通信業界の職種|仕事内容の調べ方
通信の職種は「つなぐ」「支える」「つくる」「届ける」で整理できます。つなぐ=ネットワークの計画・設計・構築。支える=運用・監視、障害対応、設備の保守。つくる=サービス企画、システム開発、事業開発、データ分析。届ける=法人営業、販売の支援。そして通信以外の事業にも職種があります。ここを見落とさないでください。
通信会社の職種は、通信の技術だけではありません。
決済、金融、広告、エネルギー——通信会社は幅広い事業を持っています。そこにもそれぞれ職種があります。
一方で、設備を建て、つなぎ、守るという通信固有の職種もあります。
この記事では、通信業界の職種を整理し、仕事の中身、専攻との関係、調べ方まで通しで扱います。
この記事を7枚で
1 / 7第1部 どんな職種があるか|通信と通信以外
第2部 職種の選び方|専攻・勤務・キャリア
第3部 仕事内容の調べ方
第4部 選考に向けて|志望職種と確認事項
第1部 どんな職種があるか|通信と通信以外
01職種の地図|4区分で整理する
まずこの整理を頭に入れてください。
通信の職種を4区分で整理する。
| 区分 | 職種 | やること |
|---|---|---|
| つなぐ | ネットワーク設計 | 機器の構成、経路、容量を設計する |
| 無線・電波の技術 | 基地局の配置や電波の状態を設計・調整する | |
| 設備の計画 | どこにどんな設備を入れるかを計画する | |
| 支える | 運用・監視 | ネットワークを見守り、異常に対応する |
| 障害対応 | 原因を特定し、復旧させる | |
| 設備の保守 | 点検し、維持し、更新する | |
| つくる | サービス企画 | 新しいサービスや料金の仕組みを考える |
| システム開発 | 契約や課金、サービスの仕組みをつくる | |
| 事業開発 | 通信以外の新しい事業をつくる | |
| データ分析 | 利用の状況を分析し、施策に生かす | |
| 届ける | 法人営業 | 企業の課題を聞き、通信とシステムを提案する |
| 販売・チャネル支援 | ショップや代理店の運営を支援する | |
| カスタマーサポート | 問い合わせや契約の対応を担う |
通信以外の事業にも職種があります
決済、金融、広告、エンタメ、エネルギー——これらの事業にも企画や運営の職種があります。
「通信会社=通信の仕事」ではありません。
販売はショップが担います
携帯電話の販売は代理店が運営するショップが担うことが多くあります。通信会社の社員は、その運営を支援する立場に関わります。
グループ会社にも職種があります
工事、システム、データセンター、コンテンツ——グループ会社にも専門の職種があります。
業界の構造は別記事で
どんな会社があるかは通信業界とは|全体像と分野の調べ方で整理しています。
02ネットワークを支える職種
止めないことが価値になる職種です。
障害のときが本番です
通信が止まれば多くの人と事業が影響を受けます。だから復旧の速さが問われます。
この責任を重いと感じるか、やりがいと感じるかは人によります。
夜間・休日の対応があることがあります
設備の工事や切り替えは、利用が少ない時間帯に行われることがあります。また障害はいつ起きるか分かりません。
当番や交代の仕組みがあるかは、説明会で確認してください。生活に直結します。
工事会社と連携します
実際に設備を設置するのは工事の会社です。通信会社の技術者は、計画と設計、品質の確認を担います。
電波の技術は専門性が高い
基地局の配置、電波の届き方、干渉の調整——電波の性質を理解する必要があります。電気電子・通信の専攻が生きます。
03法人向けの職種
ITの仕事に近い領域です。
顧客の業務を理解する必要があります
通信の知識だけでは提案できません。顧客がどんな業務をしていて、何に困っているかを理解する必要があります。
業界の知識と技術の知識の両方が価値になります。
大きな案件を長く進めます
企業のネットワークの更新やシステムの導入は年単位の案件になることがあります。多くの関係者と進めます。
ITの会社と重なります
法人向けの事業はシステムの構築や運用を含みます。IT・ソフトウェア業界と重なる領域です。
全体像はIT・ソフトウェア業界とは|全体像と分野の調べ方で整理しています。
グループのシステム会社と連携します
通信のグループにはシステムを手がける会社があります。案件によって連携して進めます。
04サービス企画・事業開発
通信以外の事業をつくる職種です。
制度の確認が必要です
料金やサービスの設計には制度上の決まりが関わります。法務や関係部署と確認しながら進めます。
「思いついたことをすぐ出せる」仕事ではありません。
データを使います
利用者数、使われ方、解約の状況——数字を見て判断する仕事です。分析の力が求められます。
提携や出資で事業をつくります
自社だけでなく、他の会社と組んで事業を立ち上げることがあります。商社の事業投資と似た面があります。
文系出身者が多い職種です
技術の知識は必要ですが、企画や事業開発には文系出身者も就いています。ただし数字と制度から逃げられません。
第2部 職種の選び方|専攻・勤務・キャリア
05専攻と職種の対応
電気電子・情報系がまっすぐ生きる業界です。
電波を学んだ人は強みがあります
無線の通信は電波の性質の上に成り立っています。学んできたことが直接使われる場面があります。
情報系はソフトとデータで生きます
ネットワークの制御、サービスのシステム、データの分析——ソフトウェアの比重が上がっている領域です。
文系にも入口があります
法人営業、サービス企画、事業開発、管理部門——文系出身者が就く職種が数多くあります。
学びの整理の仕方
会社が見ているのはどう課題を立て、どう確かめたかという進め方であることが一般的です。整理の仕方は学生時代の経験の棚卸し|書き出す順番で扱っています。
06勤務地と働き方
通信は全国に設備があります。
転勤の範囲を確認してください
全国に拠点があるため、転勤があることが一般的です。地域を限定する区分を設けている会社もあります。
夜間・休日の対応の有無
運用や工事に関わる職種では夜間や休日の対応があることがあります。当番の仕組みや手当について、説明会で確認してください。
グループ会社への出向があることがあります
通信のグループでは関係会社に出向して働くことがあります。可能性があるかは説明会で聞いてよい質問です。
在宅の制度は職種によります
設備に触れる職種は現地での作業が必要です。募集要項と説明会で確認してください。
07入社後の異動とキャリア
通信と通信以外を行き来することがあります。
事業の幅が広い会社です
通信会社は多様な事業を持ちます。そのため、入社時の職種と違う領域に移る可能性もあります。
これを機会と感じるか、不安と感じるかは人によります。
異動の実態を聞いてください
どの程度動けるかは会社によります。OB・OG訪問で実際の例を聞くのが確実です。
技術は変わり続けます
通信の方式も、サービスの仕組みも変化します。学び続けられるかが前提になります。
資格が関わる職種があります
電気通信の設備に関わる業務では資格が関わる場合があります。多くは入社後に会社の支援で取得します。
第3部 仕事内容の調べ方
08募集要項から仕事内容を読む
いちばん確実な情報源は、会社が出している募集要項です。
「若干名」「総合職」だけの募集もあります
仕事内容が抽象的にしか書かれていない場合、配属で決まる可能性が高くなります。その場合は説明会で具体的に聞いてください。
通信では事業の幅が広い
同じ会社の中に通信の技術、法人向けのシステム、決済や金融の事業があります。募集がどの事業を対象にしているかを確認してください。
複数年分を見ると分かることがあります
去年と今年で募集する職種の区分が変わっていることがあります。会社の方針の変化が表れている場合があります。
募集要項の読み方は募集要項の読み方|見落としやすい項目を確認するで詳しく扱っています。
09社員インタビューの読み方
採用ページの社員紹介は、使い方を間違えなければ役に立ちます。
良い面が中心に書かれている前提で読む
採用ページは会社が伝えたいことを載せる場所です。厳しい面が書かれていないこともあります。
だから「何をしているか」という事実の部分を拾い、評価の言葉は割り引いて読んでください。
複数人を読み比べてください
1人だけだと、その人の特殊な経歴かもしれません。同じ職種の複数の人を読むと、共通する部分が見えます。
どの事業の人かを確認してください
ネットワークの技術者と、決済サービスの企画担当では、仕事がまったく違います。複数の事業の紹介を読んでください。
載っていない職種にも注意
採用ページに紹介がない職種もあります。紹介がない=存在しないではありません。募集要項の職種欄で確認してください。
10一次資料から職種の手がかりを得る
採用向けではない資料にも、仕事の手がかりがあります。
| 資料 | 職種について分かること |
|---|---|
| 有価証券報告書「従業員の状況」 | セグメント別の従業員数。どの事業に人が多いか |
| 有価証券報告書「設備の状況」 | 事業所・工場の所在地。どこに職場があるか |
| 有価証券報告書「研究開発活動」 | 研究・開発がどの領域で行われているか |
| 中期経営計画 | これから人を増やす領域、力を入れる事業 |
| 統合報告書 | 人材の育成や働き方に関する考え方 |
従業員数は職種の規模を表します
セグメント別の従業員数を見ると、どの事業に人が多いかが分かります。人が多い事業には、その分職種も多くあります。
希望する職種が、会社の中でどれくらいの規模かを推測する材料になります。
設備投資の記載が技術職の手がかりになります
どこにいくら投資しているかを見ると、その会社が何に力を入れているかが分かります。
中期経営計画に採用の方向が表れます
「この領域を強化する」と書かれていれば、その領域で人を必要としている可能性があります。
志望する職種と、会社が力を入れる方向が合っているかを確かめてください。
11OB・OG訪問で聞くこと
資料では分からないことを聞くための機会です。
「やりがい」は聞いても情報が少ない
抽象的な質問には抽象的な答えが返ります。具体的な事実を聞くほうが、判断の材料になります。
「昨日は何をしていましたか」くらい具体的でも構いません。
通信で聞いておきたいこと
夜間の作業や当番があるか、通信以外の事業に配属される可能性、グループ会社への出向——このあたりは資料では分かりません。
複数の人に聞いてください
- 職種が同じでも、配属先や担当によって経験が違います。1人の話を全体だと思わないでください。
- 進め方はOB・OG訪問の依頼と当日|連絡からお礼までの流れで扱っています。
- 第4部 選考に向けて|志望職種と確認事項
12志望する職種をどう書くか
「職種が決まっていない」ままでも書けますが、材料は要ります。
| 書くときの材料 | どこから取るか |
|---|---|
| その職種が何をしているか | 募集要項、社員インタビュー、OB・OG訪問 |
| なぜその職種に関心があるか | 自分の経験と、職種の仕事の重なり |
| その会社でなければならない理由 | セグメント情報、中期経営計画、事業の特徴 |
| 入社後に何を学ぶ必要があるか | 募集要項の応募資格、研修の内容 |
職種名だけを書かないでください
「開発職を希望します」だけでは、その職種の何に関心があるのかが伝わりません。
仕事の中身のどの部分に関心があるかまで書いてください。
「通信か、通信以外か」を書いてください
大手の通信会社は決済、金融、広告、エネルギーなど幅広い事業を持っています。
ネットワークの技術に関わりたいのか、サービスや新しい事業をつくりたいのか——どちらかを明確にしてください。
希望が変わることもあります
入社後に別の職種に関心が移ることもあります。それ自体は問題ではありません。ただし選考の時点では、いま考えていることを具体的に言えることが大切です。
志望理由の組み立ては志望理由が弱いと感じたら|足りない情報を埋めるで扱っています。
13配属はどう決まるか
ここを確認せずに入社すると、想像とずれます。
確認すべきこと
| 確認したいこと | どこで確認するか |
|---|---|
| コース・職種の区分 | 募集要項の職種欄 |
| 夜間・休日の対応の有無 | 説明会での質問 |
| グループ会社への出向の可能性 | 説明会での質問 |
| 希望はどの程度考慮されるか | 説明会での質問 |
| 配属はいつ決まるか | 説明会での質問 |
| 入社後に職種を変える道があるか | 説明会での質問 |
聞いても失礼になりません
配属や勤務地は働き方の前提です。遠慮せず確認してください。曖昧なまま進めるほうが、お互いにとって良くありません。
通信以外の事業に配属されることがあります
決済、金融、広告、エネルギー——通信会社の中には多様な事業があります。配属の可能性を確認してください。
最初の配属がすべてではありません
多くの会社では異動の機会があります。ただし、どの程度動けるかは会社によって違います。実際の例をOB・OG訪問で聞いてください。
14選考の時期と併願
職種によって、選考の進み方が違うことがあります。
コース別に募集されることがあります
技術系(ネットワーク、システム)と事務系、あるいは職種別のコースを設けている会社があります。
募集要項のコース区分と、それぞれの仕事の違いを確認してください。
締切は一覧で管理してください
職種別に応募すると、締切がばらばらになります。会社名、職種、応募した日、次の予定、締切をまとめておけば、出し忘れは防げます。
管理の仕方は選考管理の作り方|進み具合を一覧にするで扱っています。
15相談できる窓口
一人で抱えないでください。
電気・情報系は学科のつながりがあります
通信に関わる学科では、企業からの案内が届くことがあります。過去の進路は学科の資料で確認できます。
条件面で疑問があるとき
提示された条件に疑問があるとき、自分で判断せずに相談してください。労働局の総合労働相談コーナーは無料で、全国にあります(予約なしで利用できる場合があります)。法令の解釈が必要な場合は弁護士にご相談ください。
16よくある質問
通信会社は携帯電話を売る仕事ですか?
販売はショップを運営する代理店が担うことが多く、通信会社の社員はその運営を支援する立場に関わることがあります。会社全体で見れば、ネットワークの設計と運用、法人向けの事業、サービスの企画、そして決済や金融など通信以外の事業が大きな部分を占めます。
ネットワークの技術職はどんな仕事ですか?
利用の見込みから必要な設備と配置を決め、機器の構成や経路を設計し、工事会社と連携して構築し、品質を確かめ、24時間の監視と障害対応を行う仕事です。通信が止まれば多くの人と事業が影響を受けるため、復旧の速さが問われます。
夜間の対応はありますか?
職種によります。設備の工事や切り替えは利用の少ない時間帯に行われることがあり、障害はいつ起きるか分かりません。当番や交代の仕組みがあるかは説明会で確認してください。生活に直結する条件です。
文系でも入れますか?
入れます。法人営業、サービス企画、事業開発、管理部門など、文系出身者が就く職種が数多くあります。ただし数字と制度を扱うため、技術や仕組みを理解する姿勢は求められます。
通信以外の事業とは何ですか?
決済、金融、広告、エンタメ、エネルギー、法人向けのシステムなどです。これらの事業にも企画や運営の職種があります。有価証券報告書のセグメント情報を見れば、通信と通信以外の比重が分かります。
法人向けの仕事はIT企業と何が違いますか?
重なる部分が多くあります。通信会社の法人向け事業はネットワークに加えてクラウド、システムの構築、セキュリティを含むため、IT企業の仕事に近い領域です。違いは、自社のネットワークという基盤を持っている点にあります。
電気電子の専攻ですが、どんな仕事がありますか?
ネットワークの設計、無線・電波の技術、設備の計画、研究開発など、専門が直接生きる職種があります。通信機器や光ファイバーをつくるメーカー側という選択肢もあります。
転勤はありますか?
全国に設備と拠点があるため、転勤があることが一般的です。会社によっては地域を限定する区分を設けています。グループ会社への出向の可能性についても、説明会で聞いてよい質問です。
サービス企画はどんな仕事ですか?
利用の状況をデータで確認し、新しいサービスや料金の仕組みを考え、技術・法務・販売と調整して形にする仕事です。料金やサービスの設計には制度上の決まりが関わるため、思いついたことをすぐ出せる仕事ではありません。
グループ会社と本体、どちらを受けるべきですか?
本記事では優劣の判断はしていません。グループ会社には工事、システム、データセンター、コンテンツなど専門の事業があり、その分野に深く関わることができます。まず自分がどの仕事に関心があるかを決めて、それを担っている会社を探してください。
資格は必要ですか?
電気通信の設備に関わる業務では資格が関わる場合があります。多くは入社後に会社の支援を受けて取得します。学生のうちに必須とされることは一般的ではありません。制度は改正されることがあるため、最新の情報は公的機関や実施機関の情報で確認してください。
まず何から調べればいいですか?
志望する会社のセグメント情報で通信と非通信の比重を確認し、募集要項でコース・職種の区分を見るのが早道です。技術職を志望するなら、各社の技術のページと設備投資の方針も読んでください。
17まとめ|通信と通信以外の両方を見る
- 通信の職種は「つなぐ・支える・つくる・届ける」で整理できます。
- 通信以外の事業にも職種があります。決済、金融、広告、エネルギー——見落とさないでください。
- ネットワークは止めないことが価値です。設計、構築、監視、障害対応——社会の基盤を支える職種です。
- 法人向けはITの仕事に近い領域です。ネットワーク、クラウド、システム、セキュリティ。
- 販売はショップが担います。通信会社の社員はその運営を支援する立場です。
- 夜間・休日の対応を確認してください。職種によって生活の形が変わります。
- 電気電子・情報系がまっすぐ生きます。文系にも企画・営業・管理の入口があります。
最後に。職種の名称や区分は会社によって異なり、組織の変更によって変わることもあります。本記事は一般的な整理であり、特定の会社の制度を示すものではありません。制度に関することは総務省などの公的機関の情報で、実際の職種・配属・条件は各社の募集要項でご確認ください。
・通信業界とは|全体像と分野の調べ方
・IT・ソフトウェア業界とは|全体像と分野の調べ方
・電機・電子業界とは|全体像と分野の調べ方
・募集要項の読み方|見落としやすい項目を確認する
・会社の調べ方|採用ページ以外から情報を取る方法
・就活・キャリアの記事一覧