運輸・物流業界の職種|仕事内容の調べ方
物流の職種は「提案する」「動かす」「手配する」「つくる」で整理できます。提案する=営業、物流の設計(3PL)。動かす=倉庫・センターの運営、運行管理、配船。手配する=国際輸送の手配、通関。つくる=システム、施設・設備。ほかに海上職という船に乗る職種があります。
物流の職種は、運ぶ人だけではありません。
荷主の課題を聞いて仕組みを提案する人、センターを運営する人、国際輸送を組み立てる人、配船を計画する人、システムをつくる人——それぞれが職種です。
そしてモノを運ぶ物流と、人を運ぶ旅客では仕事がまったく違います。
この記事では、運輸・物流業界の職種を整理し、仕事の中身、働き方、調べ方まで通しで扱います。
この記事を7枚で
1 / 7第1部 どんな職種があるか|提案・運営・手配・システム
第2部 職種の選び方|働き方・専攻・キャリア
第3部 仕事内容の調べ方
第4部 選考に向けて|志望職種と確認事項
第1部 どんな職種があるか|提案・運営・手配・システム
01職種の地図|4区分で整理する
まずこの整理を頭に入れてください。
物流の職種を4区分で整理する。
| 区分 | 職種 | やること |
|---|---|---|
| 提案する | 営業 | 荷主の課題を聞き、輸送や物流の仕組みを提案する |
| 物流の設計(3PL) | 荷主の物流を分析し、設計し、立ち上げる | |
| 動かす | 倉庫・センターの運営 | 入出庫、在庫、人員、品質を管理する |
| 運行管理 | 車両や人員を配置し、輸送を回す | |
| 配船・運航の計画 | 船をどの航路に、いつ配するかを決める | |
| 手配する | 国際輸送の手配 | 経路と手段を組み、書類と通関を進める |
| 通関・貿易実務 | 輸出入の手続きと書類を扱う | |
| つくる | システム・データ | 追跡、在庫、配送計画の仕組みをつくる |
| 施設・設備 | 倉庫やターミナルの建設・保守 | |
| 海上職 | 船に乗って運航を担う |
「運ぶ」は機能の1つです
物流には輸送、保管、荷役、流通加工、情報管理の5つの機能があります。運ぶだけではありません。
物流と旅客を区別してください
同じ運輸でも、モノを運ぶ物流と人を運ぶ旅客では仕事がまったく違います。先にどちらに関心があるか決めてください。
分野で仕事が変わります
宅配、国際物流、海運、倉庫・3PL、鉄道・航空——分野によって職種の顔ぶれも違います。
業界の構造は別記事で
どんな会社があるかは運輸・物流業界とは|全体像と分野の調べ方で整理しています。
02営業と物流の設計(3PL)
「仕組みを売る」仕事です。
価格だけの勝負ではありません
どう運び、どう保管し、どう情報を渡すか——仕組みを設計して提案します。荷主の事業を理解する必要があります。
コンサルティングに近い面があります
荷主の課題を調べ、仕組みを設計し、費用の効果を示す——提案の仕事です。
そして提案して終わりではなく、自分たちで運営するところが特徴です。
長い付き合いになります
荷主の物流を引き受けると、何年も継続して運営します。安定した事業になる一方、責任も続きます。
数字で示します
費用がどれだけ下がるか、納期がどれだけ短くなるか——数字で効果を示す必要があります。
03倉庫・センターの運営
物流センターは、動き続ける現場です。
物量は日によって変わります
セールの時期、季節、天候——荷物の量は日々変わります。それに合わせて人と設備を調整します。
この調整が現場の運営の中心です。
多くの人と働きます
倉庫では多くのパートやアルバイトの方々と働きます。作業の手順を整え、働きやすい環境をつくることが管理者の役割です。
機械化が進んでいます
搬送の機械、自動の棚、仕分けの設備——機械と人を組み合わせて回します。設備の知識が役に立つ場面があります。
勤務の時間帯を確認してください
センターによっては早朝や深夜の稼働があります。交代勤務の有無は、募集要項と説明会で確認してください。
04国際輸送の手配と海上職
国をまたぐ輸送を組み立てる職種です。
| 職種 | やること |
|---|---|
| フォワーディング(輸送の手配) | 経路と手段を組み、船や航空機を手配する |
| 通関・貿易実務 | 輸出入の手続きと書類を扱う |
| 配船・運航の計画 | 船をどの航路に、いつ配するかを決める |
| 船舶の管理 | 船の整備、乗組員、安全の管理 |
| 海上職 | 船に乗って運航を担う(航海・機関) |
書類の正確さが取引を左右します
国をまたぐ輸送では、書類に不備があると荷物が動きません。細かい確認の積み重ねが大きな取引を支えています。
海外との関わりが多い
海外の拠点や取引先とのやりとりが日常的にあります。海外駐在の機会がある会社もあります。
海上職は生活の形が特殊です
船に乗る職種では、一定期間の乗船と、まとまった休暇を繰り返す働き方になります。
資格が関わるため、商船に関する学科や課程が関係することがあります。募集要項の応募資格で確認してください。
市況の影響を受けます
海運や国際の輸送では運賃の相場が事業に影響します。会社がどう備えているかは資料で確認してください。
第2部 職種の選び方|働き方・専攻・キャリア
05システムと数理の仕事
物流は計算で解ける問題が多い分野です。
統計や最適化が直接生きます
最短経路、在庫の配置、人員の計画——数理の知識がそのまま使える領域です。
統計や最適化を学んでいるなら、専門が生きます。
システムが物流を支えています
追跡、在庫、配送の計画——データとシステムがなければ物流は成り立ちません。
情報系の学生の入口でもあります。
機械の知識も生きます
倉庫の搬送機械、自動の棚、仕分けの設備——機械・電気の知識が役に立つ場面があります。
効率化は業界の課題です
共同配送、積載率の向上、機械化——業界の課題として公的機関や団体の資料で取り上げられています。
06勤務地と働き方
拠点は全国、そして海外にもあります。
物流センターは郊外にあります
広い敷地と道路へのアクセスが必要なため、郊外や臨海部に立地することが多くなります。
通勤や住まいに関わるため、配属の候補地を確認してください。
交代勤務の有無を確認してください
センターによっては早朝や深夜の稼働があります。職種と配属先によります。
物量が増える時期があります
セールや年末など、物量が集中する時期があります。そのときの働き方を聞いておくとよいでしょう。
制度の改正が関わります
労働時間に関する制度は改正されることがあり、運送の分野にも適用されています。各社が対応に取り組んでいます。
制度の内容は公的機関の情報で確認してください。
07専攻と職種の対応
文系・理系の両方に入口があります。
数理の力が生きる領域です
どの順に回れば最短か、どこに在庫を置けば費用が下がるか——計算で解ける問題が多くあります。
海上職は資格が関わります
船に乗る職種には資格が関わります。商船に関する学科や課程が関係することがあります。
文系の入口も広い
営業、物流の設計、貿易実務、管理部門——文系出身者が就く職種が数多くあります。
学びの整理の仕方
会社が見ているのはどう課題を立て、どう確かめたかという進め方であることが一般的です。整理の仕方は学生時代の経験の棚卸し|書き出す順番で扱っています。
第3部 仕事内容の調べ方
08募集要項から仕事内容を読む
いちばん確実な情報源は、会社が出している募集要項です。
「若干名」「総合職」だけの募集もあります
仕事内容が抽象的にしか書かれていない場合、配属で決まる可能性が高くなります。その場合は説明会で具体的に聞いてください。
物流では現場配属の有無を確認してください
総合職でもまず現場を経験する会社があります。センターや拠点の場所は郊外であることが多くなります。
複数年分を見ると分かることがあります
去年と今年で募集する職種の区分が変わっていることがあります。会社の方針の変化が表れている場合があります。
募集要項の読み方は募集要項の読み方|見落としやすい項目を確認するで詳しく扱っています。
09社員インタビューの読み方
採用ページの社員紹介は、使い方を間違えなければ役に立ちます。
良い面が中心に書かれている前提で読む
採用ページは会社が伝えたいことを載せる場所です。厳しい面が書かれていないこともあります。
だから「何をしているか」という事実の部分を拾い、評価の言葉は割り引いて読んでください。
複数人を読み比べてください
1人だけだと、その人の特殊な経歴かもしれません。同じ職種の複数の人を読むと、共通する部分が見えます。
分野ごとに読み比べてください
宅配の拠点運営と、国際物流の手配では仕事がまったく違います。複数の分野の紹介を読んでください。
載っていない職種にも注意
採用ページに紹介がない職種もあります。紹介がない=存在しないではありません。募集要項の職種欄で確認してください。
10一次資料から職種の手がかりを得る
採用向けではない資料にも、仕事の手がかりがあります。
| 資料 | 職種について分かること |
|---|---|
| 有価証券報告書「従業員の状況」 | セグメント別の従業員数。どの事業に人が多いか |
| 有価証券報告書「設備の状況」 | 事業所・工場の所在地。どこに職場があるか |
| 有価証券報告書「研究開発活動」 | 研究・開発がどの領域で行われているか |
| 中期経営計画 | これから人を増やす領域、力を入れる事業 |
| 統合報告書 | 人材の育成や働き方に関する考え方 |
従業員数は職種の規模を表します
セグメント別の従業員数を見ると、どの事業に人が多いかが分かります。人が多い事業には、その分職種も多くあります。
希望する職種が、会社の中でどれくらいの規模かを推測する材料になります。
設備の状況で拠点の場所が分かります
倉庫、車両、船舶、ターミナル——どんな資産を持っているかが分かれば、どんな仕事があるかも見えます。
中期経営計画に採用の方向が表れます
「この領域を強化する」と書かれていれば、その領域で人を必要としている可能性があります。
志望する職種と、会社が力を入れる方向が合っているかを確かめてください。
11OB・OG訪問で聞くこと
資料では分からないことを聞くための機会です。
「やりがい」は聞いても情報が少ない
抽象的な質問には抽象的な答えが返ります。具体的な事実を聞くほうが、判断の材料になります。
「昨日は何をしていましたか」くらい具体的でも構いません。
物流で聞いておきたいこと
物量が増える時期の働き方、交代勤務の有無、現場配属の期間——このあたりは資料では分かりません。
複数の人に聞いてください
- 職種が同じでも、配属先や担当によって経験が違います。1人の話を全体だと思わないでください。
- 進め方はOB・OG訪問の依頼と当日|連絡からお礼までの流れで扱っています。
- 第4部 選考に向けて|志望職種と確認事項
12志望する職種をどう書くか
「職種が決まっていない」ままでも書けますが、材料は要ります。
| 書くときの材料 | どこから取るか |
|---|---|
| その職種が何をしているか | 募集要項、社員インタビュー、OB・OG訪問 |
| なぜその職種に関心があるか | 自分の経験と、職種の仕事の重なり |
| その会社でなければならない理由 | セグメント情報、中期経営計画、事業の特徴 |
| 入社後に何を学ぶ必要があるか | 募集要項の応募資格、研修の内容 |
職種名だけを書かないでください
「開発職を希望します」だけでは、その職種の何に関心があるのかが伝わりません。
仕事の中身のどの部分に関心があるかまで書いてください。
分野と職種を両方書いてください
宅配、国際物流、海運、倉庫・3PL、鉄道・航空——分野によって仕事が違います。
そのうえで、営業なのか、現場の運営なのか、輸送の手配なのか——職種まで降りて書いてください。
希望が変わることもあります
入社後に別の職種に関心が移ることもあります。それ自体は問題ではありません。ただし選考の時点では、いま考えていることを具体的に言えることが大切です。
志望理由の組み立ては志望理由が弱いと感じたら|足りない情報を埋めるで扱っています。
13配属はどう決まるか
ここを確認せずに入社すると、想像とずれます。
確認すべきこと
| 確認したいこと | どこで確認するか |
|---|---|
| 職種・コースの区分 | 募集要項の職種欄 |
| 交代勤務・早朝深夜の有無 | 説明会での質問 |
| 現場配属の期間と場所 | 説明会での質問 |
| 希望はどの程度考慮されるか | 説明会での質問 |
| 配属はいつ決まるか | 説明会での質問 |
| 入社後に職種を変える道があるか | 説明会での質問 |
聞いても失礼になりません
配属や勤務地は働き方の前提です。遠慮せず確認してください。曖昧なまま進めるほうが、お互いにとって良くありません。
センターは郊外にあることが多い
広い敷地と道路へのアクセスが必要なためです。配属の候補地を確認してください。
最初の配属がすべてではありません
多くの会社では異動の機会があります。ただし、どの程度動けるかは会社によって違います。実際の例をOB・OG訪問で聞いてください。
14選考の時期と併願
職種によって、選考の進み方が違うことがあります。
職種別に募集されることがあります
総合職、現場の運営職、海上職、技術職——区分を設けている会社があります。海上職のように資格が関わる職種もあります。
募集要項で区分と応募資格を確認してください。
締切は一覧で管理してください
職種別に応募すると、締切がばらばらになります。会社名、職種、応募した日、次の予定、締切をまとめておけば、出し忘れは防げます。
管理の仕方は選考管理の作り方|進み具合を一覧にするで扱っています。
15相談できる窓口
一人で抱えないでください。
商船系の学科は進路が明確です
海上職を目指す場合、商船に関する学科や資格の課程が関わります。進路については学科の教員に確認してください。
条件面で疑問があるとき
提示された条件に疑問があるとき、自分で判断せずに相談してください。労働局の総合労働相談コーナーは無料で、全国にあります(予約なしで利用できる場合があります)。法令の解釈が必要な場合は弁護士にご相談ください。
16よくある質問
総合職でも配達をするのですか?
新卒の総合職は、拠点の運営、営業、企画などを担うことが一般的です。研修で現場を経験することはありますが、配達を続ける仕事とは限りません。配属と仕事の中身は説明会で確認してください。
3PLの設計はどんな仕事ですか?
荷主の物流の流れと費用を分析し、倉庫の場所、在庫の持ち方、配送の方法を組み直して提案し、立ち上げて運営まで担う仕事です。提案の面ではコンサルティングに近く、自分たちで運営する点が特徴です。荷主とは何年も継続して付き合うことになります。
センターの運営はどんな仕事ですか?
入出荷、在庫、人員、品質、安全を管理し、動線や作業手順を改善する仕事です。物量はセールの時期や季節、天候で日々変わるため、それに合わせて人と設備を調整することが中心になります。多くのパートやアルバイトの方々と働きます。
交代勤務はありますか?
センターや拠点によっては早朝や深夜の稼働があります。職種と配属先によるため、募集要項の勤務時間欄を確認し、記載がなければ説明会で聞いてください。物量が集中する時期の働き方も聞いておくとよいでしょう。
国際輸送の仕事に興味があります。
経路と手段を組み立て、船や航空機を手配し、書類と通関の手続きを進める仕事です。書類に不備があると荷物が動かないため、正確さが求められます。海外の拠点や取引先とのやりとりが日常的にあり、海外駐在の機会がある会社もあります。
海上職はどんな働き方ですか?
船に乗って運航を担う職種で、一定期間の乗船とまとまった休暇を繰り返す働き方になります。資格が関わるため、商船に関する学科や課程が関係することがあります。生活の形が特殊なので、説明会で具体的に聞いてください。
理系でも入れますか?
入れます。配送の計画や需要の予測では統計・情報系、倉庫の設備や車両・船舶では機械・電気系、物流施設やターミナルでは土木・建築の専門が生きます。最短経路や在庫の配置など、計算で解ける問題が多い業界です。
勤務地はどこになりますか?
職種によります。物流センターは広い敷地と道路へのアクセスが必要なため、郊外や臨海部に立地することが多くなります。営業は全国の支店、国際輸送は港湾や空港の近く、海運の陸上職は本社が中心です。配属の候補地を確認してください。
システムの仕事はありますか?
あります。追跡、在庫、配送の計画——データとシステムがなければ物流は成り立ちません。倉庫の自動化で機械と人の作業をどう組み合わせるかを設計する仕事もあります。情報系の学生の入口です。
労働時間の制度が変わったと聞きました。
労働時間に関する制度は改正されることがあり、運送の分野にも適用されています。各社が対応に取り組んでおり、内容は統合報告書や中期経営計画で説明されることがあります。制度の正確な内容は厚生労働省や国土交通省の情報で確認してください。
営業はどんな提案をするのですか?
価格だけの勝負ではありません。どう運び、どう保管し、どう情報を渡すか——仕組みを設計して提案します。費用がどれだけ下がるか、納期がどれだけ短くなるかを数字で示す必要があり、荷主の事業を理解することが前提になります。
まず何から調べればいいですか?
志望する会社のセグメント情報で事業構成を確認し、事例のページでどんな荷主のどんな課題を解決したかを読むのが早道です。加えて、身近な物流(店の搬入、宅配の時間帯)を観察すると仕組みが具体的に見えてきます。
17まとめ|運ぶだけが物流ではありません
- 物流の職種は「提案する・動かす・手配する・つくる」で整理できます。
- 営業は仕組みを売る仕事です。価格だけでなく、どう運び保管し情報を渡すかを設計します。
- 3PLはコンサルティングに近い面があります。分析し、設計し、提案し、自分たちで運営します。
- センターの運営は調整の仕事です。物量は日々変わり、人と設備を合わせ続けます。
- 国際輸送は書類の正確さが要ります。不備があると荷物が動きません。
- 数理とシステムの力が生きます。最短経路、在庫の配置、需要の予測。
- 海上職は生活の形が特殊です。乗船と休暇を繰り返す働き方になります。
最後に。職種の名称や区分は会社によって異なり、組織の変更によって変わることもあります。制度に関することは公的機関の情報で、実際の職種・配属・条件は各社の募集要項でご確認ください。
・運輸・物流業界とは|全体像と分野の調べ方
・小売・流通業界とは|全体像と分野の調べ方
・商社業界とは|全体像と分野の調べ方
・募集要項の読み方|見落としやすい項目を確認する
・会社の調べ方|採用ページ以外から情報を取る方法
・就活・キャリアの記事一覧