広告・メディア業界とは|全体像と分野の調べ方
この業界は広告主・代理店・メディアの三者で成り立っています。分野は①総合広告会社(電通グループ・博報堂DYホールディングス・ADKホールディングス)、②デジタル広告(サイバーエージェント・デジタルホールディングス)、③専門・ハウスエージェンシー、④メディア(テレビ・新聞・出版・ウェブ)、⑤制作会社、⑥PR会社の6つ。いちばん大事な違いは「マス」か「デジタル」かではなく、どの…
広告会社は、広告をつくる会社ではありません。
正確に言えば、つくるのは仕事の一部です。実際には、課題を聞き、どう伝えるかを設計し、媒体を押さえ、制作会社と組んで形にし、効果を確かめます。
そして広告費を出すのは広告主、掲載するのはメディア。この三者の関係を知らないと、業界の話が理解できません。
この記事では、広告・メディア業界を6つの分野に分けたうえで、お金の流れ、職種、働き方、選考での確認事項まで通しで整理します。
この記事を7枚で
1 / 7第1部 どんな会社があるか|三者の関係と6つの分野
- まず押さえる|三者の関係とお金の流れ
- 業界の地図|6つの分野
- マス広告とデジタル広告の違い
- ④メディアの事業構成
- 放送局の職種
- ⑤制作会社という分野
- ⑥PRという分野
- 会社の見分け方
- どの大学から何人入っているか
第2部 どんな仕事があるか|職種・働き方
第3部 自分で調べる|一次資料と年収
第4部 選考に向けて|志望動機と確認事項
第1部 どんな会社があるか|三者の関係と6つの分野
01まず押さえる|三者の関係とお金の流れ
ここが分からないと、どの説明も理解できません。
広告の三者の関係。お金の流れを押さえる。
| 立場 | 役割 | お金 |
|---|---|---|
| 広告主 | 商品やサービスを知ってもらいたい企業 | 費用を出す |
| 広告会社 | 課題を聞き、伝え方を設計し、媒体を手配する | 広告主から受け取る |
| メディア | 広告を掲載・放送する場を持つ | 広告会社などから受け取る |
| 制作会社 | 広告や番組を実際につくる | 広告会社やメディアから受け取る |
「どの立場か」で仕事が決まります
同じ「広告に関わる仕事」でも、広告主の宣伝部、広告会社、メディア、制作会社では役割がまったく違います。
志望するときは、自分がどの立場で関わりたいかをまず決めてください。
広告主の側にも仕事があります
メーカーや小売の宣伝部・マーケティング部門も、広告に関わる仕事です。発注する側の立場です。
「広告に関わりたい」なら、この選択肢も入ります。
メディアは広告以外の収入もあります
テレビ局も新聞社も出版社も、広告だけで成り立っているわけではありません。配信、販売、イベント、不動産など複数の事業を持つことがあります。
詳しくは5章で扱います。
02業界の地図|6つの分野
分野ごとに、やることが違います。
| 分野 | 何をする会社か | 例 |
|---|---|---|
| ①総合広告会社 | テレビからデジタルまで幅広く扱う | 電通グループ、博報堂DYホールディングス、ADKホールディングス |
| ②デジタル広告 | インターネット広告の設計と運用 | サイバーエージェント、デジタルホールディングス、セプテーニ・ホールディングス |
| ③専門・ハウスエージェンシー | 特定の領域や、特定の企業グループ向けに強みを持つ | 東急エージェンシー、ジェイアール東日本企画 |
| ④メディア | 放送、新聞、出版、ウェブの媒体を持つ | 在京のテレビ局各社、新聞社、出版社、ウェブメディア |
| ⑤制作会社 | 番組、CM、ウェブの制作を担う | 各制作会社 |
| ⑥PR会社 | 報道や情報発信を通じた広報を支援する | 各PR会社 |
大きなグループがあります
総合広告会社はグループに多くの会社を持ちます。デジタル専門、制作、調査、イベント——機能ごとに会社が分かれていることがあります。
採用の主体がどの会社かは、募集要項で確認してください。
非上場の会社があります
出版社や制作会社には非上場の会社が多くあります。その場合は会社サイトと採用ページが情報源になります。
プラットフォームも広告の担い手です
検索やSNSのサービスを運営する会社も、広告の大きな受け皿になっています。この領域はIT・ソフトウェア業界と重なります。
全体像はIT・ソフトウェア業界とは|全体像と分野の調べ方で整理しています。
03マス広告とデジタル広告の違い
同じ広告でも、仕事の進み方が違います。
| マス広告 | デジタル広告 | |
|---|---|---|
| 主な媒体 | テレビ、新聞、雑誌、ラジオ、屋外 | 検索、SNS、動画、記事面など |
| 買い方 | 枠を押さえる | 条件を設定して配信し、調整を続ける |
| 効果の見え方 | 調査や指標で把握する | 反応が数字で細かく分かる |
| 仕事の性格 | 企画と交渉、制作の質 | 設定、分析、改善の繰り返し |
| 関わる期間 | キャンペーン単位 | 継続して運用する |
デジタルは「運用」の仕事です
出して終わりではありません。数字を見て、設定を変え、改善を続けます。地道な調整の積み重ねです。
「広告=華やかな企画」というイメージだけで入ると、この部分でギャップが生まれます。
マス広告にも数字の仕事があります
どの番組にどう出すか、どう効果を測るか——マス広告でも分析の仕事があります。
両方を組み合わせるのが普通です
いまはテレビとデジタルを組み合わせる設計が一般的です。どちらか一方だけを扱う仕事は少なくなっています。
制度に注意が必要です
広告の表示には法令上の決まりがあります。誇張した表示や、根拠のない表現は問題になります。
制度の詳細は消費者庁などの情報で確認してください。
04④メディアの事業構成
広告収入だけで成り立っているわけではありません。
| メディア | 主な収入の柱 |
|---|---|
| テレビ | 放送の広告、配信、番組やコンテンツの販売、イベント、不動産などの事業 |
| 新聞 | 購読料、広告、イベント、電子版 |
| 出版 | 書籍・雑誌の販売、電子書籍、版権の活用、広告 |
| ウェブメディア | 広告、課金、イベント、物販 |
| ラジオ | 広告、イベント、配信 |
テレビ局は多角化しています
放送以外に配信、映画、イベント、通販、不動産などの事業を持つことがあります。セグメント情報を見ると、事業の構成が分かります。
「テレビ局=番組をつくる会社」という理解だけでは足りません。
出版社は版権の事業があります
作品が映像化、商品化、海外展開されることがあります。この権利に関わる事業が収入の柱の一つになることがあります。
編集だけが出版社の仕事ではありません。
配信への対応が語られています
各社が配信の強化を方針に掲げることがあります。どんな取り組みをしているかは、決算説明資料と中期経営計画で確認できます。
本記事では見通しを判断しません
メディアの将来については判断していません。会社自身が何を課題とし、どう備えているかを資料で読んでください。
05放送局の職種
テレビ局には、番組をつくる以外の職種があります。
職種別に採用されることがあります
アナウンサーや技術は別枠で募集されることがあります。選考の時期も内容も違います。
募集要項で区分を確認してください。
技術職は電気・情報系の専門が生きます
放送の設備、中継、配信の仕組み——電気電子・情報の知識が直接使われます。理系の学生の入口です。
番組をつくるのは制作会社でもあります
番組は制作会社が制作を担うことが多くあります。放送局の社員がすべてを自分でつくるわけではありません。
制作の現場に関わりたいなら、制作会社という選択肢もあります。
勤務時間が不規則になることがあります
報道や制作では取材や収録の時間に合わせた働き方になることがあります。募集要項の勤務時間欄を確認してください。
06⑤制作会社という分野
実際に手を動かして作る会社です。
発注を受ける立場です
広告会社やメディアから依頼を受けて制作します。期日と予算の中で形にすることが求められます。
手を動かしたい人の道です
企画を考えるだけでなく、撮る、編集する、書く、デザインする——実作業に関わりたいなら、この分野が近いかもしれません。
規模の小さい会社が多くあります
制作会社には少人数の会社が多くあります。そのぶん若いうちから任される場面があると言われますが、会社によります。
体制や育て方は、説明会で具体的に聞いてください。
働き方を確認してください
撮影や納期に合わせた働き方になることがあります。勤務時間の仕組みと休日は、募集要項で確認してください。
記載が曖昧な場合は、必ず確認してください。
07⑥PRという分野
広告とは別の手法です。
| 広告 | PR(広報) | |
|---|---|---|
| 枠 | 費用を払って枠を確保する | 報道や発信を通じて取り上げてもらう |
| 内容の決定 | 広告主が決められる | 取り上げるかどうかは媒体が判断する |
| 受け取られ方 | 広告として見られる | 第三者の情報として見られることがある |
| 主な仕事 | 企画、制作、媒体の手配 | 情報の設計、資料の作成、記者との関係 |
「取り上げてもらう」ための仕事です
PRは報道機関や発信する人に、情報として価値があると判断してもらう必要があります。費用を払えば載るわけではありません。
だから何がニュースになるかを考える仕事になります。
透明性が重視されます
広告なのにそう見えない形で発信することは問題になります。表示に関する制度や業界のルールがあります。
どこまでが許される表現かは制度で定められています。消費者庁などが公表している情報を確認してください。
企業の広報部門も同じ機能です
事業会社の広報部門も、この仕事を担っています。PR会社は、それを外から支援する立場です。
危機のときの対応もあります
問題が起きたときにどう説明するかを支援する仕事もあります。責任の重い領域です。
08会社の見分け方
作品ではなく、事業の構成を見てください。
「好きな広告がある」は入口にとどめてください
見たことのある広告は志望のきっかけになります。ただしそれだけでは、会社を選んだ理由になりません。
事業の構成まで見てから話してください。
事例を見てください
広告会社やPR会社は手がけた事例を公開していることがあります。どんな課題をどう解いたかが書かれていれば、仕事の中身が分かります。
グループ構成を確認してください
大きなグループでは機能ごとに会社が分かれています。応募先がどの会社かで、仕事も違います。
会社の調べ方全般は会社の調べ方|採用ページ以外から情報を取る方法で扱っています。
09どの大学から何人入っているか
これは公表されている場合があります。
この数字の使い方
「この大学からは入れる/入れない」という判断には使わないでください。年度によって変わりますし、人数は採用の規模にも左右されます。
使い道はOB・OGがいるかを確かめる材料です。進め方はOB・OG訪問の依頼と当日|連絡からお礼までの流れで扱っています。
職種まで確かめてください
この業界は職種別に採用されることがあります。話を聞くなら、その人がどの職種かを確認してください。
営業と制作では、仕事も働き方も別物です。
制作会社やグループ会社も見てください
進路資料には制作会社やグループのデジタル会社が出てくることがあります。いずれもこの業界の仕事です。
第2部 どんな仕事があるか|職種・働き方
10広告会社の職種
1つの案件を、複数の職種で担当します。
営業は「調整役」です
広告会社の営業は広告主と社内の各職種をつなぐ役割です。企画を売り込むだけでなく、進行の管理も担います。
関係者が多いため、調整の仕事が中心になります。
クリエイティブは別枠の選考があることがあります
コピーやデザインの職種は別の選考が行われることがあります。課題の提出を求められる場合もあります。
募集要項で確認してください。
データを扱う職種が増えています
調査、分析、運用——数字を扱う職種の比重が上がっています。理系の学生にも入口があります。
111つの広告ができるまで
思いつきで作られるわけではありません。
表現の前に「何を言うか」があります
面白い表現を考える前に、何を伝えるべきかを決める工程があります。ここが設計の仕事です。
この工程を知らないと、志望動機が「面白いものをつくりたい」で止まります。
関係者が多い仕事です
広告主、社内の各職種、制作会社、媒体、出演者、権利の関係者——多くの人が関わります。
調整と確認の作業が相当あります。
確認の工程が重要です
表示の内容、権利の処理、表現の配慮——確認すべきことが数多くあります。誤りがあれば企業の信頼に関わります。
法務や権利の担当と連携して進めます。
12デジタル運用という仕事
数字と向き合う仕事です。
地道な調整の繰り返しです
大きな企画を一度出して終わり、ではありません。毎日数字を見て、少しずつ直します。
この作業を面白いと感じられるかが、向き不向きに関わります。
分析の力が求められます
数字がなぜそうなったかを考え、次の手を決めます。統計やデータの扱いに慣れていると有利な領域です。
制度への配慮が必要です
個人情報の取り扱いや広告の表示については制度上の決まりがあります。改正されることもあるため、公的機関の情報で確認してください。
ツールは変わり続けます
使う道具は変化します。新しい仕組みを学び続けることが前提になります。
13働き方と勤務地
職種によって差が大きい業界です。
納期や放送に合わせた働き方があります
制作や報道に関わる職種では、撮影・収録・締切に合わせた勤務になることがあります。
これは生活に直結します。募集要項と説明会で確認してください。
働き方の見直しが進められています
各社が働き方の改善に取り組んでいることがあります。どんな取り組みをしているかを聞くと、具体的な答えが返ります。
勤務地を確認してください
広告会社やメディアは主要都市に拠点があります。転勤の有無と範囲は募集要項で確認してください。
配属の希望
職種別採用でない場合、配属で職種が決まることがあります。希望がどの程度考慮されるかは説明会で聞いてください。
14専攻と職種の関係
専攻を問わない募集が多い業界です。
データを扱える人が求められています
広告の効果を数字で確かめる仕事が増えています。統計や分析の経験は材料になります。
技術職は理系の専門が生きます
放送の設備、配信の仕組み——電気電子・情報の知識が直接使われます。
作ったものは材料になります
文章、映像、デザイン、イベント——何かを企画して人に届けた経験があるなら、その過程を言葉にしてください。
完成度より、何を考え、どう工夫したかです。整理の仕方は学生時代の経験の棚卸し|書き出す順番で扱っています。
第3部 自分で調べる|一次資料と年収
15年収を自分で調べる方法
就活サイトの年収ランキングではなく、会社が出している数字を見てください。
| 知りたいこと | どこに載っているか |
|---|---|
| 全従業員の平均年収 | 有価証券報告書【企業の概況】「従業員の状況」の平均年間給与 |
| 初任給 | 各社の募集要項・採用ページ |
| 賞与の回数・時期 | 募集要項 |
| 諸手当 | 募集要項の手当欄 |
| 昇給の時期 | 募集要項 |
平均年間給与の注意点
これは全従業員の平均です。新卒の初任給ではありません。また年齢構成や職種構成で変わります。平均年齢が高い会社は高く出やすく、若い会社は低く出やすい——それだけのことです。
同じ欄に平均年齢と平均勤続年数も載っています。3つをセットで見ると、数字の意味が分かります。
職種によって働き方が違います
制作や報道に関わる職種では、勤務時間が不規則になることがあります。勤務時間の仕組みや手当は、募集要項で確認してください。
持株会社の数字に注意してください
持株会社(ホールディングス)の有価証券報告書に載る平均年間給与は、持株会社に所属する社員だけの数字であることがあります。実際に働く事業会社とは別です。誰の数字を見ているのかを、従業員数と合わせて確認してください。
手取りは額面と違います
提示される金額は額面です。ここから税と社会保険料が引かれます。額面だけで生活設計をすると、想定より少なくて驚くことになります。募集要項の読み方は募集要項の読み方|見落としやすい項目を確認するで扱っています。
16有価証券報告書の使い方
この業界を調べるときの、いちばん確実な資料です。
上場企業が年に1回、法律に基づいて出す書類です。金融庁のEDINETで誰でも無料で読めます。各社のサイトのIR(投資家向け情報)にも置かれています。
広告・メディア業界では、ここを重点的に見てください
①セグメント情報——広告、コンテンツ、配信、イベント、不動産——メディア企業は広告以外の事業を持つことがあります。
②事業等のリスク——広告市場の変動、制度の改正、権利の問題——会社自身が何をリスクと考えているかが書かれています。
③売上の内訳に関する説明——テレビ局なら放送収入と配信・その他、代理店ならマスとデジタルの比重が説明されることがあります。
全部読む必要はありません
最初から通読しようとすると挫折します。上の数か所だけを、志望する2〜3社で読み比べる——これで十分に差が見えます。章の名前や構成は年度・会社によって異なることがあるので、目次から探してください。
17決算説明資料・中期経営計画
有価証券報告書より読みやすく、会社の考えが出ます。
| 資料 | 何が書いてあるか | どこにあるか |
|---|---|---|
| 決算説明資料 | 直近の業績と、その理由の説明 | 会社サイトのIR |
| 中期経営計画 | 数年先に何をやろうとしているか | 会社サイトのIR |
| 統合報告書 | 事業の考え方、人材、環境への取り組み | 会社サイトのIR |
| 質疑応答の要旨 | 投資家が何を気にしているか | IRに掲載される場合がある |
中期経営計画が志望動機の材料になります
ここには「これから何に力を入れるか」が書かれています。同じ分野の2社の計画を読み比べると、重点の置き方の違いが見えます。その違いが「なぜこの会社か」の答えになります。会社が自分で書いていることなので、外れません。
図が多いので入りやすい
決算説明資料はスライド形式で、図表が中心です。専門用語の解説が付いていることもあり、業界用語を覚える教材としても使えます。まず決算説明資料を読み、興味が出たら有価証券報告書で裏を取る——この順番が効率的です。
非上場の会社の場合
非上場だと有価証券報告書がありません。その場合は会社サイトの会社概要、採用ページ、プレスリリースが主な情報源になります。情報が少ない会社では、説明会や面接で直接聞くのが確実です。聞いて失礼になる内容ではありません。
18業界団体と官庁の資料
業界全体の話を確かめたいときに使います。
使い方は「裏取り」です
就活で統計を暗記する必要はありません。使うのはニュースや説明会で聞いた話が本当かを確かめるときです。面接で業界の話をするときも、出どころを言える情報のほうが強くなります。「ニュースで見た」より「協会の資料で見た」のほうが確かです。
広告費の統計は出どころを確かめて使ってください
広告の市場については業界団体や企業が調査を公表しています。数字を使うなら、必ず出どころを言えるようにしてください。
本記事では具体的な数値は扱いません。一次の資料に当たって確認してください。
ニュースの読み方
記事の出どころ(誰が発表したか)をたどる癖をつけてください。発表元の資料に当たれば、記事で省かれた条件や前提が分かります。扱い方はニュースと時事の追い方|就活で使える範囲と使い方で扱っています。
19業界用語|最低限これだけ
説明会で前提として使われる言葉です。
意味を言えるようにしておけば十分です
深く理解している必要はありません。説明会で言葉が出たときに話についていける——その程度で構いません。制度に関する言葉は、公的機関の説明で確認してください。
20事例と作品の見方
「好き」から一歩進んだ見方をしてください。
面接で使える形にしてください
「この広告が好きです」で止めず、なぜ効果があると思うかまで言えると、話が一段深くなります。
事例のページに課題と結果が書かれていることがあります。そこを読むと考えやすくなります。
賞を受けた仕事も公開されています
広告の賞に関する情報は公開されていることがあります。評価された仕事を見ると、業界が何を良しとするかが見えます。
メディアの番組や記事も同じ見方ができます
なぜその企画なのか、誰に向けているのか——作り手の意図を考える癖をつけてください。
ただし印象だけで会社を語らないでください
作品の印象と、会社の事業の中身は別です。セグメント情報と決算資料で事業を確かめてください。
第4部 選考に向けて|志望動機と確認事項
21インターンシップの探し方
分野によって、探す場所が変わります。
職種別のインターンがあります
広告会社やメディアでは営業、クリエイティブ、技術など職種別のプログラムが行われることがあります。
内容がまったく違うので、どの職種に関心があるかを先に決めてから応募してください。
作ったものがあれば材料になります
クリエイティブや制作に関わる職種では、自分で作ったものが話の材料になることがあります。完成度より、何を考えて作ったかです。
選考の時期が早いことがあります
この業界では早い時期に選考が行われることがあります。関心があるなら、早めに各社のサイトを確認してください。
参加できなくても不利になるとは限りません
インターンと選考の関係は会社によって違い、案内に記載がある場合はその記載が基準です。記載のないことを推測で補わないでください。選び方はインターンの選び方|条件で絞るで扱っています。
22志望動機の材料を集める
材料が足りないまま書こうとするから、書けません。
同じ分野の2社を読み比べてください
1社だけ読んでも、その会社の特徴は分かりません。同じ分野の2社の中期経営計画を並べると、力の入れどころの違いが見えます。その違いが「なぜこの会社か」の答えになります。
「人の心を動かしたい」だけでは足りません
この業界の志望動機で最も多い型です。ただ、それはこの業界のほぼ全社に当てはまります。
一段具体的にするには、その会社がどの領域に強く、どんな事業構成になっているかまで降りてください。決算説明資料を読めば分かります。
書いたあとの確認
会社名を同じ分野の別の会社に置き換えて読んでみてください。それでも成立するなら、まだその会社に向けた内容になっていません。志望理由の組み立ては志望理由が弱いと感じたら|足りない情報を埋めるで扱っています。
23選考で確認すること
聞かれる側だけでなく、聞く側にもなってください。
確認事項は事前に書き出しておく
説明会や面接の場で思い出そうとしても出てきません。会社ごとに確認事項をメモしておくと、聞きそびれが減ります。
聞いても失礼にならない質問です
勤務地、勤務時間、転勤の有無は労働条件の基本です。募集要項に書かれるべき内容でもあります。遠慮せず確認してください。記載がない、または説明が曖昧なまま進む場合は、その点を書面で確認するようにしてください。
内定後に条件を確認する
内定の連絡を受けたら、労働条件が書面(または電子)で示されるかを確認してください。口頭の説明だけで進めないことが大切です。
24選考の時期の考え方
会社ごとに違い、年度によっても変わります。
就活サイトに載っているスケジュールは一般的な目安であり、個別の会社に当てはまるとは限りません。
職種別の募集が多い業界です
営業、クリエイティブ、技術、アナウンサー——職種ごとに選考が分かれることがあります。時期も内容も違います。
併願できるかどうかも含め、募集要項で確認してください。
締切は一覧で管理してください
複数の分野・複数の会社に応募すると、締切がばらばらになります。会社名、応募した日、次の予定、締切の4つを1枚にまとめておけば、出し忘れは防げます。管理の仕方は選考管理の作り方|進み具合を一覧にするで扱っています。
25向き不向きの考え方
性格で決めるより、仕事の進み方で考えてください。
「面白いことがしたい」の先へ
広告もコンテンツも、誰かの課題や目的があって作られます。自由に作れる仕事ではありません。
制約の中で工夫することを面白いと感じられるか——ここが実際の適性に近い問いです。
本記事では向き不向きの判断はしていません
上の表は仕事の性質を整理したものであり、適性の診断ではありません。実際に働いている人に一日の流れを聞き、自分で判断してください。進め方はOB・OG訪問の依頼と当日|連絡からお礼までの流れで扱っています。
26他の業界と迷ったとき
「伝える仕事」は、いくつもの場所にあります。
| 迷いやすい進路 | 広告・メディアとの関係 |
|---|---|
| 事業会社の宣伝・マーケティング | 発注する側。自社の商品を売る立場 |
| IT・ソフトウェア | 広告の配信やデータの仕組みを担う |
| コンサルティング | 企業の課題を解く点が近い |
| 出版・コンテンツ | 作品や情報をつくって届ける |
| PR・広報 | 企業の広報部門という選択肢もある |
| 制作会社 | 実際に手を動かして作る立場 |
「どの立場で関わるか」を決めてください
発注する側(広告主)、設計する側(広告会社)、場を持つ側(メディア)、作る側(制作会社)——立場が違えば仕事も違います。
IT・ソフトウェア業界はIT・ソフトウェア業界とは|全体像と分野の調べ方、コンサル業界はコンサル・シンクタンク業界とは|全体像と分野の調べ方で整理しています。
比べる項目を先に決めてください
項目が多すぎると決まりません。自分が譲れない項目を3つに絞ると判断しやすくなります。比べ方は志望企業の絞り方|条件を言葉にしてから選ぶで扱っています。
27やらない方がいいこと
この業界の選考でとくに起きやすい失敗です。
| やりがちなこと | なぜ問題か |
|---|---|
| 「面白いことがしたい」で止める | 広告は課題を解くためにある。目的が抜けている |
| 好きな広告の話だけで終わる | 受け手の視点にとどまり、作り手の視点がない |
| 三者の関係を知らない | 広告主・代理店・メディアの役割が分からず話が噛み合わない |
| メディアを広告収入だけで捉える | 配信や版権など複数の事業がある |
| デジタル運用を軽く見る | 地道な調整の積み重ねが仕事の中心にある |
| 勤務時間を確認しない | 職種によって働き方が大きく変わる |
「クリエイティブ職=自由に作れる」ではありません
表現は広告主の課題と、制度上の制約の中で作られます。自由に作る仕事ではありません。
1社の説明会を業界全体の話だと思わない
説明会で語られるのはその会社の話です。分野が違えば前提が違います。最低2社は比べてください。
28相談できる窓口
一人で抱えないでください。
作品や活動の経験は整理しておいてください
サークルや個人の活動で何かを企画し、人に届けた経験があるなら、その過程を言葉にしておいてください。この業界では材料になります。
条件面で疑問があるとき
提示された条件に疑問があるとき、自分で判断せずに相談してください。労働局の総合労働相談コーナーは無料で、全国にあります(予約なしで利用できる場合があります)。法令の解釈が必要な場合は弁護士にご相談ください。
29よくある質問
広告会社は広告をつくる会社ですか?
つくるのは仕事の一部です。広告主の課題を聞き、誰に何をどう伝えるかを設計し、媒体を手配し、制作会社と組んで形にし、効果を確かめます。実際の制作は制作会社が担うことも多くあります。広告主・広告会社・メディア・制作会社という三者(四者)の関係を押さえてください。
クリエイティブ職になれますか?
職種別に募集されることがあり、課題の提出を求められる場合もあります。募集要項で区分と選考の流れを確認してください。なお、表現は広告主の課題と制度上の制約の中で作られるもので、自由に作れる仕事ではありません。
デジタル広告の運用はどんな仕事ですか?
誰にどの面にいくらで出すかを設計し、配信を設定し、日々数字を見て改善する仕事です。大きな企画を一度出して終わりではなく、地道な調整の繰り返しになります。分析の力が求められ、統計やデータの扱いに慣れていると力を発揮しやすい領域です。
テレビ局は番組をつくる仕事ですか?
制作は職種の一つです。ほかに報道、編成、営業、技術、アナウンサー、事業・イベント、配信・デジタル、管理部門があります。また番組は制作会社が制作を担うことも多くあります。技術職は電気電子・情報の専門が直接生きます。
メディアは広告収入だけですか?
違います。テレビなら配信、コンテンツの販売、イベント、不動産など、新聞なら購読料と電子版、出版なら書籍の販売と版権の活用など、複数の柱があります。セグメント情報を見れば事業の構成が分かります。
文系ですが数字は扱いますか?
扱います。広告の効果を数字で確かめる仕事が増えており、運用や分析では日常的に数値を見ます。文系出身者が多い業界ですが、数字から離れられる業界ではありません。
理系でも入れますか?
入れます。データ分析やデジタル運用、放送・配信の技術職では理系の専門が生きます。放送局の技術職は電気電子・情報系の学生の入口です。応募できるかどうかは募集要項の応募資格欄で確認してください。
PRと広告はどう違いますか?
広告は費用を払って枠を確保し、内容を自分で決められます。PRは報道や発信を通じて取り上げてもらう手法で、取り上げるかどうかは媒体が判断します。だからPRでは「何がニュースになるか」を考える仕事になります。なお、広告なのにそう見えない形で発信することは問題になります。
働き方はどうですか?
職種によって差が大きい業界です。制作や報道では撮影・収録・締切に合わせた勤務になることがあります。各社が働き方の改善に取り組んでいることもあります。勤務時間の仕組みと休日は募集要項で確認し、取り組みについては説明会で聞いてください。
制作会社はどんな選択肢ですか?
実際に手を動かして作る立場です。番組、CM、ウェブ、イベントなど分野があります。少人数の会社が多く、若いうちから任される場面があると言われますが会社によります。体制や育て方、働き方は説明会で具体的に聞いてください。
選考はいつから始まりますか?
会社ごとに違い、この業界では早い時期に選考が行われることがあります。職種別に募集される場合は職種ごとに時期も内容も違います。各社の採用ページで確認してください。
まず何から読めばいいですか?
志望する会社の決算説明資料でセグメント別の事業構成を確認し、次に事例・実績のページを読むのが早道です。作品の印象と事業の中身は別なので、両方を見てください。
この記事に載っていない会社もありますか?
あります。本記事の社名は各分野にどんな会社があるかを示す例であり、網羅した一覧ではありません。また推奨や順位付けでもありません。制作会社、PR会社、地方のメディア、専門の出版社など、数多くの会社があります。
30まとめ|立場を決めて、事業を見る
この業界は、広告主・広告会社・メディア・制作会社の関係で成り立っています。どの立場で関わりたいかを、まず決めてください。
分野は6つあります。①総合広告会社、②デジタル広告、③専門・ハウスエージェンシー、④メディア、⑤制作会社、⑥PR会社。
広告は課題を解くためにあります。表現の前に「何を言うか」を決める工程があります。
デジタルは運用の仕事です。出して終わりではなく、数字を見て改善を続けます。
メディアは広告以外の事業も持っています。配信、版権、イベント——セグメント情報で確認してください。
職種によって働き方が違います。制作や報道では勤務時間が不規則になることがあります。
制度の確認が必要な業界です。表示、権利、個人情報——公的機関の情報で確かめてください。
最後に。本記事の社名は各分野にどんな会社があるかを示す例であり、推奨・順位付け・優劣の評価ではありません。網羅した一覧でもありません。売上・シェア・年収などの数値と企業の将来性、向き不向きは扱っていません。制度に関することは公的機関の情報で、募集の条件は各社の募集要項でご確認ください。
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・食品・飲料業界とは|全体像と分野の調べ方
・コンサル・シンクタンク業界とは|全体像と分野の調べ方
・業界の調べ方|全体像をつかむ順番
・募集要項の読み方|見落としやすい項目を確認する
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