IT・ソフトウェア業界の選考|案内から流れを読む
IT業界の選考でまず分けるのは「受託か自社サービスか」です。そのうえで職種別採用か一括採用かを募集要項で確認してください。エンジニアの募集では技術の選考が行われることがあります。文系から応募できる会社は多く、入社後に学ぶ前提の募集もあります。志望動機はその会社の技術ブログやサービスのページを見てから書いてください。
IT業界の選考では、「受託か自社サービスか」を先に分けて考えます。
受託は他社から依頼を受けてつくる形、自社サービスは自分たちで決めてつくる形です。
同じ「エンジニア」でも、この違いで働き方が変わります。
この記事では、IT業界の選考の特徴を整理し、案内の読み方、準備、当日の確認まで通しで扱います。
この記事を7枚で
1 / 7第1部 この業界の選考の特徴
第2部 案内の読み方と準備
第3部 情報の集め方
第4部 当日と確認|やらないこと
第1部 この業界の選考の特徴
01この業界の選考の特徴
まずこの点を確認してください。
受託と自社サービスの違い。
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 職種別採用が多い | エンジニア、営業、企画で分けて募集する会社が多い |
| 技術の選考がある場合がある | エンジニアの募集でコードを書く選考が行われることがある |
| 文系からの応募ができる会社が多い | 入社後に学ぶ前提の募集がある |
| 通年で募集する会社がある | 時期を決めずに募集する形 |
| 会社の規模に幅がある | 大手から少人数の会社まで |
| 技術情報を公開している会社がある | 調べる材料が多い |
時期は会社ごとに違います
通年で募集する会社と、時期を決めて募集する会社があります。届いた案内で確認してください。
本記事では通過の基準を扱いません
何が評価されるか、倍率はどうかといった話は会社ごとに違い、外からは分かりません。
業界と職種の理解が前提になります
業界の構造はIT・ソフトウェア業界とは|全体像と分野の調べ方、職種はIT・ソフトウェア業界の職種|仕事内容の調べ方で整理しています。
02受託か自社サービスかを分ける
同じ「エンジニア」でも、働き方が変わります。
| 受託 | 自社サービス | |
|---|---|---|
| つくるものの決め方 | 依頼する側が決める | 自分たちで決める |
| 期限 | 契約で決まっていることが多い | 自分たちで決められる余地がある |
| 関わる業種 | 案件ごとに変わる | 一つの領域を深く扱う |
| つくったあと | 納めて次の案件へ移ることが多い | 出したあとも育て続ける |
| 利用者との距離 | 依頼する側を通して見る | 反応が直接見えることが多い |
どちらが良いという話ではありません
受託には多様な業種の課題に関われるという性質があり、自社サービスには一つのものを育て続けられるという性質があります。
自分がどちらの働き方をしたいかで選んでください。
両方を手がける会社もあります
受託を主軸にしつつ自社サービスを持つ会社、その逆の会社もあります。比重はどうかを説明会で聞いてください。
大規模な受託には階層があります
大きな案件では、複数の会社が役割を分けて関わることがあります。自分が応募する会社がどの位置にいるかは、説明会で確認できます。
社内向けの情報システム部門もあります
IT企業ではなく、一般の事業会社の中で情報システムを担うという選択肢もあります。業界を広く見る際の候補です。
03技術の選考について
エンジニアの募集では行われることがあります。
形式は会社によって違います
実施するかどうか、どんな形式かは会社によって違います。届いた案内で確認してください。
制作物は経緯を説明できるようにしてください
何をつくったかだけでなく、なぜそれをつくったか、どこで詰まり、どう解いたか。ここが話せると中身が伝わります。
規模の大きさより、考えた過程のほうが説明しやすい材料になります。
つくったものがなくても応募できる会社があります
入社後に学ぶ前提の募集では、制作物を求めない会社もあります。募集要項で確認してください。
学んでいる途中であることは隠さなくていい
いま何を学んでいるか、次に何を学ぼうとしているか。学び続ける姿勢のほうが材料になります。
分からないことは分からないと言う
技術についての面談で、知らないことを知っているふりをするのは避けてください。
04その会社の技術を調べる
調べられる材料が多い業界です。
技術ブログは志望動機の材料になります
その会社の人が何を書いているかを読むと、どんなことを大事にしている会社かが見えます。
面接で「ブログのこの記事を読みました」と言えると、調べたことが伝わります。
サービスを実際に使ってみてください
使えるサービスなら自分で触ってみるのが早道です。使ってみて感じたことは、そのまま材料になります。
受託の会社では実績のページを見てください
どんな業種の、どんな案件を手がけてきたか。会社の得意な領域が分かります。
上場企業なら有価証券報告書も
事業の内容、セグメントごとの収益、事業等のリスク。収益がどこから来ているかが分かります。
2社を並べてください
同じようなサービスでも、大事にしていることが違います。その違いが「なぜこの会社か」の答えになります。
05この業界で聞かれやすいこと
会社によって違いますが、傾向はあります。
「手に職をつけたい」だけでは足りません
動機として自然ですが、なぜこの会社かの答えにはなりません。
文系からの応募は珍しくありません
入社後に学ぶ前提の募集は多くあります。すでに始めていることがあれば、それが材料になります。
「技術が好き」の中身を用意してください
何をつくったとき、どんなところが面白かったのか。具体の場面を一つ持っておいてください。
知らない技術の話が出たら
素直に「知りません、調べてみます」と言うほうが安全です。知ったかぶりは伝わります。
第2部 案内の読み方と準備
06採用の案内はどこを読むか
会社が出している案内が、いちばん確実な情報です。
就活サイトの一般論と、個別の案内は別です
「一般的にはこの時期」という説明は目安にすぎません。個別の会社に当てはまるとは限りません。
実際の日程は、各社の採用ページと届いた案内で確認してください。
職種別に募集されることが多い業界です
エンジニア、営業、企画——職種ごとに応募する会社が多くなります。
エンジニアの中でもさらに細かく分かれる会社があります。募集要項の区分を確認してください。
記載がないことは推測で埋めないでください
案内に書かれていないことは、説明会や問い合わせで確認してください。推測で動くと、行き違いが起こります。
募集要項の読み方は募集要項の読み方|見落としやすい項目を確認するで詳しく扱っています。
07提出書類の準備
何を出すかは会社によって違います。
証明書は早めに手配してください
大学の証明書は発行に日数がかかることがあります。締切の直前に慌てないよう、早めに確認してください。
制作物の提出を求められることがあります
エンジニアやデザイナーの募集では、自分でつくったものの提出を求められる場合があります。案内で確認してください。
設問に答えているかを確認してください
書きたいことを書くのではなく、聞かれたことに答える——これが基本です。
書いたあと、設問をもう一度読んで、答えになっているか確かめてください。
08適性検査と筆記の考え方
形式は会社によって違います。案内で確認してください。
| 確認すること | どこで分かるか |
|---|---|
| どんな形式か(能力・性格・記述など) | 届いた案内、採用ページ |
| 受検の方法(自宅・会場・オンライン) | 届いた案内 |
| 受検の期限 | 届いた案内 |
| 使える道具(電卓・メモなど) | 届いた案内の注意事項 |
| 結果の扱い | 記載がある場合はその記載 |
案内の注意事項を必ず読んでください
受検の環境、使える道具、やり直しの可否——案内に書かれた条件を守ってください。
不正と受け取られる行為は、その会社の選考だけでなく信頼にも関わります。
技術の選考が別にある場合があります
エンジニアの募集では、コードを書く選考が行われることがあります。形式は会社によって違います。
性格に関する検査は正直に答えてください
よく見せようとして矛盾した回答になると、かえって不自然になります。自分の考えに沿って答えるのが基本です。
早めに受けられる準備をしてください
期限の直前は混み合うことがあります。通信の環境や時間の確保を含めて、余裕をもって受検してください。
09日程と締切の管理
複数の会社を受けると、必ず抜けが出ます。
1枚にまとめてください
上の5つを1枚の表にしておけば、出し忘れは防げます。形式は紙でも表計算でも構いません。
通年で募集する会社があります
時期を決めずに通年で募集する会社があります。締切の考え方が違うため、会社ごとに記録してください。
連絡の手段を確認してください
メール、マイページ、電話——どこに連絡が来るかを確認し、見落とさないようにしてください。
迷惑メールの振り分けにも注意が必要です。
管理の仕方は別記事で
具体的な管理の方法は選考管理の作り方|進み具合を一覧にするで扱っています。
第3部 情報の集め方
10説明会で何を聞くか
聞く側になってください。
「やりがい」は聞いても情報が少ない
抽象的な質問には抽象的な答えが返ります。具体的な事実を聞くほうが、判断の材料になります。
IT業界で聞いておきたいこと
受託か自社サービスか、配属の決まり方、入社後に技術を学ぶ仕組み——このあたりは説明会で聞けます。
聞いたことはその場でメモしてください
複数の会社の説明会に出ると、どこで何を聞いたか分からなくなります。会社ごとにメモを残してください。
1社の話を業界全体だと思わないでください
説明会で語られるのはその会社の話です。業界の共通事項かどうかは、他社も見ないと分かりません。
11OB・OG訪問の使い方
資料では分からないことを聞くための機会です。
複数の人に聞いてください
1人の話はその人の経験です。職種や配属先が違えば話も変わります。
職種ごとに話を聞いてください
同じ会社でも受託と自社サービスでは働き方が違います。複数の人に聞くと像が立ちます。
準備をしてから会ってください
調べれば分かることを聞くと、時間がもったいなくなります。資料を読んだうえで、そこに書いていないことを聞いてください。
進め方はOB・OG訪問の依頼と当日|連絡からお礼までの流れで扱っています。
12一次資料で会社を確かめる
採用向けではない資料も見てください。
志望動機の材料になります
会社が自分で書いていることなので、外れません。とくに中期経営計画は、なぜこの会社かを書く材料になります。
技術ブログを公開している会社があります
その会社がどんな技術を使い、何を課題だと考えているかが分かります。
上場していない会社の場合
有価証券報告書がない場合は、会社サイトの会社概要、沿革、事業の説明、プレスリリースが情報源になります。
足りない部分は説明会で直接聞いてください。会社の調べ方は会社の調べ方|採用ページ以外から情報を取る方法で扱っています。
132社を比べて違いを見つける
1社だけ見ても、その会社の特徴は分かりません。
違いが志望動機になります
同じ業界の2社を並べると、力の入れどころの違いが見えます。その違いが「なぜこの会社か」の答えになります。
受託どうし、自社サービスどうしで比べてください
事業の形が違うと、比べても違いが大きすぎます。同じ形で比べてください。
書いたあとの確認
志望動機を書いたら、会社名を別の会社に置き換えて読んでみてください。それでも成立するなら、まだその会社に向けた内容になっていません。
志望理由の組み立ては志望理由が弱いと感じたら|足りない情報を埋めるで扱っています。
第4部 当日と確認|やらないこと
14面接当日に気をつけること
準備したことを、落ち着いて話せる状態をつくってください。
準備した話をそのまま言わないでください
面接は対話です。聞かれたことに答え、追加で聞かれたら答える——この往復が基本です。
「ものづくりがしたい」の先を用意してください
受託と自社サービスではつくるものも決め方も違います。どちらの形で働きたいかまで降りてください。
オンラインの場合
通信の環境、背景、音声——事前に確認してください。案内に指定があれば、その指定に従ってください。
終わったら記録してください
何を聞かれ、どう答えたか、何を言われたか——記録が次の会社の準備になります。
15選考で確認しておくこと
聞かれる側だけでなく、聞く側にもなってください。
労働条件は聞いても失礼になりません
勤務地、勤務時間、転勤の有無は労働条件の基本です。募集要項に書かれるべき内容でもあります。
記載がない、または説明が曖昧なまま進む場合は、その点を書面で確認するようにしてください。
内定後に条件を確認してください
内定の連絡を受けたら、労働条件が書面(または電子)で示されるかを確認してください。口頭の説明だけで進めないことが大切です。
技術を学ぶ仕組みを確認してください
入社後の研修や学習の支援は、会社によって差があります。
疑問があるときは相談してください
提示された条件に疑問があるとき、自分で判断せずに相談してください。次の章で相談先を挙げます。
16相談できる窓口
一人で抱えないでください。
情報系の学科では研究室のつながりがあります
研究室の先輩が同じ会社に進んでいることがあります。技術の選考について聞ける相手です。
条件面で疑問があるとき
提示された条件に疑問があるとき、自分で判断せずに相談してください。労働局の総合労働相談コーナーは無料で、全国にあります(予約なしで利用できる場合があります)。法令の解釈は弁護士にご相談ください。
就職活動の進め方に迷ったとき
大学のキャリアセンターは過去の応募の状況を持っていることがあります。推薦の仕組みがある場合の手続きも、ここで確認できます。
17やらない方がいいこと
IT業界の選考でとくに起きやすい失敗です。
| やりがちなこと | なぜ問題か |
|---|---|
| 受託と自社サービスを区別しない | 働き方が違う。志望動機が定まらない |
| 技術ブログを見ない | 調べられる材料を使っていない |
| サービスを使わずに志望する | 使える場合は触っておくほうが具体に話せる |
| 知らない技術を知っているふりをする | 伝わる。素直に言うほうが安全 |
| 「手に職」で止める | 会社を選んだ理由にならない |
| 制作物の規模にこだわる | 大きさより、考えた過程のほうが伝わる |
エンジニア以外の職種も見てください
営業、企画、デザイン、品質の確認、顧客の支援——技術を扱う会社にも多様な職種があります。
1社の説明会を業界全体だと思わない
受託と自社サービスでは前提が違います。最低2社は比べてください。
18よくある質問
選考はいつから始まりますか?
会社ごとに違い、年度によっても変わります。通年で募集する会社と、時期を決めて募集する会社があります。実際の日程は各社の採用ページと届いた案内で確認してください。
受託と自社サービスはどう違いますか?
受託は他社の依頼でつくるため、期限と要件が先に決まっていることが多く、案件ごとに関わる業種が変わります。自社サービスは自分たちで決めてつくり、出したあとも育て続けます。受託には多様な業種の課題に関われる性質があり、自社サービスには一つのものを深く扱える性質があります。どちらが良いという話ではありません。
技術の選考はありますか?
エンジニアの募集では行われることがあります。コードを書く課題、制作物の提出、技術についての面談など、形式は会社によって違います。実施しない会社もあり、入社後に学ぶ前提の募集もあります。届いた案内で確認してください。
つくったものがないと応募できませんか?
入社後に学ぶ前提の募集では、制作物を求めない会社もあります。募集要項で確認してください。あるなら、規模の大きさより、なぜそれをつくったか、どこで詰まり、どう解いたかを説明できるようにしておくほうが材料になります。
文系ですが応募できますか?
文系からの応募ができる会社は多くあります。入社後に学ぶ前提の募集もあります。すでに学び始めていることがあれば、それが材料になります。募集要項で応募の条件を確認してください。
志望動機は何を材料にすればいいですか?
技術ブログを公開している会社があります。その会社の人が何を書いているかを読むと、どんなことを大事にしている会社かが見えます。サービスが使えるなら自分で触ってみてください。受託の会社なら実績のページで、どんな業種の案件を手がけてきたかが分かります。
職種別に応募するのですか?
職種ごとに応募する会社が多くなります。エンジニアの中でもさらに細かく分かれる会社があります。一括で募集して入社後に決める会社もあります。募集要項の区分を確認してください。
「手に職をつけたい」は志望動機になりますか?
動機として自然ですが、それだけでは、なぜこの会社かの答えになりません。受託と自社サービスのどちらの働き方をしたいか、その会社の何に関心を持ったかまで降りてください。
知らない技術の話が出たらどうすればいいですか?
素直に「知りません、調べてみます」と言うほうが安全です。知ったかぶりは伝わります。いま何を学んでいるか、次に何を学ぼうとしているかを話せると、学び続ける姿勢が伝わります。
大規模な受託の階層とは何ですか?
大きな案件では、複数の会社が役割を分けて関わることがあります。自分が応募する会社がどの位置にいるか、どんな役割を担うことが多いかは、説明会で確認できる内容です。
エンジニア以外にどんな職種がありますか?
営業、企画、デザイン、品質の確認、顧客の支援、管理部門があります。技術を扱う会社にも多様な職種があります。詳しくは関連記事で整理しています。
まず何から始めればいいですか?
受託と自社サービスのどちらに関心があるかを分け、志望する会社の技術ブログとサービスのページを見て、募集要項で職種の区分と技術の選考の有無を確認するのが早道です。
19まとめ|受託か自社サービスかを先に分ける
IT業界の選考でまず分けるのは「受託か自社サービスか」です。
- 同じエンジニアでも、働き方が変わります。どちらが良いという話ではありません。
- 職種別採用が多い業界です。募集要項の区分を確認してください。
- 技術の選考が行われることがあります。形式は会社によって違い、実施しない会社もあります。
- 文系からの応募ができる会社は多くあります。入社後に学ぶ前提の募集もあります。
- 技術ブログとサービスを見てください。調べられる材料が多い業界です。
最後に。選考の流れ・時期・方式は会社ごとに異なり、年度によっても変わります。実際の日程と内容は各社の採用ページと届いた案内でご確認ください。
・IT・ソフトウェア業界とは|全体像と分野の調べ方
・IT・ソフトウェア業界の職種|仕事内容の調べ方
・通信業界とは|全体像と分野の調べ方
・募集要項の読み方|見落としやすい項目を確認する
・選考管理の作り方|進み具合を一覧にする
・就活・キャリアの記事一覧