コンサル・シンクタンク業界の職種|仕事内容の調べ方
この業界の職種は「役割の段階」と「領域」で決まります。段階はアナリスト →コンサルタント →マネージャー →パートナー等。領域は戦略、業務、IT・システム、データ、人事、公共(シンクタンク)。ほかにリサーチャー、データサイエンティスト、エンジニア、コーポレートという職種があります。新卒はまず調べて整理する仕事から始まります。
コンサルタントの仕事は、資料をつくることです。
極端に言えばそうなります。調べ、整理し、根拠を示し、資料にまとめ、説明する。この繰り返しです。
そして新卒はまず調査・分析・資料作成から始めます。最初から経営者と議論するわけではありません。
この記事では、コンサル・シンクタンク業界の職種を整理し、仕事の中身、選考、調べ方まで通しで扱います。
この記事を7枚で
1 / 7第1部 どんな職種があるか|段階と領域
第2部 職種の選び方|選考・働き方・専攻
第3部 仕事内容の調べ方
第4部 選考に向けて|志望職種と確認事項
第1部 どんな職種があるか|段階と領域
01職種の地図|段階と領域
この業界は、役割の段階が定められています。
役割の段階(呼び名は会社による)。
領域で扱う課題が違います
新卒は調査・分析・資料作成から
最初は調べる、整える、つくるという作業が中心です。ここで基礎を身につけます。
「最初から経営者と議論する」ことは多くありません。この前提を持ってください。
業界の構造は別記事で
どんな会社があるかはコンサル・シンクタンク業界とは|全体像と分野の調べ方で整理しています。
02一日の仕事はどう進むか
会議と作業の繰り返しです。
「直す」時間が長い
作った資料は何度も見直され、書き直されます。これは品質を上げるための工程です。
指摘を受けて直すことが続くため、フィードバックを受け止められるかが働きやすさに関わります。
事実に基づくことが求められます
「たぶんこうだと思います」は通りません。どの資料の、どの数字に基づくのかを示す必要があります。
研究で根拠を示して論を立てた経験は、そのまま生きます。
チームで進めます
一人で完結する仕事ではありません。役割を分け、持ち寄り、議論する——この進め方が基本です。
知らない分野を短期間で学びます
案件が変われば、その業界を短期間で理解する必要があります。調べる力と、要点をつかむ力が求められます。
03領域ごとの仕事の違い
同じコンサルタントでも、領域で中身が変わります。
| 領域 | 期間の目安 | 関わる相手 |
|---|---|---|
| 戦略 | 数か月の案件が中心のことが多い | 経営層 |
| 業務 | 数か月〜年単位 | 経営層から現場まで |
| IT・システム | 年単位の案件もある | 情報システム部門、現場 |
| データ | 案件による | 事業部門、情報システム部門 |
| 公共(シンクタンク) | 年度単位の調査が多い | 官公庁、自治体 |
実行まで担うかどうか
方針を描いて終わるのか、システムを入れ、業務を変えるところまで関わるのか——これが大きな違いです。
実行まで関わる領域では、IT・ソフトウェア業界と仕事が重なります。全体像はIT・ソフトウェア業界とは|全体像と分野の調べ方で整理しています。
シンクタンクは報告書が成果です
官公庁向けの調査では報告書が成果になります。根拠を示し、論を組み立てて書く作業が中心です。
研究で論文を書いた経験がある人には、進め方が近く感じられます。
データの領域が広がっています
分析の仕組みをつくる、データを使って施策を考える——統計・情報系の専門が直接生きる領域です。
領域別に募集されることがあります
会社によっては領域ごとに募集を分けます。募集要項の区分を確認してください。
04ケース面接という選考
この業界に特有の選考の形式です。
その場で課題が与えられ、考え方を口頭で組み立てて説明する形式が行われることがあります。
正解を当てる場ではありません
唯一の正解がある問題は多くありません。見られているのは考える過程です。
だから黙り込まずに、考えていることを声に出すことが大切だとよく言われます。
指摘されたら修正してよい
面接官から指摘が入ることがあります。これは議論の一部です。頑なに自説を守るより、受け止めて考え直すほうが自然です。
準備の仕方
身近な題材で「もし自分ならどう分けて考えるか」を練習しておくと、当日落ち着いて臨めます。
練習できる相手がいるなら、声に出して説明する練習をしてください。
会社によって形式が違います
ケース面接がない会社もあります。選考の流れは各社の採用ページで確認してください。
第2部 職種の選び方|選考・働き方・専攻
05働き方と評価
会社によって差が大きい部分です。
「激務」という言葉で判断しないでください
働き方は会社と案件によって差があります。近年は働き方の見直しに取り組む会社もあります。
本記事では特定の会社について判断していません。実際に働いている人に聞くのがいちばん確かです。
評価の仕組みを確認してください
役割の段階が定められ、一定の期間ごとに評価される仕組みが一般的です。昇進の考え方は会社によって違います。
研修の仕組みを見てください
入社後に分析や資料作成の基礎を学ぶ研修を用意している会社があります。未経験からどう育てるかは、会社の姿勢が表れる部分です。
案件の割り当て
どの案件に入るかは会社の割り当てで決まることがあります。希望がどの程度考慮されるかを聞いてください。
06専攻と職種の対応
専攻を問わない募集が多い業界です。
研究の進め方が直接生きます
問いを立て、資料を集め、根拠を示して論を組み立てる——研究でやってきたことと、この仕事の進め方は近い部分があります。
テーマが一致している必要はありません。進め方を説明できるかが重要です。
理系の専門が生きる案件があります
製造業、エネルギー、医療、データ——専門の知識が必要な案件があります。
データの領域は専門職があります
データサイエンティストやエンジニアを別枠で募集する会社があります。募集要項で確認してください。
学びの整理の仕方
何を調べ、どう詰まり、どう解いたか——この流れを言葉にしておいてください。整理の仕方は学生時代の経験の棚卸し|書き出す順番で扱っています。
07入社後の育ち方
短い期間で多くの経験が積み重なります。
案件ごとにテーマが変わります
数か月で別の業界、別の課題——幅広く触れることになります。
これを面白いと感じるか、腰を据えられないと感じるかは人によります。
レビューが育成の中心です
資料を見てもらい、指摘を受けて直す——この繰り返しで力がつきます。
指摘を前向きに受け止められるかが、伸び方に関わります。
専門を持つ道もあります
経験を重ねるうちに特定の業界や領域の専門を持つようになることがあります。会社によって進み方が違います。
人の動きについて
転職が多い業界だと言われますが、本記事では判断していません。その会社で何を身につけられるかを自分で確かめてください。
第3部 仕事内容の調べ方
08募集要項から仕事内容を読む
いちばん確実な情報源は、会社が出している募集要項です。
「若干名」「総合職」だけの募集もあります
仕事内容が抽象的にしか書かれていない場合、配属で決まる可能性が高くなります。その場合は説明会で具体的に聞いてください。
役割の段階が定められています
アナリスト、コンサルタント、マネージャー——段階によって役割が変わります。新卒はまず調査・分析・資料作成から始めるのが一般的です。
複数年分を見ると分かることがあります
去年と今年で募集する職種の区分が変わっていることがあります。会社の方針の変化が表れている場合があります。
募集要項の読み方は募集要項の読み方|見落としやすい項目を確認するで詳しく扱っています。
09社員インタビューの読み方
採用ページの社員紹介は、使い方を間違えなければ役に立ちます。
良い面が中心に書かれている前提で読む
採用ページは会社が伝えたいことを載せる場所です。厳しい面が書かれていないこともあります。
だから「何をしているか」という事実の部分を拾い、評価の言葉は割り引いて読んでください。
複数人を読み比べてください
1人だけだと、その人の特殊な経歴かもしれません。同じ職種の複数の人を読むと、共通する部分が見えます。
どの領域の人かを確認してください
戦略とITでは、案件の進み方も期間も違います。複数の領域の紹介を読むと、会社の幅が見えます。
載っていない職種にも注意
採用ページに紹介がない職種もあります。紹介がない=存在しないではありません。募集要項の職種欄で確認してください。
10一次資料から職種の手がかりを得る
採用向けではない資料にも、仕事の手がかりがあります。
| 資料 | 職種について分かること |
|---|---|
| 有価証券報告書「従業員の状況」 | セグメント別の従業員数。どの事業に人が多いか |
| 有価証券報告書「設備の状況」 | 事業所・工場の所在地。どこに職場があるか |
| 有価証券報告書「研究開発活動」 | 研究・開発がどの領域で行われているか |
| 中期経営計画 | これから人を増やす領域、力を入れる事業 |
| 統合報告書 | 人材の育成や働き方に関する考え方 |
従業員数は職種の規模を表します
セグメント別の従業員数を見ると、どの事業に人が多いかが分かります。人が多い事業には、その分職種も多くあります。
希望する職種が、会社の中でどれくらいの規模かを推測する材料になります。
公開レポートが最良の一次情報です
非上場の会社が多いため、会社サイトと公開レポートが主な情報源になります。扱うテーマと論の組み立て方が分かります。
中期経営計画に採用の方向が表れます
「この領域を強化する」と書かれていれば、その領域で人を必要としている可能性があります。
志望する職種と、会社が力を入れる方向が合っているかを確かめてください。
11OB・OG訪問で聞くこと
資料では分からないことを聞くための機会です。
「やりがい」は聞いても情報が少ない
抽象的な質問には抽象的な答えが返ります。具体的な事実を聞くほうが、判断の材料になります。
「昨日は何をしていましたか」くらい具体的でも構いません。
この業界で聞いておきたいこと
一日のうち資料作成に使う時間、案件の割り当てがどう決まるか、レビューで何を指摘されるか——このあたりは資料では分かりません。
複数の人に聞いてください
- 職種が同じでも、配属先や担当によって経験が違います。1人の話を全体だと思わないでください。
- 進め方はOB・OG訪問の依頼と当日|連絡からお礼までの流れで扱っています。
- 第4部 選考に向けて|志望職種と確認事項
12志望する職種をどう書くか
「職種が決まっていない」ままでも書けますが、材料は要ります。
| 書くときの材料 | どこから取るか |
|---|---|
| その職種が何をしているか | 募集要項、社員インタビュー、OB・OG訪問 |
| なぜその職種に関心があるか | 自分の経験と、職種の仕事の重なり |
| その会社でなければならない理由 | セグメント情報、中期経営計画、事業の特徴 |
| 入社後に何を学ぶ必要があるか | 募集要項の応募資格、研修の内容 |
職種名だけを書かないでください
「開発職を希望します」だけでは、その職種の何に関心があるのかが伝わりません。
仕事の中身のどの部分に関心があるかまで書いてください。
領域と役割を書いてください
戦略、業務、IT、データ、人事、公共——領域によって扱う課題が違います。
そのうえで、調べて整理することに関心があるのか、実行まで関わりたいのかを書き分けてください。
希望が変わることもあります
入社後に別の職種に関心が移ることもあります。それ自体は問題ではありません。ただし選考の時点では、いま考えていることを具体的に言えることが大切です。
志望理由の組み立ては志望理由が弱いと感じたら|足りない情報を埋めるで扱っています。
13配属はどう決まるか
ここを確認せずに入社すると、想像とずれます。
確認すべきこと
| 確認したいこと | どこで確認するか |
|---|---|
| 部門・領域の区分 | 募集要項の職種欄 |
| 客先での勤務の有無 | 説明会での質問 |
| 評価と昇進の仕組み | 説明会での質問 |
| 希望はどの程度考慮されるか | 説明会での質問 |
| 配属はいつ決まるか | 説明会での質問 |
| 入社後に職種を変える道があるか | 説明会での質問 |
聞いても失礼になりません
配属や勤務地は働き方の前提です。遠慮せず確認してください。曖昧なまま進めるほうが、お互いにとって良くありません。
案件の割り当ては会社が決めることがあります
関心のある業界に必ず入れるとは限りません。希望がどの程度考慮されるかを説明会で聞いてください。
最初の配属がすべてではありません
多くの会社では異動の機会があります。ただし、どの程度動けるかは会社によって違います。実際の例をOB・OG訪問で聞いてください。
14選考の時期と併願
職種によって、選考の進み方が違うことがあります。
選考の時期が早いことがあります
この業界では早い時期に選考が行われることがあります。部門別に募集される場合は、部門ごとに進み方も違います。
関心があるなら、早めに各社のサイトを確認してください。
締切は一覧で管理してください
職種別に応募すると、締切がばらばらになります。会社名、職種、応募した日、次の予定、締切をまとめておけば、出し忘れは防げます。
管理の仕方は選考管理の作り方|進み具合を一覧にするで扱っています。
15相談できる窓口
一人で抱えないでください。
ゼミの先輩が進んでいることがあります
ゼミの担当教員に聞くと、この業界に進んだ卒業生が見つかることがあります。ケース面接の進み方を聞ける相手です。
条件面で疑問があるとき
提示された条件に疑問があるとき、自分で判断せずに相談してください。労働局の総合労働相談コーナーは無料で、全国にあります(予約なしで利用できる場合があります)。法令の解釈が必要な場合は弁護士にご相談ください。
16よくある質問
新卒はどんな仕事から始めますか?
調査、分析、資料作成が中心です。資料を読み、データを集め、数字を整え、図表と文章にまとめます。作った資料は何度もレビューを受けて直します。「最初から経営者と議論する」ことは多くありません。
ケース面接とは何ですか?
その場で課題が与えられ、考え方を口頭で組み立てて説明する形式の選考です。唯一の正解を当てる場ではなく、課題の捉え方、論点の分け方、根拠のある前提の置き方、指摘を受けて修正できるかが見られます。黙り込まず、考えていることを声に出すことが大切だとよく言われます。会社によっては行われないこともあります。
戦略系と総合系(実行まで担う会社)はどう違いますか?
扱う範囲と期間が違います。戦略は全社や事業の方針を扱い、経営層が中心の相手になります。実行まで担う領域では、システムを入れ、業務を変えるところまで関わり、現場とも接します。期間も年単位になることがあります。
シンクタンクの仕事は何が違いますか?
官公庁などから受託する調査研究が柱で、成果物は報告書です。制度の検討支援や経済の調査を行います。根拠を示し論を組み立てて書く作業が中心で、研究で論文を書いた経験がある人には進め方が近く感じられます。
文系でも大丈夫ですか?
専攻を問わない募集が多い業界です。ただし数字を扱い、根拠を示して論を組み立てる必要があります。ゼミや研究で問いを立て、資料を集め、結論を導いた経験があるなら、それがそのまま材料になります。
理系でも入れますか?
入れます。データ分析やシステムに関わる職種があり、製造業・エネルギー・医療など専門の知識が必要な案件もあります。データサイエンティストやエンジニアを別枠で募集する会社もあります。
どの業界の案件に入れますか?
案件への割り当ては会社が決めることが多く、関心のある業界に必ず入れるとは限りません。希望がどの程度考慮されるかは説明会で聞いてよい質問です。逆に、案件ごとに業界が変わるため幅広く触れられるという面もあります。
客先で働くのですか?
案件によっては顧客の職場で働くことがあります。自社のオフィスに毎日通うとは限りません。会社と案件によるため、説明会で確認してください。
激務だと聞きますが本当ですか?
働き方は会社と案件によって差があり、本記事では特定の会社について判断していません。近年は働き方の見直しに取り組む会社もあります。勤務時間の仕組みは募集要項で確認し、実際のところは働いている人に聞くのが確かです。
未経験でもやっていけますか?
新卒は基礎から始めるのが一般的で、入社後の研修を用意している会社もあります。研修の内容と期間は採用ページで確認してください。なお、指摘を受けて直すことが日常的にあるため、フィードバックを受け止められるかが働きやすさに関わります。
データサイエンティストとして入れますか?
別枠で募集する会社があります。データの分析や予測の仕組みづくりを担う職種で、統計・情報系の専門が直接生きます。募集要項の区分と応募資格を確認してください。
まず何から調べればいいですか?
志望する会社の公開レポートを2〜3本読むのが早道です。扱うテーマと論の組み立て方が具体的に分かります。非上場の会社が多いため、会社サイトと採用ページも主要な情報源になります。
17まとめ|調べて整理する仕事から始まります
この業界の職種は「役割の段階」と「領域」で決まります。
- 新卒は調査・分析・資料作成から始めます。ここで基礎を身につけます。
- 「直す」時間が長い仕事です。レビューを受けて書き直すことが日常的にあります。
- 領域で仕事が変わります。戦略、業務、IT、データ、人事、公共——期間も相手も違います。
- シンクタンクは報告書が成果です。官公庁向けの調査研究が柱になります。
- ケース面接では考える過程が見られます。正解を当てる場ではありません。
- 研究の進め方が直接生きます。問いを立て、根拠を集め、論を組み立てる——同じ進め方です。
最後に。職種の名称や区分は会社によって異なり、組織の再編も比較的多い業界です。働き方や処遇は会社によって大きく異なるため、各社の募集要項と説明会でご確認ください。
・コンサル・シンクタンク業界とは|全体像と分野の調べ方
・IT・ソフトウェア業界とは|全体像と分野の調べ方
・商社業界とは|全体像と分野の調べ方
・募集要項の読み方|見落としやすい項目を確認する
・会社の調べ方|採用ページ以外から情報を取る方法
・就活・キャリアの記事一覧