています。
「思ったより低い」は対象になりません。主観であり、事実の誤りを指摘するものではないためです。
書くときは事実と根拠で。提出の記録、シラバスの記載、返却された課題——具体的に示してください。感情や事情は根拠になりません。
最後に。予防が最も確実です。提出の記録を残し、控えを保管し、疑問は学期中に確認する。これだけで、多くの事態は防げます。