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国公立と私立、就職に強いのはどっち?国の統計で進学率・業界・学費を比較【2026年版】

結論

「就職を希望した人のうち就職できた人の割合」は、2026年3月卒で国公立97.9%、私立98.1%とほぼ同じです。大きく違うのは就職する人の割合と行き先で、国の統計(2025年3月卒)では卒業生のうち大学院などへ進んだ人が国立37.0%、公立15.2%、私立6.5%と大きく差があります。業界では、国立は教育(17.3%)と公務(14.6%)、公立は医療・福祉(23.1%)、…

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CCampi編集部(執筆)・公開 2026.07.07
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「就職に強いのは国公立と私立、どっち?」。大学選びや併願を考える受験生と保護者の方から、とてもよく聞かれる疑問です。学費の安い国公立に行くべきか、都市部の私立で就活の機会を取るべきか。進学先を決めるうえで、就職の違いは気になるところです。

ただ、ネットでよく見る比較は「有名企業への就職者数を足したもの」や、出典のはっきりしない印象論がほとんどです。学生数の多い私立ほど人数が大きく出ますし、国立のように卒業生の4割近くが大学院へ進む大学は、学部卒の就職者数だけで比べると実力が見えにくくなります。

この記事では、国の統計(文部科学省「学校基本調査」と、文部科学省・厚生労働省「大学等卒業者の就職状況調査」)、国公立大学の公式統計(大学改革支援・学位授与機構「大学基本情報」)、私立大学が公式に公表している就職データ、文部科学省の学費の資料を使って、進学率・就職率・業界・学費の4つの軸で、国公立と私立の違いを数字で確かめました。

この記事の数字について:国立・公立・私立の比較は、文部科学省「学校基本調査」(令和7年度、2025年3月卒の確定値)と、文部科学省・厚生労働省「大学等卒業者の就職状況調査」(2026年4月1日現在)を使いました。学校基本調査は業界別の人数を国立・公立・私立に分けて公表していないため、国公立は大学改革支援・学位授与機構「大学基本情報」の同じ年度(2025年3月卒)の値を、私立は「全体 − 国立 − 公立」で編集部が計算しました。私立大学の例は、各大学が公式サイトで公表している2026年3月卒のデータです。割合(%)のうち「計算」と書いたものは、元の人数から編集部で計算しました。年度の違うデータは同じ表に混ぜていません。

この記事のデータを7枚で

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国の統計で比べる…就職率は国公立97.…分野別に見ると:…業界で比べる:国…最新(2026年3月卒…2026年版

この記事の流れ・2026年版

国公立と私立、就職に強いのはどっち?国の統計で進学率・業界・学費を比較

「就職を希望した人のうち就職できた人の割合」は、2026年3月卒で国公立97.9%、私立98.1%とほぼ同じです。

国立96,272人公立32,421人私立455,611人全体584,304人

国の統計で比べる:卒業後の進路は国立・公立…

大学院などへ進む人は国立が37.0%、私立は6.5%。ここが「国公立と私立の就職の違い」のいちばん大きな正体です。

卒業者 まず、日本の大学を卒業した人全員を数えている国の統計、文部科学省「学校基本調査」で、卒業後の進路を国立・公立・私立に分けて見てみます。最新の確定値は2025年3月に卒業した人のものです。

国公立大学97.9%私立大学98.1%大学全体98.0%

就職率は国公立97.9%・私立98.1%で…

就職を希望した人がどれだけ就職できたかは、国公立と私立でほとんど差がありません。

就職率 ニュースで「大学生の就職率98.0%」と報じられるのは、文部科学省と厚生労働省が毎年行っている「大学等卒業者の就職状況調査」の数字です。こちらは国公立と私立を分けて公表しています。

人文科学12.1%社会科学8.2%理学64.6%工学70.4%農学50.4%

分野別に見ると:理工系の国立は7割が大学院へ

国公立と私立の差がいちばん大きいのは理学・工学・農学で、文系の差は小さめです。

国立 進学 同じ学校基本調査(2025年3月卒)を、学部の分野ごとに分けてみます。どの分野でも、国立は私立より大学院などへ進む人の割合が高くなっています。いちばん差が大きいのは工学です。

教育・学習支援業17.3%公務14.6%製造業12.5%情報通信業12.0%医療・福祉8.4%

業界で比べる:国立は教育・公務、公立は医療…

国立は就職者の3割以上が教育・公務へ。私立は卸売・小売とサービスの割合が高くなります。

国立 学校基本調査は、業界別の就職者数を国立・公立・私立に分けて公表していません。そこで、国公立大学の業界別人数が載っている大学改革支援・学位授与機構「大学基本情報」の同じ年度(2025年3月卒)の値を使い、私立は…

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国立大学学校教育16.4%、情報通信12.2%、地方公務9.9%
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公立大学医療・保健18.7%、情報通信12.1%、地方公務9.1%

最新(2026年3月卒)の国公立大学の数字

2026年3月卒でも、国立の大学院進学率は37.7%、就職率は92.3%と、前の年と同じ傾向です。

国公立大学だけなら、大学改革支援・学位授与機構「大学基本情報」で、2026年3月卒の数字まで確かめられます(私立は含まれません)。

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大学院などへ進む人は国立が37.0%、私立は6.5%。国の統計で比べる:卒業後の進路は国立・公立…
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就職を希望した人がどれだけ就職できたかは、国公立と私立でほとんど差がありません。就職率は国公立97.9%・私立98.1%で…
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国公立と私立の差がいちばん大きいのは理学・工学・農学で、文系の差は小さめです。分野別に見ると:理工系の国立は7割が大学院へ
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国立は就職者の3割以上が教育・公務へ。私立は卸売・小売とサービスの割合が高くなります。業界で比べる:国立は教育・公務、公立は医療…

まとめ

この記事の要点

大きく違うのは就職する人の割合と行き先で、国の統計(2025年3月卒)では卒業生のうち大学院などへ進んだ人が国立37.0%、公立15.2%、私立6.5%と大きく差があります。

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01国の統計で比べる:卒業後の進路は国立・公立・私立でこれだけ違う

大学院などへ進む人は国立が37.0%、私立は6.5%。ここが「国公立と私立の就職の違い」のいちばん大きな正体です。

まず、日本の大学を卒業した人全員を数えている国の統計、文部科学省「学校基本調査」で、卒業後の進路を国立・公立・私立に分けて見てみます。最新の確定値は2025年3月に卒業した人のものです。

区分 卒業者 進学者の割合 就職者の割合 就職も進学もしていない人などの割合
国立 96,272人 37.0% 51.6% 4.9%
公立 32,421人 15.2% 75.7% 5.4%
私立 455,611人 6.5% 82.4% 7.8%
全体 584,304人 12.0% 77.0% 7.2%

出典:文部科学省「学校基本調査」令和7年度(2025年3月卒、確定値)表75「関係学科別 状況別 卒業者数」を編集部で集計。国立・公立・私立はそれぞれ男女の表を足しました。進学者は大学院・大学学部などへの進学者、就職者は統計の「就職者(再掲)」、3列目は統計の「左記以外の者」(就職準備中・進学準備中などを含む)です。割合はすべて編集部の計算です。

表を見ると、卒業生に占める就職者の割合は国立51.6%、私立82.4%で、国立のほうが30ポイント以上低く見えます。しかし、これは「国立は就職できない」という意味ではありません。国立は卒業生の37.0%が大学院などへ進むため、そもそも学部卒で就職する人が少ないのです。

もう一つ、国立の数字を小さく見せているのが医学部です。医師になる人は卒業後に臨床研修医になりますが、学校基本調査ではこれを「就職者」とは別に数えています。2025年3月卒の臨床研修医は国立5,100人、公立889人、私立4,365人でした。

そこで、進学した人を除いた「就職を考える人」を分母にして計算し直すと、就職者の割合は国立82.0%、公立89.2%、私立88.1%(いずれも計算)になります。臨床研修医も就職に含めると、国立90.4%、公立92.4%、私立89.2%(計算)です。分母をそろえると、国立・公立・私立の差はほとんどなくなります。

なお、日本の大学の卒業生のうち78.0%(計算)は私立大学の卒業生です。「私立の有名企業への就職者数が多い」のは、まず人数そのものが多いからだという点も覚えておきましょう。

02就職率は国公立97.9%・私立98.1%でほぼ同じ

就職を希望した人がどれだけ就職できたかは、国公立と私立でほとんど差がありません。

ニュースで「大学生の就職率98.0%」と報じられるのは、文部科学省と厚生労働省が毎年行っている「大学等卒業者の就職状況調査」の数字です。こちらは国公立と私立を分けて公表しています。

区分(2026年3月卒) 就職率 前年同期との差 就職希望率 男子の就職率 女子の就職率
国公立大学 97.9% 0.3ポイント上昇 53.3% 96.6% 99.3%
私立大学 98.1% 増減なし 86.7% 97.7% 98.6%
大学全体 98.0% 増減なし 75.6% 97.5% 98.7%

出典:文部科学省・厚生労働省「令和7年度大学等卒業者の就職状況調査(令和8年4月1日現在)」(2026年5月22日公表)。就職率=就職者÷就職希望者、就職希望率=就職希望者÷卒業予定者。

就職率は国公立97.9%、私立98.1%で、差は0.2ポイントしかありません。違いがはっきり出るのは就職希望率のほうで、国公立は53.3%、私立は86.7%です。国公立は大学院進学などで「そもそも就職を希望しない人」が多いことが、ここからもわかります。

注意したいのは、この調査が抽出調査だという点です。2026年4月1日現在の調査は、国立大学21校・公立大学3校・私立大学38校の計62校、4,770人(国立1,450人、公立130人、私立3,190人)を対象にしています。全員を数えた統計ではないので、「国公立が私立より0.2ポイント低い」といった小さな差に意味を持たせすぎないようにしましょう。

03分野別に見ると:理工系の国立は7割が大学院へ

国公立と私立の差がいちばん大きいのは理学・工学・農学で、文系の差は小さめです。

同じ学校基本調査(2025年3月卒)を、学部の分野ごとに分けてみます。どの分野でも、国立は私立より大学院などへ進む人の割合が高くなっています。

分野 国立 進学 国立 就職 公立 進学 公立 就職 私立 進学 私立 就職
人文科学 12.1% 77.8% 3.9% 86.0% 3.9% 83.4%
社会科学 8.2% 82.6% 2.4% 91.0% 2.4% 87.1%
理学 64.6% 28.9% 62.1% 32.7% 34.4% 58.6%
工学 70.4% 26.1% 42.5% 53.6% 24.6% 70.5%
農学 50.4% 44.7% 28.1% 67.5% 10.8% 80.0%
保健 14.1% 36.8% 8.1% 75.9% 3.1% 80.5%
教育 10.5% 81.7% 6.3% 86.3% 2.3% 89.9%

出典:文部科学省「学校基本調査」令和7年度(2025年3月卒)表75を編集部で集計。「進学」は進学者÷卒業者、「就職」は就職者÷卒業者(いずれも計算)。保健の国立は臨床研修医(5,100人)が就職者に入っていないため、就職の割合が低く出ています。

いちばん差が大きいのは工学です。国立の工学系は卒業者27,943人のうち70.4%が大学院などへ進み、学部で就職するのは26.1%にとどまります。私立の工学系(卒業者53,921人)は進学24.6%、就職70.5%で、ちょうど逆の形です。

これは、メーカーの研究・開発職などの技術系の仕事に、修士課程を終えてから就職する人が多いことと関係しています。国立の理工系に進むと、「学部4年で就職」より「修士まで6年」が標準的なコースになる、と考えておくのが現実的です。私立でも、理工系の学部では大学院へ進む人が多い大学があります(04章の東京理科大学や早稲田大学の例)。

一方、文系(人文科学・社会科学)では、国立と私立の差は進学で6〜8ポイント程度です。文系なら、国公立でも私立でも、多くの人が学部4年で就職します。

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04業界で比べる:国立は教育・公務、公立は医療・福祉、私立は卸売・小売

国立は就職者の3割以上が教育・公務へ。私立は卸売・小売とサービスの割合が高くなります。

学校基本調査は、業界別の就職者数を国立・公立・私立に分けて公表していません。そこで、国公立大学の業界別人数が載っている大学改革支援・学位授与機構「大学基本情報」の同じ年度(2025年3月卒)の値を使い、私立は「全体 − 国立 − 公立」で計算しました。こうして計算した私立の就職者の合計は375,415人で、学校基本調査の私立の就職者375,419人とほぼ一致します。

業界(2025年3月卒・学部) 国立 公立 私立(計算) 全体
教育・学習支援業 17.3% 4.5% 6.5% 34,063人
公務 14.6% 10.6% 5.2% 29,298人
製造業 12.5% 11.7% 10.3% 47,699人
情報通信業 12.0% 12.0% 11.6% 52,592人
医療・福祉 8.4% 23.1% 13.4% 59,988人
金融業・保険業 7.2% 5.9% 6.2% 28,125人
学術研究・専門・技術サービス業 6.2% 4.4% 4.9% 22,593人
卸売業・小売業 5.4% 9.1% 15.1% 61,510人
建設業 3.5% 3.3% 5.1% 21,591人
サービス業(他に分類されないもの) 3.6% 4.5% 7.5% 31,209人
不動産業・物品賃貸業 1.6% 2.1% 3.3% 13,899人
宿泊業・飲食サービス業 0.9% 1.9% 2.9% 11,911人

出典:全体は文部科学省「学校基本調査」令和7年度(2025年3月卒)表78「産業別就職者数」。国立・公立は大学改革支援・学位授与機構「大学基本情報」2025年(30号様式2-2)の学部卒を編集部で集計し、学校基本調査と同じ業界のまとまりに合わせました。私立は全体から国立・公立を引いた計算値です。割合は、それぞれの就職者合計(国立49,688人、公立24,535人、私立375,415人)に占める割合で、すべて編集部の計算です。

はっきり差が出るのは次の3つです。

国立は教育と公務。国立の就職者のうち教育・学習支援業が17.3%、公務が14.6%で、合わせると3割を超えます(計算)。教育の中身はほとんどが学校の先生で、国立大学の「学校教育」は7,944人でした。全国にある教員養成の国立大学・学部が、この数字を押し上げています。公務は地方公務5,085人、国家公務2,178人です。

公立は医療・福祉。公立大学は看護・保健医療系の大学や学部が多く、就職者の23.1%が医療・福祉に進みます。

私立は卸売・小売とサービス。私立は卸売業・小売業が15.1%で、国立(5.4%)の約3倍の割合です。サービス業や不動産業、宿泊・飲食サービス業の割合も、国立より高くなっています。

反対に、情報通信業(IT・通信・マスコミ)はどれも12%前後、製造業も10〜12%台、金融・保険業も6〜7%台で、大きな差はありません。「メーカーや金融に行きたいから国立(または私立)」と、設置者だけで決める理由はあまりない、ということです。

業界ごとに「どの大学から多く就職しているか」は、業界別・就職に強い大学まとめで、国公立の公式統計と私立の公式データを使って整理しています。公務員志望なら公務員に強い大学、教員志望なら教員に強い大学もあわせてどうぞ。

05最新(2026年3月卒)の国公立大学の数字

2026年3月卒でも、国立の大学院進学率は37.7%、就職率は92.3%と、前の年と同じ傾向です。

国公立大学だけなら、大学改革支援・学位授与機構「大学基本情報」で、2026年3月卒の数字まで確かめられます(私立は含まれません)。

区分(2026年3月卒・学部) 大学数 卒業者 大学院進学率 就職率 就職者に多い業界
国立大学 81校 96,888人 37.7% 92.3% 学校教育16.4%、情報通信12.2%、地方公務9.9%
公立大学 99校 33,135人 14.9% 93.1% 医療・保健18.7%、情報通信12.1%、地方公務9.1%

出典:大学改革支援・学位授与機構「大学基本情報」2026年(30号様式2-1・2-2)を編集部で集計。大学数は学部の卒業者がいる大学の数です。大学院進学率=大学院への進学者÷卒業者、就職率=就職者(臨床研修医を含む)÷(卒業者−進学者など)。業界の割合=その業界の就職者÷産業別就職者の合計(国立49,662人、公立24,950人)。いずれも編集部の計算です。

ここでの就職率は「進学した人を除いた卒業生」を分母にしているため、02章の「就職希望者」を分母にした就職率(97.9%)より低くなります。公務員の割合は国家公務と地方公務を合わせて国立14.1%、公立11.2%(計算)でした。国公立大学ごとの数字は、大学図鑑の各大学のページで見られます。

06私立大学の例:大学が公表している数字(2026年3月卒)

私立の「就職率」は大学ごとに分母が違います。同じ「就職率」でも中身が別物です。

私立大学は国の統計で大学ごとの数字が出ないため、各大学が公式サイトで公表しているデータを見るしかありません。ここでは、Campiで公式データを確認済みの私立大学を例として並べます。私立は大学ごとに定義や業種の分け方が違うので、順位はつけていません。

大学(2026年3月卒・学部) 卒業者 大学が公表する就職率 その分母 大学院などへの進学
早稲田大学 8,805人 96.2% 就職希望者 1,948人(22.1%・計算)
関西学院大学 5,795人 99.9% 就職希望者 610人(10.5%・計算)
立命館大学 7,704人 97.0%(就職決定率) 就職希望者 1,378人(17.9%・計算)
東京理科大学 3,499人 89.6%(実就職率) 卒業者−大学院進学者 1,929人(55.1%)
学習院大学 2,187人 98.6%(内定率) 就職希望者 165人(7.5%・計算)
東洋大学(第1部) — 98.6% 就職希望者 7.0%(計算)

出典:早稲田大学キャリアセンター「2025年度 早稲田大学進路状況」、関西学院大学「2025年度 進路・就職データ(学部)」、立命館大学キャリアセンター「PLACEMENT DATA 2026」、東京理科大学「2025年度(2026年3月卒業)学部・学科 進路状況」、学習院大学キャリアセンター「就職・進学データ[2026年3月卒業者]」、東洋大学「TOYO Data 2026 就職データ」。東洋大学は卒業者数の公表がないため「—」、進学は進路決定率92.5%−就職者率85.5%で計算。

多くの大学は「就職者÷就職希望者」を就職率として公表していて、96〜99%台に並びます。ところが東京理科大学の「実就職率」は分母が「卒業者−大学院進学者」で、就職を希望しなかった人も分母に入るため、89.6%と低めに出ます。就職率を大学どうしで比べるときは、必ず分母を確かめましょう。

大学院への進学は、理工系の大きい大学ほど多くなります。東京理科大学は学部卒業生の55.1%が大学院へ進み、早稲田大学も理工系3学部(基幹理工・創造理工・先進理工)に限ると、卒業者1,679人のうち1,196人(71.2%・計算)が進学しています。私立でも理工系は「修士まで」が標準で、ここは国立の工学系と同じです。

業界の内訳も、大学によって特色がはっきり出ます。

大学 多い業界(大学の公表値) 対象
早稲田大学 専門サービス20.6%、情報通信15.7%、メーカー15.5%、金融14.6%、公務員4.4% 学部・修士の合計
東京理科大学 情報通信34.7%、製造16.3%、学術研究・専門技術11.9%、金融保険8.1%、公務4.3% 学部
立命館大学 メーカー23.9%、金融14.2%、サービス14.0%、IT12.9%、公務員8.0% 文系学部
学習院大学 運輸・通信23.2%、金融・保険18.5%、サービス15.3%、公務員9.5% 学部
東洋大学 情報通信24.2%、卸・小売11.7%、製造10.7%、金融保険7.5% 学部第1部

出典:上の表と同じ各大学の公表資料(2026年3月卒)。業種の分け方は大学ごとに違うため、大学どうしの数字を直接比べることはできません。

04章の国の統計では「私立は卸売・小売が多い」という結果でしたが、早稲田大学は専門サービス(コンサルなど)、東京理科大学は情報通信、学習院大学は金融・保険が目立ちます。「私立」とひとくくりにしても、大学によって行き先はまったく違います。同じことは国公立にも言えて、旧帝大・難関国立と教育大学では、業界の内訳がまったく違います(旧帝大の就職比較)。

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07学費の違い:国立と私立の授業料は年約43万円違う

国立の授業料の標準額は年535,800円、私立の平均は968,069円です。

就職と並んで、国公立と私立を選ぶときに大きいのが学費です。文部科学省の公表資料で確かめます。

区分(2025年度入学) 授業料(年額) 入学料 授業料4年分+入学料(計算)
国立大学(標準額) 535,800円 282,000円 2,425,200円
公立大学(平均) 536,520円 382,806円(地域外)/224,369円(地域内) 2,528,886円(地域外)
私立大学(平均) 968,069円 240,365円 4,112,641円
私立 文科系学部(平均) 850,392円 219,951円 3,621,519円
私立 理科系学部(平均) 1,195,313円 245,362円 5,026,614円

出典:文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」「令和7年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)」(2025年12月26日公表)。国立は国が示す標準額、公立・私立は平均です。公立の入学料は、地域外(その自治体の外)から入る人の平均と、地域内の平均です。私立は授業料・入学料のほかに施設設備費(平均172,550円、文科系141,892円、理科系161,378円)などがかかります。4年分は「入学料+授業料×4」で編集部が計算した目安で、施設設備費・実験実習料や授業料の改定は入れていません。

授業料だけで比べても、国立と私立の平均では4年間で約169万円(計算)の差があります。理科系の私立と比べると差はさらに大きくなります。また、私立の初年度にかかる授業料・入学料・施設設備費の合計は平均1,380,983円で、国立(授業料と入学料で817,800円・計算)の1.7倍ほどです。

理系で大学院まで進むなら、学費は6年分で考える必要があります。国立の理工系で7割が大学院へ進むことを考えると、理系ほど国公立の学費の安さが効いてくると言えます。私立の各大学の学費は、大学図鑑の各大学のページで確認できます(公式サイトで確認した値を掲載しています)。

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08結局どっちを選ぶ?データから言えること

「国公立か私立か」より、「行きたい進路にその大学・学部が強いか」で選ぶのが正解です。

ここまでの数字から、進路のタイプ別に言えることをまとめます。

① 理系で研究・開発職を目指す人:国立の工学系は70.4%、理学系は64.6%が大学院などへ進みます。私立でも東京理科大学(55.1%)や早稲田大学の理工系(71.2%)のように進学が多い大学があります。どちらを選んでも「修士まで6年」を前提に、学費と研究環境(研究室・設備)を比べるのが現実的です。6年分の学費を考えると、国公立の差は大きくなります。

② 教員・公務員を目指す人:国立は就職者の17.3%が教育、14.6%が公務に進みます(2025年3月卒)。特に教員は、国立の教員養成大学・学部の存在感が大きい分野です。ただし私立にも公務員・教員に多く進む大学はあります(東洋大学、日本大学など。日東駒専の就職比較)。

③ 医療・看護・福祉の仕事を目指す人:公立大学は就職者の23.1%が医療・福祉に進み、看護・保健系の大学が多いのが特徴です。学費が国立並みで、地元の医療機関とのつながりが強い公立大学は有力な選択肢です。

④ 文系で民間企業に就職したい人:文系では、国立も私立も多くの人が学部4年で就職し、情報通信・製造・金融の割合も大きな差はありません。私立は卸売・小売やサービスの割合が高めです。大学の立地(説明会やインターンシップに行きやすいか)や、その大学の業界別の実績を個別に見て選ぶのがおすすめです。

⑤ 地元で就職したい人:国公立は地方公務員の割合が高く、地元の自治体や企業との結びつきが強い大学が多くあります。地域ごとの大学の比較は、関東・関西・東海の記事で、国公立の公式統計と私立の公式データを使って整理しています。

大学どうしを数字で並べて比べたいときは、大学比較で2校を並べて見られます。就活の時期の目安は2028年卒の就活スケジュールをどうぞ。

09数字の読み方:「就職率」は資料によって4種類ある

同じ「就職率」という言葉でも、分母が違えば数字は大きく変わります。

この記事に出てきた「就職率」を、分母の違いで整理しておきます。大学のパンフレットやネットの記事を見るときにも役立ちます。

資料 計算のしかた この記事での例
大学等卒業者の就職状況調査(文科省・厚労省) 就職者÷就職希望者(抽出調査) 国公立97.9%、私立98.1%
多くの私立大学の公表値 就職者÷就職希望者 関西学院大学99.9%、早稲田大学96.2%
大学基本情報(Campiの国公立の就職率) 就職者÷(卒業者−進学者など) 国立92.3%、公立93.1%
学校基本調査 就職者÷卒業者 国立51.6%、私立82.4%

就職希望者を分母にすると、就職をあきらめた人や、最初から就職活動をしなかった人は分母に入らないため、数字は高く出ます。卒業者を分母にすると、大学院へ進んだ人も分母に入るため、大学院進学の多い国立は低く出ます。「どの数字を、何と比べているか」を意識するだけで、ネットの比較記事にだまされにくくなります。

また、学校基本調査の最新の確定値は2025年3月卒、就職状況調査と大学の公表値は2026年3月卒で、年度が1年ずれています。この記事では、年度の違う数字を同じ表に入れていません。

10国公立と私立の就職のよくある質問

国公立と私立、就職に強いのはどっち?

就職を希望した人のうち就職できた人の割合は、2026年3月卒で国公立97.9%、私立98.1%とほぼ同じです(文部科学省・厚生労働省の調査)。違うのは進学の多さと業界で、国立は大学院進学と教育・公務、私立は卸売・小売やサービスが多めです。行きたい業界に強い大学を個別に選ぶのがおすすめです。

国立の就職率が低く見えるのはなぜ?

卒業生に占める就職者の割合で見ると、国立は51.6%(2025年3月卒)と低く見えます。これは卒業生の37.0%が大学院などへ進むことと、医学部の臨床研修医(国立5,100人)が就職者とは別に数えられるためです。進学者を除いて臨床研修医を含めると、国立は90.4%(計算)になります。

理系は国公立のほうが有利?

国立の工学系は70.4%が大学院などへ進み(2025年3月卒)、研究・開発職への道が「修士まで」が前提になっています。ただし東京理科大学(大学院進学55.1%)のように、私立にも進学の多い理工系の大学があります。学費は大学院を含めた6年分で比べると、国公立の安さが効いてきます。

文系は私立のほうが有利?

国の統計では、情報通信・製造・金融の割合に国立と私立で大きな差はありません。私立は卸売・小売やサービスの割合が高く、国立は公務の割合が高めです。文系では、設置者よりも大学ごとの実績と立地の差のほうが大きいと考えられます。

公務員や教員になりたいなら国公立?

国立は就職者の17.3%が教育、14.6%が公務に進みます(2025年3月卒)。特に教員は国立の教員養成大学・学部が多くの卒業生を送り出しています。ただし私立にも公務員・教員に多く進む大学があり、日本大学や東洋大学などはその代表です。

学費はどれくらい違う?

授業料は国立の標準額が年535,800円、私立の平均が968,069円です(2025年度入学)。入学料と授業料4年分で比べると、国立2,425,200円、私立平均4,112,641円で、約169万円の差があります(計算、施設設備費などは含まない)。

ネットの「就職率ランキング」はどう見ればいい?

まず分母を確かめましょう。「就職者÷就職希望者」なら多くの大学が95%以上になり、差はほとんど出ません。大学院進学の多さや、就職者の業界の内訳もあわせて見ると、その大学の実際の姿が見えてきます。

11この記事のデータについて

国立・公立・私立の卒業後の進路と業界別の就職者数は、文部科学省「学校基本調査」令和7年度(2025年3月卒業者、確定値。表75「関係学科別 状況別 卒業者数」、表78「産業別就職者数」、e-Statで2025年12月26日公表)を編集部で集計しました。就職率(就職希望者に対する就職者の割合)は、文部科学省・厚生労働省「令和7年度大学等卒業者の就職状況調査(令和8年4月1日現在)」(2026年5月22日公表)です。

国公立大学の業界別の人数と2026年3月卒の数字は、大学改革支援・学位授与機構「大学基本情報」2025年・2026年(30号様式2-1「卒業後の状況」、2-2「産業別就職者数」)を加工して作成しました。私立大学の業界別の割合は、学校基本調査の全体から大学基本情報の国立・公立を引いた計算値です。私立大学の例は、早稲田大学・関西学院大学・立命館大学・東京理科大学・学習院大学・東洋大学がそれぞれ公式サイトで公表している2026年3月卒のデータです。

学費は、文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」と「令和7年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)」(2025年12月26日公表)によります。元の記事にあった「Campiが掲載している就職先の人数の合計」による大学の並びは、大学の規模や掲載範囲に左右されるため、この版では使っていません。数字は年度で変わるため、最新の情報は各機関・各大学の公表資料でご確認ください。(2026年10月確認)

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