食品・飲料業界の選考|案内から流れを読む
食品の選考でまず確認するのは「職種の区分」と「初任配属の考え方」です。職種別に募集する会社と、総合職でまとめて採用し配属で決める会社があります。後者では最初は営業という可能性があります。そのうえで家庭用か業務用か、工場の勤務時間、研究概要の要否を案内で確かめてください。そして売り場を見てから面接に行ってください。
食品の選考では、「知っている商品の会社」しか見ないことが最大の落とし穴です。
業務用食品、原料、受託製造——名前が出ない会社にも、食品に関わる仕事が数多くあります。
そして最初は営業に配属される可能性を含めて志望するかどうかを考える必要があります。
この記事では、食品・飲料業界の選考の特徴を整理し、案内の読み方、準備、当日の確認まで通しで扱います。
この記事を7枚で
1 / 7第1部 この業界の選考の特徴
第2部 案内の読み方と準備
第3部 情報の集め方
第4部 当日と確認|やらないこと
第1部 この業界の選考の特徴
01この業界の選考の特徴
まずこの点を確認してください。
食品の選考でまず確認する2点。
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 総合職でまとめて募集することがある | 配属で職種が決まる |
| 初任配属が営業になることがある | 採用ページのキャリアパスに記載があることがある |
| 研究職は職種別のことが多い | 修士以上を対象とする募集であることがある |
| 研究概要の提出 | 研究職で求められることがある |
| 売り場が一次情報になる | 実物を店で確かめられる |
| 工場の勤務時間の確認が重要 | 深夜・早朝の勤務がある職場がある |
時期は会社ごとに違います
就活サイトのスケジュールは一般的な目安です。個別の会社に当てはまるとは限りません。
就職のしやすさについては判断しません
商品を知っている会社が多いため応募が集まりやすい傾向がありますが、通過の基準や倍率は本記事では扱いません。
業界と職種の理解が前提になります
業界の構造は食品・飲料業界とは|全体像と分野の調べ方、職種は食品・飲料業界の職種|仕事内容の調べ方で整理しています。
02初任配属の考え方を確認する
ここを確認せずに志望すると、想像とずれます。
「まず営業」という会社があります
総合職として採用し、営業を経験してから他部署に移るという進め方の会社があります。
開発を志望していても最初は営業、という可能性があるなら、それを前提に志望するかどうかを考えてください。
現場を知ることが土台とされます
売り場も工場も、知っている人のほうが判断が具体的になります。最初の配属は無駄になりません。
商品開発は人数が限られます
食品を志望する理由として最も多いのが商品開発です。ただし会社全体では営業や生産に関わる人のほうが多いのが一般的です。
研究職は別枠のことがあります
研究職は職種別に募集され、修士以上を対象とすることがあります。応募資格を確認してください。
03売り場を一次情報にする
この業界だけの準備の方法です。
「製造者」の表示を見てください
パッケージには製造者や販売者の表示があります。ここから、自社で作っているのか、他社に委託しているのかの手がかりが得られます。
知らない社名が出てきたら、それが業務用や受託製造の会社である場合、志望先の候補になります。
複数の店を見てください
1店舗だけ見て「置いていない」と判断しないでください。店の業態や地域で品揃えは変わります。
面接で使える具体性になります
「御社の商品が好きです」より、どの店の、どの棚で、どんな商品と並んでいたかまで言えるほうが具体的です。
ただし売り場だけで語らないでください
業務用や海外の事業が大きい会社もあります。セグメント情報で事業の比重を確かめてください。
04業務用・原料の会社も見てください
知っている商品の会社だけを見ると、選択肢を大きく落とします。
業務用は名前が出ないだけです
外食チェーンのソース、コンビニ弁当の具材、給食の食材——どれかの会社がつくっています。
パッケージに名前が出ないので、消費者からは見えません。
探し方は3つあります
①商品の製造者の表示、②大学の進路資料に出てくる知らない社名、③業界団体の会員企業一覧——この3つが手がかりになります。
仕事の進み方が違います
家庭用はブランドをつくり、棚を取ることが中心。業務用は顧客の厨房や工場の事情に合わせて作り込むことが中心です。
志望動機にも使えます
「どちらに関心があるか」を言えると、志望動機が一段具体的になります。
業界の構造は食品・飲料業界とは|全体像と分野の調べ方で整理しています。
05この業界で聞かれやすいこと
会社によって違いますが、傾向はあります。
商品の提案を求められることがあります
そのとき「誰に、いくらで、どの売り場で」まで考えていると、話が具体的になります。
思いついた味を言うだけでは、工場で作れるか、原価が合うかという次の問いに答えられません。
「食が好き」の先へ
食べるのが好きなのか、作るのが好きなのか、届けるのが好きなのか——中身を分解してください。
食べるのが好きという理由だけでは、営業で数字を追う仕事や、工場で衛生を管理する仕事の説明がつきません。
安全への意識は前提です
食品は人の口に入ります。衛生、表示、記録——安全がすべての前提であることを理解していると示せると、話が深くなります。
分からないことは分からないと言う
制度や商品の細部について、うろ覚えで語らないほうが安全です。
第2部 案内の読み方と準備
06採用の案内はどこを読むか
会社が出している案内が、いちばん確実な情報です。
就活サイトの一般論と、個別の案内は別です
「一般的にはこの時期」という説明は目安にすぎません。個別の会社に当てはまるとは限りません。
実際の日程は、各社の採用ページと届いた案内で確認してください。
食品では「総合職」でまとめられることがあります
職種を分けずに募集し、配属で決まる会社があります。その場合、最初は営業という可能性も含めて考えてください。
採用ページの「キャリアパス」に記載があることがあります。
記載がないことは推測で埋めないでください
案内に書かれていないことは、説明会や問い合わせで確認してください。推測で動くと、行き違いが起こります。
募集要項の読み方は募集要項の読み方|見落としやすい項目を確認するで詳しく扱っています。
07提出書類の準備
何を出すかは会社によって違います。
証明書は早めに手配してください
大学の証明書は発行に日数がかかることがあります。締切の直前に慌てないよう、早めに確認してください。
研究職では研究概要を求められることがあります
農学・食品科学・化学・生物系の専攻では、研究の内容をまとめた書類の提出を求められることがあります。
設問に答えているかを確認してください
書きたいことを書くのではなく、聞かれたことに答える——これが基本です。
書いたあと、設問をもう一度読んで、答えになっているか確かめてください。
08適性検査と筆記の考え方
形式は会社によって違います。案内で確認してください。
| 確認すること | どこで分かるか |
|---|---|
| どんな形式か(能力・性格・記述など) | 届いた案内、採用ページ |
| 受検の方法(自宅・会場・オンライン) | 届いた案内 |
| 受検の期限 | 届いた案内 |
| 使える道具(電卓・メモなど) | 届いた案内の注意事項 |
| 結果の扱い | 記載がある場合はその記載 |
案内の注意事項を必ず読んでください
受検の環境、使える道具、やり直しの可否——案内に書かれた条件を守ってください。
不正と受け取られる行為は、その会社の選考だけでなく信頼にも関わります。
人気が集中しやすい業界です
商品を知っている会社が多いため応募が集まりやすい傾向があります。ただし就職のしやすさについて本記事では判断しません。
適性検査の形式と期限は、届いた案内で確認してください。
性格に関する検査は正直に答えてください
よく見せようとして矛盾した回答になると、かえって不自然になります。自分の考えに沿って答えるのが基本です。
早めに受けられる準備をしてください
期限の直前は混み合うことがあります。通信の環境や時間の確保を含めて、余裕をもって受検してください。
09日程と締切の管理
複数の会社を受けると、必ず抜けが出ます。
1枚にまとめてください
上の5つを1枚の表にしておけば、出し忘れは防げます。形式は紙でも表計算でも構いません。
職種別に応募する場合の管理
研究、生産、営業で締切や選考が違うことがあります。応募した職種も記録してください。
連絡の手段を確認してください
メール、マイページ、電話——どこに連絡が来るかを確認し、見落とさないようにしてください。
迷惑メールの振り分けにも注意が必要です。
管理の仕方は別記事で
具体的な管理の方法は選考管理の作り方|進み具合を一覧にするで扱っています。
第3部 情報の集め方
10説明会で何を聞くか
聞く側になってください。
「やりがい」は聞いても情報が少ない
抽象的な質問には抽象的な答えが返ります。具体的な事実を聞くほうが、判断の材料になります。
食品で聞いておきたいこと
初任配属がどう決まるか、商品開発に移る道筋があるか、工場の勤務時間——このあたりは説明会で聞ける内容です。
聞いたことはその場でメモしてください
複数の会社の説明会に出ると、どこで何を聞いたか分からなくなります。会社ごとにメモを残してください。
1社の話を業界全体だと思わないでください
説明会で語られるのはその会社の話です。業界の共通事項かどうかは、他社も見ないと分かりません。
11OB・OG訪問の使い方
資料では分からないことを聞くための機会です。
複数の人に聞いてください
1人の話はその人の経験です。職種や配属先が違えば話も変わります。
営業と開発の両方に聞いてください
食品は商品開発の話が目立ちますが、人数のうえでは営業や生産に関わる人が多いのが一般的です。両方の話を聞いてください。
準備をしてから会ってください
調べれば分かることを聞くと、時間がもったいなくなります。資料を読んだうえで、そこに書いていないことを聞いてください。
進め方はOB・OG訪問の依頼と当日|連絡からお礼までの流れで扱っています。
12一次資料で会社を確かめる
採用向けではない資料も見てください。
志望動機の材料になります
会社が自分で書いていることなので、外れません。とくに中期経営計画は、なぜこの会社かを書く材料になります。
セグメント情報で家庭用と業務用の比重を見る
会社によっては業務用や海外の比重が大きいことがあります。売り場で見える部分だけが事業ではありません。
上場していない会社の場合
有価証券報告書がない場合は、会社サイトの会社概要、沿革、事業の説明、プレスリリースが情報源になります。
足りない部分は説明会で直接聞いてください。会社の調べ方は会社の調べ方|採用ページ以外から情報を取る方法で扱っています。
132社を比べて違いを見つける
1社だけ見ても、その会社の特徴は分かりません。
違いが志望動機になります
同じ業界の2社を並べると、力の入れどころの違いが見えます。その違いが「なぜこの会社か」の答えになります。
同じカテゴリの2社を比べてください
同じ会社でも、冷凍食品で競う相手と調味料で競う相手は別です。カテゴリを揃えて比べてください。
書いたあとの確認
志望動機を書いたら、会社名を別の会社に置き換えて読んでみてください。それでも成立するなら、まだその会社に向けた内容になっていません。
志望理由の組み立ては志望理由が弱いと感じたら|足りない情報を埋めるで扱っています。
第4部 当日と確認|やらないこと
14面接当日に気をつけること
準備したことを、落ち着いて話せる状態をつくってください。
準備した話をそのまま言わないでください
面接は対話です。聞かれたことに答え、追加で聞かれたら答える——この往復が基本です。
売り場を見てから面接に行ってください
食品は実物を店で確かめられる数少ない業界です。どの棚に、いくらで、どんな隣の商品と並んでいたか——具体的な材料になります。
オンラインの場合
通信の環境、背景、音声——事前に確認してください。案内に指定があれば、その指定に従ってください。
終わったら記録してください
何を聞かれ、どう答えたか、何を言われたか——記録が次の会社の準備になります。
15選考で確認しておくこと
聞かれる側だけでなく、聞く側にもなってください。
| 確認したいこと | どこで確認するか |
|---|---|
| 職種の区分(開発・生産・営業) | 募集要項の職種欄 |
| 初任配属の考え方(営業配属の有無) | 説明会での質問 |
| 工場勤務と勤務時間 | 募集要項の勤務時間欄 |
| 配属の決まり方 | 説明会での質問 |
| 転勤の有無と範囲 | 募集要項 |
| 勤務時間の仕組み | 募集要項 |
| 雇用元がどの法人か | 募集要項 |
労働条件は聞いても失礼になりません
勤務地、勤務時間、転勤の有無は労働条件の基本です。募集要項に書かれるべき内容でもあります。
記載がない、または説明が曖昧なまま進む場合は、その点を書面で確認するようにしてください。
内定後に条件を確認してください
内定の連絡を受けたら、労働条件が書面(または電子)で示されるかを確認してください。口頭の説明だけで進めないことが大切です。
最初は営業という可能性を考えてください
総合職として採用し、まず営業を経験してから他部署に移る進め方の会社があります。
疑問があるときは相談してください
提示された条件に疑問があるとき、自分で判断せずに相談してください。次の章で相談先を挙げます。
16相談できる窓口
一人で抱えないでください。
農学・食品系は進路資料が整っていることがあります
職種まで含めて記録が残っていることがあります。どの職種に何人進んだかが分かれば、話を聞ける相手が見つかります。
条件面で疑問があるとき
提示された条件に疑問があるとき、自分で判断せずに相談してください。労働局の総合労働相談コーナーは無料で、全国にあります(予約なしで利用できる場合があります)。法令の解釈は弁護士にご相談ください。
就職活動の進め方に迷ったとき
大学のキャリアセンターは過去の応募の状況を持っていることがあります。推薦の仕組みがある場合の手続きも、ここで確認できます。
17やらない方がいいこと
食品の選考でとくに起きやすい失敗です。
| やりがちなこと | なぜ問題か |
|---|---|
| 知っている商品の会社しか見ない | 業務用・原料・受託の会社を丸ごと落とす |
| 「食が好き」で止める | ほぼ全志望者が言う。会社を選んだ理由にならない |
| 商品開発だけを志望する | 他の職種を知らないまま可能性を狭める |
| 売り場を見ずに面接に行く | 実物を確かめられる業界で、見ていないのは不自然 |
| 配属の考え方を確認しない | 最初は営業という可能性がある |
| 新商品の提案を思いつきで言う | 原価・工場・表示の制約を踏まえないと話が続かない |
売り場の印象だけで会社を語らないでください
店頭に並ぶ商品は事業の一部です。決算説明資料とセグメント情報で、業務用や海外がどれくらいを占めるかを数字で確かめてください。
1社の説明会を業界全体だと思わない
説明会で語られるのはその会社の話です。カテゴリが違えば競合も売り方も違います。最低2社は比べてください。
18よくある質問
選考はいつから始まりますか?
会社ごとに違い、年度によっても変わります。職種別に募集される場合は職種ごとに締切が違うこともあります。実際の日程は各社の採用ページと届いた案内で確認してください。
最初は営業に配属されるのですか?
会社によります。総合職採用で、最初に営業を経験してから他部署に移る進め方をしている会社があります。採用ページの「キャリアパス」に記載があることがあります。開発を志望していても最初は営業という可能性があるなら、それを前提に志望するかどうかを考えてください。
商品開発に配属される可能性はどのくらいですか?
会社によります。職種別に採用する会社なら入社時点で決まり、総合職としてまとめて採用する会社なら配属で決まります。会社全体で見れば営業や生産に関わる人数のほうが多いのが一般的です。募集要項の職種欄と採用ページのキャリアパスを確認してください。
売り場は見ておいたほうがいいですか?
見てください。食品は実物を店で確かめられる数少ない業界です。棚の位置、隣に並ぶ商品、価格帯、製造者の表示——面接で使える具体的な材料になります。複数の店を見ると、業態や地域で品揃えが変わることにも気づきます。
業務用の会社はどうやって見つければいいですか?
商品のパッケージにある製造者の表示、大学の進路資料に出てくる知らない社名、業界団体の会員企業一覧——この3つが手がかりです。外食チェーンのメニューや給食の食材にも、必ずどこかの会社が関わっています。
商品の提案を求められたらどう答えますか?
「誰に、いくらで、どの売り場で」まで考えておくと、話が具体的になります。思いついた味を言うだけでは、工場で作れるか、原価が合うか、表示の制約はどうかという次の問いに答えられません。
「食が好き」以外に何を言えばいいですか?
食べるのが好きなのか、作るのが好きなのか、届けるのが好きなのか——中身を分解してください。そのうえで、その会社が家庭用と業務用のどちらに力を入れ、国内と海外のどちらの比重が大きいかまで踏まえて話してください。
研究職を志望しています。
研究職は職種別に募集され、修士以上を対象とすることがあります。研究概要の提出を求められることもあります。応募資格と提出物は募集要項で確認してください。なお研究職は枠が限られるため、品質保証や生産技術といった科学の知識を使う職種も併せて見ることをおすすめします。
工場勤務は深夜や早朝になりますか?
商品と職種によります。パンや日配品のように毎日届ける商品では、深夜から早朝に製造する工場があります。すべての職種が該当するわけではありません。募集要項の勤務時間欄を確認し、記載がなければ説明会で聞いてください。
転勤はありますか?
営業は全国の拠点に配属されることが多く、転勤がある会社が一般的です。工場や研究所も全国に分散していることがあります。募集要項の転勤の記載と、地域を限定する区分があるかを確認してください。
理系でなくても受けられますか?
受けられます。営業、マーケティング、調達、生産管理、管理部門では文系出身者が多く働いています。研究・商品開発では農学・食品科学・化学・生物系の専攻が生きますが、応募できるかどうかは募集要項の応募資格欄で確認してください。
まず何から始めればいいですか?
志望する会社の商品を実際に店で見て、そのあとで募集要項の職種区分と、セグメント情報で家庭用・業務用・海外の比重を確認するのが早道です。売り場で見える部分だけが事業ではありません。
19まとめ|配属の考え方と売り場の確認
食品の選考でまず確認するのは「職種の区分」と「初任配属の考え方」です。
最初は営業という会社があります。それを前提に志望するかどうかを考えてください。
知っている商品の会社だけを見ないでください。業務用、原料、受託製造——名前が出ない会社にも仕事があります。
- 売り場を一次情報にしてください。実物を確かめられる数少ない業界です。
- 商品の提案は制約も含めて考えてください。誰に、いくらで、どの売り場で。
- 安全がすべての前提です。衛生、表示、記録——この理解を示せると話が深くなります。
- 時期は会社ごとに違います。一般論ではなく、届いた案内で判断してください。
最後に。選考の流れ・時期・方式は会社ごとに異なり、年度によっても変わります。本記事は一般的な整理であり、特定の会社の選考を示すものではありません。通過の基準や倍率、就職のしやすさについても扱っていません。実際の日程と内容は各社の採用ページと届いた案内でご確認ください。
・食品・飲料業界とは|全体像と分野の調べ方
・食品・飲料業界の職種|仕事内容の調べ方
・募集要項の読み方|見落としやすい項目を確認する
・選考管理の作り方|進み具合を一覧にする
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