IT・ソフトウェア業界とは|全体像と分野の調べ方
IT・ソフトウェア業界で最初に押さえるのは「受託か、自社サービスか」です。分野は①システムインテグレーター(NTTデータ・野村総合研究所・SCSK・TIS)、②Webサービス・プラットフォーム(LINEヤフー・楽天グループ・サイバーエージェント・ディー・エヌ・エー)、③業務ソフト・SaaS(サイボウズ・freee・マネーフォワード)、④インフラ・クラウド・セキュリティ、⑤組…
同じ「IT企業」でも、まったく違う2つの世界があります。
他社から頼まれてつくる会社と、自分たちのサービスをつくる会社です。
この2つは、働き方も、求められることも、技術の選び方も違います。ここを知らずに「IT業界志望」と言うと、話が噛み合いません。
この記事では、IT・ソフトウェア業界を5つの分野に分けたうえで、職種、技術、働き方、選考での確認事項まで通しで整理します。
この記事を7枚で
1 / 7第1部 どんな会社があるか|5つの分野と2つの働き方
- 最初に押さえる|受託か、自社サービスか
- 業界の地図|5つの分野
- ①システムインテグレーターの構造
- ③業務ソフト・SaaSという分野
- ④インフラ・クラウド・セキュリティ
- ⑤組込み・制御ソフトという分野
- つくり方の違い|計画型と反復型
- 会社の見分け方|何をつくっているか
- どの大学から何人入っているか
第2部 どんな仕事があるか|職種・技術・働き方
第3部 自分で調べる|一次資料と年収
第4部 選考に向けて|志望動機と確認事項
第1部 どんな会社があるか|5つの分野と2つの働き方
01最初に押さえる|受託か、自社サービスか
この違いが、すべての前提になります。
受託開発と自社サービス。この違いが働き方を決める。
| 受託開発 | 自社サービス | |
|---|---|---|
| つくるもの | 顧客が求めるシステム | 自分たちが企画したサービス |
| お金の入り方 | 開発の対価、保守の費用 | 利用料、広告、課金など |
| 成功の基準 | 要求どおりに、期日と予算の中で完成させる | 使われること、成長すること |
| 技術の選び方 | 顧客の環境と要求に合わせる | 自分たちで決められる幅が広い |
| 納めたあと | 保守・運用に移る | 改善を続ける。終わりがない |
受託は「約束を守る」仕事です
決められた期日と予算の中で、要求されたものを確実に動く状態で納める——これが受託の価値です。
そのため計画、見積もり、進捗の管理、品質の確認が重視されます。
自社サービスは「使われる」ことが目的です
つくって終わりではありません。出してから、使われ方を見て直し続けます。
だから数字を見て判断する、仮説を立てて試すという進め方になります。
どちらが良いという話ではありません
社会を支える大きなシステムは受託でつくられています。身近なサービスは自社サービスから生まれています。関わりたい対象で選んでください。
なお、受託と自社サービスの両方を持つ会社もあります。セグメント情報で比重を確かめてください。
02業界の地図|5つの分野
分野ごとに、つくるものと相手が違います。
| 分野 | 何をつくる会社か | 例 |
|---|---|---|
| ①システムインテグレーター | 企業や官公庁のシステムを設計・開発・運用する | NTTデータ、野村総合研究所、SCSK、TIS、BIPROGY、富士通、日本電気 |
| ②Webサービス・プラットフォーム | 消費者や事業者が使うサービスを自社で運営する | LINEヤフー、楽天グループ、サイバーエージェント、ディー・エヌ・エー、メルカリ |
| ③業務ソフト・SaaS | 企業が業務に使うソフトを提供する | サイボウズ、freee、マネーフォワード、Sansan、ラクス |
| ④インフラ・クラウド・セキュリティ | 基盤の構築・運用、セキュリティの製品とサービス | 各社、外資系ベンダーの日本法人 |
| ⑤組込み・制御ソフト | 機器の中で動くソフトをつくる | メーカー各社、専門の開発会社 |
メーカーの中にもIT部門があります
電機メーカーはシステムの事業を大きく持っていることがあります。「IT業界」という枠の外にも、ITの仕事があります。
電機・電子業界の全体像は電機・電子業界とは|全体像と分野の調べ方で整理しています。
事業会社の情報システム部門もあります
銀行、小売、製造——あらゆる会社が自社のシステムを持っています。それを企画・管理する部門があり、IT人材が働いています。
近年は自社で開発する(内製化)動きも語られています。事業会社でエンジニアとして働くという選択肢もあります。
ゲームも近い分野です
ゲームの開発はソフトウェアの開発です。求められる技術が重なる部分があります。関心があるなら併せて調べてください。
03①システムインテグレーターの構造
大きなシステムは、多くの会社で分担してつくります。
「上流」「下流」という言葉
要件を決める段階を上流、実際につくる段階を下流と呼ぶことがあります。元請は上流を担うことが多くなります。
ただし上流が偉いという話ではありません。つくれなければシステムは動きません。
SIerには3つの出自があります
出自によって主な顧客が違うことがあります。ユーザー系なら親会社やその業界が中心になる、といった傾向です。
客先常駐という働き方
顧客の職場で働く形があります。自社のオフィスではなく、顧客先に通う働き方です。
これは生活にも関わるため、あるかどうかを説明会で確認してください。会社と案件によります。
04③業務ソフト・SaaSという分野
企業が業務に使うソフトを、継続して提供する事業です。
「使い続けてもらう」ための職種があります
売って終わりではないため、導入を支援し、活用を広げる職種があります。カスタマーサクセスなどと呼ばれます。
技術と顧客の間に立つ仕事で、文系出身者が就くこともあります。
製品を「選んでもらう」必要があります
受託と違い、顧客は他社の製品と比べて選びます。だから機能、使いやすさ、価格、サポートで差がつきます。
業務の理解が求められます
会計、人事、営業管理——対象となる業務を理解していないと、良い製品はつくれません。
だからこの分野では、技術だけでなく業務の知識が価値になります。
調べ方
製品のサイトには機能の説明と料金が公開されています。実際に無料で試せる製品もあります。志望するなら触ってみてください。
05④インフラ・クラウド・セキュリティ
サービスを動かし続けるための領域です。
止めないことが価値です
サービスが止まれば、利用者も事業も止まります。だから障害への備えと、素早い復旧が重視されます。
この領域は地味に見えて、責任が重い仕事です。
クラウドの知識が共通の土台になっています
多くの会社がクラウドのサービスを使ってシステムを動かしています。そのため、クラウドに関する知識が広く求められます。
各社の技術ブログを見ると、どんな構成で動かしているかが書かれていることがあります。
セキュリティは専門の分野です
攻撃の手口も守り方も変わり続けるため、専門の知識が必要です。専門の会社や、組織内の専門チームがあります。
公的機関が情報を公開しているので、関心があるなら調べてみてください。
06⑤組込み・制御ソフトという分野
機器の中で動くソフトです。
自動車、家電、産業機械、医療機器——電気で動くものの多くにソフトが入っています。
メーカーの中にある仕事です
組込みの仕事は自動車、電機、機械のメーカーの中にあります。「IT業界」を探しているだけでは見つかりません。
自動車業界は自動車業界とは|全体像と分野の調べ方、機械・重工業界は機械・重工業界とは|全体像と分野の調べ方で整理しています。
ハードの知識が求められます
ソフトだけでなく、電気や機械の仕組みを理解する必要があります。電気電子・機械系の学生に向く領域です。
地味ですが土台です
製品の性能はソフトで決まる部分が大きくなっています。ハードとソフトの両方が分かる人は、メーカーで重宝されます。
07つくり方の違い|計画型と反復型
開発の進め方には大きく2つの考え方があります。
| 計画型(ウォーターフォール) | 反復型(アジャイル) | |
|---|---|---|
| 進め方 | 要件→設計→実装→テストの順に進める | 小さく作って出し、改善を繰り返す |
| 向く場面 | 要求が明確で、変更が少ない場合 | 使いながら決めていく場合 |
| よく使われる分野 | 大規模な業務システム、社会基盤 | Webサービス、自社製品 |
| 重視されること | 計画と品質の管理、文書 | 早く出して学ぶこと |
どちらが優れているという話ではありません
止まると社会が困るシステムでは慎重に進める必要があります。試しながら育てるサービスでは速さが価値になります。
目的が違えば、進め方も違うということです。
会社によって主な進め方が違います
志望する会社がどんな進め方をしているかは、技術ブログや説明会で分かります。
自分がどちらに向いているかを考える材料になります。
面接で聞いてよい質問です
「開発はどんな進め方をしていますか」——これは技術職の面接で自然な質問です。答えから、その会社の文化も見えます。
08会社の見分け方|何をつくっているか
会社名だけでは、何をしているか分かりません。
技術ブログがいちばん実態に近いことがあります
会社案内は整えられた言葉で書かれます。技術ブログは実際に働いている人が書いています。
どんな課題に取り組み、どんな道具を使い、何を大事にしているか——文化まで見えることがあります。
導入事例を見てください
受託やSaaSの会社では、どんな顧客がどう使っているかの事例が公開されていることがあります。
顧客の業界が分かると、仕事の中身が具体的に想像できます。
採用ページの職種一覧も情報です
募集している職種の種類と数を見れば、その会社がどこに力を入れているかの見当がつきます。
会社の調べ方全般は会社の調べ方|採用ページ以外から情報を取る方法で扱っています。
09どの大学から何人入っているか
これは公表されている場合があります。
この数字の使い方
「この大学からは入れる/入れない」という判断には使わないでください。年度によって変わりますし、人数は採用の規模にも左右されます。
使い道はOB・OGがいるかを確かめる材料です。進め方はOB・OG訪問の依頼と当日|連絡からお礼までの流れで扱っています。
文系からIT企業へ進む人もいます
進路資料を見ると、情報系以外の学部からIT企業に進んでいることが分かる場合があります。職種は営業、企画、エンジニアとさまざまです。
先輩に聞くべきこと
入社後にどんな研修があったか、いまどんな技術を使っているか、客先常駐があるか——資料では分からないことを聞いてください。
第2部 どんな仕事があるか|職種・技術・働き方
10職種の全体像
「エンジニア」は1種類ではありません。
技術職以外も技術に触れます
営業も、カスタマーサクセスも、製品の中身が分からないと仕事になりません。文系出身でも技術を学ぶことになります。
募集の区分を確認してください
職種別に募集する会社と、まとめて採用して配属で決める会社があります。募集要項の職種欄で確認してください。
エンジニア職でも、さらに分野を分けて募集することがあります。
11システムができるまでの流れ
職種は、この流れのどこを担うかで分かれます。
「つくる」以外の時間が長い
プログラムを書く時間だけが仕事ではありません。何をつくるかを決める、確かめる、直す——この時間が相当あります。
「ずっとコードを書いていたい」という期待だけで入ると、ギャップが生まれます。
運用が続きます
リリースしたら終わりではありません。障害に対応し、性能を保ち、機能を足す——ここからが長い付き合いです。
テストは軽視できません
動くものをつくることと、壊れないものをつくることは別です。テストの設計は専門性のある仕事です。
品質保証を専門の職種として置いている会社もあります。
12未経験からエンジニアになれるか
会社によります。募集要項で確認してください。
| 確認すること | どこで分かるか |
|---|---|
| プログラミング経験が応募の条件か | 募集要項の応募資格欄 |
| 入社後の研修の内容と期間 | 採用ページ |
| 配属はどう決まるか | 説明会での質問 |
| 学び続ける支援があるか | 採用ページの研修・福利厚生 |
経験を問わない募集もあります
入社後の研修で基礎を学ぶ前提の募集があります。文系出身のエンジニアは珍しくありません。
ただし入社後に学ぶ量は多いという前提を持ってください。
何か作っておくと話が早い
授業の課題でも、個人で作ったものでも構いません。何を作り、どこで詰まり、どう解いたかを説明できると、選考で材料になります。
規模の大きさより考えた過程が見られます。動かなかったものでも、原因を説明できるなら材料になります。
資格は必須ではありません
情報処理に関する国家試験などがありますが、応募の条件になっていないことが多くあります。
取るなら、勉強の過程で何を理解したかを語れるようにしてください。資格については13章で扱います。
13資格と学び続けること
この業界は、入社後も学び続ける前提です。
資格より「作ったもの」が見られることがあります
技術職の選考では、何を作ったか、どう考えたかが重視されることがあります。資格はその補足です。
会社の支援制度を確認してください
受験費用の補助、合格時の手当、書籍や勉強会の費用——学ぶことへの支援を制度にしている会社があります。
これは会社の姿勢が表れる部分でもあります。採用ページの研修・福利厚生の欄で確認してください。
技術は変わり続けます
いま使われている道具が、数年後も同じとは限りません。学び続けられるかが、この業界で働くうえでの前提になります。
面接で「どうやって新しいことを学んでいますか」と聞かれることがあります。
14働き方|場所と時間
会社によってかなり違う業界です。
客先常駐は確認してください
顧客の職場で働く形があります。自社のオフィスに通うとは限りません。会社と案件によります。
これは働く環境に直結します。説明会で聞いてよい質問です。
運用の当番がある職種があります
止まってはいけないシステムでは、障害に備える当番が組まれることがあります。職種と担当によります。
生活に関わるため、確認しておくとよい項目です。
在宅の制度は会社差が大きい
在宅勤務の制度は会社によって違い、変更されることもあります。最新の状況は募集要項と説明会で確認してください。
納期の前は忙しくなることがあります
受託開発では納期が決まっています。その前後で忙しさが変わることがあります。どう平準化しているかを聞くのもよい質問です。
第3部 自分で調べる|一次資料と年収
15年収を自分で調べる方法
就活サイトの年収ランキングではなく、会社が出している数字を見てください。
| 知りたいこと | どこに載っているか |
|---|---|
| 全従業員の平均年収 | 有価証券報告書【企業の概況】「従業員の状況」の平均年間給与 |
| 初任給 | 各社の募集要項・採用ページ |
| 賞与の回数・時期 | 募集要項 |
| 諸手当 | 募集要項の手当欄 |
| 昇給の時期 | 募集要項 |
平均年間給与の注意点
これは全従業員の平均です。新卒の初任給ではありません。また年齢構成や職種構成で変わります。平均年齢が高い会社は高く出やすく、若い会社は低く出やすい——それだけのことです。
同じ欄に平均年齢と平均勤続年数も載っています。3つをセットで見ると、数字の意味が分かります。
技術に関する手当がある会社があります
資格の取得や、勉強のための費用を支援する制度を設けている会社があります。採用ページの研修・福利厚生の欄で確認できます。
持株会社の数字に注意してください
持株会社(ホールディングス)の有価証券報告書に載る平均年間給与は、持株会社に所属する社員だけの数字であることがあります。実際に働く事業会社とは別です。誰の数字を見ているのかを、従業員数と合わせて確認してください。
手取りは額面と違います
提示される金額は額面です。ここから税と社会保険料が引かれます。額面だけで生活設計をすると、想定より少なくて驚くことになります。募集要項の読み方は募集要項の読み方|見落としやすい項目を確認するで扱っています。
16有価証券報告書の使い方
この業界を調べるときの、いちばん確実な資料です。
上場企業が年に1回、法律に基づいて出す書類です。金融庁のEDINETで誰でも無料で読めます。各社のサイトのIR(投資家向け情報)にも置かれています。
IT・ソフトウェア業界では、ここを重点的に見てください
①セグメント情報——受託開発、自社サービス、保守運用——どの事業で稼いでいるかが分かります。ここで会社の性格が決まります。
②事業等のリスク——開発の遅延や赤字、人材の確保、情報セキュリティ——会社自身が何をリスクと考えているかが書かれています。
③従業員の状況——従業員数と平均年齢が分かります。技術者の比率について記載があることもあります。
全部読む必要はありません
最初から通読しようとすると挫折します。上の数か所だけを、志望する2〜3社で読み比べる——これで十分に差が見えます。章の名前や構成は年度・会社によって異なることがあるので、目次から探してください。
17決算説明資料・中期経営計画
有価証券報告書より読みやすく、会社の考えが出ます。
| 資料 | 何が書いてあるか | どこにあるか |
|---|---|---|
| 決算説明資料 | 直近の業績と、その理由の説明 | 会社サイトのIR |
| 中期経営計画 | 数年先に何をやろうとしているか | 会社サイトのIR |
| 統合報告書 | 事業の考え方、人材、環境への取り組み | 会社サイトのIR |
| 質疑応答の要旨 | 投資家が何を気にしているか | IRに掲載される場合がある |
中期経営計画が志望動機の材料になります
ここには「これから何に力を入れるか」が書かれています。同じ分野の2社の計画を読み比べると、重点の置き方の違いが見えます。その違いが「なぜこの会社か」の答えになります。会社が自分で書いていることなので、外れません。
図が多いので入りやすい
決算説明資料はスライド形式で、図表が中心です。専門用語の解説が付いていることもあり、業界用語を覚える教材としても使えます。まず決算説明資料を読み、興味が出たら有価証券報告書で裏を取る——この順番が効率的です。
非上場の会社の場合
非上場だと有価証券報告書がありません。その場合は会社サイトの会社概要、採用ページ、プレスリリースが主な情報源になります。情報が少ない会社では、説明会や面接で直接聞くのが確実です。聞いて失礼になる内容ではありません。
18業界団体と官庁の資料
業界全体の話を確かめたいときに使います。
使い方は「裏取り」です
就活で統計を暗記する必要はありません。使うのはニュースや説明会で聞いた話が本当かを確かめるときです。面接で業界の話をするときも、出どころを言える情報のほうが強くなります。「ニュースで見た」より「協会の資料で見た」のほうが確かです。
技術ブログは一次情報として使えます
IT企業の多くは技術ブログを公開しています。どんな技術を使い、どんな課題に取り組んでいるかが具体的に書かれています。
会社案内より実態に近い情報が載っていることがあります。志望する会社の技術ブログは必ず読んでください。
ニュースの読み方
記事の出どころ(誰が発表したか)をたどる癖をつけてください。発表元の資料に当たれば、記事で省かれた条件や前提が分かります。扱い方はニュースと時事の追い方|就活で使える範囲と使い方で扱っています。
19業界用語|最低限これだけ
説明会で前提として使われる言葉です。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| SIer | システムの設計から運用までを請け負う会社 |
| 受託開発 | 顧客の依頼を受けてシステムをつくること |
| 自社サービス | 自分たちで企画したサービスを運営すること |
| SaaS | インターネット経由で使うソフトの提供の形 |
| クラウド | インターネット越しに計算や保存の資源を使う仕組み |
| オンプレミス | 自社の設備でシステムを動かすこと |
| 要件定義 | 何をつくるかを決める工程 |
| 上流/下流 | 要件・設計の工程/実装・テストの工程 |
| ウォーターフォール/アジャイル | 計画型/反復型の開発の進め方 |
| 客先常駐 | 顧客の職場で働く形 |
| 内製化 | 外部に頼まず、自社で開発すること |
| リリース | つくったものを実際に使える状態にすること |
意味を言えるようにしておけば十分です
深く理解している必要はありません。説明会で言葉が出たときに話についていける——その程度で構いません。分からない言葉が出たら、その場で聞いてください。
20技術ブログと事例で会社を比べる
この業界だけの、実態に近い調べ方です。
会社案内より正直なことがあります
技術ブログは実際に働いている人が書いています。うまくいかなかった話が書かれていることもあります。
ここを読んでから説明会に行くと、質問の質が変わります。
サービスを使ってみてください
自社サービスやSaaSなら、実際に触れることがあります。使ってみて感じたことは、面接で具体的に話せる材料になります。
ただし使った印象だけで会社の全体を語らないでください。事業の中身はセグメント情報で確かめてください。
2社を比べてください
同じ分野の2社の技術ブログを読むと、大事にしていることの違いが見えます。その違いが「なぜこの会社か」の答えになります。
第4部 選考に向けて|志望動機と確認事項
21インターンシップの探し方
分野によって、探す場所が変わります。
開発を伴うインターンがあります
IT業界では実際に手を動かすインターンが行われることがあります。チームでの開発を体験できる場合、仕事の進み方が具体的に分かります。
作ったものがあると話が早い
授業の課題でも、個人で作ったものでも構いません。何を作り、どこで詰まり、どう解いたかを説明できると、技術職の選考では材料になります。
規模の大きさより、考えた過程が見られます。
未経験から応募できる募集もあります
プログラミングの経験を応募の条件としない募集もあります。募集要項の応募資格欄で確認してください。
参加できなくても不利になるとは限りません
インターンと選考の関係は会社によって違い、案内に記載がある場合はその記載が基準です。記載のないことを推測で補わないでください。選び方はインターンの選び方|条件で絞るで扱っています。
22志望動機の材料を集める
材料が足りないまま書こうとするから、書けません。
同じ分野の2社を読み比べてください
1社だけ読んでも、その会社の特徴は分かりません。同じ分野の2社の中期経営計画を並べると、力の入れどころの違いが見えます。その違いが「なぜこの会社か」の答えになります。
「ITで社会を変えたい」だけでは足りません
この業界の志望動機で最も多い型です。ただ、それはこの業界のほぼ全社に当てはまります。
一段具体的にするには、その会社が受託か自社サービスか、どの業界を相手にしているか、どんな技術を使っているかまで降りてください。技術ブログとサービスのページを読めば分かります。
書いたあとの確認
会社名を同じ分野の別の会社に置き換えて読んでみてください。それでも成立するなら、まだその会社に向けた内容になっていません。志望理由の組み立ては志望理由が弱いと感じたら|足りない情報を埋めるで扱っています。
23選考で確認すること
聞かれる側だけでなく、聞く側にもなってください。
確認事項は事前に書き出しておく
説明会や面接の場で思い出そうとしても出てきません。会社ごとに確認事項をメモしておくと、聞きそびれが減ります。
聞いても失礼にならない質問です
勤務地、勤務時間、転勤の有無は労働条件の基本です。募集要項に書かれるべき内容でもあります。遠慮せず確認してください。記載がない、または説明が曖昧なまま進む場合は、その点を書面で確認するようにしてください。
内定後に条件を確認する
内定の連絡を受けたら、労働条件が書面(または電子)で示されるかを確認してください。口頭の説明だけで進めないことが大切です。
24選考の時期の考え方
会社ごとに違い、年度によっても変わります。
就活サイトに載っているスケジュールは一般的な目安であり、個別の会社に当てはまるとは限りません。
職種別に募集されることが多い業界です
エンジニア、営業、企画——職種を分けて募集する会社が多くあります。エンジニア職の中でもさらに分かれることがあります。
募集要項の職種欄と応募資格を確認してください。
通年で採用する会社があります
この業界には時期を定めず通年で採用する会社があります。各社の採用ページで確認してください。
締切は一覧で管理してください
複数の分野・複数の会社に応募すると、締切がばらばらになります。会社名、応募した日、次の予定、締切の4つを1枚にまとめておけば、出し忘れは防げます。管理の仕方は選考管理の作り方|進み具合を一覧にするで扱っています。
25向き不向きの考え方
性格で決めるより、仕事の進み方で考えてください。
「パソコンが好き」とは別の話です
仕事では人と決め、期限を守り、他人が読めるコードを書きます。一人で好きに作るのとは違います。
この違いを理解しているかどうかは、面接での受け答えに表れます。
本記事では向き不向きの判断はしていません
上の表は仕事の性質を整理したものであり、適性の診断ではありません。実際に働いている人に一日の流れを聞き、自分で判断してください。進め方はOB・OG訪問の依頼と当日|連絡からお礼までの流れで扱っています。
26他の業界と迷ったとき
ITの仕事は、IT企業の外にもあります。
| 迷いやすい進路 | ITとの関係 |
|---|---|
| 事業会社の情報システム・DX部門 | 自社のシステムを企画・管理する。内製化を進める会社もある |
| 電機・精密メーカー | 組込みソフト、システム事業を持つ |
| 通信 | ネットワークとサービスの基盤を担う |
| コンサルティング | システムの導入や業務の改革に関わる |
| 金融 | 巨大なシステムを持ち、専門のコースがある |
| ゲーム | ソフトウェア開発の技術が重なる |
「エンジニアとして働く」場所は広い
IT企業だけでなく、あらゆる業界にエンジニアの仕事があります。どの業界の課題に関わりたいかで選ぶこともできます。
電機・電子業界は電機・電子業界とは|全体像と分野の調べ方、銀行業界は銀行業界とは|全体像と分野の調べ方で整理しています。
比べる項目を先に決めてください
項目が多すぎると決まりません。自分が譲れない項目を3つに絞ると判断しやすくなります。比べ方は志望企業の絞り方|条件を言葉にしてから選ぶで扱っています。
27やらない方がいいこと
IT業界の選考でとくに起きやすい失敗です。
| やりがちなこと | なぜ問題か |
|---|---|
| 受託と自社サービスの違いを知らない | 働き方も評価の基準も違う。前提がずれる |
| 「ITで社会を変えたい」で止める | ほぼ全志望者が言う。会社を選んだ理由にならない |
| 技術ブログを読まない | その会社が何をしているかが分からないまま話すことになる |
| 客先常駐の有無を確認しない | 働く環境が大きく変わる |
| 流行の技術名だけを並べる | 意味を聞かれて答えられないと逆効果 |
| 「手を動かしたい」だけを強調する | 要件を決める、確かめる、直す時間も長い |
作ったものは正直に話してください
自分が書いた部分と、他の人が書いた部分、参考にしたもの——正確に説明してください。
技術職の面接では詳しく聞かれます。曖昧にすると、かえって評価を落とします。
1社の説明会を業界全体の話だと思わない
説明会で語られるのはその会社の話です。分野が違えば前提が違います。最低2社は比べてください。
28相談できる窓口
一人で抱えないでください。
技術のコミュニティも情報源になります
勉強会や技術の発表会では、実際に働いている人の話を聞けることがあります。学生が参加できるものもあります。
条件面で疑問があるとき
提示された条件に疑問があるとき、自分で判断せずに相談してください。労働局の総合労働相談コーナーは無料で、全国にあります(予約なしで利用できる場合があります)。法令の解釈が必要な場合は弁護士にご相談ください。
29よくある質問
文系でもエンジニアになれますか?
プログラミング経験を応募の条件としない募集があり、文系出身のエンジニアは珍しくありません。ただし入社後に学ぶ量は多く、学び続けることが前提です。応募できるかどうかは募集要項の応募資格欄で確認し、入社後の研修の内容も採用ページで確かめてください。
受託と自社サービスはどちらがいいですか?
本記事では優劣の判断はしていません。受託は決められた期日と予算の中で要求どおりに納めることが価値で、計画と品質の管理が重視されます。自社サービスは使われることが目的で、出してから改善を続けます。関わりたい対象と、自分に合う進め方で選んでください。両方を持つ会社もあります。
客先常駐とは何ですか?
顧客の職場に出向いて働く形です。自社のオフィスではなく顧客先に通うことになります。会社と案件によるため、あるかどうかは説明会で確認してください。働く環境に直結するので、聞いて失礼になる質問ではありません。
資格は取っておくべきですか?
応募の条件になっていないことが多くあります。技術職の選考では、資格より「何を作り、どう考えたか」が見られることがあります。取るなら、勉強を通じて何を理解したかを語れるようにしてください。会社が取得を支援する制度を設けている場合もあります。
作品がないと不利ですか?
必須とは限りませんが、あると話が具体的になります。授業の課題でも個人で作ったものでも構いません。規模の大きさより、どこで詰まり、どう解いたかという過程が見られます。うまく動かなかったものでも、原因を説明できるなら材料になります。
SIerとWebサービスの会社は何が違いますか?
相手と目的が違います。SIerは顧客企業や官公庁のシステムを請け負い、期日と品質を守ることが求められます。Webサービスの会社は自分たちのサービスを運営し、使われること・成長することを目指します。使う技術の選び方も、開発の進め方も異なる傾向があります。
プログラミングをずっとやっていたいのですが。
仕事では、何をつくるかを決める、確かめる、直す、人と調整する——という時間も相当あります。コードを書く時間だけが仕事ではありません。この前提を知らずに入るとギャップが生まれます。職種によって比重は違うので、説明会で一日の流れを聞いてみてください。
どんな技術を勉強しておけばいいですか?
特定の技術を指定することは本記事ではしません。志望する会社の技術ブログを読めば、実際に使われている技術が分かります。ただし技術は変わり続けるため、個別の道具より「新しいことを自分で調べて使えるか」のほうが長く役に立ちます。
IT企業以外でエンジニアとして働けますか?
働けます。事業会社の情報システム部門、メーカーの組込み開発、金融機関のシステム部門など、あらゆる業界にエンジニアの仕事があります。近年は自社で開発する内製化の動きも語られています。どの業界の課題に関わりたいかで選ぶこともできます。
残業は多いですか?
会社と案件によります。受託開発では納期の前後で忙しさが変わることがあります。運用に関わる職種では障害に備える当番が組まれることもあります。勤務時間の仕組みは募集要項で確認し、どう平準化しているかは説明会で聞いてよい質問です。
選考はいつから始まりますか?
会社ごとに違い、年度によっても変わります。この業界には時期を定めず通年で採用する会社もあります。職種別に募集される場合は職種ごとに進み方が違うこともあります。各社の採用ページで確認してください。
まず何から読めばいいですか?
志望する会社の技術ブログと、サービス・導入事例のページを読むのが早道です。そのうえで有価証券報告書の「事業の内容」とセグメント情報を見れば、受託と自社サービスのどちらが中心かが分かります。可能ならサービスを実際に使ってみてください。
この記事に載っていない会社もありますか?
あります。本記事の社名は各分野にどんな会社があるかを示す例であり、網羅した一覧ではありません。また推奨や順位付けでもありません。とくに業務ソフト、組込み、セキュリティの分野には、名前の知られていない会社が数多くあります。
30まとめ|受託か自社サービスかを、まず決める
最初に押さえるのは「受託か、自社サービスか」です。納めて終わりか、出してからが始まりか。働き方も評価の基準も違います。
分野は5つあります。①システムインテグレーター、②Webサービス・プラットフォーム、③業務ソフト・SaaS、④インフラ・クラウド・セキュリティ、⑤組込み・制御ソフト。
「エンジニア」は1種類ではありません。アプリ、インフラ、データ、組込み、セキュリティ、品質保証——役割が分かれています。
つくる以外の時間が長い仕事です。何をつくるかを決め、確かめ、直し、人と調整する。この前提を知ってください。
- 文系からの入口もあります。ただし入社後に学ぶ量は多く、学び続けることが前提の業界です。
- 技術ブログを読んでください。会社案内より実態に近い情報が載っていることがあります。
- 客先常駐の有無は確認してください。働く環境が大きく変わります。
最後に。本記事の社名は各分野にどんな会社があるかを示す例であり、推奨・順位付け・優劣の評価ではありません。網羅した一覧でもありません。売上・シェア・年収などの数値と企業の将来性、向き不向きは扱っていません。数値は各社の開示資料や官庁・業界団体の公表資料で、募集の条件は各社の募集要項でご確認ください。
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