ボーナス(賞与)の仕組み【新卒】1年目の夏はいくら?募集要項の「年2回・〇か月分」の見方
新卒1年目の夏のボーナスは、「満額ではなく寸志(少額)」「そもそも支給なし」「入社日をもとにした日割り」のどれかになる会社が、実際に募集要項に書かれています。募集要項の「賞与 年2回」だけでは、1年目にいくらもらえるかはわかりません。「初年度」「入社1年目」の但し書きと、「か月分」が何の月給にかけた数字かを見るのが、読み方のコツです。
「賞与 年2回(6月・12月)」と書いてあると、なんとなく夏と冬にまとまったお金が入ると思ってしまいます。ところが、4月に入社した1年目は、6月や7月の賞与の時点でまだ働き始めて2〜3か月です。会社の募集要項を読むと、この1年目の扱いを、わざわざ書いている会社があります。
この記事では、賞与が募集要項でどう書かれているかを、Campi の企業データで集計した結果と実例で説明します。「年2回」「〇か月分」「業績連動」の読み方と、1年目の夏の実際の書かれ方、年収の見積もりで気をつけることをまとめました。賞与の金額そのものは、会社が公表していない限り書けません。数字は、各社が募集要項などで公表しているものだけを載せます。
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1 / 701賞与は「必ず出るお金」ではなく、会社が定めるお金
まず、賞与がどういう扱いなのかを確認します。厚生労働省の「確かめよう労働条件」には、会社が採用するときに労働者へ明示すべき事項が書かれています。そこでは、次のように整理されています。
- 必ず明示する事項:契約期間、仕事をする場所と内容、労働時間・休日、賃金の決め方や支払い方、退職に関することなど。
- 定めがある場合に明示する事項:賞与と退職金は、会社に定めがある場合に明示が必要な事項に入っています。
つまり、賞与は基本給や手当のように「必ず書かれる項目」ではなく、会社が定めているときに書かれる項目です。同じページには、パートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者については、書面で「賞与の有無」を示す必要があるとも書かれています。
新卒の正社員の場合、賞与があるかどうか、どう決まるかは、会社の定め(就業規則など)と、内定後に受け取る労働条件通知書で確認します。通知書の見方は、労働条件通知書の読み方を見てください。
Campi の企業データで、賞与の記載がある703社を数えると、次のようになります。
| 募集要項の賞与の回数の書き方 | 社数 |
|---|---|
| 年2回 | 615社 |
| 年3回 | 25社 |
| 年1回 | 24社 |
| 年4回 | 7社 |
| 上記以外の書き方(業績に応じて、年俸制など) | 32社 |
| 合計 | 703社 |
数え方は、Campi の企業データにある働き方の情報(1,369社)のうち、賞与の欄に記載がある703社を、記載の中の「年2回」「年3回」などの文字で分けたものです。「年2回(6月・12月)」のような書き方は「年2回」に入れています。賞与の記載があるうち、約88%(615社÷703社)が「年2回」でした。
02募集要項の賞与欄、よくある書き方5パターン
実際の募集要項では、賞与欄は会社によって情報量がまったく違います。Campi の企業データにある記載を、5つのパターンに分けて見てみます。
| パターン | 書き方の例 | わかること/わからないこと |
|---|---|---|
| 回数だけ | 長谷工コーポレーション:「年2回」 | 回数はわかる。金額、時期、月数はわからない |
| 回数と時期 | 戸田建設:「年2回(7月、12月)」 | 支給の月がわかる。金額はわからない |
| 実績の月数つき | 本田技研工業:「年2回(6月・12月)、2025年度実績6.9ヶ月」 | 去年の実績がわかる。来年の保証ではない |
| 標準と変動を分ける | ソフトバンク:「年2回(年間標準賞与4.5か月+業績に応じた特別加算賞与)」 | 標準分と、業績で動く分の区別がわかる |
| 金額や制度が書かれない | 「社内基準による」「あり」「業績連動型」などの書き方 | あるかないかしかわからない |
実績の月数を書いている会社は、Campi の企業データで64社ありました。賞与の記載があるうちの約9%です(64社÷703社)。数え方は、記載に「か月」「ヶ月」「カ月」「ケ月」のいずれかが入っているものを数えています。多くの会社は、回数や時期止まりです。
月数が書いてあっても、その数字は「実績」か「見込み」か「標準」かで意味が変わります。たとえば次の違いがあります。
- 実績:「2025年度実績6.9ヶ月」(本田技研工業)のように、過去の年度にいくら支給したかです。来年も同じとは限りません。
- 見込み:「2025年度見込み5.41カ月分」(ニッスイ)のように、期の途中で書いた予測です。
- 標準:ソフトバンクのように、業績にかかわらず基本として支給する月数です。上乗せがあるかどうかは別に書かれます。
- 相当:「4.6カ月相当」(テルモ)のように、年間の合計を月数に直した書き方です。
03「〇か月分」は何にかける数字か
「賞与 年間5か月分」と書いてあるとき、いくらになるのでしょうか。基本的には、「月給のどれかの金額 × 月数」です。ただし、どの月給にかけるのかが会社ごとに違います。
Campi の企業データにある書き方を見ると、次のような違いがあります。
| 会社 | 書き方 |
|---|---|
| 住友重機械工業 | 「年2回(6月・12月)。一般社員平均は平均基準賃金月額の5.03ヶ月分(2026年度)」 |
| 日本フエルト | 「年間約4.4ヶ月分(初年度6月は寸志)」 |
| モバイルファクトリー | 「固定賞与は基本給2か月分、変動賞与あり」 |
| オリオンビール | 「年間5.85カ月分が原則(業績・個人成績で変動)」 |
住友重機械工業は「平均基準賃金月額」、モバイルファクトリーは「基本給」と、かける先が違います。「基準賃金」と「基本給」は、手当を含むかどうかなどが会社によって違うことがあります。募集要項の賞与欄だけでは決まりません。気になるときは、内定後の説明や労働条件通知書で確かめます。
もう1つ、「平均」や「全社員」の数字に注意が必要です。住友重機械工業の例は「一般社員平均」です。また、別の会社には「2025年度全社員平均:総合職・エリア職6.0ヶ月、工場地域職4.0ヶ月」のように、職種別に違う月数を書いているところもあります。自分が入る職種の月数がどれかを確かめます。
仮の数字で計算してみる
理解のために、次の計算をしてみます。数字はすべて仮のもので、実在の会社とは関係ありません。
基準となる月給が22万円、年間の賞与が「年2回・合計4か月分」の場合、年間の賞与は22万円×4か月=88万円です。回数は年2回なので、1回あたり44万円になる計算です。ここで「業績によって増減」「評価で変動」と書かれていれば、実際の金額は上下します。
この計算をするときの注意は2つあります。1つは、賞与にも税金や社会保険料がかかることです。もう1つは、金額が「額面」であることです。手元に入るのは、そこから差し引かれた額です。額面と手取りの違いは、給与の記載の読み方で説明しています。
041年目の夏は、どう書かれているか
ここが、この記事でいちばん知りたいところだと思います。Campi の企業データには、「初年度」「入社1年目」「新入社員」などの扱いを、賞与の欄にわざわざ書いている会社があります。実例を並べます。
| 会社 | 賞与欄の記載(要旨) | 1年目の扱い |
|---|---|---|
| 日立製作所 | 年2回(6月・12月)。4月入社は初回賞与が寸志 | 初回は寸志 |
| 日本調剤 | 年2回(7月・12月)。入社初年度の7月は寸志程度 | 夏は寸志程度 |
| 日本フエルト | 年間約4.4ヶ月分。初年度6月は寸志 | 6月は寸志 |
| 早稲田アカデミー | 年2回(6月・12月)。新卒1年目の6月は一律50,000円 | 6月は一律5万円 |
| 京進 | 年2回(6月・12月)。初年度は6月なし | 夏は支給なし |
| キューブ | 年2回。入社1年目は賞与なし | 1年目は支給なし |
| フォーバル | 年2回。入社初年度は冬季のみ | 夏はなく、冬のみ |
| パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス | 個人業績・全社業績に連動。初年度は冬のみ支給 | 夏はなく、冬のみ |
| リクルート | 年2回(6月・12月)。初年度は入社半年後の1回のみ、業績により変動 | 1回のみ |
| デロイト トーマツ コンサルティング | 年1回。入社後最初の賞与は入社日基準の日割り | 日割り |
| トラスコ中山 | 年2回(6月・12月)合計5カ月分。入社1年目は1回目20%、2回目50% | 満額の割合で支給 |
| ストライク | 入社初年の5月・11月に基本給の2カ月分 | 1年目から月数が明記 |
| キーエンス | 年4回(3月・6月・9月・12月)。入社年度の第1四半期から支給 | 1年目から支給 |
| ALSOK | 年2回。初年度定額、2年目約104.2万円(2025年度実績) | 初年度は定額 |
表を見ると、1年目の扱いはおおむね次の4つに分かれます。
- 寸志:少額の支給です。日立製作所、日本調剤、日本フエルトなど。金額を書いている会社は少なく、早稲田アカデミーの「一律50,000円」は具体的な書き方の例です。
- 支給なし、または冬のみ:京進、キューブ、フォーバル、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス。1年目の夏の賞与は期待できない書き方です。
- 割合や日割りでの支給:トラスコ中山は、1年目は満額の20%や50%です。デロイト トーマツ コンサルティングは入社日基準の日割りです。
- 1年目から通常に近い支給:キーエンスは入社年度の第1四半期から支給、ストライクは1年目から基本給の2カ月分と書いています。
なぜこうなるのかを、多くの会社は募集要項に書いていません。会社の規程で決まっているので、理由は会社ごとに違います。入社して間もない時期は、働いた期間が短いことが関係しているかもしれません。ただし、これは記載からの推測で、各社の公式な説明ではありません。確かめたいときは、説明会や面談で人事に聞く方法があります。
注目してほしいのは、賞与の欄に「初年度」「1年目」と書かれている会社は、全体のごく一部だということです。上の表に挙げたのは、Campi の企業データで、賞与の記載に「初年度」「入社」「1年目」「新入社員」「寸志」のいずれかが入っていた会社(15社)です。残りの会社は、1年目の扱いがそもそも書かれていません。書かれていないからといって、1年目から満額とは限りません。
だから、新卒1年目の年収を考えるときは、夏の賞与はない、または少ないという前提で、予算を組んだほうが安全です。冬の賞与がどうなるかも、同じ書き方では読み取れないので、確認が必要です。
05業績連動・決算賞与・年俸制の読み方
回数や月数が書かれていない会社には、別の仕組みで賞与を出しているところもあります。Campi の企業データで、賞与の記載に「業績」または「決算」の文字がある会社は74社ありました(703社のうち約11%)。代表的な書き方を、実例とともに整理します。
| 仕組み | 書き方の例 | 読み方 |
|---|---|---|
| 業績連動 | 東急:「業績連動型」/王子ホールディングス:「各社の業績に応じて支給」 | 会社の業績が悪いと、減ることがある |
| 利益の一定割合を還元 | キーエンス:「営業利益の一定割合を還元する業績賞与」 | 利益が大きい年は増え、小さい年は減る |
| 決算賞与 | エムアップホールディングス:「決算賞与(業績により支給)」/ほか「業績に応じて決算賞与」 | 通常の賞与とは別に、決算の結果で出る賞与 |
| 固定と変動に分ける | モバイルファクトリー:「固定賞与は基本給2か月分、変動賞与あり」 | 固定の部分は見積もりに入れてよく、変動分は別に考える |
| 年俸制 | ノエビアホールディングス:「年俸制(定期賞与なし)」/ブロードバンドタワー:「なし(年俸制)」 | 賞与はなく、年間の給与を分けて支払う書き方 |
年俸制の会社は、「賞与なし」と書かれていても、年収が低いとは限りません。年間の給与の総額を、月々に分けて支払っているだけの場合があるからです。募集要項で、モデル年収(想定年収)が書かれていれば、そこに賞与が含まれているかを確かめます。たとえばレバレジーズの記載には「モデル年収に標準的な業績賞与を含む」とあります。「年収」と書いてある金額に、賞与が入っているのかどうかは、会社によって違います。
初任給や年収を比べるときは、賞与が入った数字かどうかをそろえる必要があります。初任給の金額の比べ方は初任給の平均・中央値、賞与を含む年収の目安は平均年収が高い企業ランキングで、公表値をもとに載せています。
06年収の見積もりと、確認のチェックリスト
最後に、賞与の欄を読むときのチェックリストをまとめます。応募する会社の募集要項を開いて、上から順に確認してください。
- 回数と時期:年何回、何月か。年1回なのか、年2回なのか、年4回のように細かく分かれているのかを見ます。
- 月数の意味:「実績」「見込み」「標準」「相当」のどれか。実績は過去の数字で、将来の保証ではありません。
- かける先の月給:「基本給」「基準賃金月額」「月給」のどれか。手当が含まれるかは、会社の定めで違います。
- 平均の範囲:全社員の平均か、一般社員の平均か、職種別か。自分が入る職種の数字を見ます。
- 1年目の扱い:「初年度」「入社1年目」「寸志」「日割り」などの但し書きがないか。なければ、面談で聞きます。
- 業績連動の有無:「業績に応じて」「連動」とあれば、増減があるものとして見ます。固定部分と変動部分が分かれているか確認します。
- 年収に含まれるか:モデル年収や想定年収に、賞与が含まれているか。含まれていれば、賞与がない年は、その分少なくなります。
- 内定後の書面:内定後に受け取る労働条件通知書で、賞与の記載をもう一度確認します。内定後の条件確認が参考になります。
面談で1年目の賞与を聞くのは、失礼ではありません。「入社1年目の夏の賞与は、どのような扱いになりますか」と、そのまま聞いて大丈夫です。聞き方に迷うときは、募集要項の読み方のページで、見落としやすい項目をまとめています。
賞与は、年収に大きく関わる一方で、1年目はとくに不確実です。基本給や手当、住宅の補助など、毎月決まって入る部分を中心に生活の予算を考えます。賞与は、あれば貯金や使い道に回す、くらいの気持ちで見ておくと安全です。
07よくある質問
新卒1年目の夏のボーナスは、いくらもらえますか?
会社によって違い、一律の金額は言えません。Campi の企業データでは、1年目の扱いを書いている会社で、寸志(日立製作所、日本調剤など)、一律5万円(早稲田アカデミー)、支給なし(京進、キューブ)、日割り(デロイト トーマツ コンサルティング)などがありました。自分の志望先の記載を確かめてください。
「賞与 年2回」と書いてあれば、必ず出るのですか?
募集要項に書かれた制度としては出ますが、金額は業績や評価で変わることがあります。賞与は、会社が定めたときに明示される項目です。内定後の労働条件通知書で、支給の条件も確認します。
「賞与5か月分」は、月給の5倍もらえるのですか?
かける先の月給によります。「基本給」にかけるのか、「基準賃金月額」にかけるのかで、金額が変わります。また、「実績」の月数は過去の数字で、将来の保証ではありません。
決算賞与とは何ですか?
募集要項に「決算賞与(業績により支給)」などと書かれる賞与です。通常の賞与とは別に、会社の決算の結果によって支給されるものとして書かれています。支給の有無や金額は業績次第なので、年収の見積もりには、確実な分として入れないほうが安全です。
年俸制だと、賞与はないのですか?
「年俸制(定期賞与なし)」「なし(年俸制)」と書いている会社があります。ただし、年俸の中に賞与相当分が含まれていることもあるため、年間の総額で比べます。
賞与の金額は、募集要項で比べられますか?
回数や月数が書かれている会社同士なら、おおよそは比べられます。ただ、かける先の月給、平均の範囲、実績か見込みかがそろっていないと、正確には比べられません。比べるときは、書かれている条件をそろえて読んでください。
出典:厚生労働省「確かめよう労働条件」(労働条件の明示)/2026年10月時点の Campi の企業データ(各社の公式の募集要項・採用ページ)。賞与の記載がある703社の回数別の集計は Campi が算出(2026年10月確認)
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