退職時に返すもの・受け取るもの|手続きの確認
辞める前に「返すもの」「受け取るもの」「確認すること」の三つを整理してください。返すものは制服・名札・鍵・社員証・マニュアルなどの資料・貸与された備品。受け取るものは最後の給料・給与明細・源泉徴収票です。源泉徴収票は次の職場での年末調整や確定申告に必要になることがあるので、受け取り方を必ず確認しましょう。有給休暇の残り、加入していた場合の保険の手続き、住民税の扱いも確認しま…
辞めることが決まって、あとは最終日を迎えるだけ——と思っていたら、「制服、クリーニングして返してね」「源泉徴収票はいつ渡せばいい?」「ロッカーの鍵、まだ返してもらってないよ」。
バイトを辞めるときには、返すもの、受け取るもの、確認しておくことがいくつもあります。うっかり忘れると、辞めた後に職場と何度も連絡を取ることになったり、次のバイト先での手続きや税金の手続きで困ったりします。
この記事では、退職日までに返すものと受け取るものの一覧、源泉徴収票や最後の給料の確認、加入していた場合の保険や住民税の扱い、そして最終日に使えるチェックリストを整理します。辞めることの伝え方については、バイトの辞め方|伝える時期・相手・言い方で扱っています。
この記事を7枚で
1 / 701辞めるまでの手続きの流れ
伝えてから辞めた後まで、流れで整理します。
辞めるときの手続きは、辞めることを伝えたときから始まります。伝えるときに、退職日、最終出勤日、返すもの、受け取るものをあわせて確認しておくと、その後の準備がスムーズに進みます。
最終出勤日には返却物を返して私物を持ち帰り、辞めた後には最後の給料と源泉徴収票を受け取ります。源泉徴収票は、次の職場や年末の税金の手続きで使うことがあるので、辞めた後まで含めて流れを把握しておきましょう。
02退職日と最終出勤日の違い
二つの日が、同じとは限りません。
最終出勤日は最後に実際に働く日、退職日は雇用契約が終了する日です。多くの場合は同じ日になりますが、残っている有給休暇を最終出勤日の後に使う場合などは、退職日が後になります。
源泉徴収票や、加入していた場合の保険の手続きは、退職日を基準に行われます。辞めることを伝えたら、最終出勤日と退職日の両方の日付を職場と確認しておきましょう。
03返すものの一覧
職場から借りていたものは、すべて返します。
辞めるときは、職場から借りていたものをすべて返す必要があります。制服やエプロン、名札、鍵、マニュアル、貸与された端末などです。何を返す必要があるかは職場によって違うので、辞めることを伝えたときに一覧で確認しておくと安心です。
働き始めたときに受け取ったものを思い出し、手元に残っていないか確認してください。最終出勤日に忘れると、辞めた後に郵送したり、わざわざ届けに行ったりすることになります。
04制服・エプロンの返し方
返し方の決まりを確認します。
制服は、クリーニングや洗濯をしてから返すよう決められている職場もあれば、そのまま返してよい職場もあります。最終出勤日に着たまま返すことになる場合もあるので、返す時期と方法を確認しておきましょう。
通常の使い方でできた汚れや傷みについて、弁償を当然のように求められることは、本来あるべきではありません。制服をなくしてしまった場合は、正直に伝えて扱いを確認してください。弁償を求められて疑問を感じたら、応じる前に相談窓口で確認しましょう。
05鍵・名札・社員証
防犯に関わるものは、確実に返します。
店や事務所の鍵、社員証、入館証は、防犯に関わるものです。辞めた後に手元に残っていると、紛失したときにトラブルになるおそれがあります。最終出勤日に、責任者に直接手渡しで返してください。
ロッカーの鍵は、中の私物をすべて持ち帰ってから返しましょう。返した日時と、受け取った人の名前をメモしておくと、後で「返してもらっていない」と言われたときに確認できます。
06マニュアル・資料・業務の情報
紙の資料だけでなく、データも整理します。
| 整理すること | 内容 |
|---|---|
| マニュアル・研修の資料 | 職場に返す |
| 自分で取ったメモの中の業務の情報 | 客の情報などは処分する |
| スマートフォンの業務の写真 | シフト表以外の業務情報は削除を検討 |
| 業務用のアカウント | 職場の指示に従ってログアウト・返却 |
| 守秘の決まり | 辞めた後も業務で知った情報を話さない |
マニュアルや研修の資料は、職場の情報なので返してください。自分で取ったメモに、客の名前や連絡先などの業務の情報が含まれている場合は、職場の指示に従って処分しましょう。
スマートフォンに業務に関わる写真や情報が残っている場合も、職場の決まりを確認して整理してください。ただし、給与明細やシフト表、勤務の記録など、辞めた後に給料の確認などで必要になる可能性があるものは、自分の記録として保管しておいてかまいません。業務で知った情報は、辞めた後も外で話さないようにしましょう。
07貸与された端末・備品
返す前に、状態を確認します。
| 備品の例 | 確認すること |
|---|---|
| 業務用のスマートフォン・タブレット | 個人のデータが残っていないか |
| インカム | 付属品もそろっているか |
| 工具・調理器具 | 貸与されたもの |
| ユニフォームの付属品 | 帽子・ベルトなど |
業務用のスマートフォンやタブレット、インカムなどを貸与されていた場合は、付属品も含めて返してください。業務用の端末に、個人的なアカウントやデータを入れていた場合は、返す前に削除しておきましょう。
返すときに、責任者と一緒に状態を確認しておくと、後から「壊れていた」「足りない」といったトラブルを防げます。
08受け取るものの一覧
辞めた後も、受け取るものがあります。
辞めた後に受け取るものの中で、特に大切なのは、最後の給料と、給与明細、源泉徴収票です。これらは、最終出勤日の後に渡されたり、郵送されたりすることが多いので、いつ、どうやって受け取るのかを事前に確認しておきましょう。
辞めた後に引っ越す予定がある場合は、郵送先の住所も伝えておいてください。受け取れないまま時間がたつと、職場との連絡が取りにくくなることがあります。
09最後の給料
辞めた後も、働いた分は支払われます。
最後の給料は、多くの場合、通常の給料日に支払われます。振込の場合は口座を解約しないように注意し、手渡しの場合は受け取りに行く日を確認しておきましょう。
振り込まれたら、最後のシフトまでの勤務時間が反映されているか、制服代などが勝手に差し引かれていないかを、自分の記録と照らし合わせてください。支払われない、金額が合わない場合の対応は、給料が支払われないとき|記録の残し方と相談先で扱っています。
10給与明細
辞めた後も、しばらく保管しておきます。
給与明細は、辞めた後もしばらく保管しておいてください。最後の給料の金額が正しいかを確認したり、後から未払いに気づいたときに請求の根拠にしたりすることができます。
その年に受け取った給料の合計を確認するときにも使います。源泉徴収票を受け取ったら、給与明細の金額の合計と照らし合わせてみましょう。
11源泉徴収票
辞めた人にも、交付されるものです。
源泉徴収票は、その年に職場から支払われた給料の金額と、給料から差し引かれた所得税の額が書かれた書類です。年の途中で辞めた人に対しても、退職した日以後1か月以内に交付することとされています。
受け取り方は職場によって違い、手渡し、郵送、電子での交付などがあります。辞めることを伝えたときに、源泉徴収票をいつ、どうやって受け取れるかを確認しておきましょう。届かない場合は、遠慮せずに職場に連絡して発行を依頼してください。
12源泉徴収票の使い道
次の職場や、税金の手続きで使うことがあります。
| 場面 | 使い方 |
|---|---|
| 同じ年に次の職場で働く | 次の職場の年末調整で提出を求められることがある |
| 年の途中で辞めて次の職場がない | 確定申告で所得税が戻る場合がある |
| 複数の職場で働いた | 確定申告が必要になる場合がある |
| 家族の扶養の確認 | 年収の合計を確認する |
同じ年のうちに次の職場で働き始めた場合、次の職場で年末調整を受けるときに、前の職場の源泉徴収票の提出を求められることがあります。前の職場の分も合わせて、その年の所得税を計算するためです。
年の途中で辞めて、その年に次の職場で働かなかった場合は、確定申告をすることで、差し引かれていた所得税の一部が戻ってくる場合があります。税金の扱いは個別の状況によって違うので、国税庁の情報を確認し、わからない点は税務署などに相談してください。
13有給休暇の残り
辞める前に、残りの日数を確認します。
条件を満たしていれば、アルバイトにも有給休暇があります。辞める前に、残っている有給休暇の日数を確認してください。残っている有給休暇は、退職日までの期間に使うことができます。
使いたい場合は、辞めることを伝えるときにあわせて相談しておくとスムーズです。退職日を過ぎると使えなくなるので注意しましょう。有給休暇の詳しい考え方は、バイトでも有給休暇はある?条件と申請の考え方で扱っています。
14保険に加入していた場合
学生のアルバイトでは少ないものの、確認しておきます。
| 状況 | 確認すること |
|---|---|
| 勤務先の健康保険に加入していた | 資格を失う手続きと、その後に加入する保険 |
| 勤務先の厚生年金に加入していた | 職場の手続きの案内 |
| 家族の健康保険の被扶養者だった | 通常は辞めることで手続きは発生しない |
| わからない | 給与明細の社会保険料の欄を確認 |
学生のアルバイトの多くは、勤務先の健康保険や厚生年金に加入せず、家族の健康保険の被扶養者になっています。その場合、バイトを辞めることで保険の手続きが発生することは通常ありません。
働き方によって勤務先の健康保険などに加入していた場合は、退職によって加入の資格がなくなり、その後に加入する保険の手続きが必要になります。自分が加入していたかどうかは、給与明細で社会保険料が差し引かれていたかで確認できます。手続きは職場の案内に従い、わからない点は職場の担当者や、日本年金機構、加入していた健康保険の窓口で確認してください。
15雇用保険について
昼間の学生は、原則として加入していません。
雇用保険は、原則として、昼間に大学などに通う学生は被保険者にならないとされています。そのため、学生のアルバイトの多くは雇用保険に加入しておらず、辞めるときに雇用保険の手続きをすることはありません。
ただし、一定の場合には学生でも加入することがあります。給与明細で雇用保険料が差し引かれていた場合は加入していた可能性があるので、辞めるときに受け取る書類があるか、職場の担当者に確認してください。制度の詳細は、ハローワークの案内で確認できます。
16住民税の扱い
給料から天引きされていた場合は、確認が必要です。
| 状況 | 考え方 |
|---|---|
| 給料から住民税が引かれていなかった | 辞めることで手続きは通常発生しない |
| 給料から住民税が引かれていた | 辞めた後の納め方が変わることがある |
| 自分で納める形に変わる | 自治体から納付書が届くことがある |
| 確認先 | 職場の担当者・お住まいの自治体 |
学生のアルバイトの多くは、給料から住民税が差し引かれていません。その場合、辞めることで住民税の手続きが発生することは通常ありません。
前年の収入によって住民税がかかり、給料から差し引かれていた場合は、辞めた後、残りの住民税を自分で納める形に変わることや、最後の給料からまとめて差し引かれることがあります。自分で納める形になると、自治体から納付書が届くことがあります。給与明細で住民税が差し引かれていたかを確認し、扱いは職場の担当者やお住まいの自治体に確認してください。
17年収と扶養の確認
年の途中で辞めても、年収は一年の合計で考えます。
年の途中でバイトを辞めて、別のバイトを始める場合、その年の年収は、辞めた職場と次の職場の給料を合わせた金額になります。税金や家族の扶養の扱いに関わる年収の基準は、職場ごとではなく一年の合計で考える必要があります。
辞めた職場の源泉徴収票で年収を確認し、次の職場の収入の見込みと合わせて、家族とも相談しておきましょう。年収による税金や扶養の扱いは制度が変わることがあるので、大学生の年収の壁【2026年】を参考にしつつ、国税庁などの最新情報を確認してください。
18連絡のグループ・連絡先
辞めた後の連絡の手段も整理します。
職場の連絡のグループは、最終出勤日の後に「お世話になりました。本日で退出します」とあいさつをしてから退出してかまいません。ただし、最後の給料や源泉徴収票を受け取るまでは、職場と連絡を取る手段を残しておいてください。
仲の良かった同僚と連絡を続けるかどうかは、自分で決めてかまいません。辞めた後の連絡の考え方は、バイト仲間との連絡はどこまで?SNSと連絡先の扱いで扱っています。
19引き継ぎ
自分だけが知っていることを残します。
自分が中心になって担当していた作業や、途中の作業、自分が管理していた物の置き場所などがあれば、店長や後任の人に伝えておきましょう。簡単なメモにまとめて渡すと、口頭で伝えるより確実です。
塾講師や家庭教師として生徒を担当していた場合は、授業の進み具合や、生徒のつまずいている点をまとめておくと、後任の人も生徒も安心できます。
20私物の持ち帰り
最終出勤日までに、すべて持ち帰ります。
ロッカー、休憩室、作業場などに置いている私物は、最終出勤日までにすべて持ち帰ってください。量が多い場合は、最終出勤日の数日前から少しずつ持ち帰ると、最終日に慌てずに済みます。
辞めた後に私物を取りに行くのは、気まずさもあり手間もかかります。ロッカーの鍵を返す前に、中が空になっているかを確認しましょう。
21よくあるトラブルと対処
辞めるときに起こりやすいトラブルです。
| トラブル | 対処 |
|---|---|
| 「制服を返すまで給料を払わない」 | 働いた分の賃金は支払われるべき・相談 |
| 制服代を給料から引かれた | 根拠を確認し、疑問があれば相談 |
| 源泉徴収票が届かない | 職場に発行を依頼・届かなければ税務署に相談 |
| 返したのに「返していない」と言われる | 返した日時と相手の記録を示す |
| 最後の給料が振り込まれない | 職場に確認・労働基準監督署に相談 |
「制服を返すまで最後の給料は払わない」と言われることがありますが、働いた分の賃金は、返却物とは別に支払われるべきものです。返却物をめぐる問題と賃金の支払いを結びつけられた場合は、相談窓口に相談してください。
源泉徴収票が届かない場合は、まず職場に発行を依頼してください。それでも交付されない場合は、税務署に相談することができます。返却物を返した日時と相手をメモしておくと、「返していない」と言われたときに確認できます。
22最終日のチェックリスト
最終出勤日に、この表で確認してください。
最終出勤日は、あいさつや引き継ぎで慌ただしくなりがちです。このチェックリストを使って、返すもの、持ち帰るもの、確認することに漏れがないかを確認してください。
すべて確認できたら、店長や一緒に働いた人にお礼を伝えて、気持ちよく区切りをつけましょう。
23よくある質問
バイトを辞めるとき、何を返せばいいですか?
制服・エプロン・帽子、名札・社員証・入館証、店やロッカーの鍵、マニュアルなどの資料、貸与された端末や備品など、職場から借りていたものすべてです。何を返す必要があるかは職場によって違うので、辞めることを伝えたときに一覧で確認しておきましょう。
制服はクリーニングして返すべきですか?
職場の決まりによります。クリーニングや洗濯をしてから返すよう決められている職場もあれば、そのまま返してよい職場もあります。辞めることを伝えたときに、返す時期と方法を確認してください。
源泉徴収票はもらえますか?
もらえます。年の途中で辞めた人にも、退職した日以後1か月以内に交付することとされています。受け取り方は職場によって違うので、手渡しか郵送かなどを確認しておきましょう。届かない場合は職場に発行を依頼し、それでも交付されなければ税務署に相談できます。
源泉徴収票は何に使いますか?
同じ年に次の職場で働く場合、次の職場の年末調整で提出を求められることがあります。年の途中で辞めてその年に働かなかった場合は、確定申告で所得税の一部が戻ってくる場合があります。複数の職場で働いた場合は、確定申告が必要になることもあります。
最後の給料はいつもらえますか?
多くの場合、通常の給料日に支払われます。振込の場合は口座を解約しないように注意し、手渡しの場合は受け取りに行く日を確認しておきましょう。振り込まれたら、最後のシフトまでの勤務時間が反映されているかを確認してください。
「制服を返すまで給料は払わない」と言われました。
働いた分の賃金は、返却物とは別に支払われるべきものです。返却物はできるだけ早く返したうえで、給料が支払われない場合は、職場に確認し、労働基準監督署や総合労働相談コーナーに相談してください。
学生のアルバイトでも、保険の手続きは必要ですか?
学生のアルバイトの多くは、勤務先の健康保険や厚生年金、雇用保険に加入していないため、辞めるときに保険の手続きは通常発生しません。給与明細で社会保険料や雇用保険料が差し引かれていた場合は加入していた可能性があるので、職場の担当者に手続きを確認してください。
住民税はどうなりますか?
給料から住民税が差し引かれていなかった場合は、辞めることで手続きは通常発生しません。差し引かれていた場合は、辞めた後に自分で納める形に変わったり、最後の給料からまとめて差し引かれたりすることがあります。扱いは職場の担当者やお住まいの自治体に確認してください。
有給休暇が残っています。どうすればいいですか?
残っている有給休暇は、退職日までの期間に使うことができます。使いたい場合は、辞めることを伝えるときにあわせて相談してください。退職日を過ぎると使えなくなります。職場に有給休暇を買い取る義務はありません。
辞めた後に私物を置き忘れていることに気づきました。
職場に連絡して、受け取りの方法を相談してください。取りに行くか、郵送してもらえるかは職場によります。辞めた後に取りに行くのは手間がかかるので、最終出勤日の前に、ロッカーや休憩室を確認しておくことが大切です。
24まとめ|返す・受け取る・確認するの三つを整理する
バイトを辞めるときは、「返すもの」「受け取るもの」「確認すること」の三つを整理してください。辞めることを伝えたときに、一覧で確認しておくと安心です。
返すものは、制服・名札・鍵・社員証・マニュアルなどの資料・貸与された備品。鍵などは手渡しで返し、返した日時と相手をメモしておきましょう。私物はすべて持ち帰ります。
受け取るものは、最後の給料・給与明細・源泉徴収票。源泉徴収票は次の職場の年末調整や確定申告で使うことがあるので、受け取り方を必ず確認してください。
有給休暇の残り、加入していた場合の保険の手続き、住民税の扱い、年収の合計も確認しておきます。
最後に。「返却物がそろわないから給料を払わない」は通りません。トラブルがあれば、労働基準監督署や総合労働相談コーナーに相談しましょう。最終日はチェックリストで漏れを防いでください。