保険業界の調べ方|一次情報の集め方
保険業界を調べるなら「ディスクロージャー資料」「生保と損保それぞれの業界団体」「金融を所管する機関の資料」の3つから始めてください。公表が制度として求められているため、上場していない会社でも業務の状況が分かります。業界団体は生保と損保で別にあり、公表している資料も違います。制度や監督の方針は金融庁などの公的機関から公表されています。
保険業界は、上場していない会社でも資料が読める業界です。
公表が制度として求められているため、相互会社でも業務の状況が分かります。
そして生保と損保で団体が違います。公表している資料も違います。
この記事では、この業界の情報源と、その使い方を整理します。
この記事を7枚で
1 / 7第1部 この業界で使える情報源
第2部 会社が出す資料
第3部 公的機関と業界団体
第4部 調べたことの扱い方
第1部 この業界で使える情報源
01この業界で使える情報源
まずこの3つから始めてください。
保険業界の3つの情報源。
どの会社でも同じように調べられます
公表が制度として求められているため、上場していない会社でも資料が読めます。
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02ディスクロージャー資料を読む
この業界ならではの資料です。
上場していない会社でも読めます
公表が制度として求められているため、相互会社でも同じように調べられます。
契約の状況で会社の性格が分かります
どんな分野の契約が中心か。会社によって違います。
拠点と従業員の状況を見てください
どこに拠点があり、何人が働いているか。働く場所を考える材料にもなります。
資産の運用の状況も見てください
保険会社は預かった保険料を運用します。その方針が書かれます。
数字を暗記する必要はありません
指標の細部より、その会社が何をしている会社かをつかんでください。
2社を並べてください
同じ分野の2社を比べると、力を入れていることの違いが見えます。
03生保と損保の業界団体
それぞれ別の団体があります。
会員の一覧から会社が探せます
外資の会社や特定の分野に絞った会社も一覧から見つかります。
損保の団体は災害に関する資料を出しています
自然災害による保険金の支払いに関する資料が公表されていることがあります。事業の性質を知る材料になります。
生保の団体は調査を出しています
生活に関する意識の調査などが公表されていることがあります。
数理の分野の団体があります
数理の専門職を志望するなら、試験の仕組みを実施する団体で確認してください。
用語の解説がある場合があります
保険の言葉が分からないと資料が読めません。解説のページがあれば先に読んでください。
団体名は自分で確認してください
団体の名称や公表している資料は変わることがあります。検索して最新のものを確認してください。
04公的機関の資料
制度に関わる資料が多い分野です。
監督の方針が公表されています
金融を所管する機関が方針や考え方を公表しています。業界の課題が整理されています。
制度のことは必ず公的機関で確認してください
保険に関する制度は改正されることがあります。一次の情報で確認してください。
社会保障の制度も関わります
公的な保障の仕組みがあり、民間の保険はその上に乗ります。制度の情報は所管する省庁で公表されています。
災害に関する資料も見てください
損害保険では災害の起こり方が事業に関わります。防災を所管する機関の資料が材料になります。
登録している会社の一覧があります
保険業を行う会社は登録の仕組みがあります。一覧から会社が探せます。
統計は更新されます
いつの統計かを必ず確認してください。古い数字を面接で話すと、かえって印象が悪くなります。
05商品のページと採用ページ
会社の性格が具体的に分かります。
商品の一覧を見てください
どんな備えを提供しているかが具体的に分かります。会社の性格が表れます。
なお本記事は保険商品への加入を勧めるものではありません。調べる材料として見てください。
販売の経路を確認してください
営業職員、代理店、金融機関の窓口——会社によって重心が違います。
コースの説明を読んでください
総合職と営業職員では仕事がまったく違います。両方の紹介を読んでください。
職種の紹介を読んでください
引受、支払い、数理、運用——営業以外の職種があります。
拠点の一覧を見てください
支社やサービスの拠点がどこにあるか。転勤の範囲を考える材料になります。
損害サービスの拠点も見てください
損害保険では事故の対応を行う拠点が各地にあります。
第2部 会社が出す資料
06会社が出している資料
会社自身が出したものが、いちばん確かな材料です。
| 資料 | 分かること |
|---|---|
| 有価証券報告書 | 事業の内容、セグメント、従業員の状況、事業等のリスク |
| 決算説明資料 | その期に何が起きたか、会社がどう説明しているか |
| 中期経営計画 | これから何をしようとしているか |
| 統合報告書・サステナビリティ報告 | 会社が大事にしていること、取り組み |
| 会社のサイト | 事業の紹介、拠点の一覧、沿革 |
| 採用ページ | 職種、募集要項、働く人の紹介 |
上場している会社は資料が多くなります
有価証券報告書は公的な仕組みで公表されています。誰でも読めます。
ディスクロージャー資料があります
保険会社は業務や財産の状況をまとめた資料を公表しています。相互会社でも読めます。
上場していない会社はどう調べるか
会社のサイト、採用ページ、業界団体の名簿、公的機関の公表資料。使える材料はあります。
就活サイトの情報は二次の情報です
まとめられた情報は分かりやすい代わりに、古かったり要約で落ちていたりします。元の資料にあたってください。
07有価証券報告書のどこを読むか
全部読む必要はありません。
まず「事業の内容」と「セグメント情報」を読んでください
この2つでその会社が何をしているかの輪郭が分かります。
上場していない会社もあります
その場合はディスクロージャー資料が中心の材料になります。
「事業等のリスク」は志望動機の材料になります
会社自身が何を不確実だと考えているかが書かれています。面接で話すときの材料になります。
数字を暗記する必要はありません
覚えるのではなく、構造を理解するために読んでください。
08中期経営計画と決算説明資料
これからの方向が書かれています。
「なぜこの会社か」の材料になります
同じ業界の2社の計画を並べると、力を入れている領域の違いが見えます。
力を入れる分野が書かれます
個人向けか法人向けか、国内か海外か——会社の向かう先が分かります。
言葉をそのまま使わないでください
計画に書かれた言葉をなぞるだけでは読んだことの証明にしかなりません。自分がどう思ったかまで用意してください。
公開されていない会社もあります
その場合は会社のサイトや採用ページから読み取ってください。
09採用ページと会社のサイト
見落とされがちですが、情報が詰まっています。
拠点の一覧は必ず見てください
勤務地の記載を読むときの前提になります。
区分をまたいで読んでください
一つの区分の紹介だけを読むと、その会社の像が偏ります。
働く人の紹介は職種ごとに読んでください
同じ会社でも職種によって仕事が違います。複数の職種の紹介を読むと像が立ちます。
募集要項の読み方は別記事で
条件の確認については募集要項の読み方|見落としやすい項目を確認するで扱っています。
第3部 公的機関と業界団体
10公的機関が出している情報
業界全体の輪郭は、ここで分かります。
制度のことは必ず公的機関で確認してください
制度は改正されることがあります。まとめ記事ではなく、一次の情報で確認するのが確実です。
金融を所管する機関の資料があります
保険に関する制度や監督の方針が公表されています。
白書は業界の全体像をつかむのに向きます
分野ごとの整理と、いま何が課題とされているかが書かれています。
読むのが大変なら要約から
公的機関が概要版を出していることがあります。そこから入ってください。
11業界団体の資料
その業界の内側からの整理です。
会員の名簿は会社を探すのに使えます
知らない会社を見つけるいちばん確実な方法です。専門の分野ほど有効です。
生保と損保で団体が違います
それぞれ別の団体があり、公表している資料も違います。
用語の解説から読むと早いことがあります
業界の言葉が分からないと資料が読めません。用語の解説があれば先に読んでください。
誰が出した資料かを意識してください
団体が出すものには、その業界にとっての見え方が反映されます。公的機関の資料と両方を見ると偏りが減ります。
12資料の探し方
探し方を覚えると早くなります。
会社のサイトの投資家向けページを見てください
上場している会社では、決算や計画の資料がまとめて置かれています。
会員の一覧を最初に開いてください
名前を知っている数社だけで業界を見ると、視野がかなり狭くなります。
大学の図書館も使えます
業界に関する書籍や、有料の情報源が使える場合があります。司書に聞いてください。
分からないときはキャリアセンターへ
調べ方そのものを相談できる相手です。
132社を並べて読む
1社だけ読んでも、違いは見えません。
同じ業界の同じような規模の会社で比べてください
前提が違いすぎると比べても意味がありません。
生保どうし、損保どうしで比べてください
扱うものが違うため、同じ分野にそろえてください。
違いが「なぜこの会社か」の答えになります
「A社は○○に力を入れ、B社は△△に力を入れている」——この形で言えると具体になります。
表にして並べてください
頭の中で比べると印象で判断してしまいます。項目を決めて書き出してください。
第4部 調べたことの扱い方
14一次の情報と二次の情報
この区別を持っておいてください。
二次の情報が悪いわけではありません
全体をつかむにはまとめられた情報が役に立ちます。ただし、そこで止めないでください。
商品の内容の話は扱いに注意してください
本記事は保険商品への加入を勧めるものではありません。
出どころを確認する癖をつけてください
読んだ内容がどこから来たものか。元の資料にあたれるかを確認してください。
人から聞いた話はその人の経験です
貴重な情報ですが、会社全体の話とは限りません。複数の人に聞くと偏りが減ります。
古い情報に注意してください
いつの情報かを必ず確認してください。制度も会社の状況も変わります。
15調べたことを記録する
あとで使える形にしてください。
自分が何を思ったかを書いてください
資料の内容だけ写しても、面接では使えません。読んで何を感じたかが材料になります。
生保と損保で記録を分けてください
職種の顔ぶれも違います。分けて整理すると使いやすくなります。
分からなかったことを残してください
調べても分からなかったことが、説明会で聞くべきことになります。
会社ごとに同じ項目を埋めてください
項目をそろえると違いがはっきりします。
16調べたことをどう使うか
調べて終わりにしないでください。
資料の言葉をなぞらないでください
書かれていることを言うだけでは、読んだことの証明にしかなりません。
それを読んで自分が何を考えたかまで言えると、話が変わります。
支払う場面への理解を示してください
保険には支払えないと伝える場面があります。その構造を理解していることが伝わると深くなります。
知らない会社を見つける道具でもあります
業界団体の名簿や取引先の一覧から、選択肢が広がります。
調べすぎて動けなくならないでください
ある程度調べたら、説明会に行く、人に聞く。動いたほうが分かることもあります。
17やらない方がいいこと
調べ方でとくに起きやすい失敗です。
| やりがちなこと | なぜ問題か |
|---|---|
| 上場していないから調べられないと思う | 公表が制度として求められている |
| 生保と損保を区別しない | 扱うものも団体も別 |
| 商品の良し悪しを語る | 就職活動の場で扱う話ではない |
| 営業以外の職種を見ない | 引受、支払い、数理、運用がある |
| 制度をうろ覚えで語る | 改正されることがある |
| 指標の数字を暗記する | 何をしている会社かをつかむほうが使える |
本記事は加入を勧めるものではありません
就職活動のための案内です。保険商品に関することは、専門の窓口にご相談ください。
調べ方そのものを相談できます
大学のキャリアセンターや図書館の司書は、探し方を教えてくれる相手です。
18よくある質問
何から調べ始めればいいですか?
ディスクロージャー資料、生保と損保それぞれの業界団体、金融を所管する機関の資料の3つです。公表が制度として求められているため、上場していない会社でも業務の状況が分かります。
ディスクロージャー資料とは何ですか?
保険会社が業務や財産の状況をまとめて公表している資料です。事業の概況、契約に関する状況、健全性に関する指標、資産の運用の状況、拠点と従業員が載っています。上場していない相互会社でも読めるのが特徴です。
生保と損保では団体が違いますか?
それぞれ別の団体があり、公表している資料も違います。損保の団体は自然災害による保険金の支払いに関する資料を出していることがあり、生保の団体は生活に関する意識の調査などを公表していることがあります。
知らない会社はどう探せばいいですか?
業界団体の会員の一覧から探せます。保険業を行う会社は登録の仕組みがあり、金融を所管する機関に一覧があります。外資の会社や特定の分野に絞った会社も一覧から見つかります。
公的機関ではどんな情報が得られますか?
金融を所管する機関が保険に関する制度や監督の方針を公表しています。公的な保障の仕組みについては所管する省庁、災害に関する資料は防災を所管する機関から出ています。制度は改正されることがあるため、一次の情報で確認してください。
社会保障の制度も調べるべきですか?
公的な保障の仕組みがあり、民間の保険はその上に乗ります。制度の情報は所管する省庁で公表されています。うろ覚えで語らず、一次の情報で確認してください。
商品のページは見たほうがいいですか?
どんな備えを提供しているかが具体的に分かり、会社の性格が表れます。ただし本記事は保険商品への加入を勧めるものではありません。調べる材料として見てください。商品の良し悪しは就職活動の場で扱う話ではありません。
販売の経路とは何ですか?
営業職員、代理店、金融機関の窓口など、保険を届ける道筋のことです。会社によって重心が違い、その違いが仕事の内容にも関わります。会社のサイトで確認できます。
数理の専門職を志望しています。
数理の分野の団体があり、試験の仕組みが公表されています。実施する団体で確認してください。入社後に受験するのが一般的ですが、早めに調べておくと動きやすくなります。
営業以外の職種はどう調べますか?
採用ページの職種の紹介を読んでください。引受、支払い、数理、運用といった職種があります。損害保険では事故の対応を行う拠点が各地にあり、損害サービスという職種があります。
健全性の指標は覚えるべきですか?
数字を暗記する必要はありません。指標の細部より、その会社が何をしている会社かをつかんでください。構造を理解するために読むのが使い方です。
2社を比べるときは何を見ればいいですか?
ディスクロージャー資料の事業の概況と契約の状況、拠点の一覧、中期経営計画、採用ページです。生保と損保では扱うものが違うので、同じ分野にそろえてください。
19まとめ|開示資料・団体・公的機関の3つから
保険業界を調べるなら、ディスクロージャー資料、生保と損保それぞれの業界団体、金融を所管する機関の資料の3つから始めてください。
- 公表が制度として求められています。上場していない会社でも調べられます。
- 生保と損保で団体が違います。公表している資料も違います。
- 登録の仕組みがあり、一覧から会社が探せます。外資や専門の会社も見つかります。
- 公的な保障の仕組みも調べてください。民間の保険はその上に乗ります。
- 営業以外の職種も見てください。引受、支払い、数理、運用があります。
最後に。本記事は就職活動のための案内であり、保険商品への加入を勧めるものではありません。制度や統計は更新されるため、公的機関や発行元の最新の情報でご確認ください。
・保険業界とは|全体像と分野の調べ方
・保険業界の職種|仕事内容の調べ方
・保険業界の選考|案内から流れを読む
・保険業界の求人票|確認する項目
・募集要項の読み方|見落としやすい項目を確認する
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