機械・重工業界とは|全体像と分野の調べ方
機械・重工業界は7つの分野に分かれています。①重工・プラント(三菱重工業・IHI・川崎重工業)、②建設機械・農業機械(コマツ・クボタ)、③工作機械(DMG森精機・オークマ)、④産業用ロボット・FA(ファナック・安川電機)、⑤機械要素・部品(日本精工・THK・SMC)、⑥搬送・昇降機(ダイフク)、⑦ポンプ・圧縮機(荏原製作所)。共通するのは、売る相手が企業だということです。顧…
あなたが今日使ったものは、すべて機械でつくられています。
スマートフォンの部品も、ペットボトルも、食品の包装も——それをつくる機械をつくる会社があります。
ところが、その会社の名前を言える学生はほとんどいません。消費者に売らないからです。
この記事では、機械・重工業界を7つの分野に分けたうえで、職種、働く場所、年収の調べ方、志望動機の材料、選考での確認事項まで通しで整理します。
この記事を7枚で
1 / 7第1部 どんな会社があるか|7つの分野
- 業界の地図|7つの分野
- 「機械業界」が分かりにくい理由
- ①重工・プラント|大きいものをつくる
- ②建設機械・農業機械
- ③工作機械|機械をつくる機械
- ④産業用ロボット・FA
- ⑤機械要素・部品|名前は知らないが必ず入っている
- ⑥搬送・昇降機|物と人を動かす
- ⑦ポンプ・圧縮機・環境装置
- プラントエンジニアリングという業態
- 受注生産と量産の違い|働き方が変わります
- 据付・試運転という仕事
- グループ関係とブランドの見方
- どの大学から何人入っているか
第2部 どんな仕事があるか|職種と働く場所
第3部 自分で調べる|一次資料と年収
第4部 選考に向けて|志望動機と確認事項
第1部 どんな会社があるか|7つの分野
01業界の地図|7つの分野
まずこの図を頭に入れてください。
機械・重工業界の7つの分野。顧客が誰かで分野が分かれる。
| 分野 | 何をつくる会社か | 例 |
|---|---|---|
| ①重工・プラント | 発電設備、航空機、船舶、鉄道車両など大型の設備 | 三菱重工業、IHI、川崎重工業 |
| ②建設機械・農業機械 | 建設現場・農地で使う機械 | コマツ、日立建機、クボタ、ヤンマー |
| ③工作機械 | 金属を削る・加工する機械(機械をつくる機械) | DMG森精機、オークマ、牧野フライス製作所、ジェイテクト |
| ④産業用ロボット・FA | 工場を自動化する機器と制御 | ファナック、安川電機、不二越 |
| ⑤機械要素・部品 | 軸受、直動案内、空圧機器、減速機など | 日本精工、NTN、THK、SMC、ナブテスコ |
| ⑥搬送・昇降機 | 物を運ぶ設備、エレベーター | ダイフク、フジテック |
| ⑦ポンプ・圧縮機・環境装置 | 液体や気体を動かす、処理する機械 | 荏原製作所、神戸製鋼所 |
1社が複数の分野にまたがります
自動車業界のような上下の階層ではありません。機械は横に並んだ分野で、1社がいくつもの分野を同時に手がけます。
たとえば川崎重工業は①でもあり④でもあります。クボタは②でもあり、水関連の設備も手がけます。神戸製鋼所は⑦でもあり、鉄鋼の会社でもあります。
だからセグメント情報を見てください
その会社がどの分野でいくら稼いでいるかは、有価証券報告書のセグメント情報に事業別の数字で書かれています。読み方は22章で説明します。
社名やイメージで判断せず、事業別の数字を見る——これが機械業界を調べるときの基本です。
02「機械業界」が分かりにくい理由
売っているものが、店に並ばないからです。
| 消費財(家電・食品など) | 資本財(機械) | |
|---|---|---|
| 買う人 | 消費者 | 企業 |
| 買う目的 | 使って楽しむ、生活に使う | その機械で何かをつくって稼ぐ |
| 買う理由 | 好み、価格、デザイン | 性能、精度、止まらないこと、採算 |
| 買うタイミング | 欲しいとき | 設備投資を決めたとき |
| 買ったあと | 壊れたら買い替える | 何年も保守しながら使い続ける |
「資本財」という言葉を覚えてください
機械は顧客が稼ぐために買うものです。だから「かっこいいから買う」ことはありません。それを使っていくら稼げるかで判断されます。
この性質が、仕事の進み方を決めます。営業は顧客の生産計画を聞き、技術は顧客の要求に合わせて仕様を詰め、サービスは動き続けることを保証する——という形になります。
顧客の設備投資に左右されます
顧客が設備投資を控えれば、機械は売れません。逆に設備を増やす局面では注文が増えます。機械業界が「景気に先行する」「波がある」と言われるのはこのためです。
ただし、将来の景気は誰にも断言できません。会社がこの波にどう備えているかは、中期経営計画や「事業等のリスク」で確認してください。
03①重工・プラント|大きいものをつくる
単位が「台」ではなく「基」「隻」「機」になる世界です。
| 手がける領域 | 内容 | 会社の例 |
|---|---|---|
| エネルギー・発電 | タービン、ボイラ、原子力関連の設備 | 三菱重工業、IHI |
| 航空・宇宙・防衛 | 航空機の構造、エンジン、宇宙機器 | 三菱重工業、IHI、川崎重工業 |
| 船舶 | 商船、艦艇、舶用エンジン | 三菱造船、ジャパンマリンユナイテッド、今治造船 |
| 鉄道車両 | 車両の設計・製造 | 川崎重工業、日立製作所、日本車輌製造 |
| 産業機械・環境設備 | 工場設備、ごみ処理設備など | 各社 |
1件が大きく、期間が長い
重工の案件は受注から引き渡しまで年単位になることがあります。設計、製造、据付、試運転——ひとつの案件に長く関わります。
これは働き方に直結します。短いサイクルで次々に製品を出す仕事とは、時間の流れ方が違います。どちらが良いという話ではなく、性格の合う・合わないがあります。
社会基盤に関わるということ
発電設備、鉄道、船——いずれも止まると社会が困るものです。そのぶん安全と品質の要求が高く、手順と記録が重視されます。
「大きいものに関わりたい」という動機はよく聞かれますが、その先にある仕事は緻密な確認の積み重ねです。ここを知っておくと、入社後のギャップが減ります。
04②建設機械・農業機械
現場で使われる機械です。
| 種類 | 使われる場所 | 会社の例 |
|---|---|---|
| 建設機械 | 建設現場、鉱山 | コマツ、日立建機、コベルコ建機、住友建機 |
| 農業機械 | 農地 | クボタ、ヤンマー、井関農機 |
| フォークリフト等 | 工場、倉庫 | 豊田自動織機、三菱ロジスネクスト |
海外の比率が高い分野です
建設機械や農業機械は世界中の現場で使われます。そのため海外の販売・サービス網が事業の柱になり、海外拠点で働く機会があります。
どの国にどんな機能の拠点があるかは、会社サイトの「拠点一覧」で確認できます。
売ったあとが長い
建設機械は買ったあと何年も使われます。だから部品の供給、点検、修理、中古の流通までが事業になります。機械を売る会社ではなく、機械が動き続けることを売る会社と考えると、仕事の幅が見えてきます。
この「売ったあと」の仕事は、17章で詳しく扱います。
現場のデジタル化
建設機械では、機械の位置や稼働の状況を把握する仕組みや、作業を支援する技術が取り入れられています。機械系だけでなく、情報系の人が関わる領域でもあります。
各社がどんな技術に取り組んでいるかは、決算説明資料や中期経営計画に書かれています。
05③工作機械|機械をつくる機械
マザーマシン(母なる機械)と呼ばれます。
金属を削り、穴をあけ、形をつくる機械です。この機械がないと、自動車の部品も、飛行機の部品も、半導体の装置の部品もつくれません。
| 種類 | やること | 会社の例 |
|---|---|---|
| マシニングセンタ | 刃物を替えながら削る | DMG森精機、オークマ、牧野フライス製作所 |
| 旋盤(NC旋盤) | 材料を回して削る | 各社 |
| 研削盤 | 表面を精密に仕上げる | ジェイテクト、シギヤ精機製作所 |
| 制御装置 | 機械を動かす頭脳(CNC) | ファナック |
| 工具 | 削る刃物 | タンガロイ、三菱マテリアル、オーエスジー |
精度が価値になります
工作機械の競争はどれだけ正確に、速く、安定して削れるかです。1000分の1ミリ単位の話になります。
この精度は機械そのものの剛性、熱の管理、制御の技術の組み合わせで決まります。機械系、制御系、情報系がそれぞれ関わる領域です。
顧客は工場です
買うのは自動車、航空機、電機、金型などの製造業です。つまり顧客の設備投資が動くと注文が動きます。
業界の状況を確かめたいときは、日本工作機械工業会が公表している受注の統計が使えます。
非上場の有力企業もあります
工作機械の分野には、非上場でも有力な会社があります。有価証券報告書がないため情報は少なくなりますが、会社サイトと採用ページ、展示会の資料から調べられます。
06④産業用ロボット・FA
工場を自動で動かすための機器です。
FAはファクトリー・オートメーションの略で、工場の自動化を指します。
| もの | やること | 会社の例 |
|---|---|---|
| 産業用ロボット | 溶接、塗装、組立、搬送を自動で行う | ファナック、安川電機、川崎重工業、不二越 |
| サーボ・モーター | 機械を正確に動かす | 安川電機、ファナック |
| 制御機器・センサ | 機械を制御する、状態を測る | オムロン、キーエンス、三菱電機 |
| システム構築 | ロボットや装置を組み合わせて生産ラインにする | 装置メーカー、システムインテグレーター |
ロボット単体では動きません
ロボットを買っても、そのままでは製品はつくれません。どう配置し、何を持たせ、どう動かすかを設計する必要があります。
この設計を行う会社(システムインテグレーター)が別にあります。ロボットメーカーだけでなく、組み合わせる側の会社も選択肢に入れてください。
電機業界とも重なります
制御機器やセンサは、電機・電子業界の会社が手がけています。「ロボットに関わりたい」なら、機械側からも電機側からも入れます。
電機・電子業界の全体像は電機・電子業界とは|全体像と分野の調べ方で整理しています。同じ項目で比べてみてください。
情報系の人の入り口でもあります
ロボットの動作の計画、画像による認識、稼働データの解析——ソフトの比重が上がっている領域です。機械系でなくても関われます。
07⑤機械要素・部品|名前は知らないが必ず入っている
すべての機械に共通して必要な部品があります。
| 部品 | 役割 | 会社の例 |
|---|---|---|
| 軸受(ベアリング) | 回転する部分の摩擦を減らす | 日本精工、NTN、ジェイテクト、不二越 |
| 直動案内 | まっすぐ滑らかに動かす | THK |
| 空圧機器 | 空気の力で動かす・つかむ | SMC、CKD |
| 油圧機器 | 油の力で大きな力を出す | 川崎重工業、KYB、不二越 |
| 減速機 | 回転を減速して力を強める | ナブテスコ、住友重機械工業、ハーモニック・ドライブ・システムズ |
| チェーン・歯車 | 動力を伝える | 椿本チエイン |
| 機械部品の供給 | 標準部品を短納期で届ける | ミスミグループ本社 |
ここが日本の会社の厚い層です
完成した機械より、その中に入る部品のほうが、国内企業の数は多くなります。そして顧客は業界を問いません。自動車にも、工作機械にも、ロボットにも、半導体装置にも同じ部品が使われます。
これは仕事の性質にも表れます。特定の産業の波に左右されにくいという説明が、各社の資料でされることがあります。
名前を知らないのは当然です
部品は最終製品の中に隠れています。知名度と会社の規模・安定性は別の話です。知らないという理由だけで候補から外すと、選択肢をかなり失います。
調べ方
部品メーカーは製品カタログが公開されていることが多く、何をつくっているかが具体的に分かります。採用ページより先にカタログを見ると、事業の中身がつかめます。
08⑥搬送・昇降機|物と人を動かす
工場と倉庫の中を、物が自動で移動しています。
| 分野 | 内容 | 会社の例 |
|---|---|---|
| マテリアルハンドリング | 倉庫・工場の中で物を運ぶ・保管する設備 | ダイフク、村田機械、オークラ輸送機 |
| 昇降機 | エレベーター、エスカレーター | 三菱電機、日立製作所、東芝エレベータ、フジテック |
| コンベヤ | 連続して物を運ぶ | 各社 |
物流の自動化とつながっています
通信販売が増え、倉庫の作業量が増えました。人手で対応しきれない部分を設備で担うという流れの中で、搬送設備は需要のある分野とされています。
ただし、これは業界で語られている方向性であり、個別の会社の業績や採用を示すものではありません。会社ごとの方針は中期経営計画で確認してください。
昇降機は「保守」が事業の柱になります
エレベーターは設置してから何十年も使われます。そのため点検・修理・部品交換が継続的な事業になります。
この分野では、全国に保守の拠点があり、そこで働く職種があります。勤務地の候補が全国に広がるということでもあります。
建物や物流と関わる仕事です
搬送設備も昇降機も、建物や倉庫の設計と一体で決まります。そのため建設会社や物流会社とやりとりする仕事になります。機械の中だけで完結しません。
09⑦ポンプ・圧縮機・環境装置
液体と気体を動かす機械です。
| 機械 | 使われる場所 | 会社の例 |
|---|---|---|
| ポンプ | 上下水道、発電所、工場、ビル | 荏原製作所、酉島製作所 |
| 圧縮機(コンプレッサ) | 工場の動力、空調、プラント | 神戸製鋼所、日立産機システム、三井E&S |
| 環境装置 | 水処理、排ガス処理、廃棄物処理 | 各社、プラント会社 |
社会基盤に組み込まれています
ポンプは上下水道や発電所に使われます。止まると生活に影響が出るため、信頼性と保守が重視されます。
「人の生活を支える仕事がしたい」という動機を持つ人には、目に見えないところで社会を支える分野です。
官公庁が顧客になることがあります
上下水道の設備は自治体が発注者になることがあります。この場合、民間相手とは進め方が変わります(入札、仕様書、長期の保守契約など)。
顧客が誰かは、有価証券報告書の「事業の内容」で確認できます。
半導体や化学とも関わります
真空ポンプは半導体の製造装置に、耐腐食性のポンプは化学プラントに使われます。顧客の産業が広いのがこの分野の特徴です。
半導体業界の全体像は半導体業界とは|全体像と分野の調べ方で整理しています。
10プラントエンジニアリングという業態
機械をつくらずに、プラントをつくる会社があります。
エンジニアリング会社は、顧客の依頼を受けて、プラント全体を設計し、機器を調達し、建設し、引き渡します。この一連をEPCと呼びます。
会社の例としては、日揮ホールディングス、千代田化工建設、東洋エンジニアリングなどがあります。
自社工場を持たないことが多い
機器はメーカーから買います。つまりエンジニアリング会社にとって、機械メーカーは仕入れ先です。
この関係を知っておくと、「機械に関わる仕事」の入口がもう一つあることが分かります。つくる側か、組み上げる側か、という違いです。
海外の現場に出る仕事です
プラントの建設地は海外であることが多く、現地に長期間滞在する働き方があります。期間や条件は案件によります。
生活に直結する部分なので、説明会で具体的に聞いてください。「何年目からどのくらいの期間、どんな場所に行くことがあるか」は聞いてよい質問です。
11受注生産と量産の違い|働き方が変わります
この違いを知らないまま入社すると、想像とずれます。
| 受注生産(案件型) | 量産(製品型) | |
|---|---|---|
| つくり方 | 注文を受けてから設計・製造する | 標準の製品を繰り返しつくる |
| 例 | プラント、発電設備、特注の生産ライン | ベアリング、空圧機器、標準の工作機械 |
| 仕事の単位 | 案件。年単位で関わる | 製品と工程。改善を積み重ねる |
| やりがい | 一つの大きな案件をやり遂げる | 品質・コストを継続して良くする |
| 忙しさ | 案件の山場に集中しやすい | 日常的な運用が中心 |
どちらが向くかは性格の問題です
長い期間をかけて一つのものを完成させたい人は案件型、同じ工程を少しずつ良くしていくことに喜びを感じる人は量産型が合いやすい——という傾向があります。
ただし、これは目安であって診断ではありません。実際に働いている人に一日の流れを聞いて、自分で判断してください。
会社の中に両方あります
大きな機械メーカーでは、案件型の事業と量産型の事業が同居していることがあります。同じ会社でも、配属先によって働き方が変わるということです。
だから「どの事業に配属される可能性があるか」を確認してください。セグメント情報を見れば、その会社がどんな事業を持っているかが分かります。
12据付・試運転という仕事
機械は、つくって終わりではありません。
大型の機械は顧客の工場や建設地に運び、据え付け、動かしてみて、条件を合わせて引き渡します。この工程を据付・試運転と呼びます。
| 段階 | やること | 場所 |
|---|---|---|
| 工場での組立・試験 | 組み立てて、動くことを確かめる | 自社工場 |
| 輸送 | 分解・梱包して運ぶ | — |
| 据付 | 顧客の現場で設置し、配管・配線をつなぐ | 顧客の現場 |
| 試運転 | 実際に動かし、条件を調整する | 顧客の現場 |
| 引き渡し・研修 | 使い方を説明し、運転を引き継ぐ | 顧客の現場 |
出張が発生する職種があります
据付・試運転に関わる職種は顧客の現場に出向きます。国内・海外の両方があり、期間も案件によります。
これは魅力にもなり、生活面の条件にもなります。出張の頻度と期間は、説明会で具体的に聞いてください。
現場で分かることがあります
図面どおりにいかないことは起こります。そのとき現場で判断して直すのが、この仕事のいちばん技術的な部分です。
「機械が実際に動く瞬間に立ち会いたい」という人には、他に代えがたい仕事です。
13グループ関係とブランドの見方
機械業界は、合弁や事業の統合が多い分野です。
ブランド名と会社名が違うことがあります
機械の分野では、製品のブランド名で知られている会社があります。製品名で検索すると、実際の社名にたどり着けないことがあります。
会社サイトの「会社概要」と「沿革」を見れば、いまの会社の形と、そこに至る経緯が分かります。
採用の主体を確認してください
グループ企業では、親会社が一括採用して配属で子会社に行く形と、子会社が独自に採用する形があります。どちらかで応募先も選考も変わります。
採用ページの会社名、募集要項の「雇用元」の記載を確かめてください。会社の調べ方全般は会社の調べ方|採用ページ以外から情報を取る方法で扱っています。
14どの大学から何人入っているか
これは公表されている場合があります。
この数字の使い方
「この大学からは入れる/入れない」という判断には使わないでください。年度によって変わりますし、人数は採用の規模にも左右されます。
使い道は別にあります。OB・OGがいるかを確かめる材料です。実績のある会社なら、キャリアセンター経由で話を聞ける可能性があります。進め方はOB・OG訪問の依頼と当日|連絡からお礼までの流れで扱っています。
機械系は学科と企業のつながりが見えやすい
機械工学科の進路資料を見ると、同じ会社に毎年複数名が進んでいることがあります。そういう会社は、学科に案内が届いている可能性があります。
先輩がどんな職種に進み、いまどんな仕事をしているかは、資料よりも本人に聞いたほうが早いです。
第2部 どんな仕事があるか|職種と働く場所
15職種の全体像
機械メーカーには、つくる前・つくる・売る・支えるの4種類があります。
| 職種 | やること | どんな人と関わるか |
|---|---|---|
| 研究・要素技術 | 新しい仕組みや材料を試す | 社内の設計、大学 |
| 設計(機械) | 構造・機構を考え、図面にする | 生産技術、購買、顧客 |
| 設計(電気・制御) | 動かすための回路と制御をつくる | 機械設計、ソフト |
| ソフトウェア | 機械を動かすソフト、稼働データの活用 | 制御、顧客 |
| 生産技術 | つくりやすい工程を設計し、量産を安定させる | 製造現場、設計 |
| 製造・組立 | 実際に機械を組み立てる | 生産技術、品質保証 |
| 据付・試運転 | 顧客の現場で設置し、動かす | 顧客、工事業者 |
| サービス・保守 | 点検・修理・部品供給を行う | 顧客 |
| 品質保証 | 基準を決め、出荷の可否を判断する | 設計、製造、顧客 |
| 技術営業 | 顧客の要求を聞き、仕様と価格をまとめる | 顧客、設計 |
| 調達・購買 | 部品・材料を調達する | 仕入先、設計 |
| 生産管理 | 納期と在庫を管理する | 製造、営業 |
| 知的財産 | 特許の出願・管理・調査 | 設計、法務 |
「設計」は1種類ではありません
機械設計、電気設計、制御設計、ソフト——1台の機械にこれだけの設計が関わります。機械系だから機械設計、と決まっているわけではありません。
募集の区分は会社ごとに違います
上の表は仕事の中身で分けた整理です。実際の募集では「技術職」としてまとめ、配属で分かれる会社もあります。募集要項の職種欄を見れば、どちらの形かが分かります。
16専攻と職種の関係
機械系だけの業界ではありません。
解析ができる人は歓迎されます
いまの機械設計は、つくる前に計算で確かめるのが前提です。構造解析、流体解析、熱の解析——研究でこれらを使った経験は、そのまま材料になります。
文系から機械業界へ
技術営業、調達、生産管理といった職種は、文系出身者が就いていることがあります。ただし製品の話が通じないと仕事になりにくいため、入社後に学ぶ姿勢は求められます。
募集の対象は募集要項の応募資格欄に書かれています。思い込みで諦めず、該当する募集を探してください。
研究テーマは一致しなくて構いません
会社が見ているのはどう課題を立て、どう確かめたかという進め方であることが一般的です。研究の整理の仕方は学生時代の経験の棚卸し|書き出す順番で扱っています。
17サービス・保守という仕事
機械は、売ったあとのほうが長く付き合います。
機械は10年、20年と使われます。その間、点検し、部品を交換し、故障を直す必要があります。これを担うのがサービス部門です。
事業としての比重が上がっています
新しい機械を売るだけでなく、保守や部品で継続的に収益を得る形を重視する会社があります。各社の中期経営計画に、この方針が書かれていることがあります。
顧客といちばん長く接する職種です
サービスの担当者は顧客の現場に何度も足を運びます。機械の使われ方を最もよく知る立場でもあります。
ここで得た情報が、次の機械の設計に反映されることもあります。「現場を知ってから設計に行く」という道筋がある会社もあります。
確認しておきたいこと
サービス職は担当エリアが決まることが多く、勤務地が全国に分かれます。また、顧客の稼働に合わせた勤務になる場合があります。勤務時間と待機の扱いは、募集要項で確認してください。
18勤務地と配属
機械業界は、勤務地が生活を大きく左右します。
確認の手順
①有価証券報告書の「設備の状況」で主要事業所の所在地を見る。②採用ページの「勤務地」欄を見る。③募集要項の転勤の有無を見る。この3つで、どこで働く可能性があるかはおおむね把握できます。
工場は地方にあることが多い
大きな機械をつくるには広い敷地が要ります。そのため工場は地方に立地することが多くなります。開発拠点が工場に併設されている会社では、設計職も地方勤務になります。
これは良い悪いではなく、生活の前提が変わるという話です。家賃、通勤、休日の過ごし方——事前に知っておいてください。
寮・社宅の有無も見てください
地方の工場に配属される可能性がある場合、寮や社宅の有無、家賃補助の条件は生活費に直結します。福利厚生のページや募集要項に記載があることがあります。
19海外で働く道
機械は、顧客が世界中にいます。
英語はどの程度必要か
職種によります。海外の顧客や拠点とやりとりする職種では日常的に使い、国内の設計に閉じた職種では使う機会が限られる——これが一般的な傾向です。
採用ページに語学の目安が書かれている場合は、それが実態に近いと考えてよいでしょう。記載がなければ説明会で聞いてください。
現場では言葉以上に図面が通じます
機械の現場では図面と現物が共通の言語になります。語学に自信がないことを理由に諦める必要はありません。ただし、安全に関わる指示は言葉で確実に伝える必要があります。
拠点の場所を確認する方法
会社サイトの「拠点一覧」「グローバルネットワーク」に、どの国にどんな機能の拠点があるか(販売か、生産か、サービスか)まで書かれていることがあります。
20品質保証と安全
機械は、人が触れるものです。
回る、動く、重い、熱い——機械は使い方を誤ると人を傷つけます。だからこの業界では、安全が設計と運用の両方に組み込まれています。
規格や法令が関わります
機械の安全には規格や法令の要求があります。輸出する場合は相手国の要求も関わります。設計は自由につくれるわけではなく、守るべき決まりの中でつくります。
記録を残す仕事でもあります
「確かめた」だけでは足りず、確かめたことを記録に残す必要があります。地味に見えますが、これが製品の信頼を支えています。
研究で実験ノートを丁寧に付けていた経験がある人は、その姿勢がそのまま生きます。
第3部 自分で調べる|一次資料と年収
21年収を自分で調べる方法
就活サイトの年収ランキングではなく、会社が出している数字を見てください。
| 知りたいこと | どこに載っているか |
|---|---|
| 全従業員の平均年収 | 有価証券報告書【企業の概況】「従業員の状況」の平均年間給与 |
| 初任給 | 各社の募集要項・採用ページ |
| 賞与の回数・時期 | 募集要項 |
| 諸手当 | 募集要項の手当欄 |
| 昇給の時期 | 募集要項 |
平均年間給与の注意点
これは全従業員の平均です。新卒の初任給ではありません。また年齢構成や職種構成で変わります。平均年齢が高い会社は高く出やすく、若い会社は低く出やすい——それだけのことです。
同じ欄に平均年齢と平均勤続年数も載っています。3つをセットで見ると、数字の意味が分かります。
手当の欄も見てください
機械メーカーでは、据付や試運転で出張が発生する職種があります。出張手当や赴任に関する手当の記載があるかは、募集要項の手当欄で確認できます。
持株会社の数字に注意してください
持株会社(ホールディングス)の有価証券報告書に載る平均年間給与は、持株会社に所属する社員だけの数字であることがあります。実際に働く事業会社とは別です。誰の数字を見ているのかを、従業員数と合わせて確認してください。
手取りは額面と違います
提示される金額は額面です。ここから税と社会保険料が引かれます。額面だけで生活設計をすると、想定より少なくて驚くことになります。募集要項の読み方は募集要項の読み方|見落としやすい項目を確認するで扱っています。
22有価証券報告書の使い方
この業界を調べるときの、いちばん確実な資料です。
上場企業が年に1回、法律に基づいて出す書類です。金融庁のEDINETで誰でも無料で読めます。各社のサイトのIR(投資家向け情報)にも置かれています。
機械・重工業界では、ここを重点的に見てください
①セグメント情報——機械メーカーは1社が複数の分野を持つことが多く、どの事業で稼いでいるかは名前からは分かりません。事業別の売上と利益がここに出ます。
②設備の状況——工場と研究所の所在地が分かります。機械の工場は地方に立地することが多く、配属の候補地を知るいちばん確実な方法です。
③事業等のリスク——会社自身が「何が起きると困るか」を書いています。機械は顧客の設備投資に左右されるため、そこに触れた記載があることがあります。
全部読む必要はありません
最初から通読しようとすると挫折します。上の数か所だけを、志望する2〜3社で読み比べる——これで十分に差が見えます。章の名前や構成は年度・会社によって異なることがあるので、目次から探してください。
23決算説明資料・中期経営計画
有価証券報告書より読みやすく、会社の考えが出ます。
| 資料 | 何が書いてあるか | どこにあるか |
|---|---|---|
| 決算説明資料 | 直近の業績と、その理由の説明 | 会社サイトのIR |
| 中期経営計画 | 数年先に何をやろうとしているか | 会社サイトのIR |
| 統合報告書 | 事業の考え方、人材、環境への取り組み | 会社サイトのIR |
| 質疑応答の要旨 | 投資家が何を気にしているか | IRに掲載される場合がある |
中期経営計画が志望動機の材料になります
ここには「これから何に力を入れるか」が書かれています。同じ分野の2社の計画を読み比べると、重点の置き方の違いが見えます。その違いが「なぜこの会社か」の答えになります。会社が自分で書いていることなので、外れません。
図が多いので入りやすい
決算説明資料はスライド形式で、図表が中心です。専門用語の解説が付いていることもあり、業界用語を覚える教材としても使えます。まず決算説明資料を読み、興味が出たら有価証券報告書で裏を取る——この順番が効率的です。
非上場の会社の場合
非上場だと有価証券報告書がありません。その場合は会社サイトの会社概要、採用ページ、プレスリリースが主な情報源になります。情報が少ない会社では、説明会や面接で直接聞くのが確実です。聞いて失礼になる内容ではありません。
24業界団体と官庁の資料
業界全体の話を確かめたいときに使います。
使い方は「裏取り」です
就活で統計を暗記する必要はありません。使うのはニュースや説明会で聞いた話が本当かを確かめるときです。面接で業界の話をするときも、出どころを言える情報のほうが強くなります。「ニュースで見た」より「協会の資料で見た」のほうが確かです。
機械業界では「受注」の統計が意味を持ちます
機械は注文を受けてからつくるものが多いため、売上より先に受注が動きます。だから業界の話をするときは、生産や売上だけでなく受注の統計が使われます。
暗記する必要はありません。「機械は受注が先に動く」という性質を知っているだけで、決算説明資料の読み方が変わります。
ニュースの読み方
記事の出どころ(誰が発表したか)をたどる癖をつけてください。発表元の資料に当たれば、記事で省かれた条件や前提が分かります。扱い方はニュースと時事の追い方|就活で使える範囲と使い方で扱っています。
25業界用語|最低限これだけ
説明会で前提として使われる言葉です。
意味を言えるようにしておけば十分です
深く理解している必要はありません。説明会で言葉が出たときに話についていける——その程度で構いません。分からない言葉が出たら、その場で聞いてください。知ったかぶりをすると、あとで困ります。
26「設備投資」という言葉の使い方
機械業界を語るときの中心にある言葉です。
顧客の企業が工場や設備にお金を使うことを設備投資と言います。機械メーカーの売上は、この設備投資の動きに左右されます。
| やりがちなこと | なぜ問題か |
|---|---|
| 「景気が良いので志望しました」 | 景気で志望先を決めた、と受け取られる |
| 「これから伸びる業界だから」 | 将来の予測は誰にも断言できない |
| 「波があって不安です」 | 会社の備えを知らずに言うと空回りする |
代わりに何を言えばいいか
波がある産業だと知ったうえで、その会社が波にどう備えているかを資料で調べ、それについて話すほうが具体的です。
たとえば保守・部品の事業を伸ばす、顧客の産業を分散する、海外の比率を上げる——といった方針が中期経営計画に書かれていることがあります。会社自身の言葉を材料にしてください。
分野によって波の受け方が違います
工作機械は顧客の設備投資に、建設機械は工事や鉱山の動きに、部品は幅広い産業の生産量に——それぞれ影響の受け方が違うと説明されることがあります。
本記事では、どの分野が有利・不利といった判断はしていません。各社の「事業等のリスク」で、会社自身の説明を読んでください。
第4部 選考に向けて|志望動機と確認事項
27インターンシップの探し方
分野によって、探す場所が変わります。
工場見学の機会は逃さないでください
機械は現物の大きさと重さが、そのまま仕事の性格になります。数メートルの機械を組み立てる現場を見るのと、写真で見るのとでは印象がまったく違います。
インターンや工場見学の機会があれば、組立の現場と試運転の現場を見てください。自分がその場にいる姿を想像できるかどうかが、いちばん確かな判断材料になります。
知名度で探さないでください
機械メーカーの多くは企業向けです。消費者向けの製品がないため、就活サイトを眺めているだけでは存在に気づきません。業界団体の会員企業一覧や、展示会の出展社一覧から会社を洗い出してください。
参加できなくても不利になるとは限りません
インターンと選考の関係は会社によって違い、案内に記載がある場合はその記載が基準です。記載のないことを推測で補わないでください。選び方はインターンの選び方|条件で絞るで扱っています。
28志望動機の材料を集める
材料が足りないまま書こうとするから、書けません。
同じ分野の2社を読み比べてください
1社だけ読んでも、その会社の特徴は分かりません。同じ分野の2社の中期経営計画を並べると、力の入れどころの違いが見えます。その違いが「なぜこの会社か」の答えになります。
「ものづくりが好き」だけでは足りません
機械業界の志望動機で最も多いのがこれです。ただ、それはこの業界のほぼ全社に当てはまります。
一段具体的にするには、どの分野の、どんな顧客に向けた機械かまで降りてください。工作機械なのか、建設機械なのか、搬送機なのか。顧客は工場なのか、建設現場なのか、発電所なのか。ここまで書ければ、会社名を入れ替えても成立する文章にはなりません。
書いたあとの確認
会社名を同じ分野の別の会社に置き換えて読んでみてください。それでも成立するなら、まだその会社に向けた内容になっていません。志望理由の組み立ては志望理由が弱いと感じたら|足りない情報を埋めるで扱っています。
29選考で確認すること
聞かれる側だけでなく、聞く側にもなってください。
確認事項は事前に書き出しておく
説明会や面接の場で思い出そうとしても出てきません。会社ごとに確認事項をメモしておくと、聞きそびれが減ります。
聞いても失礼にならない質問です
勤務地、勤務時間、転勤の有無は労働条件の基本です。募集要項に書かれるべき内容でもあります。遠慮せず確認してください。記載がない、または説明が曖昧なまま進む場合は、その点を書面で確認するようにしてください。
内定後に条件を確認する
内定の連絡を受けたら、労働条件が書面(または電子)で示されるかを確認してください。口頭の説明だけで進めないことが大切です。
30選考の時期の考え方
会社ごとに違い、年度によっても変わります。
就活サイトに載っているスケジュールは一般的な目安であり、個別の会社に当てはまるとは限りません。
技術系は推薦という道がある場合があります
大学や学科によっては、推薦での応募の仕組みがあります。機械系の学科では利用されることがあり、対象の会社・手続き・期限は大学ごとに違います。
利用するかどうかで動き方が変わるので、早い段階で就職担当や指導教員に確認してください。
締切は一覧で管理してください
複数の分野・複数の会社に応募すると、締切がばらばらになります。会社名、応募した日、次の予定、締切の4つを1枚にまとめておけば、出し忘れは防げます。管理の仕方は選考管理の作り方|進み具合を一覧にするで扱っています。
31向き不向きの考え方
性格で決めるより、仕事の進み方で考えてください。
「ものづくりが好き」の中身を分解してください
同じ「好き」でも、考えるのが好きなのか、組み立てるのが好きなのか、動かすのが好きなのかで向く職種が変わります。
設計は机に向かう時間が長く、生産技術は現場との往復が多く、サービスは移動が多い——同じ会社の中でも日々の過ごし方はかなり違います。
本記事では向き不向きの判断はしていません
上の表は仕事の性質を整理したものであり、適性の診断ではありません。実際に働いている人に一日の流れを聞き、自分で判断してください。進め方はOB・OG訪問の依頼と当日|連絡からお礼までの流れで扱っています。
32他の業界と迷ったとき
機械は、隣の業界と地続きです。
業界名で絞ると同じ仕事を見逃します
「機械の設計がしたい」なら、機械メーカー以外にも道があります。自動車メーカーの生産設備部門、半導体装置メーカー、食品メーカーの設備部門——入口が違うだけで、仕事の中身は近いことがあります。
自動車業界は自動車業界とは|全体像と分野の調べ方、電機・電子業界は電機・電子業界とは|全体像と分野の調べ方、半導体業界は半導体業界とは|全体像と分野の調べ方で整理しています。同じ項目で比べてみてください。
比べる項目を先に決めてください
項目が多すぎると決まりません。自分が譲れない項目を3つに絞ると判断しやすくなります。比べ方は志望企業の絞り方|条件を言葉にしてから選ぶで扱っています。
33やらない方がいいこと
機械業界でとくに起きやすい失敗です。
「有名だから良い会社」は機械では特に当てになりません
この業界は顧客が企業です。消費者に売らない会社は、良い会社でも名前が知られません。知名度は採用の規模とも、働きやすさとも、別の話です。
1社の説明会を業界全体の話だと思わない
説明会で語られるのはその会社の話です。業界の共通事項なのか、その会社固有の話なのかは、他の会社も見ないと分かりません。最低2社は比べてください。
34相談できる窓口
一人で抱えないでください。
機械系は学科のつながりが強い
機械工学科・機械系専攻には、企業から直接インターンや採用の案内が届くことがあります。過去にどの会社へ進んだかは、学科の進路資料で分かります。まず身近なところに聞いてください。
条件面で疑問があるとき
提示された条件に疑問があるとき、自分で判断せずに相談してください。労働局の総合労働相談コーナーは無料で、全国にあります(予約なしで利用できる場合があります)。法令の解釈が必要な場合は弁護士にご相談ください。
35よくある質問
機械系の学科でなくても入れますか?
入れます。機械の設計には電気設計・制御設計・ソフトが必ず関わり、材料や解析の専門も必要です。文系では営業、調達、生産管理、人事、経理といった職種があります。応募できるかどうかは募集要項の応募資格欄に書かれているので、思い込みで諦めず確認してください。
勤務地はやはり地方が多いのでしょうか?
職種によります。大きな機械をつくるには広い敷地が要るため、工場は地方に立地することが多く、開発拠点が工場に併設されている会社では設計職も地方勤務になります。一方、本社機能や営業は都市部であることが多くなります。実際の所在地は有価証券報告書の「設備の状況」で確認でき、配属の可能性は募集要項の勤務地欄と説明会での質問で確かめられます。
出張はどのくらいありますか?
職種と事業によって大きく違います。据付・試運転やサービスに関わる職種では顧客の現場に出向くため出張が前提になり、国内・海外の両方があります。設計や生産技術でも、立ち上げの時期に現場に行くことがあります。頻度と期間は説明会で具体的に聞いてください。生活に直結する条件なので、聞いて失礼になる質問ではありません。
受注生産と量産、どちらがいいですか?
本記事では優劣の判断はしていません。長い期間をかけて一つの案件を完成させたい人は受注生産型、同じ工程を少しずつ良くしていくことに喜びを感じる人は量産型が合いやすい、という傾向はあります。大きな会社では両方の事業を持つことがあるので、配属される可能性のある事業をセグメント情報で確認してください。
「ものづくりが好き」以外に何を書けばいいですか?
どの分野の、どんな顧客に向けた機械かまで降りてください。工作機械なのか建設機械なのか搬送機なのか、顧客は工場なのか建設現場なのか発電所なのか。そのうえで、その会社が中期経営計画で何に力を入れると言っているかに触れると、会社名を入れ替えても成立する文章にはなりません。
CADや解析ソフトを使えないと不利ですか?
入社前に使える必要があるとは限りません。多くの会社で入社後の研修やOJTで学びます。ただし研究で使った経験があるなら、それは具体的に書ける材料です。募集要項に必要な経験が明記されている場合は、その記載が基準になります。
日本の機械業界の将来が不安です。
将来の見通しについては本記事では判断していません。不安を具体的に検討したいなら、志望する会社の有価証券報告書の「事業等のリスク」と中期経営計画を読んでください。会社自身が何をリスクと考え、どう備えようとしているかが書かれています。ニュースの印象より、会社の説明のほうが確かな材料です。
工作機械とロボット、どちらに関心を持てばいいか分かりません。
どちらも工場で使われる機械ですが、工作機械は「材料を削って形をつくる」もの、ロボットは「運ぶ・組み立てる・溶接するなどの動作を担う」ものです。実際の生産ラインでは組み合わせて使われます。展示会に行けば両方を同じ場所で見られるので、どちらに関心が向くかを自分で確かめられます。
非上場の会社が気になっています。情報が少なくて困ります。
非上場だと有価証券報告書がありません。会社サイトの会社概要、製品カタログ、採用ページ、プレスリリースが主な情報源になります。機械メーカーは製品カタログが詳しいことが多く、何をつくっているかは具体的に分かります。足りない部分は説明会や面接で直接聞いてください。
選考はいつから始まりますか?
会社ごとに違い、年度によっても変わります。就活サイトのスケジュール記事は一般的な目安であり、個別の会社に当てはまらないことがあります。実際の日程は各社の採用ページと届いた案内で確認してください。機械系の学科では推薦での応募の仕組みがある場合もあるので、大学の就職担当にも早めに確認してください。
まず何から読めばいいですか?
関心のある分野を決めてから、その分野の会社を2〜3社選び、各社の決算説明資料を読み、そのあとで有価証券報告書の「事業の内容」と「セグメント情報」を見るのが早道です。機械メーカーは製品カタログも公開されていることが多いので、何をつくっているかを先に具体的に知ると、資料が読みやすくなります。
この記事に載っていない会社もありますか?
あります。本記事の社名は各分野にどんな会社があるかを示す例であり、網羅した一覧ではありません。また推奨や順位付けでもありません。ここに載っていない会社にも、機械に関わる仕事は数多くあります。業界団体の会員企業一覧や展示会の出展社一覧から、自分で会社を洗い出してください。
36まとめ|分野を決めて、顧客から考える
機械・重工業界は7つの分野に分かれています。①重工・プラント、②建設機械・農業機械、③工作機械、④産業用ロボット・FA、⑤機械要素・部品、⑥搬送・昇降機、⑦ポンプ・圧縮機・環境装置。
共通するのは、売る相手が企業だということです。顧客は「それで稼げるか」で買います。だから性能、止まらないこと、保守のしやすさが価値になります。
名前を知らない会社が多いのは当然です。消費者に売らないからです。知名度で絞ると、選択肢の大半を落とすことになります。
受注生産か量産かで働き方が変わります。年単位の案件を進めるのか、同じ工程を少しずつ良くするのか。同じ会社の中に両方あることもあります。
売ったあとの仕事が長く続きます。据付、試運転、点検、修理、部品供給。機械が動き続けることまでが事業です。
勤務地と出張は必ず確認してください。工場は地方に立地することが多く、現場に出る職種もあります。生活の前提が変わります。
調べる順番は、製品カタログ→決算説明資料→有価証券報告書です。何をつくっているかを具体的に知ってから、会社の数字と方針を読むと理解が早くなります。
最後に。本記事の社名は各分野にどんな会社があるかを示す例であり、推奨・順位付け・優劣の評価ではありません。網羅した一覧でもありません。売上・シェア・年収などの数値と企業の将来性、向き不向きは扱っていません。数値は各社の開示資料や業界団体・官庁の公表資料で、募集の条件は各社の募集要項でご確認ください。
・自動車業界とは|全体像と分野の調べ方
・電機・電子業界とは|全体像と分野の調べ方
・半導体業界とは|全体像と分野の調べ方
・業界の調べ方|全体像をつかむ順番
・募集要項の読み方|見落としやすい項目を確認する
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