化学・素材業界の調べ方|一次情報の集め方
化学・素材業界を調べるなら「用途から辿る」「分野ごとの業界団体」「会社の製品紹介」の3つから始めてください。製品が目に見えにくい業界のため、身の回りのものに何が使われているかから辿ると会社にたどり着きます。業界団体は化学全体のほか、石油化学、樹脂、塗料、繊維など分野ごとにあります。化学物質の取り扱いに関する制度は公的機関の情報で確認してください。
化学・素材業界は、製品が目に見えにくい業界です。
だからこそ「何に使われているか」から辿るのが早道になります。
そして分野ごとに業界団体があります。石油化学、樹脂、塗料、繊維——それぞれ別です。
この記事では、この業界の情報源と、その使い方を整理します。
この記事を7枚で
1 / 7第1部 この業界で使える情報源
第2部 会社が出す資料
第3部 公的機関と業界団体
第4部 調べたことの扱い方
第1部 この業界で使える情報源
01この業界で使える情報源
まずこの3つから始めてください。
化学・素材業界の3つの情報源。
製品が目に見えにくい業界です
だからこそ「何に使われているか」から入ると分かりやすくなります。
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業界の構造は化学・素材業界とは|全体像と分野の調べ方、職種は化学・素材業界の職種|仕事内容の調べ方、選考は化学・素材業界の選考|案内から流れを読む、条件は化学・素材業界の求人票|確認する項目で整理しています。
02用途から辿る
この業界はここから入るのが早道です。
身の回りのものを一つ選んでください
それが何でできているかを調べると、材料をつくる会社に行き着きます。
完成品の会社の資料から辿れることがあります
取引先や使っている材料について書かれていることがあります。
会社の製品紹介が具体的です
材料の会社のサイトには「この製品はこういう用途に使われます」という説明があります。
用途分野ごとに会社が違います
電子材料に強い会社、自動車向けに強い会社——同じ化学でも重心が違います。
自分の関心から入ってください
興味のある分野から辿ると、調べる動機が続きます。
具体例を一つ持ってください
その材料が何に使われているかを具体で言えると、面接で話が通じます。
03分野ごとの業界団体
分野ごとに別の団体があります。
名簿から知らない会社が見つかります
この業界は一般に知られていない会社が多くあります。名簿は選択肢を広げる道具です。
統計は分野ごとに出ています
石油化学の統計と繊維の統計は別です。何を知りたいかを決めてから探してください。
環境や安全に関する取り組みを紹介しています
業界団体が分野としての取り組みを公表していることがあります。
用語の解説がある場合があります
化学の言葉が分からないと資料が読めません。解説のページがあれば先に読んでください。
展示会を主催する団体があります
分野ごとの展示会が開かれることがあります。学生が入れる催しもあります。
団体名は自分で確認してください
団体の名称や公表している資料は変わることがあります。検索して最新のものを確認してください。
04公的機関の資料
制度に関わる資料が多い分野です。
化学物質に関する制度があります
取り扱いや届出に関する決まりが公的機関から公表されています。制度は改正されることがあります。
なお本記事は就職活動のための案内であり、化学物質の取り扱いに関する内容ではありません。
環境に関する制度も関わります
排出や廃棄に関する決まりがあります。会社の取り組みと合わせて読むと理解が深まります。
白書は全体像をつかむのに向きます
ものづくりの分野を扱う白書があります。いま何が課題とされているかが整理されています。
概要版から読んでください
本文が長い資料では、概要版が出ていることがあります。そこから入ると読みやすくなります。
統計は更新されます
いつの統計かを必ず確認してください。古い数字を面接で話すと、かえって印象が悪くなります。
05会社の資料の読みどころ
用途と拠点を見てください。
製品紹介のページを読んでください
有価証券報告書より、製品紹介のほうが具体的なことがあります。用途が書かれています。
セグメント情報で重心が分かります
基礎的な素材が中心か、用途を絞った製品が中心か——会社によって違います。
設備の状況で拠点が分かります
工場と研究所がどこにあるか。勤務地を考える材料にもなります。
環境や安全の報告を見てください
多くの会社が取り組みを公表しています。会社の姿勢を知る材料になります。
研究に関する情報を出す会社があります
技術について説明するページを持っている会社があります。研究職を志望するなら読んでください。
2社を並べてください
同じ化学の会社でも、力を入れている用途分野が違います。その違いが志望動機になります。
第2部 会社が出す資料
06会社が出している資料
会社自身が出したものが、いちばん確かな材料です。
| 資料 | 分かること |
|---|---|
| 有価証券報告書 | 事業の内容、セグメント、従業員の状況、事業等のリスク |
| 決算説明資料 | その期に何が起きたか、会社がどう説明しているか |
| 中期経営計画 | これから何をしようとしているか |
| 統合報告書・サステナビリティ報告 | 会社が大事にしていること、取り組み |
| 会社のサイト | 事業の紹介、拠点の一覧、沿革 |
| 採用ページ | 職種、募集要項、働く人の紹介 |
上場している会社は資料が多くなります
有価証券報告書は公的な仕組みで公表されています。誰でも読めます。
製品の用途が書かれているか見てください
化学の製品は何に使われるかが分からないと想像できません。
上場していない会社はどう調べるか
会社のサイト、採用ページ、業界団体の名簿、公的機関の公表資料。使える材料はあります。
就活サイトの情報は二次の情報です
まとめられた情報は分かりやすい代わりに、古かったり要約で落ちていたりします。元の資料にあたってください。
07有価証券報告書のどこを読むか
全部読む必要はありません。
まず「事業の内容」と「セグメント情報」を読んでください
この2つでその会社が何をしているかの輪郭が分かります。
セグメント情報で事業の広がりが分かります
基礎的な素材から用途を絞った製品まで、会社によって重心が違います。
「事業等のリスク」は志望動機の材料になります
会社自身が何を不確実だと考えているかが書かれています。面接で話すときの材料になります。
数字を暗記する必要はありません
覚えるのではなく、構造を理解するために読んでください。
08中期経営計画と決算説明資料
これからの方向が書かれています。
「なぜこの会社か」の材料になります
同じ業界の2社の計画を並べると、力を入れている領域の違いが見えます。
どの用途分野を伸ばすかが書かれます
電子材料、自動車向け、生活用品——会社の向かう先が分かります。
言葉をそのまま使わないでください
計画に書かれた言葉をなぞるだけでは読んだことの証明にしかなりません。自分がどう思ったかまで用意してください。
公開されていない会社もあります
その場合は会社のサイトや採用ページから読み取ってください。
09採用ページと会社のサイト
見落とされがちですが、情報が詰まっています。
拠点の一覧は必ず見てください
勤務地の記載を読むときの前提になります。
研究と生産の両方の紹介を読んでください
研究所と工場では働き方が違います。両方の説明を読むと像が立ちます。
働く人の紹介は職種ごとに読んでください
同じ会社でも職種によって仕事が違います。複数の職種の紹介を読むと像が立ちます。
募集要項の読み方は別記事で
条件の確認については募集要項の読み方|見落としやすい項目を確認するで扱っています。
第3部 公的機関と業界団体
10公的機関が出している情報
業界全体の輪郭は、ここで分かります。
制度のことは必ず公的機関で確認してください
制度は改正されることがあります。まとめ記事ではなく、一次の情報で確認するのが確実です。
化学物質に関する制度の情報があります
取り扱いに関する決まりは公的機関が公表しています。制度は改正されることがあります。
白書は業界の全体像をつかむのに向きます
分野ごとの整理と、いま何が課題とされているかが書かれています。
読むのが大変なら要約から
公的機関が概要版を出していることがあります。そこから入ってください。
11業界団体の資料
その業界の内側からの整理です。
会員の名簿は会社を探すのに使えます
知らない会社を見つけるいちばん確実な方法です。専門の分野ほど有効です。
分野ごとに団体があります
化学全体の団体のほか、石油化学、樹脂、塗料、繊維など分野ごとの団体があります。
用語の解説から読むと早いことがあります
業界の言葉が分からないと資料が読めません。用語の解説があれば先に読んでください。
誰が出した資料かを意識してください
団体が出すものには、その業界にとっての見え方が反映されます。公的機関の資料と両方を見ると偏りが減ります。
12資料の探し方
探し方を覚えると早くなります。
会社のサイトの投資家向けページを見てください
上場している会社では、決算や計画の資料がまとめて置かれています。
用途から辿ると会社が見つかります
身の回りのものに何が使われているかから辿ると、知らない会社に行き着きます。
大学の図書館も使えます
業界に関する書籍や、有料の情報源が使える場合があります。司書に聞いてください。
分からないときはキャリアセンターへ
調べ方そのものを相談できる相手です。
132社を並べて読む
1社だけ読んでも、違いは見えません。
同じ業界の同じような規模の会社で比べてください
前提が違いすぎると比べても意味がありません。
同じ分野どうしで比べてください
基礎的な素材と用途を絞った製品では前提が違います。同じ分野にそろえてください。
違いが「なぜこの会社か」の答えになります
「A社は○○に力を入れ、B社は△△に力を入れている」——この形で言えると具体になります。
表にして並べてください
頭の中で比べると印象で判断してしまいます。項目を決めて書き出してください。
第4部 調べたことの扱い方
14一次の情報と二次の情報
この区別を持っておいてください。
二次の情報が悪いわけではありません
全体をつかむにはまとめられた情報が役に立ちます。ただし、そこで止めないでください。
技術の話は会社の資料で確かめてください
新しい材料についての記事には見通しを含むことがあります。
出どころを確認する癖をつけてください
読んだ内容がどこから来たものか。元の資料にあたれるかを確認してください。
人から聞いた話はその人の経験です
貴重な情報ですが、会社全体の話とは限りません。複数の人に聞くと偏りが減ります。
古い情報に注意してください
いつの情報かを必ず確認してください。制度も会社の状況も変わります。
15調べたことを記録する
あとで使える形にしてください。
自分が何を思ったかを書いてください
資料の内容だけ写しても、面接では使えません。読んで何を感じたかが材料になります。
用途分野ごとに記録を分けてください
電子、自動車、住宅、生活用品、医療——用途ごとに整理すると使いやすくなります。
分からなかったことを残してください
調べても分からなかったことが、説明会で聞くべきことになります。
会社ごとに同じ項目を埋めてください
項目をそろえると違いがはっきりします。
16調べたことをどう使うか
調べて終わりにしないでください。
資料の言葉をなぞらないでください
書かれていることを言うだけでは、読んだことの証明にしかなりません。
それを読んで自分が何を考えたかまで言えると、話が変わります。
身の回りの例を一つ持ってください
その材料が何に使われているかを具体で言えると、理解が伝わります。
知らない会社を見つける道具でもあります
業界団体の名簿や取引先の一覧から、選択肢が広がります。
調べすぎて動けなくならないでください
ある程度調べたら、説明会に行く、人に聞く。動いたほうが分かることもあります。
17やらない方がいいこと
調べ方でとくに起きやすい失敗です。
身の回りのものから入ってください
抽象的な分野の説明より、手元にあるものを起点にしたほうが頭に残ります。
調べ方そのものを相談できます
大学のキャリアセンターや図書館の司書は、探し方を教えてくれる相手です。
18よくある質問
何から調べ始めればいいですか?
用途から辿ること、分野ごとの業界団体、会社の製品紹介の3つです。製品が目に見えにくい業界なので、身の回りのものに何が使われているかから辿ると会社にたどり着きます。
用途から辿るとはどういうことですか?
身の回りのものを一つ選び、それが何でできているかを調べると、材料をつくる会社に行き着きます。電子機器なら基板や封止の材料、自動車なら樹脂や塗料や電池の材料、住宅なら断熱の材料や塗料といった具合です。自分の関心から入ると調べる動機が続きます。
会社の製品紹介はどう使えばいいですか?
材料の会社のサイトには「この製品はこういう用途に使われます」という説明があります。有価証券報告書より製品紹介のほうが具体的なことがあるので、先に読むと理解が早くなります。
業界団体はどこを見ればいいですか?
化学全体の団体のほか、石油化学、樹脂、塗料、繊維、ガスや薬品など分野ごとの団体があります。名簿には一般に知られていない会社が多く載っており、選択肢を広げる道具になります。用語の解説が置かれていることもあります。
統計はどこで探せばいいですか?
生産や出荷に関する統計は産業を所管する省庁から公表されています。石油化学の統計と繊維の統計は別なので、何を知りたいかを決めてから探してください。いつの統計かは必ず確認してください。
制度について調べるときは?
化学物質の取り扱いや届出に関する決まり、排出や廃棄に関する決まりが公的機関から公表されています。制度は改正されることがあるため、一次の情報で確認してください。なお本記事は就職活動のための案内であり、化学物質の取り扱いに関する内容ではありません。
会社の資料はどこを読めばいいですか?
製品紹介のページ、セグメント情報、設備の状況、事業等のリスク、環境や安全の報告です。セグメント情報を見ると、基礎的な素材が中心か用途を絞った製品が中心かという重心が分かります。設備の状況では工場と研究所の場所が分かります。
研究職を志望しています。何を見ればいいですか?
技術について説明するページを持っている会社があります。研究所の場所は設備の状況で確認できます。中期経営計画には、どの用途分野を伸ばそうとしているかが書かれます。
知られていない会社はどう探せばいいですか?
分野ごとの業界団体の名簿が確実です。完成品の会社の資料に取引先や使っている材料について書かれていることもあります。用途から辿る方法も有効です。
展示会には行けますか?
分野ごとの展示会が開かれることがあり、学生が入れる催しもあります。開催の情報は団体や主催者のサイトで確認してください。
2社を比べるときは何を見ればいいですか?
セグメント情報、中期経営計画、事業等のリスク、拠点の一覧、採用ページです。基礎的な素材と用途を絞った製品では前提が違うので、同じ分野にそろえてください。
調べたことをどう使えばいいですか?
その材料が何に使われているかを具体で言えると、面接で話が通じます。資料の言葉をなぞるだけでは読んだことの証明にしかなりません。具体例を一つ持っておいてください。
19まとめ|用途・団体・製品紹介の3つから
化学・素材業界を調べるなら、用途から辿ること、分野ごとの業界団体、会社の製品紹介の3つから始めてください。
- 製品が目に見えにくい業界です。「何に使われているか」から入ってください。
- 会社の製品紹介が具体的です。用途が書かれています。
- 分野ごとに団体があります。名簿から知らない会社が見つかります。
- 制度は公的機関で確認してください。改正されることがあります。
- 具体例を一つ持ってください。何に使われているかを言えると話が通じます。
最後に。本記事は就職活動のための案内であり、化学物質の取り扱いに関する内容ではありません。制度や統計は更新されるため、公的機関や発行元の最新の情報でご確認ください。
・化学・素材業界とは|全体像と分野の調べ方
・化学・素材業界の職種|仕事内容の調べ方
・化学・素材業界の選考|案内から流れを読む
・化学・素材業界の求人票|確認する項目
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