自動車業界の調べ方|一次情報の集め方
自動車業界を調べるなら「会社の有価証券報告書」「業界団体の統計と名簿」「販売店で実物を見る」の3つから始めてください。上場している会社が多く、セグメント情報と設備の状況で事業の構造と拠点の場所が分かります。業界団体は完成車、部品、販売でそれぞれあり、名簿から知らない会社を見つけられます。制度や統計は更新されるため、公的機関や発行元の最新の情報で確認してください。
自動車業界は、調べられる材料が多い業界です。
上場している会社が多く、会社の資料が公開されています。業界団体も分野ごとにあります。
そして製品を実際に見られる業界でもあります。販売店に行けば現物があります。
この記事では、この業界の情報源と、その使い方を整理します。
この記事を7枚で
1 / 7第1部 この業界で使える情報源
第2部 会社が出す資料
第3部 公的機関と業界団体
第4部 調べたことの扱い方
第1部 この業界で使える情報源
01この業界で使える情報源
まずこの3つから始めてください。
自動車業界の3つの情報源。
上場している会社が多い業界です
完成車も大手の部品の会社も、資料が公開されています。読める材料が多くなります。
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02自動車に関する業界団体
立場ごとに団体があります。
部品の団体の名簿は会社探しに使えます
完成車の会社は名前を知っていても、部品の会社は知らないことが多いはずです。名簿から探してください。
統計は目的によって出どころが違います
つくった数、売れた数、走っている数——それぞれ別の統計になります。何を知りたいかを決めてから探してください。
団体の立場を踏まえて読んでください
業界団体の資料はその業界の立場から書かれています。公的機関の資料と合わせて読むとよいでしょう。
用語の解説がある場合があります
業界の言葉が分からないと資料が読めません。解説のページがあれば先に読んでください。
団体名は自分で確認してください
団体の名称や公表している資料は変わることがあります。検索して最新のものを確認してください。
03公的機関の資料
業界全体の輪郭が分かります。
制度のことは必ず公的機関で確認してください
安全や環境に関する制度は改正されることがあります。まとめ記事ではなく一次の情報で確認してください。
白書は全体像をつかむのに向きます
ものづくりの分野を扱う白書があります。いま何が課題とされているかが整理されています。
概要版から読んでください
本文が長い資料では、概要版が出ていることがあります。そこから入ると読みやすくなります。
統計は更新されます
いつの統計かを必ず確認してください。古い数字を面接で話すと、かえって印象が悪くなります。
数字を覚える必要はありません
大きさや方向をつかめば十分です。構造を理解するために使ってください。
04会社の資料の読みどころ
完成車と部品では見る場所が違います。
完成車の会社は地域別の情報を見てください
どの地域で事業を行っているかが書かれています。会社ごとの違いが出るところです。
部品の会社は取引先の構成を見てください
特定の完成車の会社に集中しているか、分散しているか。事業の性質が変わります。
設備の状況で拠点が分かります
どこに工場があるかが書かれています。勤務地を考える材料にもなります。
事業等のリスクを読んでください
会社自身が何を不確実だと考えているかが書かれています。志望動機の材料になります。
素材や設備の会社も自動車に関わります
鋼材、樹脂、電子部品、工作機械——セグメント情報で自動車向けの位置が分かります。
05実物を見る
この業界の強みです。
販売店に行ってみてください
実際の車を見て、どう売られているかを見ると、会社の考え方が見えます。
ただし購入を前提としない訪問であることは伝えたほうが親切です。
展示では各社の見せ方が分かります
何を前面に出しているか。力を入れている領域が表れます。
工場の見学を受け入れている会社があります
申し込みの方法は会社のサイトで確認してください。実施していない場合もあります。
展示施設がある会社があります
沿革や技術を紹介する施設を持つ会社があります。会社の考え方を知る材料になります。
見たことを記録してください
何を見て、何を感じたか。自分の目で見たことは誰も否定できない材料です。
部品は見えにくいことがあります
部品の会社の製品は車の中にあって見えません。会社のサイトの製品紹介で補ってください。
第2部 会社が出す資料
06会社が出している資料
会社自身が出したものが、いちばん確かな材料です。
| 資料 | 分かること |
|---|---|
| 有価証券報告書 | 事業の内容、セグメント、従業員の状況、事業等のリスク |
| 決算説明資料 | その期に何が起きたか、会社がどう説明しているか |
| 中期経営計画 | これから何をしようとしているか |
| 統合報告書・サステナビリティ報告 | 会社が大事にしていること、取り組み |
| 会社のサイト | 事業の紹介、拠点の一覧、沿革 |
| 採用ページ | 職種、募集要項、働く人の紹介 |
上場している会社は資料が多くなります
有価証券報告書は公的な仕組みで公表されています。誰でも読めます。
完成車と部品では資料の読みどころが違います
完成車の会社は地域別の情報、部品の会社は取引先の構成が手がかりになります。
上場していない会社はどう調べるか
会社のサイト、採用ページ、業界団体の名簿、公的機関の公表資料。使える材料はあります。
就活サイトの情報は二次の情報です
まとめられた情報は分かりやすい代わりに、古かったり要約で落ちていたりします。元の資料にあたってください。
07有価証券報告書のどこを読むか
全部読む必要はありません。
まず「事業の内容」と「セグメント情報」を読んでください
この2つでその会社が何をしているかの輪郭が分かります。
設備の状況で工場の場所が分かります
どこに生産の拠点があるかが書かれています。勤務地を考える材料にもなります。
「事業等のリスク」は志望動機の材料になります
会社自身が何を不確実だと考えているかが書かれています。面接で話すときの材料になります。
数字を暗記する必要はありません
覚えるのではなく、構造を理解するために読んでください。
08中期経営計画と決算説明資料
これからの方向が書かれています。
「なぜこの会社か」の材料になります
同じ業界の2社の計画を並べると、力を入れている領域の違いが見えます。
電動化や新しい技術への取り組みが書かれます
各社が何に投資しようとしているかが分かります。会社ごとの違いが出るところです。
言葉をそのまま使わないでください
計画に書かれた言葉をなぞるだけでは読んだことの証明にしかなりません。自分がどう思ったかまで用意してください。
公開されていない会社もあります
その場合は会社のサイトや採用ページから読み取ってください。
09採用ページと会社のサイト
見落とされがちですが、情報が詰まっています。
拠点の一覧は必ず見てください
勤務地の記載を読むときの前提になります。
技術系の職種紹介を読んでください
設計、実験、生産技術、品質——区分ごとの説明が置かれていることがあります。
働く人の紹介は職種ごとに読んでください
同じ会社でも職種によって仕事が違います。複数の職種の紹介を読むと像が立ちます。
募集要項の読み方は別記事で
条件の確認については募集要項の読み方|見落としやすい項目を確認するで扱っています。
第3部 公的機関と業界団体
10公的機関が出している情報
業界全体の輪郭は、ここで分かります。
制度のことは必ず公的機関で確認してください
制度は改正されることがあります。まとめ記事ではなく、一次の情報で確認するのが確実です。
自動車に関する統計は複数の省庁が出しています
生産や出荷に関するもの、保有や登録に関するもの——目的によって出どころが違います。
白書は業界の全体像をつかむのに向きます
分野ごとの整理と、いま何が課題とされているかが書かれています。
読むのが大変なら要約から
公的機関が概要版を出していることがあります。そこから入ってください。
11業界団体の資料
その業界の内側からの整理です。
会員の名簿は会社を探すのに使えます
知らない会社を見つけるいちばん確実な方法です。専門の分野ほど有効です。
完成車、部品、販売でそれぞれ団体があります
探している情報がどの立場のものかで、見る団体が変わります。
用語の解説から読むと早いことがあります
業界の言葉が分からないと資料が読めません。用語の解説があれば先に読んでください。
誰が出した資料かを意識してください
団体が出すものには、その業界にとっての見え方が反映されます。公的機関の資料と両方を見ると偏りが減ります。
12資料の探し方
探し方を覚えると早くなります。
会社のサイトの投資家向けページを見てください
上場している会社では、決算や計画の資料がまとめて置かれています。
部品の会社は取引先から辿れます
完成車の会社の資料や、部品の団体の名簿から知らない会社が見つかります。
大学の図書館も使えます
業界に関する書籍や、有料の情報源が使える場合があります。司書に聞いてください。
分からないときはキャリアセンターへ
調べ方そのものを相談できる相手です。
132社を並べて読む
1社だけ読んでも、違いは見えません。
同じ業界の同じような規模の会社で比べてください
前提が違いすぎると比べても意味がありません。
完成車どうし、部品どうしで比べてください
事業の形が違うため、同じ区分にそろえてください。
違いが「なぜこの会社か」の答えになります
「A社は○○に力を入れ、B社は△△に力を入れている」——この形で言えると具体になります。
表にして並べてください
頭の中で比べると印象で判断してしまいます。項目を決めて書き出してください。
第4部 調べたことの扱い方
14一次の情報と二次の情報
この区別を持っておいてください。
二次の情報が悪いわけではありません
全体をつかむにはまとめられた情報が役に立ちます。ただし、そこで止めないでください。
技術の話は出どころを確認してください
新しい技術についての記事は見通しを含むことがあります。会社や公的機関の資料で確かめてください。
出どころを確認する癖をつけてください
読んだ内容がどこから来たものか。元の資料にあたれるかを確認してください。
人から聞いた話はその人の経験です
貴重な情報ですが、会社全体の話とは限りません。複数の人に聞くと偏りが減ります。
古い情報に注意してください
いつの情報かを必ず確認してください。制度も会社の状況も変わります。
15調べたことを記録する
あとで使える形にしてください。
自分が何を思ったかを書いてください
資料の内容だけ写しても、面接では使えません。読んで何を感じたかが材料になります。
分野ごとに記録を分けてください
完成車、部品、販売、素材——分野ごとに整理すると使いやすくなります。
分からなかったことを残してください
調べても分からなかったことが、説明会で聞くべきことになります。
会社ごとに同じ項目を埋めてください
項目をそろえると違いがはっきりします。
16調べたことをどう使うか
調べて終わりにしないでください。
資料の言葉をなぞらないでください
書かれていることを言うだけでは、読んだことの証明にしかなりません。
それを読んで自分が何を考えたかまで言えると、話が変わります。
実際に見たことも材料になります
販売店で見たこと、展示で見たこと——自分の目で見たことは強い材料です。
知らない会社を見つける道具でもあります
業界団体の名簿や取引先の一覧から、選択肢が広がります。
調べすぎて動けなくならないでください
ある程度調べたら、説明会に行く、人に聞く。動いたほうが分かることもあります。
17やらない方がいいこと
調べ方でとくに起きやすい失敗です。
調べ方そのものを相談できます
大学のキャリアセンターや図書館の司書は、探し方を教えてくれる相手です。
18よくある質問
何から調べ始めればいいですか?
会社の有価証券報告書、業界団体の統計と名簿、販売店で実物を見ることの3つから始めてください。上場している会社が多い業界なので、読める資料が多くなります。
有価証券報告書のどこを読めばいいですか?
まず「事業の内容」と「セグメント情報」で、その会社が何をしているかの輪郭をつかんでください。設備の状況でどこに工場があるかが分かり、事業等のリスクで会社自身が何を不確実だと考えているかが分かります。数字を暗記する必要はなく、構造を理解するために読んでください。
完成車と部品で読み方は違いますか?
完成車の会社は地域別の情報と設備の状況、部品の会社は取引先の構成と手がけている製品の分野が読みどころです。部品の会社では特定の完成車の会社に集中しているか分散しているかで事業の性質が変わります。
部品の会社はどう探せばいいですか?
部品に関する業界団体の名簿から探せます。完成車の会社の資料に取引先が書かれていることもあります。完成車の会社は名前を知っていても部品の会社は知らないことが多いので、名簿は選択肢を広げる道具になります。
統計はどこで探せばいいですか?
つくった数、売れた数、走っている数はそれぞれ別の統計になります。何を知りたいかを決めてから、産業や交通を所管する省庁のサイトや業界団体のサイトで探してください。いつの統計かは必ず確認してください。
制度について調べるときは?
安全や環境に関する制度は改正されることがあります。まとめ記事ではなく、所管する省庁のサイトで一次の情報を確認してください。
販売店に行ってもいいですか?
実際の車を見て、どう売られているか、お客様がどんな様子かを見ると会社の考え方が見えます。ただし購入を前提としない訪問であることは伝えたほうが親切です。見たことと感じたことは記録してください。
工場の見学はできますか?
受け入れている会社があります。申し込みの方法は会社のサイトで確認してください。実施していない場合もあります。沿革や技術を紹介する展示施設を持つ会社もあります。
就活サイトの情報は使えませんか?
全体をつかむには役に立ちます。ただし、まとめられた情報は古かったり要約で落ちていたりします。そこで止めず、元の資料にあたってください。出どころを確認する癖をつけると精度が上がります。
新しい技術の話はどう調べればいいですか?
記事には見通しを含むことがあります。各社の中期経営計画や決算説明資料で、その会社が何に投資しようとしているかを確認してください。公的機関の資料と合わせて読むと偏りが減ります。
2社を比べるときは何を見ればいいですか?
セグメント情報、中期経営計画、事業等のリスク、拠点の一覧、採用ページです。同じ業界の同じような規模の会社で比べてください。完成車と部品のように事業の形が違うと比べても意味がありません。
調べたことをどう使えばいいですか?
資料の言葉をなぞるだけでは読んだことの証明にしかなりません。それを読んで自分が何を考えたかまで言えると話が変わります。調べても分からなかったことは、説明会で聞くべきことになります。
19まとめ|会社の資料・団体・実物の3つから
自動車業界を調べるなら、会社の有価証券報告書、業界団体の統計と名簿、販売店で実物を見ることの3つから始めてください。
- 上場している会社が多く、資料が公開されています。読める材料が多い業界です。
- 完成車と部品では読みどころが違います。地域別の情報と、取引先の構成。
- 業界団体の名簿は会社探しに使えます。知らない会社が見つかります。
- 制度は公的機関で確認してください。改正されることがあります。
- 実物を見たことは強い材料です。何を見て、何を感じたかを記録してください。
最後に。挙げた情報源は調べる手がかりであり、内容を保証するものではありません。制度や統計は更新されるため、公的機関や発行元の最新の情報でご確認ください。
・自動車業界とは|全体像と分野の調べ方
・自動車業界の職種|仕事内容の調べ方
・自動車業界の選考|案内から流れを読む
・自動車業界の求人票|確認する項目
・募集要項の読み方|見落としやすい項目を確認する
・就活・キャリアの記事一覧