運輸・物流業界とは|全体像と分野の調べ方
運輸・物流業界は7つの分野に分かれています。①宅配・陸運(ヤマトホールディングス・SGホールディングス・日本郵便)、②トラック運送、③国際物流・フォワーダー(NIPPON EXPRESSホールディングス・近鉄エクスプレス)、④海運(日本郵船・商船三井・川崎汽船)、⑤倉庫・3PL(三菱倉庫・住友倉庫・三井倉庫)、⑥鉄道・航空(貨物と旅客)、⑦港湾・ターミナル。そして物流の機能…
物流は「運ぶ」だけの仕事ではありません。
保管する、仕分ける、詰め替える、情報を管理する——これら全部を含めて物流です。
そして最近は、荷主企業の物流をまとめて引き受ける仕事が広がっています。つまり仕組みを設計する仕事です。
この記事では、運輸・物流業界を7つの分野に分けたうえで、物流の機能、職種、働き方、選考での確認事項まで通しで整理します。
この記事を7枚で
1 / 7第1部 どんな会社があるか|7つの分野と物流の機能
- まず押さえる|物流の5つの機能
- 業界の地図|7つの分野
- ①宅配という分野
- ③国際物流とフォワーダー
- ④海運という分野
- ⑤倉庫と3PL|設計する物流
- ⑥鉄道・航空|貨物と旅客
- 業界の課題として語られていること
- どの大学から何人入っているか
第2部 どんな仕事があるか|職種・働き方
第3部 自分で調べる|一次資料と年収
第4部 選考に向けて|志望動機と確認事項
第1部 どんな会社があるか|7つの分野と物流の機能
01まず押さえる|物流の5つの機能
「運ぶ」は5つのうちの1つです。
物流の5つの機能。
情報管理が仕組みの中心にあります
荷物の追跡、在庫の管理、配送の計画——情報がなければ物流は成り立ちません。
だから物流会社はシステムの会社でもあるという面を持ちます。
5つを組み合わせて設計します
どこに倉庫を置き、どう運び、どう仕分けるか——この設計が物流の仕事の中心です。
この設計を荷主に代わって行い、まとめて引き受ける事業を3PLと呼びます。詳しくは5章で扱います。
物流と旅客を区別してください
運輸にはモノを運ぶ物流と人を運ぶ旅客があります。鉄道や航空には両方の事業があります。
仕事はまったく違うため、どちらに関心があるかを先に決めてください。
02業界の地図|7つの分野
手段と役割で会社が分かれます。
| 分野 | 何をする会社か | 例 |
|---|---|---|
| ①宅配・陸運 | 個人・企業向けに荷物を届ける | ヤマトホールディングス、SGホールディングス、日本郵便 |
| ②トラック運送 | 企業間の輸送を担う | セイノーホールディングス、各運送会社 |
| ③国際物流・フォワーダー | 国際輸送を手配し、通関などの手続きを担う | NIPPON EXPRESSホールディングス、近鉄エクスプレス、郵船ロジスティクス |
| ④海運 | 船で貨物を運ぶ | 日本郵船、商船三井、川崎汽船 |
| ⑤倉庫・3PL | 保管と、荷主の物流を一括で請け負う | 三菱倉庫、住友倉庫、三井倉庫ホールディングス |
| ⑥鉄道・航空 | 貨物と旅客の輸送 | JR各社、私鉄各社、航空会社 |
| ⑦港湾・ターミナル | 港や空港で荷物を扱う | 港運会社、ターミナルの運営会社 |
1社が複数の分野を持つことがあります
大手では陸・海・空、倉庫、国際を組み合わせて提供することがあります。セグメント情報で事業の構成を確認してください。
荷主の物流子会社もあります
メーカーや小売が自社の物流を担う会社を持っていることがあります。特定の荷主の物流に深く関わる仕事です。
運ぶ会社と手配する会社は別です
自社で車や船を持って運ぶ会社と、手配して組み立てる会社(フォワーダー)があります。役割が違います。
詳しくは4章で扱います。
03①宅配という分野
私たちがいちばん目にする物流です。
ネット通販の広がりと関係しています
通販の利用が増えれば、個人宅への配達が増えます。この分野の事業は小売やECの動きと結びついています。
小売・流通業界は小売・流通業界とは|全体像と分野の調べ方で整理しています。
「最後の区間」が難しい
拠点から家庭まで届ける区間は1件あたりの手間が大きい部分です。不在、再配達、置き配——効率を上げる工夫が続けられています。
担い手の確保が課題として語られています
運送の担い手をどう確保するかは業界の課題として公的機関や団体の資料で取り上げられています。
各社の取り組みは決算説明資料や統合報告書で確認できます。
総合職は「仕組みを回す」仕事です
新卒の総合職は、自分で配達し続ける仕事とは限りません。拠点の運営、営業、企画などを担います。
配属と仕事の中身は、説明会で確認してください。
04③国際物流とフォワーダー
自分で船や飛行機を持たずに、国際輸送を組み立てる会社があります。
「組み立てる」のが仕事です
どの経路で、どの手段を使い、どんな書類を整えるか——最適な組み合わせを設計します。
荷物の種類、期限、費用、規制——考慮する条件が多くあります。
書類と手続きが重要です
国をまたぐ輸送では書類に不備があると荷物が動きません。通関の手続き、証明、保険——正確さが求められます。
商社の貿易実務と近い領域です。商社業界は商社業界とは|全体像と分野の調べ方で整理しています。
海外との関わりが多い
海外の拠点や取引先とのやりとりが日常的にあります。海外駐在の機会がある会社もあります。
規制への対応
輸出入には各国の制度が関わります。品目によっては許可や証明が必要です。制度は改正されることがあるため、公的機関の情報で確認してください。
05④海運という分野
日本の貿易を支える輸送手段です。
| 種類 | 運ぶもの | 特徴 |
|---|---|---|
| コンテナ船 | 製品、雑貨 | 決まった航路を定期的に往復する |
| ばら積み船 | 鉄鉱石、石炭、穀物 | 荷物に応じて配船する |
| タンカー | 原油、石油製品、ガス | 専用の船で運ぶ |
| 自動車船 | 完成車 | 車両専用の構造を持つ |
| 内航海運 | 国内の海上輸送 | 国内の産業を支える |
市況の影響を受けます
海運の運賃は需要と船の数のバランスで動きます。各社の決算説明資料で市況が説明されることがあります。
ただし将来の相場は誰にも断言できません。会社がどう備えているかを読んでください。
陸上職と海上職があります
海上職には資格が関わります。商船に関する学科や課程が関係することがあります。募集要項の応募資格で確認してください。
環境への対応が語られています
船の燃料や排出をどうするかは業界の課題として各社が取り組みを公表しています。中期経営計画で確認できます。
海外との関わりが強い
取引先も航路も世界に広がります。海外駐在の機会がある会社もあります。
06⑤倉庫と3PL|設計する物流
荷主の物流をまとめて引き受ける事業です。
3PLは荷主に代わって物流の全体を設計し、運営するという意味で使われます。
コンサルティングに近い面があります
荷主の課題を調べ、仕組みを設計し、費用の効果を示す——提案の仕事です。
そして提案して終わりではなく、自分たちで運営するところが特徴です。
倉庫は情報と機械の現場です
いまの物流センターでは搬送の機械、自動の棚、システムが使われています。人と機械を組み合わせて動かします。
機械・情報系の知識が生きる領域でもあります。機械・重工業界は機械・重工業界とは|全体像と分野の調べ方で整理しています。
倉庫会社は不動産の面も持ちます
倉庫を保有する会社では不動産としての事業を持つことがあります。物流施設の開発は不動産業界とも重なります。
長い付き合いになります
荷主の物流を引き受けると、何年も継続して運営します。安定した事業になる一方、責任も続きます。
07⑥鉄道・航空|貨物と旅客
同じ会社の中に、貨物と旅客の両方があることがあります。
| 分野 | 特徴 |
|---|---|
| 鉄道貨物 | まとまった量を長距離で運ぶ。環境負荷の面から語られることがある |
| 鉄道旅客 | 人を運ぶ。沿線の開発や商業の事業を持つことがある |
| 航空貨物 | 急ぎの荷物や高価な荷物を運ぶ |
| 航空旅客 | 人を運ぶ。空港での業務が伴う |
鉄道会社は運輸以外の事業を持ちます
- 駅の商業施設、不動産、ホテル、流通——沿線の事業が収益の柱になることがあります。
- 「鉄道会社=電車を走らせる会社」ではありません。セグメント情報で事業構成を確認してください。
- 不動産・住宅業界は不動産・住宅業界とは|全体像と分野の調べ方で整理しています。
職種が幅広い
運転や乗務のほか、設備の保守、駅の運営、開発、企画、技術など多くの職種があります。
電気・機械・土木の専門が生きる領域があります。
安全が最優先です
人を運ぶ以上、安全が事業のすべての前提になります。手順と点検、記録が徹底されます。
勤務の形が特殊なことがあります
運行に関わる職種では交代制や泊まりを伴う勤務があることがあります。募集要項と説明会で確認してください。
08業界の課題として語られていること
公的機関や団体が資料を公表しています。
制度の改正が関わります
労働時間に関する制度は改正されることがあり、運送の分野にも適用されています。各社が対応に取り組んでいます。
制度の内容は厚生労働省や国土交通省の情報で確認してください。数年前の説明が現状と合わないことがあります。
就活での使い方
課題は業界全体の話です。面接で語るなら、その会社が何に取り組んでいるかまで調べてから触れてください。
各社の取り組みは統合報告書や中期経営計画に記載があります。
本記事では見通しを判断しません
この業界の将来や採用の見通しについては判断していません。会社自身の説明を読んでください。
出どころを言える情報を使ってください
「人手不足らしい」という伝聞ではなく、官庁や団体の資料で見たという形で話せると、受け答えが変わります。
09どの大学から何人入っているか
これは公表されている場合があります。
この数字の使い方
「この大学からは入れる/入れない」という判断には使わないでください。年度によって変わりますし、人数は採用の規模にも左右されます。
使い道はOB・OGがいるかを確かめる材料です。進め方はOB・OG訪問の依頼と当日|連絡からお礼までの流れで扱っています。
職種まで確かめてください
この業界は職種によって仕事がまったく違います。話を聞くなら、その人がどの事業のどの職種かを確認してください。
荷主の物流子会社も見てください
進路資料にはメーカーや小売の物流子会社が出てくることがあります。特定の荷主の物流に深く関わる仕事です。
第2部 どんな仕事があるか|職種・働き方
10職種の全体像
運ぶ人だけの業界ではありません。
営業は「仕組みを売る」仕事です
価格だけの勝負ではありません。どう運び、どう保管し、どう情報を渡すか——仕組みを設計して提案します。
荷主の事業を理解する必要があります。
現場の運営が土台です
倉庫や拠点の運営は人と時間と設備を組み合わせる仕事です。日々の改善が積み重なります。
システムの比重が上がっています
追跡、在庫、配送の計画——データとシステムが物流を支えています。情報系の学生の入口でもあります。
11現場の運営という仕事
物流センターは、動き続ける工場のような場所です。
物量は日によって変わります
セールの時期、季節、天候——荷物の量は日々変わります。それに合わせて人と設備を調整します。
この調整が現場の運営の中心です。
多くの人と働きます
倉庫では多くのパートやアルバイトの方々と働きます。作業の手順を整え、働きやすい環境をつくることが管理者の役割です。
機械化が進んでいます
搬送の機械、自動の棚、仕分けの設備——機械と人を組み合わせて回します。設備の知識が役に立つ場面があります。
勤務の時間帯を確認してください
センターによっては早朝や深夜の稼働があります。交代勤務の有無は、募集要項と説明会で確認してください。
12勤務地・転勤・海外
拠点は全国、そして海外にもあります。
物流センターは郊外にあります
広い敷地と道路へのアクセスが必要なため、郊外や臨海部に立地することが多くなります。
通勤や住まいに関わるため、配属の候補地を確認してください。
海外で働く機会があります
国際物流や海運では海外駐在の機会があります。どの地域に拠点があるかは、会社サイトの拠点一覧で確認できます。
海上職は生活の形が特殊です
船に乗る職種では、一定期間の乗船と、まとまった休暇を繰り返す働き方になります。
この形が自分に合うかどうかは、よく考えてください。説明会で具体的に聞くことをおすすめします。
住まいの制度を確認してください
転勤や駐在がある場合、社宅や手当の制度は生活費に直結します。募集要項と福利厚生のページで確認してください。
13専攻と職種の関係
文系・理系の両方に入口があります。
数理の力が生きる領域です
どの順に回れば最短か、どこに在庫を置けば費用が下がるか——計算で解ける問題が多くあります。
統計や最適化を学んでいるなら、専門が直接生きます。
海上職は資格が関わります
船に乗る職種には資格が関わります。商船に関する学科や課程が関係することがあります。募集要項の応募資格で確認してください。
学びの整理の仕方
会社が見ているのはどう課題を立て、どう確かめたかという進め方であることが一般的です。整理の仕方は学生時代の経験の棚卸し|書き出す順番で扱っています。
第3部 自分で調べる|一次資料と年収
14年収を自分で調べる方法
就活サイトの年収ランキングではなく、会社が出している数字を見てください。
| 知りたいこと | どこに載っているか |
|---|---|
| 全従業員の平均年収 | 有価証券報告書【企業の概況】「従業員の状況」の平均年間給与 |
| 初任給 | 各社の募集要項・採用ページ |
| 賞与の回数・時期 | 募集要項 |
| 諸手当 | 募集要項の手当欄 |
| 昇給の時期 | 募集要項 |
平均年間給与の注意点
これは全従業員の平均です。新卒の初任給ではありません。また年齢構成や職種構成で変わります。平均年齢が高い会社は高く出やすく、若い会社は低く出やすい——それだけのことです。
同じ欄に平均年齢と平均勤続年数も載っています。3つをセットで見ると、数字の意味が分かります。
現場に関わる手当を確認してください
倉庫や輸送の現場に関わる職種では、交代勤務や早朝・深夜の勤務がある場合があります。手当の有無は募集要項で確認できます。
持株会社の数字に注意してください
持株会社(ホールディングス)の有価証券報告書に載る平均年間給与は、持株会社に所属する社員だけの数字であることがあります。実際に働く事業会社とは別です。誰の数字を見ているのかを、従業員数と合わせて確認してください。
手取りは額面と違います
提示される金額は額面です。ここから税と社会保険料が引かれます。額面だけで生活設計をすると、想定より少なくて驚くことになります。募集要項の読み方は募集要項の読み方|見落としやすい項目を確認するで扱っています。
15有価証券報告書の使い方
この業界を調べるときの、いちばん確実な資料です。
上場企業が年に1回、法律に基づいて出す書類です。金融庁のEDINETで誰でも無料で読めます。各社のサイトのIR(投資家向け情報)にも置かれています。
運輸・物流業界では、ここを重点的に見てください
①セグメント情報——国内の輸送、国際、倉庫、旅客——どの事業で稼いでいるかが分かります。1社が複数の事業を持つことがあります。
②事業等のリスク——燃料の価格、市況、人手の確保、制度の改正、災害——会社自身が何をリスクと考えているかが書かれています。
③設備の状況——倉庫、車両、船舶、ターミナル——どんな資産を持っているかが分かります。
全部読む必要はありません
最初から通読しようとすると挫折します。上の数か所だけを、志望する2〜3社で読み比べる——これで十分に差が見えます。章の名前や構成は年度・会社によって異なることがあるので、目次から探してください。
16決算説明資料・中期経営計画
有価証券報告書より読みやすく、会社の考えが出ます。
| 資料 | 何が書いてあるか | どこにあるか |
|---|---|---|
| 決算説明資料 | 直近の業績と、その理由の説明 | 会社サイトのIR |
| 中期経営計画 | 数年先に何をやろうとしているか | 会社サイトのIR |
| 統合報告書 | 事業の考え方、人材、環境への取り組み | 会社サイトのIR |
| 質疑応答の要旨 | 投資家が何を気にしているか | IRに掲載される場合がある |
中期経営計画が志望動機の材料になります
ここには「これから何に力を入れるか」が書かれています。同じ分野の2社の計画を読み比べると、重点の置き方の違いが見えます。その違いが「なぜこの会社か」の答えになります。会社が自分で書いていることなので、外れません。
図が多いので入りやすい
決算説明資料はスライド形式で、図表が中心です。専門用語の解説が付いていることもあり、業界用語を覚える教材としても使えます。まず決算説明資料を読み、興味が出たら有価証券報告書で裏を取る——この順番が効率的です。
非上場の会社の場合
非上場だと有価証券報告書がありません。その場合は会社サイトの会社概要、採用ページ、プレスリリースが主な情報源になります。情報が少ない会社では、説明会や面接で直接聞くのが確実です。聞いて失礼になる内容ではありません。
17業界団体と官庁の資料
業界全体の話を確かめたいときに使います。
使い方は「裏取り」です
就活で統計を暗記する必要はありません。使うのはニュースや説明会で聞いた話が本当かを確かめるときです。面接で業界の話をするときも、出どころを言える情報のほうが強くなります。「ニュースで見た」より「協会の資料で見た」のほうが確かです。
市況の影響を受ける分野があります
海運や国際の輸送では運賃の相場が業績に影響します。各社の決算説明資料で説明されることがあります。
ただし将来の相場は誰にも断言できません。会社がどう備えているかを資料で読んでください。
ニュースの読み方
記事の出どころ(誰が発表したか)をたどる癖をつけてください。発表元の資料に当たれば、記事で省かれた条件や前提が分かります。扱い方はニュースと時事の追い方|就活で使える範囲と使い方で扱っています。
18業界用語|最低限これだけ
説明会で前提として使われる言葉です。
意味を言えるようにしておけば十分です
深く理解している必要はありません。説明会で言葉が出たときに話についていける——その程度で構いません。
19荷主の側から業界を見る
物流会社だけを見ていると、全体が見えません。
事例のページを読んでください
物流会社は荷主の課題をどう解決したかの事例を公開していることがあります。仕事の中身が具体的に分かります。
面接で使える材料になります。
身近な物流を観察してください
店の裏の搬入、宅配の時間帯、コンビニへの納品——日常の中に物流があります。
「なぜこの時間なのか」「なぜこの方法なのか」を考えると、仕組みが見えてきます。
2社を比べてください
同じ物流会社でも、国内と国際、陸と海、倉庫の有無で性格が違います。セグメント情報を並べると分かります。
その違いが「なぜこの会社か」の答えになります。
ニュースは出どころをたどる
物流は報道の多い分野です。発表元の資料に当たる癖をつけてください。扱い方はニュースと時事の追い方|就活で使える範囲と使い方で扱っています。
第4部 選考に向けて|志望動機と確認事項
20インターンシップの探し方
分野によって、探す場所が変わります。
倉庫や拠点を見られる機会があります
インターンや見学で物流センターを見られることがあります。規模、機械化の程度、人の動き——写真では分からないことが分かります。
「物流」と「旅客」を区別してください
同じ運輸でも、モノを運ぶ物流と人を運ぶ旅客では仕事がまったく違います。先にどちらに関心があるか決めてください。
参加できなくても不利になるとは限りません
インターンと選考の関係は会社によって違い、案内に記載がある場合はその記載が基準です。記載のないことを推測で補わないでください。選び方はインターンの選び方|条件で絞るで扱っています。
21志望動機の材料を集める
材料が足りないまま書こうとするから、書けません。
同じ分野の2社を読み比べてください
1社だけ読んでも、その会社の特徴は分かりません。同じ分野の2社の中期経営計画を並べると、力の入れどころの違いが見えます。その違いが「なぜこの会社か」の答えになります。
「社会を支えたい」だけでは足りません
この業界の志望動機で最も多い型です。ただ、それはこの業界のほぼ全社に当てはまります。
一段具体的にするには、その会社が国内か国際か、どの手段(陸・海・空)に強く、倉庫や情報の機能をどこまで持つかまで降りてください。
書いたあとの確認
会社名を同じ分野の別の会社に置き換えて読んでみてください。それでも成立するなら、まだその会社に向けた内容になっていません。志望理由の組み立ては志望理由が弱いと感じたら|足りない情報を埋めるで扱っています。
22選考で確認すること
聞かれる側だけでなく、聞く側にもなってください。
確認事項は事前に書き出しておく
説明会や面接の場で思い出そうとしても出てきません。会社ごとに確認事項をメモしておくと、聞きそびれが減ります。
聞いても失礼にならない質問です
勤務地、勤務時間、転勤の有無は労働条件の基本です。募集要項に書かれるべき内容でもあります。遠慮せず確認してください。記載がない、または説明が曖昧なまま進む場合は、その点を書面で確認するようにしてください。
内定後に条件を確認する
内定の連絡を受けたら、労働条件が書面(または電子)で示されるかを確認してください。口頭の説明だけで進めないことが大切です。
23選考の時期の考え方
会社ごとに違い、年度によっても変わります。
就活サイトに載っているスケジュールは一般的な目安であり、個別の会社に当てはまるとは限りません。
職種別に募集されることがあります
総合職、現場の運営職、海上職、技術職——区分を設けている会社があります。海上職のように資格が関わる職種もあります。
募集要項で区分と応募資格を確認してください。
締切は一覧で管理してください
複数の分野・複数の会社に応募すると、締切がばらばらになります。会社名、応募した日、次の予定、締切の4つを1枚にまとめておけば、出し忘れは防げます。管理の仕方は選考管理の作り方|進み具合を一覧にするで扱っています。
24向き不向きの考え方
性格で決めるより、仕事の進み方で考えてください。
「社会を支える」の中身を考えてください
物流は確かに社会の基盤です。ただし日々の仕事は物量の調整、人の配置、書類の確認という具体的な作業です。
この積み重ねに意味を見いだせるかが、実際の適性に近い問いです。
本記事では向き不向きの判断はしていません
上の表は仕事の性質を整理したものであり、適性の診断ではありません。実際に働いている人に一日の流れを聞き、自分で判断してください。進め方はOB・OG訪問の依頼と当日|連絡からお礼までの流れで扱っています。
25他の業界と迷ったとき
物流の機能は、他の業界の中にもあります。
「どの立場で関わるか」を決めてください
運ぶ側(物流会社)、頼む側(荷主)、道具をつくる側(機械・IT)、場所をつくる側(不動産)——立場が違えば仕事も違います。
小売・流通業界は小売・流通業界とは|全体像と分野の調べ方、商社業界は商社業界とは|全体像と分野の調べ方で整理しています。
比べる項目を先に決めてください
項目が多すぎると決まりません。自分が譲れない項目を3つに絞ると判断しやすくなります。比べ方は志望企業の絞り方|条件を言葉にしてから選ぶで扱っています。
26やらない方がいいこと
この業界の選考でとくに起きやすい失敗です。
| やりがちなこと | なぜ問題か |
|---|---|
| 「運ぶ仕事」だと思い込む | 保管、荷役、加工、情報管理も物流の機能 |
| 物流と旅客を区別しない | 仕事がまったく違う。話が噛み合わない |
| 「社会を支えたい」で止める | ほぼ全志望者が言う。会社を選んだ理由にならない |
| フォワーダーと実運送を混同する | 役割が違う。手配する側なのか運ぶ側なのか |
| 勤務時間や配属先を確認しない | 交代勤務や郊外配属の可能性がある |
| 課題を伝聞で語る | 官庁や団体の資料で確かめてから話す |
「宅配の配達員になりたい」わけではないはずです
新卒の総合職は拠点の運営、営業、企画などを担います。配属と仕事の中身を確認してください。
1社の説明会を業界全体の話だと思わない
説明会で語られるのはその会社の話です。分野が違えば前提が違います。最低2社は比べてください。
27相談できる窓口
一人で抱えないでください。
商船系の学科は進路が明確です
海上職を目指す場合、商船に関する学科や資格の課程が関わります。進路については学科の教員に確認してください。
条件面で疑問があるとき
提示された条件に疑問があるとき、自分で判断せずに相談してください。労働局の総合労働相談コーナーは無料で、全国にあります(予約なしで利用できる場合があります)。法令の解釈が必要な場合は弁護士にご相談ください。
28よくある質問
物流の仕事は運ぶことですか?
運ぶのは5つの機能のうちの1つです。ほかに保管、荷役(積み降ろし・仕分け)、流通加工(値札付けや詰め合わせ)、情報管理があります。これらを組み合わせて仕組みを設計するのが物流の仕事の中心です。
総合職でも配達をするのですか?
新卒の総合職は、拠点の運営、営業、企画などを担うことが一般的です。研修で現場を経験することはありますが、配達を続ける仕事とは限りません。配属と仕事の中身は説明会で確認してください。
フォワーダーとは何ですか?
自分で船や飛行機を持たず、輸送の手段を手配して国際輸送を組み立てる事業者です。経路と手段を設計し、書類と通関の手続きを整えます。実際に運ぶのは船会社や航空会社で、役割が分かれています。
海運の海上職に興味があります。
船に乗って運航を担う職種で、資格が関わります。商船に関する学科や課程が関係することがあるため、募集要項の応募資格を確認してください。働き方は一定期間の乗船とまとまった休暇を繰り返す形になり、生活の形が特殊です。説明会で具体的に聞いてください。
3PLとは何ですか?
荷主の物流を分析し、設計し、まとめて請け負って運営する事業です。倉庫の場所、在庫の持ち方、配送の方法を組み直して提案し、自分たちで運営します。提案の面ではコンサルティングに近く、運営まで担う点が特徴です。
理系でも入れますか?
入れます。配送の計画や需要の予測では統計・情報系、倉庫の設備や車両・船舶では機械・電気系、物流施設やターミナルでは土木・建築の専門が生きます。どの順に回れば最短かといった、計算で解ける問題が多い業界です。
勤務地はどこになりますか?
職種によります。物流センターは広い敷地と道路へのアクセスが必要なため、郊外や臨海部に立地することが多くなります。営業は全国の支店、国際輸送は港湾や空港の近く、海運の陸上職は本社が中心です。募集要項と説明会で配属の候補地を確認してください。
夜勤や交代勤務はありますか?
センターや拠点によっては早朝や深夜の稼働があります。職種と配属先によるため、募集要項の勤務時間欄を確認し、記載がなければ説明会で聞いてください。生活に直結する条件です。
労働時間の制度が変わったと聞きました。
労働時間に関する制度は改正されることがあり、運送の分野にも適用されています。各社が対応に取り組んでおり、内容は統合報告書や中期経営計画で説明されることがあります。制度の正確な内容は厚生労働省や国土交通省の情報で確認してください。
海外で働けますか?
国際物流や海運では海外駐在の機会があります。どの地域に拠点があるかは会社サイトの拠点一覧で確認できます。語学の必要度は職種によるため、説明会で聞いてください。
選考はいつから始まりますか?
会社ごとに違い、年度によっても変わります。職種別に募集される場合は職種ごとに進み方が違うこともあります。実際の日程は各社の採用ページと届いた案内で確認してください。
まず何から読めばいいですか?
志望する会社のセグメント情報で事業構成(国内と国際、陸海空、倉庫の有無)を確認し、次に事例のページを読むのが早道です。加えて、身近な物流(店の搬入、宅配の時間帯)を観察すると、仕組みが具体的に見えてきます。
この記事に載っていない会社もありますか?
あります。本記事の社名は各分野にどんな会社があるかを示す例であり、網羅した一覧ではありません。また推奨や順位付けでもありません。地域の運送会社、港運会社、荷主の物流子会社など、選択肢は数多くあります。
29まとめ|機能を知り、立場を決める
物流は5つの機能でできています。輸送、保管、荷役、流通加工、情報管理。運ぶことだけが物流ではありません。
分野は7つあります。①宅配・陸運、②トラック運送、③国際物流・フォワーダー、④海運、⑤倉庫・3PL、⑥鉄道・航空、⑦港湾・ターミナル。
- 物流と旅客を区別してください。同じ運輸でも、モノを運ぶ仕事と人を運ぶ仕事はまったく違います。
- 運ぶ会社と手配する会社は別です。フォワーダーは経路と手段を組み立て、書類と手続きを整えます。
- 3PLは設計する物流です。荷主の物流を分析し、組み直し、運営まで担います。
数理とシステムの力が生きます。最短経路、在庫の配置、需要の予測——計算で解ける問題が多くあります。
勤務地と勤務時間を確認してください。センターは郊外にあり、交代勤務がある職場もあります。
最後に。本記事の社名は各分野にどんな会社があるかを示す例であり、推奨・順位付け・優劣の評価ではありません。網羅した一覧でもありません。売上・シェア・年収などの数値と企業の将来性、向き不向きは扱っていません。制度に関することは公的機関の情報で、募集の条件は各社の募集要項でご確認ください。
・小売・流通業界とは|全体像と分野の調べ方
・商社業界とは|全体像と分野の調べ方
・食品・飲料業界とは|全体像と分野の調べ方
・業界の調べ方|全体像をつかむ順番
・募集要項の読み方|見落としやすい項目を確認する
・就活・キャリアの記事一覧