商社業界の選考|案内から流れを読む
商社の選考でまず分けるのは「総合商社か専門商社か」です。総合商社は職種を分けずに一括で募集することが多く、入社後にどの分野を担当するかは配属で決まります。専門商社は分野が絞られているぶん、志望する分野を自分で選べます。志望動機は有価証券報告書のセグメント情報で、その会社がどの分野を手がけているかを見てから書いてください。
商社の選考では、「総合商社か専門商社か」を先に分けて考えます。
総合商社は幅広い分野を扱い、職種を分けずに一括で募集することが多い会社です。
専門商社は特定の分野に絞って取引を手がけます。数は多く、分野ごとに会社が分かれています。
この記事では、商社の選考の特徴を整理し、案内の読み方、準備、当日の確認まで通しで扱います。
この記事を7枚で
1 / 7第1部 この業界の選考の特徴
第2部 案内の読み方と準備
第3部 情報の集め方
第4部 当日と確認|やらないこと
第1部 この業界の選考の特徴
01この業界の選考の特徴
まずこの点を確認してください。
総合商社と専門商社の違い。
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 総合商社は一括募集が多い | 職種や分野を分けずに募集する会社が多い |
| 分野は配属で決まる | どの分野を担当するかは入社後に決まることが多い |
| 専門商社は分野ごとに会社が違う | 関心のある分野から探す必要がある |
| 海外との関わりがある | 会社や分野によって度合いは違う |
| 事業投資の比重が増えている | 取引の仲介だけでなく事業に関わる |
| 専門商社は知名度が低いことがある | 探さないと見つからない会社が多い |
時期は会社ごとに違います
総合商社と専門商社では時期の考え方が違うことがあります。届いた案内で確認してください。
本記事では通過の基準を扱いません
何が評価されるか、倍率はどうかといった話は会社ごとに違い、外からは分かりません。
業界と職種の理解が前提になります
業界の構造は商社業界とは|全体像と分野の調べ方、職種は商社業界の職種|仕事内容の調べ方で整理しています。
02総合商社と専門商社を分ける
ここを分けないと、志望動機が定まりません。
| 総合商社 | 専門商社 | |
|---|---|---|
| 扱う分野 | 資源、機械、化学、食料、生活資材など幅広い | 特定の分野に絞る |
| 募集の形 | 職種を分けずに一括のことが多い | 職種で分けることがある |
| 分野の決まり方 | 入社後の配属で決まることが多い | 会社を選んだ時点で分野が決まる |
| 仕事の重心 | 取引に加えて事業投資の比重が大きい | 取引が中心のことが多い |
| 会社の数 | 限られる | 非常に多い |
総合商社では分野を選べないことがあります
一括で募集される場合、どの分野を担当するかは入社後に決まります。「この分野をやりたい」と言っても、そのとおりになるとは限りません。
配属の希望がどう扱われるかは、説明会で聞いてよい質問です。
専門商社は分野から探してください
鉄鋼、化学、電子部品、食品、医療機器、紙——分野ごとに専門商社があります。
関心のある分野が決まっているなら、その分野の専門商社を探すほうが早道です。
知名度と規模は別です
専門商社には、一般には知られていないが特定の分野で大きな役割を果たしている会社があります。
知らない会社を探す作業が、そのまま選択肢を増やします。
メーカーの系列という見方もあります
特定のメーカーとつながりの深い商社もあります。資本関係や取引の関係は会社の説明で確認できます。
03セグメント情報でその会社を知る
「何を扱っている会社か」は、ここに書かれています。
セグメントごとの従業員数を見てください
どの分野に人を置いているかが分かります。配属先の可能性を考える材料になります。
関係会社の一覧が具体的です
商社は多くの関係会社を持ちます。一覧を見ると、どんな事業に踏み込んでいるかが具体的に分かります。
中期経営計画も読んでください
いま何に力を入れ、どこを縮めようとしているか。これからの方向が書かれています。
専門商社では取引先の構成を見てください
特定の取引先に集中しているか、分散しているか。事業の性質が変わります。
2社を並べてください
同じ分野を扱う会社でも、力を入れている領域が違います。その違いが「なぜこの会社か」の答えになります。
04海外の扱い方
「海外で働きたい」だけでは動機になりません。
海外は手段であって目的ではありません
商社の仕事は取引をつくり、事業に関わることです。海外はその過程で生じる要素です。
面接で「海外で働きたい」とだけ言うと、なぜ商社なのかが説明できません。
分野によって海外の関わり方が違います
資源を扱う分野と国内向けの生活資材では、海外との関わりの度合いが違います。
専門商社にも海外はあります
規模が小さくても海外に拠点を持つ専門商社はあります。会社のサイトで拠点を確認してください。
語学は前提ではありません
語学に関する情報を記入する欄がある会社はありますが、入社時点での水準が必須とされるとは限りません。募集要項で確認してください。
05この業界で聞かれやすいこと
会社によって違いますが、傾向はあります。
「人と人をつなぐ」だけでは足りません
商社の役割を一言で言えばそうなりますが、それはほぼ全志望者が言います。
どの分野で、誰と誰をつなぎ、何を可能にしたいのか。具体に降りてください。
配属についての考えを準備してください
一括募集の会社では、希望と違う分野に配属されることがあります。この前提を理解しているかは聞かれる可能性があります。
利害の調整の経験が生きます
商社の仕事は立場の違う相手の間に立つことが多くなります。学生時代にそうした場面があれば材料になります。
専門商社では分野への関心を聞かれます
扱う分野が絞られているため、なぜその分野かは自然な質問です。
第2部 案内の読み方と準備
06採用の案内はどこを読むか
会社が出している案内が、いちばん確実な情報です。
就活サイトの一般論と、個別の案内は別です
「一般的にはこの時期」という説明は目安にすぎません。個別の会社に当てはまるとは限りません。
実際の日程は、各社の採用ページと届いた案内で確認してください。
総合商社と専門商社で募集の形が違います
総合商社は職種を分けずに一括で募集することが多く、専門商社は営業・管理などで分けることがあります。
募集要項の区分を確認してください。
記載がないことは推測で埋めないでください
案内に書かれていないことは、説明会や問い合わせで確認してください。推測で動くと、行き違いが起こります。
募集要項の読み方は募集要項の読み方|見落としやすい項目を確認するで詳しく扱っています。
07提出書類の準備
何を出すかは会社によって違います。
証明書は早めに手配してください
大学の証明書は発行に日数がかかることがあります。締切の直前に慌てないよう、早めに確認してください。
語学の情報を求められることがあります
海外との取引がある会社では、語学に関する情報を記入する欄がある場合があります。案内で確認してください。
設問に答えているかを確認してください
書きたいことを書くのではなく、聞かれたことに答える——これが基本です。
書いたあと、設問をもう一度読んで、答えになっているか確かめてください。
08適性検査と筆記の考え方
形式は会社によって違います。案内で確認してください。
| 確認すること | どこで分かるか |
|---|---|
| どんな形式か(能力・性格・記述など) | 届いた案内、採用ページ |
| 受検の方法(自宅・会場・オンライン) | 届いた案内 |
| 受検の期限 | 届いた案内 |
| 使える道具(電卓・メモなど) | 届いた案内の注意事項 |
| 結果の扱い | 記載がある場合はその記載 |
案内の注意事項を必ず読んでください
受検の環境、使える道具、やり直しの可否——案内に書かれた条件を守ってください。
不正と受け取られる行為は、その会社の選考だけでなく信頼にも関わります。
形式は会社によって差があります
総合商社と専門商社、また会社ごとに使われる形式が違います。届いた案内で確認してください。
性格に関する検査は正直に答えてください
よく見せようとして矛盾した回答になると、かえって不自然になります。自分の考えに沿って答えるのが基本です。
早めに受けられる準備をしてください
期限の直前は混み合うことがあります。通信の環境や時間の確保を含めて、余裕をもって受検してください。
09日程と締切の管理
複数の会社を受けると、必ず抜けが出ます。
1枚にまとめてください
上の5つを1枚の表にしておけば、出し忘れは防げます。形式は紙でも表計算でも構いません。
専門商社は分野ごとに調べる必要があります
専門商社は数が多く、分野ごとに会社が分かれています。関心のある分野から探してください。
連絡の手段を確認してください
メール、マイページ、電話——どこに連絡が来るかを確認し、見落とさないようにしてください。
迷惑メールの振り分けにも注意が必要です。
管理の仕方は別記事で
具体的な管理の方法は選考管理の作り方|進み具合を一覧にするで扱っています。
第3部 情報の集め方
10説明会で何を聞くか
聞く側になってください。
「やりがい」は聞いても情報が少ない
抽象的な質問には抽象的な答えが返ります。具体的な事実を聞くほうが、判断の材料になります。
商社で聞いておきたいこと
入社後どの分野に配属されるかの決まり方、海外勤務の考え方、事業投資と取引の比重——このあたりは説明会で聞けます。
聞いたことはその場でメモしてください
複数の会社の説明会に出ると、どこで何を聞いたか分からなくなります。会社ごとにメモを残してください。
1社の話を業界全体だと思わないでください
説明会で語られるのはその会社の話です。業界の共通事項かどうかは、他社も見ないと分かりません。
11OB・OG訪問の使い方
資料では分からないことを聞くための機会です。
複数の人に聞いてください
1人の話はその人の経験です。職種や配属先が違えば話も変わります。
分野ごとに話を聞いてください
同じ商社でも扱う分野によって仕事がまったく違います。複数の分野の人に聞くと像が立ちます。
準備をしてから会ってください
調べれば分かることを聞くと、時間がもったいなくなります。資料を読んだうえで、そこに書いていないことを聞いてください。
進め方はOB・OG訪問の依頼と当日|連絡からお礼までの流れで扱っています。
12一次資料で会社を確かめる
採用向けではない資料も見てください。
志望動機の材料になります
会社が自分で書いていることなので、外れません。とくに中期経営計画は、なぜこの会社かを書く材料になります。
セグメント情報が手がかりになります
有価証券報告書のセグメント情報で、どの分野を手がけているかが分かります。
上場していない会社の場合
有価証券報告書がない場合は、会社サイトの会社概要、沿革、事業の説明、プレスリリースが情報源になります。
足りない部分は説明会で直接聞いてください。会社の調べ方は会社の調べ方|採用ページ以外から情報を取る方法で扱っています。
132社を比べて違いを見つける
1社だけ見ても、その会社の特徴は分かりません。
違いが志望動機になります
同じ業界の2社を並べると、力の入れどころの違いが見えます。その違いが「なぜこの会社か」の答えになります。
総合商社どうし、専門商社どうしで比べてください
総合商社と専門商社は前提が違います。同じ種類で比べると、力を入れている分野の違いが見えます。
書いたあとの確認
志望動機を書いたら、会社名を別の会社に置き換えて読んでみてください。それでも成立するなら、まだその会社に向けた内容になっていません。
志望理由の組み立ては志望理由が弱いと感じたら|足りない情報を埋めるで扱っています。
第4部 当日と確認|やらないこと
14面接当日に気をつけること
準備したことを、落ち着いて話せる状態をつくってください。
準備した話をそのまま言わないでください
面接は対話です。聞かれたことに答え、追加で聞かれたら答える——この往復が基本です。
「海外で働きたい」の先を用意してください
商社の仕事は取引をつくり、事業に関わることです。海外はその結果として生じる要素です。
オンラインの場合
通信の環境、背景、音声——事前に確認してください。案内に指定があれば、その指定に従ってください。
終わったら記録してください
何を聞かれ、どう答えたか、何を言われたか——記録が次の会社の準備になります。
15選考で確認しておくこと
聞かれる側だけでなく、聞く側にもなってください。
労働条件は聞いても失礼になりません
勤務地、勤務時間、転勤の有無は労働条件の基本です。募集要項に書かれるべき内容でもあります。
記載がない、または説明が曖昧なまま進む場合は、その点を書面で確認するようにしてください。
内定後に条件を確認してください
内定の連絡を受けたら、労働条件が書面(または電子)で示されるかを確認してください。口頭の説明だけで進めないことが大切です。
海外勤務の考え方を確認してください
海外拠点への赴任がどのくらいの割合であるかは、会社によって違います。
疑問があるときは相談してください
提示された条件に疑問があるとき、自分で判断せずに相談してください。次の章で相談先を挙げます。
16相談できる窓口
一人で抱えないでください。
専門商社は学部とのつながりが出ます
扱う分野によっては、関連する学科の先輩が就職していることがあります。
条件面で疑問があるとき
提示された条件に疑問があるとき、自分で判断せずに相談してください。労働局の総合労働相談コーナーは無料で、全国にあります(予約なしで利用できる場合があります)。法令の解釈は弁護士にご相談ください。
就職活動の進め方に迷ったとき
大学のキャリアセンターは過去の応募の状況を持っていることがあります。推薦の仕組みがある場合の手続きも、ここで確認できます。
17やらない方がいいこと
商社の選考でとくに起きやすい失敗です。
専門商社を探す時間をつくってください
分野ごとに会社が分かれているため、探さないと見つかりません。関心のある分野から辿ってください。
1社の説明会を業界全体だと思わない
総合商社と専門商社では前提が違います。最低2社は比べてください。
18よくある質問
選考はいつから始まりますか?
会社ごとに違い、年度によっても変わります。総合商社と専門商社では時期の考え方が違うこともあります。実際の日程は各社の採用ページと届いた案内で確認してください。
総合商社と専門商社はどう違いますか?
総合商社は資源、機械、化学、食料、生活資材など幅広い分野を扱い、職種を分けずに一括で募集することが多くなります。どの分野を担当するかは入社後の配属で決まります。専門商社は特定の分野に絞って取引を手がけるため、会社を選んだ時点で分野が決まります。会社の数は専門商社のほうがはるかに多くなります。
総合商社では分野を選べませんか?
一括で募集される場合、どの分野を担当するかは入社後に決まることが多くなります。希望を出す仕組みがある会社もありますが、そのとおりになるとは限りません。配属の希望がどう扱われるかは、説明会で聞いてよい質問です。
専門商社はどう探せばいいですか?
分野から探すのが早道です。鉄鋼、化学、電子部品、食品、医療機器、紙など、分野ごとに専門商社があります。一般には知られていなくても特定の分野で大きな役割を果たしている会社があります。関心のある分野の川上・川下を辿ると見つかります。
志望動機は何を材料にすればいいですか?
有価証券報告書のセグメント情報を見てください。その会社がどの分野を手がけ、どこに人を置いているかが分かります。関係会社の一覧を見ると、どんな事業に踏み込んでいるかも具体的に分かります。中期経営計画と合わせて読めば、これからの方向も見えます。
「海外で働きたい」は志望動機になりますか?
それだけでは、なぜ商社なのかが説明できません。商社の仕事は取引をつくり、事業に関わることで、海外はその過程で生じる要素です。分野によって海外との関わりの度合いも違います。海外を手段として位置づけたうえで、何をしたいのかまで降りてください。
語学力は必要ですか?
語学に関する情報を記入する欄がある会社はありますが、入社時点での水準が必須とされるとは限りません。募集要項と説明会で確認してください。入社後に学ぶ機会を設けている会社もあります。
事業投資とは何ですか?
商社が取引の仲介だけでなく、事業そのものに出資したり経営に関わったりすることです。有価証券報告書の関係会社の一覧を見ると、どんな事業に関わっているかが具体的に分かります。取引と事業投資のどちらに重心があるかは会社によって違います。
「人と人をつなぐ」以外に何を言えばいいですか?
どの分野で、誰と誰をつなぎ、何を可能にしたいのか。ここまで降りると具体になります。セグメント情報でその会社が手がけている分野を確認し、そのうちどこに関心があるかを言えると、調べたことが伝わります。
配属が希望と違ったらどうすればいいですか?
一括募集の会社では起こりうる前提です。この点を理解しているかは面接で聞かれる可能性があります。分野が決まっている会社で働きたいなら、専門商社という選択肢があります。
営業以外にどんな職種がありますか?
業界の職種は関連記事で整理しています。一括募集の会社では入社後に決まりますが、職種別に募集する会社もあります。募集要項の区分を確認してください。
まず何から始めればいいですか?
総合商社と専門商社を分けて考え、志望する会社のセグメント情報でどの分野を手がけているかを確認し、募集要項で一括募集か職種別かを見るのが早道です。
19まとめ|総合か専門か、分野をどう決めるか
商社の選考でまず分けるのは「総合商社か専門商社か」です。
総合商社は職種を分けずに一括で募集することが多く、分野は入社後の配属で決まります。
専門商社は分野が絞られているぶん、志望する分野を自分で選べます。数は多く、探さないと見つかりません。
- セグメント情報を見てください。その会社がどの分野を手がけ、どこに人を置いているかが分かります。
- 「海外で働きたい」の先を用意してください。海外は手段であって目的ではありません。
- 配属の前提を理解してください。一括募集では希望どおりにならないことがあります。
最後に。選考の流れ・時期・方式は会社ごとに異なり、年度によっても変わります。実際の日程と内容は各社の採用ページと届いた案内でご確認ください。
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・商社業界の職種|仕事内容の調べ方
・小売・流通業界とは|全体像と分野の調べ方
・募集要項の読み方|見落としやすい項目を確認する
・選考管理の作り方|進み具合を一覧にする
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