運輸・物流業界の調べ方|一次情報の集め方
物流業界を調べるなら「輸送に関する統計」「分野ごとの業界団体」「会社の拠点の一覧」の3つから始めてください。現場が目に触れにくいため、統計で何がどれだけ運ばれているかをつかんでください。業界団体は陸、海、空、倉庫、通関と分野ごとにあります。拠点の一覧を見ると、その会社が動かしている範囲が分かります。
物流業界は、現場が目に触れにくい業界です。
だからこそ統計と団体の資料が重要になります。何がどれだけ運ばれているかが分かります。
そして分野ごとに業界団体があります。陸、海、空、倉庫、通関——それぞれ別です。
この記事では、この業界の情報源と、その使い方を整理します。
この記事を7枚で
1 / 7第1部 この業界で使える情報源
第2部 会社が出す資料
第3部 公的機関と業界団体
第4部 調べたことの扱い方
第1部 この業界で使える情報源
01この業界で使える情報源
まずこの3つから始めてください。
運輸・物流業界の3つの情報源。
現場が目に触れにくい業界です
だからこそ統計と資料が重要になります。
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02輸送に関する統計を読む
業界の輪郭がつかめます。
所管する省庁から公表されています
輸送の量や貨物に関する統計が公表されています。分野ごとの比重が分かります。
分野ごとの比重を見てください
何がどの手段で運ばれているか。業界の構造が見えます。
宅配に関する統計もあります
個人向けの配送について統計が公表されていることがあります。
輸出入の統計も使えます
国際の物流を扱う分野では、輸出入に関する統計が材料になります。
白書で課題が整理されます
分野を扱う白書があります。いま何が課題とされているかが読めます。
統計は更新されます
いつの統計かを必ず確認してください。古い数字を面接で話すと、かえって印象が悪くなります。
03分野ごとの業界団体
分野ごとに別の団体があります。
会員の一覧から会社が探せます
この業界は知られていない会社が多くあります。一覧は選択肢を広げる道具です。
分野をまたぐ団体もあります
物流全体を扱う団体が調査や提言を公表していることがあります。
通関の分野には資格があります
手続きに関わる資格の情報が団体や公的機関から公表されています。
働き方に関する取り組みが紹介されます
労働時間に関する決まりへの対応など、業界としての取り組みが公表されていることがあります。
用語の解説がある場合があります
業界の言葉が分からないと資料が読めません。解説のページがあれば先に読んでください。
団体名は自分で確認してください
団体の名称や公表している資料は変わることがあります。検索して最新のものを確認してください。
04会社の拠点と分野の構成
その会社が動かしている範囲が分かります。
拠点の一覧を地図で見てください
どこに拠点があるかで、その会社が動かしている範囲が分かります。勤務地を考える材料にもなります。
セグメント情報で分野の構成が分かります
陸が中心か、国際が中心か——会社によって重心が違います。
持っている設備を見てください
車両、船、倉庫——自社で持っているかで事業の性質が変わります。
中期経営計画に投資の方針が書かれます
新しい拠点や仕組みへの投資が書かれます。会社の向かう先が分かります。
荷主側の資料からも辿れます
メーカーや小売の会社が物流について書いていることがあります。誰がどう運んでもらっているかの手がかりです。
2社を並べてください
同じ分野の会社でも、拠点の広がりと分野の構成が違います。その違いが志望動機になります。
05制度と現場を知る
この業界を理解するうえで欠かせません。
制度の枠組みがある事業です
輸送や安全に関する決まりのもとで運営されます。所管する省庁で公表されています。
働き方に関する決まりが見直されてきました
労働時間に関する決まりがこの業界にも適用されています。制度は公的機関で確認してください。
運転を担う職種には別の基準があります
労働時間や休息に関する基準が定められています。内容は公的機関で公表されています。
物流施設の見学を受け入れている会社があります
申し込みの方法は会社のサイトで確認してください。実施していない場合もあります。
身の回りの流れから考えてください
買ったものがどう届いたか。自分の経験から話せる材料になります。
「人手が足りない」という話は資料で確かめてください
働き手に関する話は公的機関の資料で確かめてください。会社ごとの取り組みも確認してください。
第2部 会社が出す資料
06会社が出している資料
会社自身が出したものが、いちばん確かな材料です。
| 資料 | 分かること |
|---|---|
| 有価証券報告書 | 事業の内容、セグメント、従業員の状況、事業等のリスク |
| 決算説明資料 | その期に何が起きたか、会社がどう説明しているか |
| 中期経営計画 | これから何をしようとしているか |
| 統合報告書・サステナビリティ報告 | 会社が大事にしていること、取り組み |
| 会社のサイト | 事業の紹介、拠点の一覧、沿革 |
| 採用ページ | 職種、募集要項、働く人の紹介 |
上場している会社は資料が多くなります
有価証券報告書は公的な仕組みで公表されています。誰でも読めます。
拠点の一覧を見てください
どこに拠点があるかで、その会社が動かしている範囲が分かります。
上場していない会社はどう調べるか
会社のサイト、採用ページ、業界団体の名簿、公的機関の公表資料。使える材料はあります。
就活サイトの情報は二次の情報です
まとめられた情報は分かりやすい代わりに、古かったり要約で落ちていたりします。元の資料にあたってください。
07有価証券報告書のどこを読むか
全部読む必要はありません。
まず「事業の内容」と「セグメント情報」を読んでください
この2つでその会社が何をしているかの輪郭が分かります。
セグメント情報で分野の構成が分かります
陸、海、空、倉庫——どの分野が大きいかが分かります。
「事業等のリスク」は志望動機の材料になります
会社自身が何を不確実だと考えているかが書かれています。面接で話すときの材料になります。
数字を暗記する必要はありません
覚えるのではなく、構造を理解するために読んでください。
08中期経営計画と決算説明資料
これからの方向が書かれています。
「なぜこの会社か」の材料になります
同じ業界の2社の計画を並べると、力を入れている領域の違いが見えます。
拠点や仕組みへの投資が書かれます
新しい拠点や仕組みへの投資が計画に書かれます。
言葉をそのまま使わないでください
計画に書かれた言葉をなぞるだけでは読んだことの証明にしかなりません。自分がどう思ったかまで用意してください。
公開されていない会社もあります
その場合は会社のサイトや採用ページから読み取ってください。
09採用ページと会社のサイト
見落とされがちですが、情報が詰まっています。
拠点の一覧は必ず見てください
勤務地の記載を読むときの前提になります。
現場と本社の両方の紹介を読んでください
仕事がまったく違います。両方読むと像が立ちます。
働く人の紹介は職種ごとに読んでください
同じ会社でも職種によって仕事が違います。複数の職種の紹介を読むと像が立ちます。
募集要項の読み方は別記事で
条件の確認については募集要項の読み方|見落としやすい項目を確認するで扱っています。
第3部 公的機関と業界団体
10公的機関が出している情報
業界全体の輪郭は、ここで分かります。
制度のことは必ず公的機関で確認してください
制度は改正されることがあります。まとめ記事ではなく、一次の情報で確認するのが確実です。
輸送に関する統計があります
何がどれだけ運ばれたかの統計が所管する省庁から公表されています。
白書は業界の全体像をつかむのに向きます
分野ごとの整理と、いま何が課題とされているかが書かれています。
読むのが大変なら要約から
公的機関が概要版を出していることがあります。そこから入ってください。
11業界団体の資料
その業界の内側からの整理です。
会員の名簿は会社を探すのに使えます
知らない会社を見つけるいちばん確実な方法です。専門の分野ほど有効です。
分野ごとに団体があります
陸、海、空、倉庫、通関——分野ごとに別の団体があります。
用語の解説から読むと早いことがあります
業界の言葉が分からないと資料が読めません。用語の解説があれば先に読んでください。
誰が出した資料かを意識してください
団体が出すものには、その業界にとっての見え方が反映されます。公的機関の資料と両方を見ると偏りが減ります。
12資料の探し方
探し方を覚えると早くなります。
会社のサイトの投資家向けページを見てください
上場している会社では、決算や計画の資料がまとめて置かれています。
団体の会員の一覧から会社が探せます
この業界は知られていない会社が多くあります。
大学の図書館も使えます
業界に関する書籍や、有料の情報源が使える場合があります。司書に聞いてください。
分からないときはキャリアセンターへ
調べ方そのものを相談できる相手です。
132社を並べて読む
1社だけ読んでも、違いは見えません。
同じ業界の同じような規模の会社で比べてください
前提が違いすぎると比べても意味がありません。
同じ分野どうしで比べてください
陸と海と空では前提が違います。同じ分野にそろえてください。
違いが「なぜこの会社か」の答えになります
「A社は○○に力を入れ、B社は△△に力を入れている」——この形で言えると具体になります。
表にして並べてください
頭の中で比べると印象で判断してしまいます。項目を決めて書き出してください。
第4部 調べたことの扱い方
14一次の情報と二次の情報
この区別を持っておいてください。
二次の情報が悪いわけではありません
全体をつかむにはまとめられた情報が役に立ちます。ただし、そこで止めないでください。
人手に関する話は出どころを確認してください
働き手に関する話は公的機関の資料で確かめてください。
出どころを確認する癖をつけてください
読んだ内容がどこから来たものか。元の資料にあたれるかを確認してください。
人から聞いた話はその人の経験です
貴重な情報ですが、会社全体の話とは限りません。複数の人に聞くと偏りが減ります。
古い情報に注意してください
いつの情報かを必ず確認してください。制度も会社の状況も変わります。
15調べたことを記録する
あとで使える形にしてください。
自分が何を思ったかを書いてください
資料の内容だけ写しても、面接では使えません。読んで何を感じたかが材料になります。
分野ごとに記録を分けてください
陸、海、空、倉庫、国際——分野ごとに整理すると使いやすくなります。
分からなかったことを残してください
調べても分からなかったことが、説明会で聞くべきことになります。
会社ごとに同じ項目を埋めてください
項目をそろえると違いがはっきりします。
16調べたことをどう使うか
調べて終わりにしないでください。
資料の言葉をなぞらないでください
書かれていることを言うだけでは、読んだことの証明にしかなりません。
それを読んで自分が何を考えたかまで言えると、話が変わります。
身の回りの流れから話せます
買ったものがどう届いたか。自分の経験から話せる材料です。
知らない会社を見つける道具でもあります
業界団体の名簿や取引先の一覧から、選択肢が広がります。
調べすぎて動けなくならないでください
ある程度調べたら、説明会に行く、人に聞く。動いたほうが分かることもあります。
17やらない方がいいこと
調べ方でとくに起きやすい失敗です。
| やりがちなこと | なぜ問題か |
|---|---|
| 分野を分けずに調べる | 陸、海、空、倉庫で団体も統計も違う |
| 宅配だけで業界を見る | 企業向けの輸送のほうが大きいことがある |
| 有名な会社しか見ない | 一覧から知らない会社が見つかる |
| 「人手が足りない」を鵜呑みにする | 公的機関の資料で確かめる |
| 制度をうろ覚えで語る | 見直されてきた分野 |
| 荷主側を見ない | メーカーや小売にも物流の仕事がある |
統計から入ってください
現場が見えにくいぶん、統計で構造をつかむのが確実です。
調べ方そのものを相談できます
大学のキャリアセンターや図書館の司書は、探し方を教えてくれる相手です。
18よくある質問
何から調べ始めればいいですか?
輸送に関する統計、分野ごとの業界団体、会社の拠点の一覧の3つです。現場が目に触れにくい業界なので、統計で何がどれだけ運ばれているかをつかんでください。
統計では何が分かりますか?
分野ごとの輸送の量、運ばれているもの、宅配の動き、輸出入の動きです。所管する省庁から公表されており、分野ごとの比重を見ると業界の構造が見えます。分野を扱う白書では、いま何が課題とされているかが整理されています。
業界団体はどこを見ればいいですか?
陸上輸送、海上輸送、航空の貨物、倉庫、通関と分野ごとに団体があり、物流全体を扱う団体もあります。会員の一覧から会社が探せ、働き方に関する業界としての取り組みが公表されていることもあります。
知らない会社はどう探せばいいですか?
団体の会員の一覧から探せます。この業界は知られていない会社が多くあるので、一覧が選択肢を広げる道具になります。荷主側のメーカーや小売の会社が物流について書いていることもあり、そこから辿れます。
会社の拠点はなぜ見るのですか?
どこに拠点があるかで、その会社が動かしている範囲が分かります。勤務地を考える材料にもなります。海外の拠点があれば国際の物流を扱っていることが分かります。
セグメント情報では何が分かりますか?
陸、海、空、倉庫の構成が分かり、陸が中心か国際が中心かという会社の重心が見えます。持っている設備が車両か船か倉庫かで、事業の性質も変わります。
制度について調べるときは?
輸送や安全に関する決まりのもとで運営される事業です。労働時間に関する決まりもこの業界に適用され、運転を担う職種には労働時間や休息に関する基準があります。所管する省庁で公表されており、改正されることがあるため一次の情報で確認してください。
「人手が足りない」という話は本当ですか?
働き手に関する話は公的機関の資料で確かめてください。会社ごとの取り組みも確認し、外から聞こえてくる話を鵜呑みにしないでください。
現場は見られますか?
物流施設の見学を受け入れている会社があります。申し込みの方法は会社のサイトで確認してください。実施していない場合もあります。
宅配だけを見てはいけませんか?
宅配は目に触れやすいですが、企業向けの輸送のほうが大きいことがあります。統計で分野ごとの比重を確認してから、どの分野に関心があるかを考えてください。
荷主側の物流部門も調べるべきですか?
メーカーや小売の会社の中で自社の物流を担う仕事があります。業界を広く見る際の候補になり、その会社の資料から物流の仕組みも読み取れます。
調べたことをどう使えばいいですか?
買ったものがどう届いたかなど、身の回りの流れから話せる材料があります。統計で構造をつかんだうえで、自分の経験と結びつけてください。資料の言葉をなぞるだけでは読んだことの証明にしかなりません。
19まとめ|統計・団体・拠点の3つから
物流業界を調べるなら、輸送に関する統計、分野ごとの業界団体、会社の拠点の一覧の3つから始めてください。
- 現場が目に触れにくい業界です。統計で構造をつかむのが確実です。
- 分野ごとに団体があります。会員の一覧から知らない会社が見つかります。
- 拠点の一覧でその会社が動かしている範囲が分かります。
- 制度は見直されてきました。公的機関の資料で確認してください。
- 荷主側にも物流の仕事があります。業界を広く見る際の候補です。
最後に。挙げた情報源は調べる手がかりであり、内容を保証するものではありません。制度や統計は更新されるため、公的機関や発行元の最新の情報でご確認ください。
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