就活・キャリア 更新 2026.09.23 この記事にはPRを含みます

半導体業界とは|全体像と分野の調べ方

結論

半導体業界は5つの層でできています。①設計(ルネサス・ソシオネクスト)、②製造(キオクシア・ソニーセミコンダクタ)、③後工程(組立・検査)、④製造装置(東京エレクトロン・アドバンテスト・ディスコ)、⑤材料(信越化学・SUMCO・東京応化工業)。日本の会社が多いのは④と⑤です。「半導体をやりたい」と思ったとき、志望先の大半はこの2つの層にあります。まずどの層に関心があるかを決…

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40章見出し
CCampi編集部(執筆)・公開 2026.09.23
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半導体をつくる会社は、日本にほとんどありません。

正確に言えば、「最先端のチップそのものをつくる会社」が少ない、ということです。

その代わり、日本にはチップをつくる装置と材料の会社が数多くあります。半導体業界を志望するなら、ここを知らないと選択肢の大半を見落とします。

この記事では、半導体業界を5つの層に分けたうえで、職種、勤務地、年収の調べ方、志望動機の材料、選考での確認事項まで通しで整理します。

この記事について:出てくる社名は「その層にこういう会社がある」という例で、順位付けでも推奨でもありません。売上・シェア・年収などの数値は書いていません——代わりに、自分で調べる方法を23章以降で説明します。(詳しい注記は記事の最後にあります)

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業界の地図|5つの…半導体とは何か|3…チップができるま…①設計の会社(ファ…②製造の会社(前工…この記事

この記事の流れ

半導体業界とは

半導体業界は5つの層でできています。

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日本の会社が多いのは④と⑤ですニュースで名前を聞くのは①や②の会社かもしれません。
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層が違えば別の業界だと思ってください同じ「半導体業界」でも、①設計の会社と⑤材料の会社では、求められる専攻も…

業界の地図|5つの層

まずこの図を頭に入れてください。

ニュースで名前を聞くのは①や②の会社かもしれません。しかし日本の上場企業の顔ぶれを見ると、④製造装置と⑤材料の層が厚いという特徴があります。これは志望先の数に直結します。

1
チップの役割は大きく3つです
2
どこに使われているかスマートフォンやパソコンだけではありません。

半導体とは何か|3つの役割で整理する

「半導体」という言葉は、2つの意味で使われます。

就活で「半導体業界」と言うときは、後者(製品としての半導体)をつくる・支える産業を指します。この3分類は、会社を見るときの最初のふるいになります。

1
「前工程」「後工程」は必ず出てくる言葉です前工程=ウエハに回路をつくるまで。後工程=ウエハを切って製品の形にするまで。
2
工程ごとに専用の装置と材料が要ります前工程だけでも、膜をつける、パターンを焼く、削る、洗う、不純物を入れる——…

チップができるまでの流れ

順番を知っておくと、会社の位置が分かります。

前工程=ウエハに回路をつくるまで。後工程=ウエハを切って製品の形にするまで。この区別は業界の共通語です。説明会でも採用ページでも前提として使われるので、覚えておいてください。

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ファブレスという働き方ファブ=工場。ファブレス=工場を持たない会社です。
2
設計の仕事に就くには回路設計は電気電子・情報系の専攻と結びつきやすい職種です。

①設計の会社(ファブレスを含む)

チップの中身を決める層です。

回路をどう組むか、何を計算させるか、消費電力をどこまで下げるか——製品の性格はここで決まります。ファブ=工場。ファブレス=工場を持たない会社です。設計に集中し、製造はファウンドリ(製造受託の会社)に任せます。

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製品分野で会社が分かれます
2
パワー半導体は別枠で見てください計算するチップとは求められるものが違います。
3
工場のある場所を確認してください前工程の工場は地方に立地していることが多いという特徴があります。

②製造の会社(前工程)

ウエハに回路を作り込む層です。

ここが半導体産業でいちばん設備投資の大きい部分です。工場(ファブ)の建設には長い時間と大きな投資がかかります。計算するチップとは求められるものが違います。

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まずこの図を頭に入れてください。業界の地図|5つの層
2
「半導体」という言葉は、2つの意味で使われます。半導体とは何か|3つの役割で整理する
3
順番を知っておくと、会社の位置が分かります。チップができるまでの流れ
4
チップの中身を決める層です。①設計の会社(ファブレスを含む)

まとめ

この記事の要点

①設計(ルネサス・ソシオネクスト)、②製造(キオクシア・ソニーセミコンダクタ)、③後工程(組立・検査)、④製造装置(東京エレクトロン・アドバンテスト・ディスコ)、⑤材料(信越化学・SUMCO・東京応…

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この記事の内容

第1部 どんな会社があるか|半導体の5つの層

  1. 業界の地図|5つの層
  2. 半導体とは何か|3つの役割で整理する
  3. チップができるまでの流れ
  4. ①設計の会社(ファブレスを含む)
  5. ②製造の会社(前工程)
  6. 水平分業と垂直統合|4つの言葉
  7. ③後工程の会社
  8. ④製造装置メーカー|日本の主戦場
  9. ⑤材料メーカー|化学系の主戦場
  10. 商社・代理店という関わり方
  11. 「顧客が誰か」で会社を見分ける
  12. 日本の会社が強い場所を地図で押さえる
  13. 工場(ファブ)で働くということ
  14. グループ関係・合弁の見方
  15. どの大学から何人入っているか

第2部 どんな仕事があるか|職種と働く場所

  1. 職種の全体像
  2. 専攻と職種の関係
  3. フィールドエンジニアという仕事
  4. 勤務地と配属
  5. 海外で働く道
  6. 品質保証・信頼性という仕事
  7. プロセス開発と生産技術の違い

第3部 自分で調べる|一次資料と年収

  1. 年収を自分で調べる方法
  2. 有価証券報告書の使い方
  3. 決算説明資料・中期経営計画
  4. 業界団体と官庁の資料
  5. 会社の一覧をつくる3つの方法
  6. 業界用語|最低限これだけ
  7. 「シリコンサイクル」という言葉の扱い方
  8. 「最先端」という言葉に引っぱられない

第4部 選考に向けて|志望動機と確認事項

  1. インターンシップの探し方
  2. 志望動機の材料を集める
  3. 選考で確認すること
  4. 選考の時期の考え方
  5. 向き不向きの考え方
  6. 他の業界と迷ったとき
  7. やらない方がいいこと
  8. 相談できる窓口
  9. よくある質問
  10. まとめ|層を決めてから、会社を探す

第1部 どんな会社があるか|半導体の5つの層

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01業界の地図|5つの層

まずこの図を頭に入れてください。

①設計(どんな回路にするか)設計図をわたす②製造(前工程・ウエハ)ウエハをわたす③後工程(切る・つなぐ・検査)この3つを支えるのが④製造装置メーカー⑤材料メーカー日本の会社が多いのは④と⑤

半導体業界の5つの層。①〜③がチップをつくる流れ、④⑤がそれを支える。

層 何をする会社か 例
①設計 チップの回路を設計する ルネサスエレクトロニクス、ソシオネクスト、メガチップス
②製造(前工程) シリコンウエハに回路を作り込む キオクシア、ソニーセミコンダクタソリューションズ、ローム、三菱電機、富士電機
③後工程 切り分け、封止し、検査して出荷する アオイ電子、各社の自社工場、パッケージ基板のイビデン・新光電気工業
④製造装置 ①〜③で使う装置をつくる 東京エレクトロン、アドバンテスト、SCREENホールディングス、ディスコ、日立ハイテク、レーザーテック
⑤材料 ウエハ、薬液、ガス、基板などを供給する 信越化学工業、SUMCO、東京応化工業、JSR、レゾナック、住友化学

日本の会社が多いのは④と⑤です

ニュースで名前を聞くのは①や②の会社かもしれません。しかし日本の上場企業の顔ぶれを見ると、④製造装置と⑤材料の層が厚いという特徴があります。

これは志望先の数に直結します。「半導体をやりたい」と言ったときの現実的な選択肢の多くは、装置と材料の会社にあるということです。

そして装置・材料の会社は、消費者に製品を売りません。だから名前を知らないまま就活を終える学生が多い——これが半導体業界のいちばんもったいないところです。

層が違えば別の業界だと思ってください

同じ「半導体業界」でも、①設計の会社と⑤材料の会社では、求められる専攻も、働く場所も、日々の仕事も違います。電気電子の学生が材料メーカーで、化学の学生が装置メーカーで働くこともあります。

だから最初にやるべきなのは、「半導体業界を受ける」と決めることではなく、「どの層を受けるか」を決めることです。

02半導体とは何か|3つの役割で整理する

「半導体」という言葉は、2つの意味で使われます。

1材料としての半導体電気を通したり通さなかったりする物質(シリコンなど)
2製品としての半導体その性質を利用してつくった部品。IC、チップとも呼ばれる

就活で「半導体業界」と言うときは、後者(製品としての半導体)をつくる・支える産業を指します。

チップの役割は大きく3つです

役割 何をするか 製品の呼び名
計算する 命令を処理する、判断する ロジック、マイコン、プロセッサ
記憶する データを保存する、一時的に置く メモリ(NAND、DRAM)
電気を扱う・感じ取る 電圧や電流を変える、光や動きを信号に変える パワー半導体、アナログ、センサ、イメージセンサ

この3分類は、会社を見るときの最初のふるいになります。同じ半導体メーカーでも、記憶を担う会社と、電気を扱う会社では、顧客も競争の仕方も違うからです。

どこに使われているか

スマートフォンやパソコンだけではありません。自動車、家電、産業機械、通信基地局、医療機器、鉄道、発電設備——電気で動くものには、ほぼ何らかのチップが入っています。

この「どこにでも入っている」という性質が、半導体業界の特徴をつくっています。顧客が特定の業界に限られないので、幅広い産業の動きに関わることになります。自動車業界の全体像は自動車業界とは|全体像と分野の調べ方で整理しているので、車載向けに関心があるなら併せて読んでください。

03チップができるまでの流れ

順番を知っておくと、会社の位置が分かります。

順番 工程 やること
1 設計 どんな回路にするかを決め、設計図(レイアウト)をつくる
2 マスク製作 回路のパターンを焼き付けるための原版をつくる
3 前工程 シリコンウエハの上に、回路を何層にも重ねて作り込む
4 検査(ウエハ) ウエハの状態で電気的に良品・不良品を判定する
5 後工程 ウエハを切り分け、端子をつなぎ、樹脂などで封止する
6 最終検査 製品として動くかを試験し、出荷する

「前工程」「後工程」は必ず出てくる言葉です

前工程=ウエハに回路をつくるまで。後工程=ウエハを切って製品の形にするまで。この区別は業界の共通語です。説明会でも採用ページでも前提として使われるので、覚えておいてください。

装置メーカーも材料メーカーも、前工程向けか後工程向けかで会社が分かれます。「どの工程に使われる装置か」を見ると、その会社の顧客が見えてきます。

工程ごとに専用の装置と材料が要ります

前工程だけでも、膜をつける、パターンを焼く、削る、洗う、不純物を入れる——といった作業が何百回も繰り返されます。その一つひとつに専用の装置と専用の薬液があります。

だから装置メーカーも材料メーカーも、「特定の工程に強い会社」という形で分かれているのが普通です。会社の説明を読むときは、まずどの工程の会社かを確かめてください。

04①設計の会社(ファブレスを含む)

チップの中身を決める層です。

回路をどう組むか、何を計算させるか、消費電力をどこまで下げるか——製品の性格はここで決まります。

分類 特徴 例
設計と製造の両方を持つ(IDM) 自社の工場でつくる ルネサスエレクトロニクス、ローム、東芝デバイス&ストレージ
設計に特化(ファブレス) 工場を持たず、製造は外部に委託する ソシオネクスト、メガチップス
回路の部品を提供(IP) 設計に使う回路そのものを供給する Arm(英)など海外勢が中心
設計ツール(EDA) 設計や検証に使うソフトを提供する シノプシス、ケイデンス(いずれも米)

ファブレスという働き方

ファブ=工場。ファブレス=工場を持たない会社です。設計に集中し、製造はファウンドリ(製造受託の会社)に任せます。

工場を持たないぶん設備投資の負担が小さく、少人数でも成り立ちます。そのかわり製造の能力を自社で確保できないため、委託先との関係が重要になります。

設計の仕事に就くには

回路設計は電気電子・情報系の専攻と結びつきやすい職種です。ただし設計といっても、アナログ回路、デジタル回路、検証、レイアウト、ソフト(ファームウェア)と細かく分かれます。

どこまで細かい募集をしているかは会社によります。募集要項に職種の区分がどこまで書かれているかを見ると、入社後の配属の決まり方が推測できます。読み方は募集要項の読み方|見落としやすい項目を確認するで扱っています。

05②製造の会社(前工程)

ウエハに回路を作り込む層です。

ここが半導体産業でいちばん設備投資の大きい部分です。工場(ファブ)の建設には長い時間と大きな投資がかかります。

分類 意味 例
IDM 設計から製造まで自社で一貫して行う キオクシア、ソニーセミコンダクタソリューションズ、ローム、三菱電機、富士電機、東芝デバイス&ストレージ
ファウンドリ 他社から設計を受け取って製造だけを請け負う TSMC(台)、JASM(熊本)、ラピダス(北海道千歳で工場を建設中)

製品分野で会社が分かれます

分野 主な用途 手がける会社の例
メモリ データの保存・一時記憶 キオクシア
イメージセンサ カメラ、スマートフォン、車載カメラ ソニーセミコンダクタソリューションズ
マイコン・車載 自動車、産業機器の制御 ルネサスエレクトロニクス
パワー半導体 電気自動車、鉄道、産業機器、再生可能エネルギー ローム、三菱電機、富士電機、東芝デバイス&ストレージ

パワー半導体は別枠で見てください

計算するチップとは求められるものが違います。大きな電力を効率よく扱うことが目的で、微細化の競争とは軸が別です。

この分野は総合電機メーカーの事業の一部として手がけられていることが多く、「半導体メーカー」として探すと見つからないことがあります。電機業界の全体像は電機・電子業界とは|全体像と分野の調べ方で整理しています。

工場のある場所を確認してください

前工程の工場は地方に立地していることが多いという特徴があります。水や電力、広い用地が必要だからです。配属先の候補として、どこに工場があるかは必ず確認してください。確認方法は24章で説明します。

06水平分業と垂直統合|4つの言葉

この4語が読めれば、会社の位置が分かります。

言葉 意味 持っているもの
IDM 設計も製造も自社で行う 設計部門+工場
ファブレス 設計だけを行う 設計部門のみ
ファウンドリ 製造だけを請け負う 工場のみ
OSAT 後工程(組立・検査)を請け負う 後工程の工場

かつては1社が設計から製造まで抱えるのが当たり前でした。いまは工程ごとに専門の会社が分かれる形(水平分業)が広がっています。

日本にはIDMが比較的多く残っています

パワー半導体やイメージセンサ、マイコンのように、製造の作り込みが性能に直結する製品では、設計と製造を分けにくい面があります。そうした分野では、いまも自社工場を持つ形が選ばれています。

就活での意味

その会社が工場を持つかどうかで、募集される職種の種類が変わります。工場を持つ会社にはプロセス開発・生産技術・設備保全といった職種があり、ファブレスにはありません。

「どの職種で入れるか」を知りたいなら、会社の形(IDMかファブレスか)を先に確かめるのが早道です。

07③後工程の会社

目立ちませんが、人手と技術の要る工程です。

回路が作り込まれたウエハを、切り分け、配線でつなぎ、樹脂などで封止して、検査する——ここまでやって、ようやく製品の形になります。

工程 やること 関わる会社の例
ダイシング ウエハをチップ単位に切り分ける ディスコ、東京精密(装置)
ボンディング チップと端子を電気的につなぐ 装置メーカー各社
封止 樹脂などで包んで保護する 住友ベークライト、レゾナック(材料)
パッケージ基板 チップを載せる土台をつくる イビデン、新光電気工業
検査 製品として動くかを確かめる アドバンテスト、東京精密(装置)

後工程の重要性が上がっています

回路を細かくする競争が難しくなるにつれ、複数のチップを1つのパッケージにまとめて性能を上げるという考え方が広がっています。

つまり「どう組み合わせるか」で性能が変わるということです。この流れは、後工程の装置・材料・基板の会社にとって仕事の幅が広がる方向に働きます。

なお、これは業界で語られている方向性であって、個別の会社の業績や採用がどうなるかを示すものではありません。会社ごとの方針は、各社の中期経営計画で確認してください。

08④製造装置メーカー|日本の主戦場

半導体をつくる装置をつくる会社です。

顧客は半導体メーカーやファウンドリ。つまり企業向け(BtoB)で、消費者に製品を売ることはありません。

装置の種類 何をする装置か 手がける会社の例
成膜 ウエハの上に薄い膜をつける 東京エレクトロン、国際電気
露光 回路のパターンを焼き付ける ニコン、キヤノン(国内)、ASML(蘭)
エッチング 不要な部分を削り取る 東京エレクトロン
洗浄 汚れや残りかすを取り除く SCREENホールディングス
研磨 表面を平らにする 荏原製作所
切断・研削 ウエハを削る、切り分ける ディスコ
検査・計測 欠陥を見つける、電気的に試験する アドバンテスト、レーザーテック、日立ハイテク、東京精密

装置メーカーの仕事の特徴

装置は1台ごとに顧客の要求に合わせて調整されます。納入して終わりではなく、立ち上げ、調整、保守、改善が続きます。

顧客の工場は世界中にあるため、フィールドエンジニア(顧客先で装置を立ち上げ・保守する職種)は海外出張・海外駐在の機会が多い職種です。

「装置」と一口に言わないでください

上の表のとおり、会社ごとに得意な工程が違います。志望動機で「御社の装置に興味があります」とだけ書くと、どの工程の話かが伝わりません。

その会社がどの工程の装置を手がけているかを採用ページと有価証券報告書で確かめ、そのうえで書いてください。

09⑤材料メーカー|化学系の主戦場

チップの材料をつくる会社です。

ここは化学メーカーの事業の一部であることが多く、「半導体業界」として探すと見つけにくい層です。

材料 何に使うか 手がける会社の例
シリコンウエハ 回路を作り込む土台となる円盤 信越化学工業、SUMCO
フォトレジスト パターンを焼き付けるための感光材 東京応化工業、JSR、信越化学工業、住友化学、富士フイルム
薬液・ガス 削る、洗う、膜をつける ステラケミファ、関東電化工業、大陽日酸
研磨材 表面を平らにする フジミインコーポレーテッド
封止材・基板材料 チップを保護する、載せる 住友ベークライト、レゾナック、味の素

食品や写真の会社が出てくる理由

表に味の素や富士フイルムが出てくるのを不思議に思うかもしれません。これは長年培った化学の技術を、半導体向けに応用しているためです。

会社のイメージと事業の中身は一致しません。「この会社は何をしているか」は、社名ではなく有価証券報告書のセグメント情報で確かめる——これは電機業界と同じです。

化学・材料系の学生へ

「半導体に関わりたいが、電気は専門ではない」という場合、⑤材料の層はまっすぐ専攻が生きる場所です。高分子、無機化学、分析、プロセス工学——いずれも材料メーカーの募集で挙げられることのある領域です。

どの専攻をどの職種で募集しているかは会社ごとに違うので、各社の募集要項で確認してください。

10商社・代理店という関わり方

半導体は、メーカーから直接買うとは限りません。

チップや装置、材料を仕入れて売る会社(エレクトロニクス商社)があります。技術的な提案や在庫の調整、海外メーカーの国内での窓口も担います。

役割 やること 会社の例
技術商社 顧客の設計を聞き、使えるチップを提案する マクニカ、加賀電子、リョーサン菱洋ホールディングス
装置・材料の販売 海外メーカー品の国内販売と保守 各社

文系から半導体に関わる入り口

技術商社の営業は理系出身者が多い職種ですが、会社によっては文系からの採用もあります。また、メーカー側にも営業、調達、知的財産、経理、人事といった職種があります。

「半導体=理系だけ」ではありません。ただし製品の話が通じないと仕事にならないため、入社後に技術を学ぶ姿勢は求められます。研修の内容は募集要項や採用ページで確認してください。

商社を見るときの注意

エレクトロニクス商社は扱う商材で性格が変わります。特定メーカーの製品を主に扱う会社と、幅広く扱う会社では、仕事の進め方が違います。

有価証券報告書の「事業の内容」に、どんな商材を扱っているかが書かれています。

11「顧客が誰か」で会社を見分ける

この業界は、売る相手がほぼ企業です。

だから顧客が誰かを知ると、その会社の仕事の進み方が見えてきます。

層 主な顧客 仕事の進み方の特徴
①設計 機器メーカー、自動車メーカーなど 顧客の製品に合わせて仕様を決める
②製造 機器メーカー、商社 長期の供給計画を立てて量産する
③後工程 半導体メーカー 受託が中心。納期と歩留まりが要求される
④製造装置 半導体メーカー、ファウンドリ 顧客の工場に入り込んで立ち上げる
⑤材料 半導体メーカー、装置メーカー 顧客の工程に合わせて配合・仕様を作り込む

顧客の数が少ないという性質

装置や材料の会社では、顧客が世界でも限られた数社ということがあります。1件の取引が大きく、顧客との関係が長く続きます。

これは働き方に直結します。顧客の担当者と何年も付き合う、顧客の工場に通う、顧客の生産計画に合わせて動く——こうした仕事の進み方になります。

「事業等のリスク」に書かれています

顧客が特定の会社に偏っているかどうかは、有価証券報告書の「事業等のリスク」に会社自身が書いていることがあります。「特定の顧客への依存」といった項目です。

これは良し悪しの話ではなく、仕事の性質を知るための情報として読んでください。顧客が集中する会社では、1社との関係づくりが仕事の中心になります。

最終製品まで辿ってみてください

自分が関わる製品が最終的に何に使われるかを1つ言えるようにしておくと、志望動機にも面接の受け答えにも使えます。会社の製品紹介ページに、用途の例が載っていることが多くあります。

12日本の会社が強い場所を地図で押さえる

層ごとに、国内企業の存在感は違います。

層 国内企業の状況
①設計 マイコン・車載など特定分野で国内企業が事業を持つ
②製造 メモリ、イメージセンサ、パワー半導体など分野を絞って国内企業が手がける
③後工程 基板・封止材の分野で国内企業が関わる
④製造装置 多くの工程で国内企業が事業を展開している
⑤材料 多くの品目で国内企業が事業を展開している

この表は「どこに国内企業の求人があるか」の地図として使ってください。シェアや順位を示すものではありません。

なぜこの形になっているか

装置と材料は長い時間をかけて顧客と作り込む性質があります。工程が変われば装置も材料も変える必要があり、顧客と一緒に開発する関係が続きます。

この「顧客と一緒に作り込む」やり方は、就活でも意味を持ちます。顧客先に足を運ぶ仕事が多いということだからです。

国内の新しい工場の動き

近年、国内に新しい半導体工場を建てる動きがあります。熊本のJASM、北海道千歳のラピダスなどが報じられています。

ただし工場の計画と採用の計画は別物です。「工場ができるから採用が増える」と決めつけず、各社の採用ページで実際の募集を確認してください。

13工場(ファブ)で働くということ

半導体の工場は、一般的な工場とは様子が違います。

1クリーンルームほこりを嫌うため、専用の衣服を着て入る区域がある
2装置が主役人が手で加工するのではなく、装置を管理する仕事が中心
3連続運転装置を止めない運用のため、交代勤務が組まれる職場がある
4立地水・電力・用地の条件から、地方に立地することが多い

交代勤務の有無は必ず確認してください

すべての職種が交代勤務になるわけではありません。職種と配属先によります。

これは生活に直結する条件です。募集要項の「勤務時間」「シフト」の欄に記載があることが多いので、応募前に確認してください。記載がなければ、説明会や面接で聞いて構いません。

クリーンルームの環境

専用の衣服を着るため、化粧や持ち込み物に制限がある職場があります。入退室の手順も決まっています。

これは慣れの問題でもありますが、事前に知っているかどうかで入社後の印象が変わります。工場見学の機会があれば、実際に見ておくことをおすすめします。

工場がどこにあるかの調べ方

有価証券報告書の【事業の状況】のあとにある「設備の状況」に、主要な事業所の所在地が一覧で載っています。読み方は24章で説明します。

14グループ関係・合弁の見方

半導体の会社は、資本関係が入り組んでいます。

親会社の一部門だった事業が独立した会社、複数社の出資でできた会社、海外企業の日本法人——さまざまな形があります。

1親会社・主要株主はどこか有価証券報告書【企業の概況】、会社サイトの会社概要
2子会社・関連会社はどこか有価証券報告書「関係会社の状況」
3採用は親会社と別か各社の採用ページ(採用の主体がどの法人か)

採用の主体を確認してください

グループ企業では、親会社が一括採用して配属で子会社に行く形と、子会社が独自に採用する形があります。どちらかで応募先も選考も変わります。

採用ページの会社名、募集要項の「雇用元」の記載を確かめてください。分からなければ確認して構いません。

沿革は志望動機の材料になります

会社サイトの「沿革」には、どの事業がいつ始まり、どこと統合したかが書かれています。半導体の会社は再編を経ていることが多いため、沿革を読むといまの事業構成の理由が分かります。

会社の調べ方全般は会社の調べ方|採用ページ以外から情報を取る方法で扱っています。

15どの大学から何人入っているか

これは公表されている場合があります。

1大学の就職実績自分の大学から、どの会社に何人就職しているか
2学部・研究科ごとの進路資料専攻別の進路先。理系は研究科単位で出ることが多い
3キャリアセンターの資料過去の応募状況、OB・OG名簿

大学の就職実績は大学サイトの「就職・進路」に掲載されていることが多く、学部別・企業別に出している大学もあります。

この数字の使い方

「この大学からは入れる/入れない」という判断には使わないでください。年度によって変わりますし、人数は採用の規模にも左右されます。

使い道は別にあります。OB・OGがいるかを確かめる材料です。実績のある会社なら、キャリアセンター経由で話を聞ける可能性があります。

OB・OG訪問の進め方はOB・OG訪問の依頼と当日|連絡からお礼までの流れで扱っています。

研究室のつながりも見てください

理系では、研究室に企業から直接インターンや採用の案内が来ることがあります。指導教員や先輩に、過去の進路を聞いてみてください。

半導体関連は研究分野と企業の対応がはっきりしていることが多く、研究テーマがそのまま志望先の手がかりになります。

第2部 どんな仕事があるか|職種と働く場所

16職種の全体像

層によって、ある職種とない職種があります。

職種 やること 主にある層
回路設計 チップの回路を設計する ①設計
プロセス開発 回路を作り込む手順と条件をつくる ②製造
デバイス開発 素子そのものの構造・特性を設計する ①②
生産技術 量産できる形に整え、条件を安定させる ②③
設備技術・保全 工場の装置を立ち上げ、維持する ②③
装置開発 装置の機構・制御・ソフトを設計する ④装置
フィールドエンジニア 顧客の工場で装置を立ち上げ・保守する ④装置
材料開発 薬液・膜・基板材料を開発する ⑤材料
分析・評価 不具合の原因を突き止める、特性を測る ②④⑤
品質保証 基準を決め、出荷の可否を判断する 全層
技術営業 顧客の要求を聞き、製品を提案する 全層
調達 部材・装置を調達し、供給を確保する 全層
知的財産 特許の出願・管理・調査を行う 全層

募集の区分は会社ごとに違います

上の表は仕事の中身で分けた整理です。実際の募集では「技術職」「研究開発職」のようにまとめて募集し、配属で分かれる会社もあります。

どちらの形かは募集要項の職種欄を見れば分かります。職種別採用なら入社時点で仕事が決まり、一括採用なら配属で決まります。

「設計」だけが技術職ではありません

半導体はつくれて初めて製品になる産業です。設計と同じかそれ以上に、プロセス開発・生産技術・設備技術の人数が必要とされます。

設計だけを見て「自分には無理だ」と判断する前に、つくる側の職種を見てください。

17専攻と職種の関係

半導体は、専攻の幅が広い産業です。

1電気・電子回路設計、デバイス開発、評価、装置の制御設計
2物理・応用物理デバイス開発、プロセス開発、分析・評価
3化学・応用化学材料開発、プロセス開発、薬液・洗浄
4材料・金属材料開発、ウエハ、基板、封止材
5機械装置開発(機構設計)、生産技術、設備技術
6情報・計算機設計支援、装置のソフト、データ解析、検査の自動化
7数学・統計歩留まり解析、品質のデータ分析
8文系営業、調達、人事、経理、法務、知財(実務の担当)

専攻が違っても入り口はあります

「半導体をやるなら電気電子でなければ」と思われがちですが、④装置は機械系、⑤材料は化学系がまっすぐつながります。

逆に言うと、自分の専攻が生きる層を選ばずに業界だけで絞ると、うまくはまりません。層を選んでから会社を探してください。

研究テーマは一致しなくて構いません

研究内容がそのまま製品につながる人は多くありません。会社が見ているのはどう課題を立て、どう確かめたかという進め方であることが一般的です。

研究の整理の仕方は学生時代の経験の棚卸し|書き出す順番で扱っています。

学部卒と修士卒

技術系では修士以上を対象とする募集がある一方、学部卒を対象とする募集もあります。応募資格は募集要項に書かれているので、思い込みで諦めず、該当する募集を探してください。

18フィールドエンジニアという仕事

装置メーカーに特有の職種です。

装置を納めた顧客の工場に出向いて、据え付け、立ち上げ、調整、保守、改善までを担当します。カスタマーエンジニア、サービスエンジニアなどとも呼ばれます。

1働く場所顧客の工場。国内・海外の両方がある
2関わる相手顧客の技術者と日常的にやりとりする
3身につくこと装置と工程の実地の知識、顧客の現場感覚
4確認すべき点出張・駐在の頻度、勤務時間、交代勤務の有無

海外に出る機会の多い職種です

顧客の工場は世界中にあります。若いうちから海外に出る機会があることを採用ページで挙げている会社があります。

これは魅力でもあり、生活面の条件でもあります。どのくらいの期間、どの国に行く可能性があるかは、説明会で聞いてよい質問です。

向き不向きの見方

装置を自分の手で動かし、目の前で直したい人には合います。一方、顧客の生産を止めないという緊張感がある仕事でもあります。

これは良い悪いではなく、性格の問題です。実際に働いている人に一日の流れを聞くのが確実です。

19勤務地と配属

半導体は、勤務地が生活を大きく左右する業界です。

1②製造(工場)工場のある地域。地方に立地することが多い
2④装置(開発)開発拠点・製造拠点。地方にある場合も多い
3④装置(フィールド)顧客の工場の近く。海外赴任の可能性がある
4⑤材料(研究所・工場)研究所と工場。化学工場の立地に準じる
5①設計・本社機能都市部の拠点であることが多い

確認の手順

ステップは3つです。

①有価証券報告書の「設備の状況」で主要事業所の所在地を見る。②採用ページの「勤務地」欄を見る。③募集要項の転勤の有無を見る。

この3つを確認すれば、どこで働く可能性があるかはおおむね把握できます。記載がない場合は、説明会や面接で確認してください。

配属の決まり方

職種別採用なら入社時点で仕事が決まります。一括採用の場合は、研修後に配属が決まるのが一般的です。

配属の希望がどの程度考慮されるかは会社によります。「希望を出す機会があるか」「配属はいつ決まるか」は、面接で聞いても問題のない質問です。

寮・社宅の有無も見てください

地方の工場に配属される可能性がある場合、寮や社宅の有無、家賃補助の条件は生活費に直結します。福利厚生のページや募集要項に記載があることがあります。

20海外で働く道

半導体は、顧客も競争相手も国外にいる産業です。

1顧客先での立ち上げ装置メーカーのフィールドエンジニアなど
2海外拠点の駐在販売・サービス・生産の拠点に赴任する
3海外の開発との連携日本にいながら海外の拠点とやりとりする
4海外の展示会・学会技術の動向を見に行く、発表する

英語はどの程度必要か

職種によります。顧客や拠点とやりとりする職種では日常的に使い、国内の開発に閉じた職種では使う機会が限られる——これが一般的な傾向です。

ただし会社ごとに事情が違います。採用ページに語学の目安が書かれている場合は、それが実態に近いと考えてよいでしょう。記載がなければ説明会で聞いてください。

拠点の場所を確認する方法

会社サイトの「拠点一覧」「グローバルネットワーク」に、どの国にどんな機能の拠点があるか(販売か、生産か、開発か)まで書かれていることがあります。

機能まで分かると、自分の職種で海外に行く可能性があるかの見当がつきます。

21品質保証・信頼性という仕事

半導体では、この職種の重みが大きくなります。

チップは自動車や医療機器のように、止まると困るものにも組み込まれます。そのため「どういう条件でどれだけ動き続けるか」を保証する仕事が必要になります。

1信頼性試験高温・低温・湿度・振動などの条件で動作を確かめる
2不良解析不具合が起きたとき、原因の場所と理由を突き止める
3基準づくり出荷の可否を決める基準を定める
4顧客対応顧客から指摘を受けたときに調査し、説明する

地味に見えて、技術の中心にあります

不良解析は物理・化学・電気の知識を総動員する仕事です。見えない場所で何が起きたかを、測定と推論で突き止めます。

研究で「原因が分からない現象を追いかけた経験」がある人は、その経験がそのまま材料になります。

車載向けは要求が別格です

自動車に載るチップには、専用の規格に沿った評価が求められます。要求の厳しさは製品分野によって違うので、その会社がどの分野向けに出荷しているかを先に確認してください。

22プロセス開発と生産技術の違い

名前が似ていて、混同されやすい職種です。

プロセス開発 生産技術
目的 新しい工程・条件をつくる つくった工程を量産で安定させる
時間軸 製品が世に出る前 量産の立ち上げから継続的に
主な相手 デバイス開発、装置・材料メーカー 製造現場、設備、品質保証
成果の見え方 目標の特性が出せたか 歩留まり・稼働率・コストが改善したか

どちらも「条件を詰める」仕事です

半導体の工程は、温度、時間、ガスの流量、薬液の濃度——といった条件の組み合わせで結果が変わります。条件を変えて試し、結果を測り、次を決めるという進め方はどちらも同じです。

違うのは何を目標に置くかです。プロセス開発は「できるか」を、生産技術は「安定してつくり続けられるか」を追います。

研究との近さ

大学で実験条件を振って特性を評価した経験がある人は、どちらの職種でも進め方が近いと感じるはずです。

研究テーマそのものが半導体でなくても構いません。条件を設計し、測り、原因を考えて次を決めた経験が材料になります。

募集ではまとめられていることがあります

会社によっては、両方を「技術職」「生産技術職」として一括で募集します。入社後にどちらに配属されるかは、募集要項の職種区分を見れば見当がつきます。分からなければ説明会で聞いてください。

第3部 自分で調べる|一次資料と年収

23年収を自分で調べる方法

就活サイトの年収ランキングではなく、会社が出している数字を見てください。

知りたいこと どこに載っているか
全従業員の平均年収 有価証券報告書【企業の概況】「従業員の状況」の平均年間給与
初任給 各社の募集要項・採用ページ
賞与の回数・時期 募集要項
諸手当 募集要項の手当欄

平均年間給与の注意点

これは全従業員の平均です。新卒の初任給ではありません。また、年齢構成や職種構成で変わります。平均年齢が高い会社は高く出やすく、若い会社は低く出やすい——それだけのことです。

同じ欄に平均年齢と平均勤続年数も載っています。3つをセットで見ると、数字の意味が分かります。

持株会社の数字に注意してください

持株会社(ホールディングス)の有価証券報告書に載る平均年間給与は、持株会社に所属する社員だけの数字であることがあります。実際に働く事業会社とは別です。

誰の数字を見ているのかを、従業員数と合わせて確認してください。

手取りは額面と違います

提示される金額は額面です。ここから税と社会保険料が引かれます。初任給の額面だけで生活設計をすると、想定より少なくて驚くことになります。

募集要項の読み方は募集要項の読み方|見落としやすい項目を確認するで扱っています。

24有価証券報告書の使い方

半導体業界を調べるときの、いちばん確実な資料です。

上場企業が年に1回、法律に基づいて出す書類です。金融庁のEDINETで誰でも無料で読めます。各社のサイトのIR(投資家向け情報)にも置かれています。

1【企業の概況】主要な経営指標数年分の売上・利益・従業員数の推移
2【企業の概況】従業員の状況従業員数、平均年齢、平均勤続年数、平均年間給与
3【事業の状況】事業の内容何をつくって誰に売っているか
4【事業の状況】事業等のリスク会社自身が挙げているリスク
5【事業の状況】研究開発活動どの分野に開発の力を入れているか
6【設備の状況】工場・研究所の所在地と設備投資の計画
7【経理の状況】セグメント情報事業ごとの売上と利益

半導体の会社では、ここを重点的に見てください

①セグメント情報——半導体が主力なのか、事業の一部なのかが分かります。総合電機や化学メーカーでは、半導体は複数事業のうちの1つです。

②設備の状況——工場の所在地が分かります。配属の候補地を知る、いちばん確実な方法です。

③事業等のリスク——会社自身が「何が起きると困るか」を書いています。顧客の集中、設備投資の負担、為替、調達の制約など、業界の性質がここに出ます。

全部読む必要はありません

最初から通読しようとすると挫折します。上の3か所だけを、志望する2〜3社で読み比べる——これで十分に差が見えます。

章の名前や構成は年度・会社によって異なることがあります。目次から探してください。

25決算説明資料・中期経営計画

有価証券報告書より読みやすく、会社の考えが出ます。

資料 何が書いてあるか どこにあるか
決算説明資料 直近の業績と、その理由の説明 会社サイトのIR
中期経営計画 数年先に何をやろうとしているか 会社サイトのIR
統合報告書 事業の考え方、人材、環境への取り組み 会社サイトのIR
質疑応答の要旨 投資家が何を気にしているか IRに掲載される場合がある

中期経営計画が志望動機の材料になります

ここには「これから何に力を入れるか」が書かれています。同じ層の2社の計画を読み比べると、重点の置き方の違いが見えます。

その違いが、「なぜこの会社か」の答えになります。会社が自分で書いていることなので、外れません。

図が多いので入りやすい

決算説明資料はスライド形式で、図表が中心です。専門用語の解説が付いていることもあり、業界用語を覚える教材としても使えます。

まず決算説明資料を読み、興味が出たら有価証券報告書で裏を取る——この順番が効率的です。

非上場の会社の場合

非上場だと有価証券報告書がありません。その場合は会社サイトの会社概要、採用ページ、プレスリリースが主な情報源になります。

情報が少ない会社では、説明会や面接で直接聞くのが確実です。聞いて失礼になる内容ではありません。

26業界団体と官庁の資料

業界全体の話を確かめたいときに使います。

発行元 分かること
SEAJ(日本半導体製造装置協会) 製造装置に関する統計や見通し
SEMI 世界の半導体製造装置・材料に関する統計
JEITA(電子情報技術産業協会) 電子部品・電子機器に関する統計
WSTS 世界の半導体市場に関する統計
経済産業省 半導体・デジタル産業に関する政策資料

使い方は「裏取り」です

就活で統計を暗記する必要はありません。使うのはニュースや説明会で聞いた話が本当かを確かめるときです。

面接で業界の話をするときも、出どころを言える情報のほうが強くなります。「ニュースで見た」より「協会の資料で見た」のほうが確かです。

政策の資料は方向性が分かります

経済産業省が公表している半導体関連の資料には、国内で何を進めようとしているかが書かれています。国内に工場を建てる動きの背景を知りたいときに役立ちます。

ただし政策の方向と個別企業の採用は別の話です。混同しないでください。

ニュースの読み方

半導体は報道の量が多い分野です。記事の出どころ(誰が発表したか)をたどる癖をつけてください。扱い方はニュースと時事の追い方|就活で使える範囲と使い方で扱っています。

27会社の一覧をつくる3つの方法

知名度で探さないための、具体的な手順です。

方法 やること 見つかる会社
①業界団体の会員名簿 協会サイトの会員企業一覧を見る 装置・材料・電子部品の会社
②展示会の出展社一覧 半導体関連の展示会サイトを見る 装置・材料・商社・受託の会社
③取引関係から辿る 有価証券報告書やニュースで、ある会社の取引先を見る 表に出にくい部材・装置の会社

①業界団体の会員名簿

協会のサイトには会員企業の一覧が掲載されていることがあります。これは「その分野で事業をしている会社のリスト」に近いものです。

就活サイトに載っていない会社も含まれます。名前を知らない会社が出てきたら、そこから採用ページを探す——この順番で探してください。

②展示会の出展社一覧

半導体関連の展示会では、出展社の一覧と、各社が何を出しているかの説明が公開されることがあります。分野ごとに会社を見渡すのに便利です。

学生でも入場できる展示会があります。実際に足を運べば、製品を見ながら話を聞けます。

③取引関係から辿る

ある会社の有価証券報告書や決算説明資料に、どんな部材や装置を使っているかが書かれていることがあります。そこから供給側の会社に辿れます。

逆に、装置メーカーの資料からどんな顧客に納めているかを読むこともできます。

一覧をつくったら、層で分類してください

会社名を並べただけでは使えません。①設計/②製造/③後工程/④装置/⑤材料のどこに当たるかを書き添えてください。そうすると、自分がどの層に偏って調べているかが見えます。

28業界用語|最低限これだけ

説明会で前提として使われる言葉です。

用語 意味
ウエハ 回路を作り込むシリコンの円盤
前工程 ウエハに回路を作り込むまでの工程
後工程 ウエハを切り分けて製品の形にする工程
露光 回路のパターンをウエハに焼き付けること
レジスト 露光に使う感光性の材料
エッチング 不要な部分を削り取ること
歩留まり つくったもののうち良品になる割合
微細化 回路の線幅を細かくすること
IDM/ファブレス/ファウンドリ/OSAT 会社の形(6章参照)
パワー半導体 大きな電力を扱うための半導体
SiC・GaN シリコン以外の材料。パワー半導体などに使われる
クリーンルーム ほこりを極力減らした作業区域

意味を言えるようにしておけば十分です

深く理解している必要はありません。説明会で言葉が出たときに話についていける——その程度で構いません。

むしろ大事なのは、分からない言葉が出たときに聞けることです。知ったかぶりをすると、あとで困ります。

用語は会社によって使い方が違うことがあります

同じ言葉でも、社内での使われ方が違うことがあります。説明会で「御社では〜をどういう意味で使っていますか」と聞くのは、むしろ良い質問です。

29「シリコンサイクル」という言葉の扱い方

この言葉は、就活の場面では慎重に使ってください。

半導体の需要は波があると言われ、その波を指してシリコンサイクルと呼ばれます。業界の話題としてよく出てきます。

やりがちなこと なぜ問題か
「いまは好況だから志望しました」 景気で志望先を決めた、と受け取られる
「今後は伸びる業界だから」 将来の予測は誰にも断言できない
「不況が来たら大変ですね」 会社の対応を知らずに言うと空回りする

代わりに何を言えばいいか

波がある産業だと知ったうえで、その会社が波にどう備えているかを資料で調べ、それについて話すほうが具体的です。

中期経営計画や決算説明資料には、需要の変動にどう対応するかの方針が書かれていることがあります。会社自身の言葉を材料にしてください。

層によって波の受け方が違います

装置は設備投資の動きに、材料は生産量の動きに、それぞれ影響を受け方が違うと説明されることがあります。この違いも、会社の資料と「事業等のリスク」で確かめられます。

本記事では、どの層が有利・不利といった判断はしていません。

30「最先端」という言葉に引っぱられない

最先端=就職先として良い、ではありません。

報道では、回路の線幅を細かくする競争(微細化)が大きく取り上げられます。ただ、半導体産業のすべてが微細化を競っているわけではありません。

1ロジック・メモリ回路を細かくして性能と容量を上げる
2パワー半導体電力を効率よく扱う、熱に耐える
3アナログ・センサ感度、精度、消費電力、小型化
4後工程・実装複数のチップをどう組み合わせるか

自分の関心がどこにあるかを見てください

報道の量と、自分に合う仕事があるかどうかは別です。「細かくする」ことに関心があるのか、「電気を効率よく扱う」ことに関心があるのか——軸が違えば志望先も変わります。

志望動機を書くときも、この軸がはっきりしていると、会社ごとの書き分けができます。

ニュースで見た言葉をそのまま使わない

専門用語を使うと詳しく見えますが、意味を聞かれて答えられないと逆効果です。使うなら、自分の言葉で説明できる範囲にとどめてください。

第4部 選考に向けて|志望動機と確認事項

31インターンシップの探し方

層によって、探す場所が変わります。

1各社の採用ページいちばん確実。募集の詳細が載る
2大学のキャリアセンター大学宛に届く案内がある
3研究室・学科技術系では教員経由で案内が来ることがある
4就活サイト一覧で探せるが、掲載していない会社もある
5学会・展示会企業ブースで直接話を聞ける場合がある

装置・材料の会社は自分から探す必要があります

消費者向けの製品がないため、知名度で目に入ってくることがありません。就活サイトで受け身に待っていると、そもそも存在に気づかないまま終わります。

先に層を決め、その層の会社を自分で一覧にする——この手順を踏んでください。業界団体の会員企業一覧は、会社を洗い出す材料になります。

工場見学の機会は逃さないでください

クリーンルームや装置を実際に見ると、資料では分からないことが分かります。音、広さ、人の動き、装置の大きさ——働く場所の実感は、見ないと得られません。

インターンの選び方はインターンの選び方|条件で絞るで扱っています。

参加できなくても不利になるとは限りません

インターンと選考の関係は会社によって違い、案内に記載がある場合はその記載が基準です。記載がないことを推測で補わないでください。

32志望動機の材料を集める

材料が足りないまま書こうとするから、書けません。

1どの層・どの工程の会社か有価証券報告書「事業の内容」
2何に力を入れようとしているか中期経営計画、決算説明資料
3会社自身が挙げるリスク有価証券報告書「事業等のリスク」
4どんな職種があるか採用ページ、募集要項
5実際の仕事の進み方OB・OG訪問、社員インタビュー

同じ層の2社を読み比べてください

1社だけ読んでも、その会社の特徴は分かりません。同じ工程を扱う2社の中期経営計画を並べると、力の入れどころの違いが見えます。

その違いが「なぜこの会社か」の答えになります。

専攻とのつながりを1行で言えるようにする

半導体は専攻の幅が広いぶん、「自分の専攻がこの会社のどこで生きるか」を説明できると強くなります。研究テーマが一致している必要はありません。

使った手法、扱った現象、詰まったときの進め方——このあたりが接点になります。

書いたあとの確認

会社名を同じ層の別の会社に置き換えて読んでみてください。それでも成立するなら、まだその会社に向けた内容になっていません。

志望理由の組み立ては志望理由が弱いと感じたら|足りない情報を埋めるで扱っています。

33選考で確認すること

聞かれる側だけでなく、聞く側にもなってください。

1配属先の候補地募集要項、説明会での質問
2交代勤務の有無募集要項の勤務時間欄
3職種別採用か一括採用か募集要項の職種欄
4転勤の有無と範囲募集要項
5海外赴任の可能性説明会での質問
6研修の内容と期間採用ページ
7雇用元がどの法人か募集要項

確認事項は事前に書き出しておく

説明会や面接の場で思い出そうとしても出てきません。会社ごとに確認事項をメモしておくと、聞きそびれが減ります。

聞いても失礼にならない質問です

勤務地、勤務時間、転勤の有無は労働条件の基本です。募集要項に書かれるべき内容でもあります。遠慮せず確認してください。

記載がない、または説明が曖昧なまま進む場合は、その点を書面で確認するようにしてください。

内定後に条件を確認する

内定の連絡を受けたら、労働条件が書面(または電子)で示されるかを確認してください。口頭の説明だけで進めないことが大切です。

34選考の時期の考え方

会社ごとに違い、年度によっても変わります。

就活サイトに載っているスケジュールは一般的な目安であり、個別の会社に当てはまるとは限りません。

1エントリーの締切各社の採用ページ、届いた案内
2選考の段階と回数案内、説明会
3提出物(研究概要など)募集要項
4推薦応募の有無大学の就職担当、研究室

技術系は推薦という道がある場合があります

大学や学科によっては、推薦での応募の仕組みがあります。対象の会社、手続き、期限は大学ごとに違います。

利用するかどうかで動き方が変わるので、早い段階で就職担当や指導教員に確認してください。

締切は一覧で管理してください

複数の層・複数の会社に応募すると、締切がばらばらになります。会社名、応募した日、次の予定、締切の4つを1枚にまとめておけば、出し忘れは防げます。

管理の仕方は選考管理の作り方|進み具合を一覧にするで扱っています。

35向き不向きの考え方

性格で決めるより、仕事の進み方で考えてください。

1原因が見えない不具合を追う分からないことを分解して調べるのが苦にならない
2条件を少しずつ変えて確かめる地道な積み重ねを続けられる
3顧客の現場で装置を立ち上げる人とやりとりしながら現物を動かしたい
4基準を決めて判断する根拠を整理して説明するのが得意

「理系だから向いている」という話ではありません

同じ理系でも、設計が好きな人、測るのが好きな人、人と話すのが好きな人がいます。層と職種の組み合わせで、必要なものが変わります。

だから「半導体に向いているか」ではなく、「この層のこの職種に向いているか」で考えてください。

本記事では向き不向きの判断はしていません

上の表は仕事の性質を整理したものであり、適性の診断ではありません。実際に働いている人に一日の流れを聞き、自分で判断してください。

進め方はOB・OG訪問の依頼と当日|連絡からお礼までの流れで扱っています。

36他の業界と迷ったとき

半導体は、隣の業界と地続きです。

1電機・電子総合電機の一事業として半導体を手がける会社がある
2自動車車載向けチップ・パワー半導体を通じてつながる
3化学・素材⑤材料の層は化学メーカーの事業の一部
4機械④装置の層は精密機械・産業機械と近い
5IT・ソフトウェア設計ツール、装置の制御ソフト、データ解析で関わる

業界名で絞ると同じ仕事を見逃します

「半導体に関わる仕事」は、半導体メーカー以外にもあります。化学メーカーの半導体材料部門、機械メーカーの半導体装置部門——入口が違うだけで、仕事の中身は近いことがあります。

電機・電子業界の全体像は電機・電子業界とは|全体像と分野の調べ方、自動車業界は自動車業界とは|全体像と分野の調べ方で整理しています。同じ項目で比べてみてください。

比べる項目を先に決めてください

項目が多すぎると決まりません。自分が譲れない項目を3つに絞ると判断しやすくなります。比べ方は志望企業の絞り方|条件を言葉にしてから選ぶで扱っています。

37やらない方がいいこと

半導体業界でとくに起きやすい失敗です。

やりがちなこと なぜ問題か
知名度だけで会社を絞る 装置・材料の会社を丸ごと見落とす
「半導体は伸びる」と言う 将来の予測は断言できない。景気で選んだと取られる
勤務地を確認しない 工場は地方にあることが多い。生活が変わる
数年前の業界本だけで話す 会社の再編・事業構成が変わっていることがある
専門用語を意味を知らずに使う 面接で聞き返されると答えられない
1社の説明会を業界全体の話だと思う その会社固有の話かどうかは他社を見ないと分からない

「有名だから良い会社」は半導体では特に当てになりません

この業界は顧客が企業です。消費者に売らない会社は、良い会社でも名前が知られません。知名度は採用の規模とも、働きやすさとも、別の話です。

家族や友人に説明できないことを気にしすぎない

BtoBの会社では「何をしている会社か説明しにくい」という声がよく聞かれます。ただしこれは会社の価値とは関係ありません。

気になるなら、その会社の製品が最終的に何に使われているかを1つ覚えておくと説明しやすくなります。

38相談できる窓口

一人で抱えないでください。

1大学のキャリアセンター応募の進め方、書類、過去の実績、推薦の手続き
2指導教員・研究室の先輩専攻と職種のつながり、企業とのつながり
3新卒応援ハローワーク求人の相談(無料)
4労働局の総合労働相談コーナー労働条件の扱いに疑問があるとき(無料)
5弁護士法令の解釈が必要なとき

技術系は研究室のつながりが強い

半導体関連は研究分野と企業の対応がはっきりしていることが多く、指導教員が企業とのつながりを持っている場合があります。まず身近なところに聞いてください。

条件面で疑問があるとき

提示された条件に疑問があるとき、自分で判断せずに相談してください。労働局の総合労働相談コーナーは無料で、全国にあります(予約なしで利用できる場合があります)。

法令の解釈が必要な場合は弁護士にご相談ください。

39よくある質問

半導体業界は理系でないと入れませんか?

そうとは限りません。メーカーにも商社にも、営業、調達、知的財産、経理、人事、法務といった職種があります。ただし製品の話が通じないと仕事になりにくいため、入社後に技術を学ぶ姿勢は求められます。文系向けの募集があるかどうかは、各社の募集要項の応募資格欄で確認してください。

電気電子の専攻ではありませんが、半導体に関われますか?

関われます。④製造装置の層は機械系、⑤材料の層は化学系・材料系がまっすぐつながります。情報系なら装置の制御ソフト、検査の自動化、データ解析といった入口があります。大事なのは業界を絞ることではなく、自分の専攻が生きる層を選ぶことです。

勤務地はやはり地方が多いのでしょうか?

職種によります。前工程の工場は水・電力・用地の条件から地方に立地することが多く、生産や設備に関わる職種は工場が主な職場になります。一方、設計や本社機能は都市部の拠点であることが多くなります。実際の所在地は有価証券報告書の「設備の状況」で確認でき、配属の可能性は募集要項の勤務地欄と説明会での質問で確かめられます。

交代勤務はありますか?

職場と職種によります。装置を止めない運用をしている工場では交代勤務が組まれることがあります。これは生活に直結する条件なので、募集要項の勤務時間・シフトの欄を確認し、記載がなければ説明会や面接で聞いてください。聞いて失礼になる質問ではありません。

クリーンルームでの作業はきついですか?

感じ方には個人差があります。専用の衣服を着る、入退室の手順が決まっている、持ち込み物に制限がある——といった制約はあります。工場見学やインターンで実際に体験できる機会があれば、自分で確かめるのがいちばん確実です。

装置メーカーと材料メーカー、どちらがいいですか?

本記事では優劣の判断はしていません。専攻との相性、働く場所、仕事の進み方で考えてください。装置は機械・制御・ソフトの要素が強く、顧客先に出向く職種があります。材料は化学・分析の要素が強く、研究所と工場が主な職場になります。

シリコンサイクルが不安です。

需要に波があると言われる産業です。ただし将来の景気は誰にも断言できません。不安を解消したいなら、志望する会社が需要の変動にどう備えているかを中期経営計画や有価証券報告書の「事業等のリスク」で読んでください。会社自身が書いている対応方針が、いちばん確かな材料です。

志望動機が書けません。

材料が足りていない可能性があります。同じ層の2社の中期経営計画を読み比べると、力を入れている領域の違いが見えます。半導体は工程ごとに会社が分かれているため、同じ層でも得意な工程が違います。その違いが「なぜこの会社か」の答えになります。書いたあと、会社名を別の会社に置き換えても成立するなら、まだその会社に向けた内容になっていません。

有価証券報告書は全部読む必要がありますか?

ありません。「事業の内容」「セグメント情報」「設備の状況」「事業等のリスク」「従業員の状況」——この5か所を志望する2〜3社で読み比べるだけで十分に差が見えます。章の構成は年度や会社によって異なることがあるので、目次から探してください。

非上場の会社が気になっています。情報が少なくて困ります。

非上場だと有価証券報告書がありません。会社サイトの会社概要、採用ページ、プレスリリースが主な情報源になります。足りない部分は説明会や面接で直接聞いてください。事業の内容や勤務地を聞くのは、失礼にあたる質問ではありません。

選考はいつから始まりますか?

会社ごとに違い、年度によっても変わります。就活サイトのスケジュール記事は一般的な目安であり、個別の会社に当てはまらないことがあります。実際の日程は各社の採用ページと届いた案内で確認してください。技術系では推薦での応募の仕組みがある場合もあるので、大学の就職担当にも早めに確認してください。

まず何から読めばいいですか?

関心のある層を決めてから、その層の会社を2〜3社選び、各社の決算説明資料を読み、そのあとで有価証券報告書の「事業の内容」と「セグメント情報」を見るのが早道です。決算説明資料は図が多く、用語の解説が付いていることもあります。

この記事に載っていない会社もありますか?

あります。本記事の社名は各層にどんな会社があるかを示す例であり、網羅した一覧ではありません。また推奨や順位付けでもありません。ここに載っていない会社にも、半導体に関わる仕事は数多くあります。業界団体の会員企業一覧などから、自分で会社を洗い出してください。

40まとめ|層を決めてから、会社を探す

半導体業界は5つの層に分かれています。①設計、②製造(前工程)、③後工程、④製造装置、⑤材料。層が違えば、仕事も専攻の生かし方も勤務地も別物です。

日本の会社が多いのは④と⑤です。「半導体をやりたい」と思ったときの現実的な選択肢の多くは、装置と材料の層にあります。

装置・材料の会社は名前が知られていません。消費者に売らないからです。知名度で絞ると、選択肢の大半を落とすことになります。

専攻の幅は広いです。電気電子だけでなく、機械は装置、化学・材料は材料の層でまっすぐ生きます。情報系にも入口があります。

勤務地は必ず確認してください。前工程の工場は地方に立地することが多く、配属先は生活を大きく左右します。有価証券報告書の「設備の状況」で所在地が分かります。

交代勤務の有無も確認してください。職種と配属先によります。募集要項の勤務時間欄を見て、記載がなければ聞いてください。

調べる順番は、決算説明資料→有価証券報告書です。図の多い資料から入り、気になったところを一次資料で裏取りする。この順番が効率的です。

最後に。本記事の社名は各層にどんな会社があるかを示す例であり、推奨・順位付け・優劣の評価ではありません。網羅した一覧でもありません。売上・シェア・年収などの数値と企業の将来性、向き不向きは扱っていません。数値は各社の開示資料や業界団体・官庁の公表資料で、募集の条件は各社の募集要項でご確認ください。

この記事について:本記事は業界の構造と調べ方を整理するための一般的な案内です。登場する社名は各層にどんな会社があるかを示す例であり、推奨・順位付け・優劣の評価ではありません。また、網羅した一覧でもありません。売上、シェア、年収、従業員数などの数値と、企業の将来性については本記事では扱っていません。数値は各社の有価証券報告書・決算説明資料や業界団体・官庁の公表資料で、募集の内容は各社の募集要項でご確認ください。有価証券報告書の章構成は年度や会社によって異なることがあります。就職のしやすさ、採用の見通し、向き不向きについても判断していません。半導体業界は事業の再編や新しい拠点の設立が比較的多く、各社の事業内容・グループ関係・採用方針は変わることがあるため、最新の情報は各社のサイトでご確認ください。労働条件の取り扱いに疑問がある場合は労働局の総合労働相談コーナー(無料・全国・予約なしで利用できる場合があります)に、法令の解釈は弁護士にご相談ください。
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